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今、注目のESG投資とは?

 

目次

ESGとは

ESG(イーエスジー)とは「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」の3つの単語の頭文字を取った略語で、企業が持続的な成長を目指すためには、これら3つの観点が重要であるという考え方です。ESG投資とは文字通り、ESGに配慮した経営を行う企業に投資することで、売上高や利益、保有財産などの財務情報だけではなく、ESGへの取組状況という非財務情報の要素も考慮した投資のことを指します。
(図表1)ESG分野別に関連するビジネス課題
ESG分野 関連する項目
環境
(Environment)
脱炭素対応、大気汚染、水質汚染、廃棄物問題、生物多様性への対応、等
社会
(Social)
労使関係、地域社会との関係性、人権問題、ダイバーシティ、等
企業統治
(Governance)
行動規範、経営の透明性、監査体制、株主との対話、リスクマネジメント、等
ESGとともによく出てくる言葉としてSDGs(エスディージーズ)があります。SDGsとは、2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発目標」のことです。 「誰一人取り残さない」という理念のもと、2030年までに「世界の貧困をなくす」「持続可能(サステナブル)な世界を実現する」こと等を目標に、17のゴールと169のターゲットが設定されています。
SDGsが国や国際機関主導による「目標」であるのに対し、ESGはその目標を金融業界・企業主体で実現するための「行動規範」であるといえます。

ESG市場拡大の経緯

ESGという概念が普及する以前にも、企業主体のCSR活動(企業の社会的責任)は一部で行われていました。しかし、これらの活動はブランドイメージ向上など間接的に収益に寄与する可能性があるものという認識に留まり、その多くは資力のある大企業に限定されて行われるものでした。その概念を覆し、問題を投資の世界に引き上げたのがESGという概念です。
ESGが世に認識されたのは、2006年に国連のアナン事務総長が投資の意思決定プロセスにESGを組み入れる「責任投資原則」(PRI)を提唱したことが始まりです。責任投資原則とは、投資家として環境、社会、ガバナンスに関して責任ある投資行動をとることを宣言した行動規範です。2008年のリーマン・ショック以降、それまでの短期的利益追求型の経営・投資に対する批判が世界的に高まったこともあり、PRIには世界の多くの機関投資家が署名しました。
(図表2)
PRIの6つの原則
  • 投資分析と意思決定のプロセスにESGの視点を組み入れる
  • 株式の所有方針と所有監修にESGの視点を組み入れる
  • 投資対象に対し、ESGに関する情報開示を求める
  • 資産運用業界において本原則が広まるよう、働きかけを行う
  • 本原則の実施効果を高めるために協働する
  • 本原則に関する活動状況や進捗状況を報告する
日本では2015年9月にGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)がPRIに署名し、大きな話題となりました。GPIFは運用資産額約160兆円(2019年度末時点)という世界最大の機関投資家です。そのGPIFが投資先の選定にESG重視の姿勢を示したことは投資マネーを呼び込みたい企業にとって大変インパクトのあることでした。これまでのように環境・社会・ガバナンス問題は資力に余裕のある大企業が取り組むもの、としてESGに消極的な企業は、投資対象から除外されてしまうビジネスリスクを抱えていることが広く世に認識されるようになったのです。
これに並行してSDGsのより一層の浸透により、とりわけ脱炭素社会を目指す国主導の取り組みも、より実効性の高い物へと深化していきました。例えば日本でも、脱炭素化を目的とした設備投資への税制優遇や、プラスチックごみ削減のためのレジ袋有料化の動きなど、経営にとって無視できない環境が整いつつあります。
このように、ESGはそれまでの「収益に間接的に寄与するもの」から「収益に直接的に影響するビジネス課題」へと、その位置づけを大きく変えたのです。現在もPRI署名機関は順調に拡大し、2020年3月末時点でのPRI署名機関は3,038機関で、その運用資産総額は100兆ドルを上回りました(三菱UFJモルガン・スタンレー証券リサーチ部調べ)。ESG投資の市場規模が世界的に成長し続けていることがわかります。
(図表3)PRI署名機関と資産運用額・保有額の推移
(図表3)PRI署名機関と資産運用額・保有額の推移
  1. アセットオーナーとは、公的年金や企業年金、保険会社など資金の出し手となる投資家を指し、資産運用機関はそれらの資金の運用を受託する組織を指す。
    データは各年の3月末時点。出所)PRIのデータを基に三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成

ESG投資の7手法

ESG投資とはESGに配慮した経営を行う企業に投資することですが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券リサーチ部作成のレポートによると、持続可能な投資を促進する国際組織であるGSIA(Global Sustainable InvestmentAlliance)は、ESG投資手法を下表の7つに分類しています。
(図表4)ESG投資手法と運用資産残高(2016年・2018年、単位:10億ドル)
ESG投資手法 投資手法の概要 2016年 2018年
ネガティブ・スクリーニング 特定の業界や企業(武器、ギャンブル、タバコや化石燃料等)を投資対象から除外 15,063 19,770
ESGインテグレーション 投資の意思決定において、財務諸表分析だけでなく、ESG要素を考慮 10,363 17,453
議決権・エンゲージメント 企業との対話、株主提案、議決権行使を通じて、企業にESGに対する取組みを促す 8,386 9,834
国際規範に基づくスクリーニング 国際機関(国連やOECD等)の規範を満たしていない企業を投資対象から除外 6,195 4,679
ポジティブ・スクリーニング 業界内でESG評価の高い企業・プロジェクト等を投資対象とする 818 1,841
サステナブル・テーマ投資 持続可能性に関する特定のテーマ(気候変動、食糧、水資源、エネルギー等)に投資 331 1,017
インパクト/コミュニティ型投資 社会・環境問題の解決や地域開発などの社会的インパクトを目的とした投資 248 444
  • 運用資産残高はグローバルベース。 出所)GSIAのデータを基に三菱UFJモルガン・スタンレー証券作成
GSIAの報告書によると、グローバルベースで、ネガティブ・スクリーニングによる方法が最も多く、2018年時点でESG投資全体の約36%を占めています。同手法は、武器、ギャンブル、タバコや化石燃料など特定の業界や企業などを投資対象から除外する方法で、詳細分析の前段階で該当企業は除外されるため、比較的取り組みやすいという特徴があります。一方、最近、投資残高が最も拡大しているのが、ESGインテグレーションという手法です。これは投資の意思決定において、財務情報などの従来の分析に用いられるデータに加えてESGなどの非財務情報を考慮する方法を指します。前述のGPIFのように、年金基金などの長期投資家が将来リスクを考慮し、積極的に非財務情報を活用していく手法はこれに該当します。このほか、企業との対話や議決権行使を通じて企業にESGへの取組みを促す議決権・エンゲージメントや業界内でESG評価の高い企業を投資対象とするポジティブ・スクリーニング、あるいは持続可能性に関する特定のテーマに投資するサステナブル・テーマ投資なども運用資産が拡大しており、ESG投資の裾野は広がってきています。

ESG投資の魅力

一般的にESG評価の高い企業は、事業の社会的意義や持続可能性が高いと評価されます。日頃からESG課題に取り組む経営をしていれば、脱炭素社会へ向けての法改正や規制による事業環境悪化リスク、その他倫理的問題等のビジネスリスクが少なく、長期にわたって事業を継続しやすい企業であると考えられるからです。この「長期的に安定したリターンの獲得が期待できる」という点がESG投資の最大の魅力です。また、投資を通じて社会貢献に寄与できる点も、個人投資家にとっては大きなポイントといえるでしょう。

ポイント
  • ESG投資とは社会・環境・ガバナンスに配慮した経営を行う企業に投資すること。
  • SDGsの価値観の浸透に伴い、近年ESG投資に向かう投資額は世界的に増加している。
  • ESGは従来の「収益に間接的に寄与するもの」から「収益に直接的に影響するビジネス課題」へと変化した。
  • ESG投資をすることで、長期的に安定したリターンの獲得が期待できる。

当記事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券リサーチ部のレポートを一部参照し、三菱UFJ銀行が執筆したものです。三菱UFJモルガン・スタンレー証券リサーチ部のレポートは個別のファンドを推奨するものではありません。

三菱UFJ銀行で取り扱いのESG関連ファンド

ESG投資を行う上で重要な、企業のESG評価。これを個人で行うのはなかなか難しいことです。三菱UFJ銀行では、お客さまに気軽にESG投資を実践していただけるESG関連の投資信託を豊富にご用意しております。

東京海上・気候変動対応株式ファンド(愛称:グリーンフューチャー)

東京海上・気候変動対応株式ファンド(愛称:グリーンフューチャー)

日本を含む世界の取引所に上場されている、気候変動への対応に積極的に取り組む企業の株式等に投資を行います。
気候変動への対応に積極的に取り組む企業とは、気候変動の影響「緩和」する(温室効果ガスの排出を抑制する)事業を行う企業、または気候変動の影響に「適応」する(気候変動の影響による被害を回避・軽減する)事業を行う企業をいいます。

東京海上・気候変動対応株式ファンド<為替ヘッジあり>(愛称:グリーンフューチャー)

東京海上・気候変動対応株式ファンド<為替ヘッジなし>(愛称:グリーンフューチャー)

ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(愛称:ポジティブ・チェンジ)

ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(愛称:ポジティブ・チェンジ)

日本を含む世界各国の株式等に投資を行います。持続可能であらゆる人々を受容する世界の実現に向け、好ましい社会的インパクト(社会的変化)をもたらす「インパクト・テーマ」に沿って、重要な社会的課題の解決に資する事業活動を、公正かつ誠実に行う企業の中から、投資機会を発掘します。原則として為替ヘッジは行いません。

ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(愛称:ポジティブ・チェンジ)

ベイリー・ギフォード インパクト投資ファンド(予想分配金提示型)(愛称:ポジティブ・チェンジ)

モルガン・スタンレー グローバル・サステイン戦略ファンド

モルガン・スタンレー グローバル・サステイン戦略ファンド

世界各国(新興国を含む)の株式(DR(預託証書)を含む)を主要投資対象とします。組入銘柄の選定にあたっては、個別企業の調査・分析等に基づいたボトムアップアプローチにより、企業の質(高い投下資本利益率、財務健全性、経営陣の経営能力および高いブランド力や強固な販売網等の無形資産に基づく競争優位性等)、ESGの観点等を勘案し、持続的な利益成長が期待できる銘柄を選定します。

モルガン・スタンレー グローバル・サステイン戦略ファンド<為替ヘッジあり>

モルガン・スタンレー グローバル・サステイン戦略ファンド<為替ヘッジなし>

eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス

インターネット取引専用 購入時手数料無料

eMAXIS ジャパンESGセレクト・リーダーズインデックス

主としてMSCI ジャパンESGセレクト・リーダーズ指数(配当込み)に採用されているわが国の金融商品取引所上場株式(上場予定株式を含む。)に投資を行い、対象インデックスに連動する投資成果をめざして運用を行います。対象インデックスとの連動を維持するため、先物取引等を利用し株式の実質投資比率が100%を超える場合があります。

UBS MSCI先進国ESG株式インデックス・ファンド(愛称:みらいゲート・先進国ESG)

インターネット取引専用 購入時手数料無料

UBS MSCI先進国ESG株式インデックス・ファンド(愛称:みらいゲート・先進国ESG)

先進国の環境、社会、ガバナンスへの取り組み評価が高い企業の株式で構成されるMSCI ワールド SRI ロー・カーボン・セレクト 5% イシュアー・キャップド・インデックス(税引後配当込み、円換算ベース)に連動することをめざします。主要投資対象である上場投資信託の運用はUBSアセット・マネジメント・グループが行います。原則として為替ヘッジは行いません。

世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)

インターネット取引専用

世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)

主に世界の株式の中から、社会的な課題の解決にあたる革新的な技術やビジネスモデルを有する企業に実質的に投資を行います。銘柄選定にあたっては、社会的課題の解決(社会的インパクト)に取り組む企業に着目し、個々の企業のファンダメンタル分析等を行い、投資魅力のある銘柄に投資します。原則として為替ヘッジは行いません。

世界インパクト投資ファンド(愛称:Better World)

世界インパクト投資ファンド(資産成長型)(愛称:Better World)

当行では「三菱UFJ銀行の投資信託口座」や「金融商品仲介口座」で投資信託をお取り扱いしております。
それぞれの口座について、くわしくはこちらをお読みください。

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  • 投資信託は預金ではなく、その基準価額は、組入れ有価証券(株式・債券等)の値動きにより変動しますので、お受取金額が投資元本を下回る場合があります。
  • 組入れ有価証券等は、株式指標・金利等を原因とした値動きにより変動します。
  • 投資信託の購入時手数料や運用管理費用(信託報酬・管理報酬等)・信託財産留保額等の手数料等はファンド・購入金額等により異なるため、具体的な金額・計算方法を記載することができません。
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(2023年8月29日現在)