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外貨預金で損益分岐点を理解する重要性

外貨預金で損益分岐点を理解する重要性
資産運用の一つの手段として外貨預金に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
外貨預金では色々な注意点やリスクが存在しますが、その中でも為替変動リスクについて理解することは重要です。
為替変動リスクとは、異なる二国間の通貨を売り買いする際に生じる為替レートの変動によるリスクです。それぞれの通貨の需給に応じて通貨の価値は変動します。
そして外貨預金を保有する上で損益分岐点を把握しておくことも大切です。
外貨預金での損益分岐点とは、日本円で外貨を購入した場合に、為替レートの変動によって評価損益が変動する中、日本円換算で利益と損失の境目となる為替レートを指しています。
本記事では損益分岐点の理解を深め、その計算を自分でも出来るようになるために損益分岐点の計算方法についてご説明します。

外貨預金で大事な為替レートの変動とは?

外貨預金で大事な為替レートの変動とは?

損益分岐点の計算方法についてご説明をする前に、外貨預金を保有する上で重要な為替レートの変動について、くわしく解説します。為替レートが変動する理由は、二国間の通貨を売買するため、それぞれの通貨の価値が変動するからです。
為替レートの変動には円高や円安と呼ばれる動きがあります。


具体的な数字で、円高と円安とはどのような動きを意味しているのかご説明します。
1米ドルが100円となっている場合に、日本円で1,000米ドルを購入すると100,000円が必要となります。
その後、1米ドルが105円になった場合と95円になった場合を考えてみましょう。
1米ドルが105円になったタイミングで、1,000米ドルを日本円に交換すると105,000円になります。
これは米ドルに対して日本円の価値が相対的に下落しているということです。
上記の場合、日本円換算で5,000円の利益が発生します。
この動きを円安(ドル高)と言います。
一方で1米ドルが95円になったタイミングで、1,000ドルを日本円に交換すると95,000円となります。
これは米ドルに対して、相対的に日本円の価値が上昇したということです。
上記の場合、日本円換算で5,000円の損失が発生します。この動きを円高(ドル安)と言います。

一見すると、1米ドルが100円→105円の場合などは、数字が大きく(高く)なっているので「円高」と捉えてしまいそうですが正しくは「円安」です。上記で示した通り、為替レートの数字が上昇した場合は円安、数字が下落した場合は円高となっているので注意しましょう。
円高・円安は、あくまで外貨に対して円の価値が高くなっているか(もしくは安くなっているか)、という理解をすることが大切です。

外貨預金のTTSとTTBの違い

実際に外貨預金の取引する際にはTTSとTTBという為替レートが適用されます。
TTSは対顧客電信売相場と呼ばれており、金融機関が顧客に外貨を売却する場合の適用レートです。言い換えると顧客が日本円を外貨預金に預け入れる場合に適用するレートです。
一方、TTBは対顧客電信買相場と呼ばれており、金融機関が顧客から外貨を買う場合の適用レートです。言い換えると顧客が外貨預金を日本円で引き出す場合に適用するレートです。
TTS、TTB以外に外貨預金には、TTMという為替レートが存在します。TTMは電信仲値相場または仲値と呼ばれており、金融機関が外貨を売買する場合の基準になるレートです。

TTSとTTBのレートにはそれぞれ手数料が内包されています。外貨預金へ預入後に円に戻すと、別途支払う必要はありませんが、往復で為替手数料が発生します。
三菱UFJ銀行の場合、窓口では米ドルは片道1円の為替手数料がレートに含まれています。
この場合、購入時のレートから2円円安に推移すると往復の為替手数料込みで損益が±0となり、それ以上円安が進行すると評価益が生まれます(ここでは税金や利息は考慮していません)。

具体的にレートが2円動いた場合のTTS・TTM・TTBの関係性を見てみましょう。
TTMが110円の時、TTSは111円になります。TTS111円で外貨預金に預け入れをした場合、TTMが112円まで円安方向に推移しないと、外貨預金を引き出す際のTTBが111円となりません。
TTB(外貨→円) TTM(仲値) TTS(円→外貨)
109円 110円 111円

 

 

TTB(外貨→円) TTM(仲値) TTS(円→外貨)
111円 112円 113円

 

尚、インターネットバンキングで取引を行うと米ドルの場合、片道の為替手数料が25銭まで低下するため、損益分岐点も低くなり、利益の発生を期待しやすくなります。
この評価損益が±0になる為替レートのことを損益分岐点と呼びます。
損益分岐点は損失が発生するか、利益が発生するかの境目となるレートということです。
損益分岐点を把握しておくことは外貨預金で資産運用を行う上で大切なポイントです。
外貨預金に限った話ではありませんが、運用商品を購入したタイミングで手数料が発生すると、その分評価損益はマイナスからのスタートになります。
ご自身が保有している外貨の損益分益点、言い換えると利益が発生する境目となるレートを把握することは、取引の判断をするひとつの目安となるでしょう。

損益分岐点を計算する方法

三菱UFJ銀行では外貨運用シミュレーションのツールを提供しています。
当該ツールを利用することで、外貨預金の損益分岐点の為替レートを把握できるようになっていますが、仕組みを理解したい方向けに損益分岐点の計算方法を簡単な例で解説します。

外貨預金は円預金と同様に利息を受け取ることができるため、為替変動のみで損益分岐点が決定するわけではありませんが、下記の例では損益分岐点の計算方法を簡単に理解するために、利息の計算は割愛しています。

例として1米ドルあたりの為替レートが4月100円、5月102円、6月104円の時に、毎月100米ドルずつ3回に分けて購入した場合に損益分岐点がどこの位置になるのか考えてみます。
まずそれぞれの月における日本円換算金額(実際に投入した円貨額)を計算します。
4月:100円×100米ドル=10,000円
5月:102円×100米ドル=10,200円
6月:104円×100米ドル=10,400円
次に、実際に投入した円貨額を合計します。
10,000円+10,200円+10,400円=30,600円
最後に、円貨額の合計を保有している米ドルで割ります。
30,600円÷300米ドル=102円
以上より、損益分岐点は102円になります。
損益分岐点が102円ということは、TTB(引出時の為替レート)が102円よりも円安であれば評価益が発生し、円高であれば評価損が発生します。
外貨預金で大事な為替レートの変動とは?

損益分岐点を意識した外貨預金の使い方

外貨預金の損益分岐点を抑えながら、運用するために、どのような方法があるのかを紹介します。
外貨預金等の運用方法として「ドル・コスト平均法」というものがあります。
ドル・コスト平均法というのは、円貨単位で毎月一定の金額を継続的に購入していくという方法です。円高の時には多くの外貨を購入でき、逆に円安の時には少なく購入することになるので、平均購入単価を低く抑えることができます。
 
三菱UFJ銀行でお申し込みいただける外貨つみたて(外貨貯蓄預金「継続預入プラン」)を利用することで、自動的に毎月決まった額のつみたてをすることが可能です。
 
ドル・コスト平均法でかしこく資産運用を行い、損益分岐点を抑えながら、円安のタイミングを待つことも大切です。安定的に利益を確保するためには長期保有を意識して短期の相場変動で一喜一憂しないようにしましょう。

まとめ

外貨預金での資産運用がはじめての方の中には為替リスクや手数料を知り、不安になる方もいるかもしれません。
しかし低金利が続く現代では、円預金以外の方法で自分の資産を増やしていくことも大切です。
その手段の一つとして、外貨預金をはじめてみてはいかがでしょうか。
外貨預金を取引する場合は、保有している外貨の損失が出るか利益が出るかの境目を示すレートとなる損益分岐点を理解しておくと良いでしょう。
記事提供:株式会社ウィルゲート

三菱UFJ銀行で外貨預金を始める方法

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  • 為替相場の変動により、円貨を外貨にする際(預入時)の為替相場に比べ、外貨を円貨にする際(引出時)の相場が円高になると引出円貨額が預入円貨額を下回る場合があります。
  • 円貨を外貨にする際および外貨を円貨にする際に手数料がかかるため、為替相場に変動がない場合でも、引出円貨額が預入円貨額を下回る場合があります。
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(2021年4月1日現在)