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住宅ローンの諸費用の目安はいくら?どんな節約方法があるのかも解説します

住宅ローンの諸費用の目安はいくら?どんな節約方法があるのかも解説します
公開日:2022年7月27日
更新日:2023年2月13日
住宅を購入するときは、土地や建物の代金だけではなく、いろいろな“おカネ”が必要になります。
物件の種類や金融機関などでも金額は変わりますが、数百万円かかることも珍しくありません。
あとから困らないためにも、事前にどのような諸費用がかかるのか確認しておきましょう。

目次

それだけで数十万円〜数百万円かかることも!?住宅購入の諸費用

住宅を購入する際には、さまざまな諸費用がかかります。
必要な金額は住宅ローンを契約する金融機関や購入する物件などで変わりますが、諸費用の目安からおおよその金額は見当がつきます。合計数百万円かかることも珍しくありませんので、住宅購入を検討するときは意識しておきましょう。

住宅購入にともなう諸費用とは

住宅を購入するときは、土地や建物の購入代金以外に諸費用がかかります。そのなかには、登記費用や火災保険料、仲介手数料などさまざまな費用が含まれ、それらを総称して諸費用といいます。
一般的に諸費用は住宅ローンの借入金額には含めず、自己資金で支払います。諸費用だけで数十万円〜数百万円のお金がかかりますので、住宅購入を検討するときは、余裕を持った資金計画を立てましょう。

諸費用の目安は物件価格の3〜10%

必要な諸費用の金額は、金融機関や物件の種類、住宅ローンの内容でも変わりますが、目安は次のとおりです。

注文住宅・新築マンション:物件価格の3%〜7%前後
建売住宅・中古住宅   :物件価格の6%〜10%前後

仮に4,000万円の新築マンションを購入し、諸費用に物件価格の5%がかかったとしたら、概算で200万円が必要になるとわかります。
大きな金額のため、あとから慌てないよう諸費用を含めて住宅購入を検討しましょう。
諸費用は住宅購入時に必ず発生するため、ある程度は見積もって準備しておきましょう。

住宅購入にともなう諸費用の内訳と支払うタイミング

住宅購入にともなう諸費用の内訳と支払うタイミング
諸費用には、住宅ローンに関するものや登記に関するものなど、さまざまな費用があります。
具体的にどのような費用が必要になるのか見ていきましょう。

住宅ローンの借り入れに関する諸費用

住宅ローンの借り入れに関する費用には、以下のものがあります。
諸費用 内容
印紙税 売買契約書、建築請負契約書、ローン契約書に必要な印紙代
融資関係手数料 金融機関への事務手数料や保証会社への保証料など(どちらも各金融機関で異なる)
司法書士手数料 登記手続きをする際の司法書士への報酬
登録免許税 登記の際にかかる税金
不動産取得税 土地、建物を取得した際にかかる税金
火災保険料 建物にかける保険料
不動産仲介手数料 不動産仲介会社を利用する場合の手数料
修繕積立基金 マンションなどで将来の大規模修繕などの費用の一部となる基金
水道加入金 建売住宅の購入時にかかる場合が多い費用
引越費用 引越の際の費用
その他購入費 耐久消費財購入費、生活関連用品などの購入費

契約書に貼付する印紙税

<支払うタイミング>
契約書を交わすとき
住宅購入や住宅ローンの契約書には、その金額に応じた印紙税が発生します。印紙税は購入した印紙を契約書1通ごとに貼り、消印を押すことで納税を行います。
税額は契約の種類によっても異なり、住宅購入の「不動産売買契約」、住宅建設の「建設工事請負契約」では、2024年3月末まで軽減措置を受けられます。住宅ローンの借り入れは「金銭消費貸借契約」となり、金額に応じた印紙税を納税します。
契約金額 住宅購入・住宅建設(*) 住宅ローン
1,000万円超〜5,000万円以下 1万円 2万円
5,000万円超〜1億円以下 3万円 6万円
1億円超〜5億円以下 6万円 10万円
  • 住宅購入・住宅建設の印紙税額は軽減措置後の金額
印紙は郵便局や法務局で購入できます。このときに印紙代を支払いますが、契約書に貼付して消印を押すことで納税が完了します。
電子契約時は、印紙税は不要です。

融資関係手数料

事務手数料

<支払うタイミング>
融資実行時
事務手数料は融資事務手数料や融資手数料とも呼ばれ、金融機関から住宅ローンを借り入れするための手数料です。
事務手数料には定率型と定額型がありますが一般的には採用されているのは定率型となります。
定率型の事務手数料では、融資額の2.2%(税込)を手数料として設定している金融機関が多いです。たとえば、融資額が4,000万円だとすれば、手数料は88万円にもなり、諸費用のなかで大きな割合を占めます。ただし、定率型の事務手数料の場合は、保証料が不要となる場合が一般的です。
金融機関によっては、3万円〜5万円前後の事務手数料の定額型を採用している金融機関もありますが、定率型に比べて住宅ローンの適用金利が高く設定されていることが多いため、返済総額を踏まえて選択しましょう。
また、定額型の場合、次に説明する保証料が必要になる場合があるため、トータルの初期費用では定率型とさほど変わらない場合もあります。

保証料

<支払うタイミング>
一括前払いの場合:融資実行時
金利上乗せの場合:月々の返済時
保証料は、保証会社に保証人になってもらうための費用のことです。
もし契約者がローンを返済できなくなった場合に、保証会社が代わりに金融機関へローン残高を支払ってくれます。とはいえ、契約者の返済が免除されるわけではありません。返済先が保証会社に変更され、残りのローン残高を返済していくことになります。
保証料は事務手数料が定額型の場合に必要になるため、保証料も含めたトータルの費用を確認することが大切です。
支払い方法は、融資実行時に一括前払いか、金利に0.2%程度を上乗せして支払います。一括前払いの場合、35年ローンだと1,000万円あたり20万円程度が目安です。仮に4,000万円の住宅ローンを組むなら、保証料として80万円程度が必要になるイメージです。

不動産登記に関する費用

<支払うタイミング>
残金決済・引渡時に同時に行う
不動産登記に関する費用には、登録免許税と司法書士報酬があります。
登記とは、土地や建物などの権利関係を登記簿に記載することです。住宅購入の場合は所有権を登録し、土地や建物が自分のものであることを第三者に証明できるようになります。借り入れる住宅ローンに対しては、金融機関が不動産を担保にお金を貸していることを登記します。この登記をするときの国税として、登録免許税がかかります。
税額は登記の種類によって違い、所有権の場合は固定資産税評価額に税率をかけた金額、抵当権の場合は融資額に税率をかけた金額です。
特例として土地は2023年3月末まで、それ以外は2024年3月末まで税率が軽減されます。一般的な住宅の場合は、床面積50㎡以上であることや一定の耐震基準に適合していることなどが条件です。
登記の種類 本来の税率 一般住宅の軽減措置
所有権保存登記
(新築住宅)
0.4% 0.15%
所有権移転登記
(中古住宅)
2.0% 0.3%
所有権移転登記
(土地)
2.0% 1.5%
抵当権設定
(住宅ローン)
0.4% 0.1%
これらの登記は、通常なら司法書士に手続きの代行を依頼し、その手数料として報酬を支払います。司法書士報酬に決まった金額はありませんが、相場は5万円〜10万円前後が目安です。
登録免許税と司法書士報酬は、住宅ローンや不動産の売買契約が済んだ後、残金決済・物件引き渡しのときに同時に支払うのが一般的です。

火災保険料(地震保険料)

<支払うタイミング>
物件の引渡日まで
火災保険は、万が一火災が起こった場合に、住宅の損害を補償してくれる保険です。火災で住宅が焼失しても住宅ローンの返済義務は残るため、火災保険の加入が住宅ローン契約の条件になっています。
火災保険といっても、多くの場合、基本補償で落雷や爆発、風災なども対象になります。しかし、建物に対する補償と家財に対する補償は別です。金融機関から求められるのは建物の補償のみですが、火災が起こったときのことを考えれば、家財の補償も付けておくほうが安心でしょう。注意点は、地震や噴火、津波による損害は火災保険の対象外であることです。それらもカバーするには、火災保険とセットで契約する地震保険にも加入しましょう。
一般的に火災保険は、補償が物件の引渡日から始まるように契約し、保険料もそれまでに支払います。

中古物件の購入時にかかる仲介手数料

<支払うタイミング>
売買契約時と引渡時に半額ずつ
物件の購入にあたって、買い主と売り主を不動産会社が仲介し、契約や引き渡しまでサポートする場合に仲介手数料が発生します。仲介手数料が発生するのは、通常、中古物件の売買です。
不動産会社が直接または販売代理で売り出している新築マンションでは、仲介手数料は発生しません。ただし、新築でも建売住宅は仲介手数料が発生する場合があります。
仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立した場合にのみ支払います。
上限額は法律で決まっており、物件価格が400万円を超えるものは以下のように計算できます。
物件価格(税抜)× 3% + 6万円 + 消費税
仲介手数料は売買契約が成立するときに発生しますが、一般的には売買契約を交わすときに半額を支払い、物件を引き渡すときに残りを支払います。

不動産取得税

<支払うタイミング>
送付されてきた納付書に記載のある期限まで
不動産取得税は、土地や建物などの不動産を取得した場合に1度だけ都道府県に対して支払う税金です。税額は、原則「固定資産税評価額×4%」ですが、2024年3月31日までに取得した土地や住宅は、税率が3%に軽減される特例があります。
さらに要件を満たせば、評価額から一定の金額が控除される軽減措置もあります。軽減措置は、新築と中古、土地と建物、それぞれで条件や控除額が異なります。
たとえば、新築住宅の場合は、住宅の延べ床面積が50㎡以上240㎡以下なら、固定資産税評価額から1,200万円を控除できます。税額で考えれば、最大36万円(1,200万円×3%)もの軽減です。
中古住宅や土地にも軽減措置はありますが、細かい要件もあるため、税務署や不動産会社で確認してみてください。
このような軽減を受けるためには、不動産を取得した日から原則60日以内に、取得した不動産の所在地を管轄する都道府県税事務所に申告する必要があります。ただし、東京都は30日以内、大阪府は20日以内など自治体によって期限が異なるため注意しましょう。
申告後は都道府県税事務所から納付書が送られてきますので、記載されている期限までに納税が必要です。

そのほか修繕積立基金や引越し費用など

これまで紹介した以外にも諸費用としてかかるものがあります。
たとえば、新築マンションでは修繕積立基金が必要です。
修繕積立準備金や修繕積立一時金とも言われ、将来の大規模修繕にそなえる費用です。修繕積立基金は入居後に毎月かかる修繕積立金とは違い、物件の引渡時に一括で支払う必要があります。金額はマンションの規模にもよりますが、数十万円はかかります。新築マンションを検討する場合は、不動産会社に確認しておきましょう。
また、引越費用や家財の購入費用も忘れてはいけません。
引越費用は時期によっては高額になりますし、新居に引っ越すにあたって家具家電を買い換える人もいるでしょう。新しい生活をスムーズに始めるためにも、ある程度見積もって準備しておきたい費用です。

諸費用を住宅ローンに組み込む方法もあり

住宅購入にともなう諸費用は、数百万円かかることもあります。しかし、なかには「そんなにかかると思っていなかった」と想定以上の費用に戸惑う場合もあるでしょう。
そのような場合は、諸費用を住宅ローンで支払う方法もあります。

諸費用は自己資金で支払うのがおススメ

基本的に諸費用は自己資金でまかなうほうがおススメです。
諸費用を住宅ローンで支払えば、その分にも利息がかかります。目先の負担は少なくなりますが、毎月の返済額が増えて最終的には負担が大きくなるため、可能であれば自己資金で支払いましょう。

金融機関によっては諸費用をローンで支払える

諸費用を自己資金で用意することが難しい場合、金融機関によっては、諸費用を住宅ローンに組み込むことができる場合があります。しかし、物件の金額以上を借り入れる「オーバーローン」状態になると、適用金利が引き上げられることがあります。
住宅ローンは多くの金額を長期間借り入れるため、少し金利が上がるだけでも返済総額の増加につながりやすくなる点は注意しましょう。本来の住宅ローンも含めて返済に無理がなければ問題ありませんが、家計の経済状況とも相談しながら利用を検討しましょう。

【節約テク】住宅購入時の諸費用を節約するポイント

住宅購入時にかかる諸費用は高額なため、節約できるものはなるべく抑えましょう。
諸費用を節約するポイントは、以下の3つです。

  • 頭金を多めに用意する
  • 住宅ローンを電子契約する
  • 火災保険のオプションが必要な補償か確認する

【テク1】頭金を多めに用意する

諸費用のなかで大きな割合を占めるのは、融資関係手数料です。
借入金額が多ければ手数料が高くなるため、頭金を多めに用意することで諸費用を抑えられます。
たとえば、事務手数料2.2%の住宅ローンで4,000万円の物件を購入する場合、頭金を400万円入れれば、手数料は約79万円です。800万円入れれば約70万円となり、借入金額を抑えることで諸費用を節約できます。
そうはいっても頭金をそれほど用意できない場合もあるでしょう。そのときは無理に頭金を入れず、ほかの諸費用や手元資金とのバランスも考えて検討することが大切です。

【テク2】住宅ローンを電子契約する

不動産の売買契約はまだまだ紙の書類でやり取りしなければいけませんが、住宅ローンに関しては、ネットで電子契約できる金融機関が多くなりました。
住宅ローンを電子契約すると、印紙を貼る必要がありません。
そのため、契約書1通につき数万円の印紙税を支払う必要がなくなります。
金融機関によっては金利がおトクになる場合もあるため、積極的に利用するといいでしょう。

【テク3】火災保険のオプションが必要な補償か確認する

火災保険の保険料は、決して安くありません。
保険期間10年だとすれば、補償内容によって数万円〜数十万円もの費用がかかります。
必要な補償は付けておかなければいけませんが、オプションで付加する内容をご自身に合ったものに見直せば、保険料を抑えられる可能性があります。オプションで付加できる補償は、火災保険によって異なります。
比較的新しいタイプの火災保険には、基本補償を「火災・落雷・破裂・爆発」など最低限にし、必要な補償のみオプションとして付加するものもあります。
たとえば、ハザードマップで洪水被害の心配のない地域であれば、「水災」の補償を付加しない選択肢もあります。
また、マンションで警備会社による24時間遠隔監視のホームセキュリティが導入されているなら、「盗難」補償は必要ないかもしれません。
ほかにも、保険料が10%ほど割増される「臨時費用補償」や日常生活で家財などに損害が発生した場合の「破損・汚損補償」といったものもあります。
こうしたオプションが必要かどうかは、住む場所や建物などで変わりますので、ご自身に必要な補償なのかを確認しましょう。
また、火災保険は金融機関や不動産会社から勧められたもの以外に、自分で選ぶこともできます。
火災保険によっては同等の補償でも費用が異なることがあるため、比較して検討することも大切です。

住宅購入は諸費用を念頭に置いて検討しよう

住宅購入を検討する際は、ついつい物件に目が行きがちになりますが、住宅ご購入時に必要な諸費用を含めて、資金計画を立てる必要があります。不動産会社や金融機関にどんな費用がかかるのかは前もって確認しておきましょう。
そのなかで、抑えられる諸費用は抑え、将来の返済負担を軽減するためにも、無理のない範囲で自己資金で支払うのがおススメです。
執筆者:國村 功志(くにむら こうじ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、一種外務員資格
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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