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住宅ローンの理想的な返済比率の目安とは?計算方法と借り入れを検討する際の注意点を解説!

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住宅ローンの理想的な返済比率の目安とは?計算方法と借り入れを検討する際の注意点を解説!
公開日:2022年9月5日
住宅購入に欠かせない住宅ローン。できれば、借りられるだけ借りたいと考える人もいるかもしれません。しかし、住宅ローンを組む際は十分なシミュレーションを行った上で堅実な返済計画を立てることが大切です。
この記事では、住宅ローンを組む際の理想的な返済比率の目安と借り入れ時の注意点を解説します。

住宅ローンの返済比率とは?

住宅ローンの返済比率とは「年収に占める年間返済額の割合」のことです。返済比率が低いほどゆとりある返済ができます。
見方は金融機関によってさまざまですが、一般的には25%〜35%を目安にするのが良いとされています。

返済比率の計算式

返済比率は次の計算式で求められます。
返済比率(%)= 年間のすべてのローン返済額 ÷ 年収 × 100
たとえば毎月のローン返済額12.5万円、年収600万円の人の返済比率は次のようになります。
返済比率25% = 年間のローン返済額150万円 ÷ 年収600万円 × 100
なお、年間のローン返済額には住宅ローン以外の借り入れも含みます。住宅ローンの借り入れを検討する際は、以下のような借り入れがないかチェックしてみましょう。
  • マイカーローン
  • クレジットカードのリボ払い
  • スマートフォンの分割払い
  • 奨学金の返済
スマートフォンの分割払いはローンであることを忘れがちですが、上記のような借り入れがある場合はそれも含めて計算し返済比率を求めてください。
返済比率が高いと住宅ローンで借りられる金額も少なくなりますので、早期に返済できるものがあれば完済してしまうのもひとつの方法です。

住宅ローンの理想的な返済比率の目安

住宅ローンの理想的な返済比率の目安
返済比率は一般的には25%〜35%と上述しましたが、無理のない返済が可能な「理想的な返済比率」と住宅ローン審査を通過するための返済比率は違います。

理想は手取り収入の20%

住宅ローンの理想的な返済比率は手取り収入の20%、最大でも25%にとどめておきたいところです。
住宅ローンの審査では源泉徴収票の提出が求められます。源泉徴収票とはボーナスや給与、各種手当などの税引き前の収入総額と納付した所得税の金額が記載された書類です。
もしかすると、そこに書かれている収入総額と毎月振り込まれている金額との違いにとまどう人もいるかもしれません。これが額面収入と手取り収入の違いです。

手取り収入で考える理由

住宅ローンの返済は数十年続きます。ボーナスカットや残業削減がめずらしくない昨今、数十年先の収入を見通すのは難しいでしょう。
子どもがいる家庭では進学でまとまった費用が必要になることもありますし、親の介護や自分自身のケガや病気の可能性も考えておきたいところです。
また、持ち家は維持・管理に費用がかかります。その代表的なものが固定資産税や火災保険料です。古くなると屋根や外壁の修繕も必要になりますので、少し余裕があるくらいの金額設定がちょうど良いといえるでしょう。
長期の返済に耐え、家計に多少の変動があっても無理なく返済していくための指標が、手取り収入での返済比率なのです。
たとえば毎月の額面収入が30万円で、手取り収入が24万円の人の場合の返済比率に対する返済額は次のようになります。
  • 理想的な返済比率(手取り収入×20%):4.8万円
  • 金融機関が基準とする返済比率(額面収入×25%〜35%):7.5〜10.5万円
理想的な返済比率は実際に使える手取り収入で計算しています。一方、金融機関が基準とする返済比率の目安は額面収入から計算されています。
このような違いが生まれるのは、金融機関が見ているのはあくまでも審査に通過できる信用力の有無だからです。
月々の住宅ローン返済額をどこまで許容できるかは人によって異なります。そのため、住宅ローンの借り入れを考える際は、自分自身で家庭の状況やライフプランを考えていくことが必要です。

住宅ローンの返済比率シミュレーション

返済比率が変わるとどのように返済額と借入可能額が変わるのでしょうか。額面年収500万円の人を例にシミュレーションしてみました。
【シミュレーション条件】
  • 返済期間:35年
  • 返済方法:元利金等返済
  • 金利:年1.51%(全期間固定金利)
  • ボーナス払いなし
  • 他借入なし
返済比率 年間返済額 月々の返済額 借入可能額の目安
20% 100万円 8.3万円 2,806万円
25% 125万円 10.4万円 3,507万円
30% 150万円 12.5万円 4,209万円
35% 175万円 14.6万円 4,910万円
上の表は額面年収を基準にしています。家族構成や控除枠の有無など個々の事情によって異なるものの、所得税や社会保険料を天引きした後の手取り収入は額面年収の75%〜85%となるのが一般的です。
月々の返済の負担が重い場合は頭金を多めに準備する、借入金額を下げるといった対応を考えると良いでしょう。
現在の生活費や将来の支出をふまえて、少し余裕を持った借り入れをおススメします。

住宅ローン返済比率の注意点

ここで住宅ローンの返済比率を考えるうえで、注意したい点を確認しておきましょう。

すべての借り入れに対する返済額が対象になる

上述のように、年間のローン返済額は住宅ローン単独でなく、マイカーローンや、クレジットカードのリボ払い、スマートフォンの分割払いなども含んだ金額です。
一方、一般的に住宅ローンはほかのローンよりも金利が低いので場合によっては、預貯金でマイカーローンやクレジットカードのリボ払いを完済して住宅ローンを組んだほうが良いこともあります。
すべてのローンを考慮して、返済額が手取り収入の20〜25%に収まる金額にすると良いでしょう。

適用金利と審査金利に差がある

住宅ローンの審査には適用金利と審査金利の2つの金利があります。
適用金利とは実際に住宅ローンの借り入れをする際に適用される金利のことで、審査金利とは金融機関が住宅ローン審査を行う際に使用する金利のことです。審査金利は貸出時の適用金利より高く設定されているため、返済比率が高くなることもあります。
これは住宅ローン利用者の年収に合った借入限度額を設定することで、無理な借り入れができないようにするためです。

個人事業主と給与所得者で考え方が異なる

本稿で紹介した返済比率は、主に給与所得者に適用される考え方である点に注意が必要です。
「年収」は一般的に給与所得者の場合は前年の源泉徴収票の額面に記載されている金額で判断されますが、個人事業主の場合は確定申告書の「所得」の合計で判断されるケースが多くなっています。
所得とは年間の売り上げから経費を差し引いた利益部分のことを指します。
そのため、個人事業主は売り上げがあってもそれに伴って所得が多いとは限りません。経費を多く計上した年など赤字の年があると、住宅ローンの審査では不利になるケースもあります。
なお、多くの金融機関では住宅ローンの借り入れは、安定的かつ継続的に所得を上げていることが条件とされます。会社員や公務員などの給与所得者と個人事業主とでは、同じ収入水準でも、住宅ローンの返済比率に関する考え方が異なる点を理解しておきましょう。

そのほかに借入金額を検討する際の注意点

最後に住宅を購入するうえで考えておきたいポイントを、住宅ローン以外の視点から見ておきます。

理想的な返済比率は家計によって異なる

住宅ローンの適正な返済比率は家計ごとに異なります。家計の支出は世帯の構成人数や住んでいる地域や生活様式、子どもの教育費によって大きく左右されます。転職の可能性や、今後の年収の見込みによっても予算は異なるため、同じ年収、返済比率であっても住宅ローンの負担感は違うでしょう。
住宅ローンの借入時は、これまでの貯蓄額や今後のライフプラン、予備費も含めて無理のない金額設定をすることが重要です。必要に応じて生命保険の見直しなど、家計のスリム化も検討することをおススメします。

維持費・管理費をふまえた借入額にする

住宅には固定資産税や火災保険などの維持費がかかります。
住宅が新しいうちは、修繕費はほとんどかかりませんが、戸建ての場合、古くなると外壁や屋根の補修にまとまった費用が必要になってきます。給湯器など大型設備の入れ替えも発生するでしょう。
マンションの場合は、定期的にロビーやエレベーター、外壁などの共用部分の修繕も発生します。毎月管理費をつみたてていることがほとんどですが、大規模になるとつみたてた管理費だけでは足りないケースもあります。
必要なタイミングで費用を捻出できるようにするために、返済計画は事前に十分なシミュレーションを行い維持費や管理費をふまえたものにしておくことが大切です。

まとめ

多くの人にとって住宅購入のチャンスは人生に何度もあるものではありません。少し背伸びして理想の住まいを手に入れたいと考える人もいるのではないでしょうか。
これからの時代は、変化に対応できるゆとりが求められます。それは住宅ローンも同じです。
借りられるお金と返せるお金は違うことを認識し、返済比率は少し余裕のある金額に設定しましょう。
計画を立てる際は、収入だけでなく将来の自分自身のキャリアプランや子どもの教育費など、長期のライフプランを同時に考えてみることをおススメします。
執筆者:筒井 永英(つつい のりえ)
執筆者保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士
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