住宅ローンを組めるのは何歳まで?返済期間の平均について解説
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公開日:2022年8月29日
借入金額が大きい住宅ローンは、返済期間が長期となります。一般的には最長で組むと35年ですが、多くの銀行では借り入れに年齢制限を設けているため、住宅ローンを組む年齢によっては、ローン年数が制限される場合もあります。
この記事では、住宅ローンの借入年齢や返済期間などの平均データを参考にしながら、無理のない返済プランのポイントと、45歳以上で住宅ローンを借り入れする際の注意点を解説します。
住宅ローン完済までの返済期間の平均は?
住宅ローンは借り入れる金額が大きく、30年、35年など長期で組むのが一般的です。では、平均するとどのぐらいの期間で契約しているのか、データを見てみましょう。
国土交通省の令和2年度 住宅市場動向調査(*)によると、分譲戸建ての住宅ローン返済期間(借入時)は、「35年以上」が最も多く、69.3%を占めています。分譲マンションもほぼ同じで、「35年以上」が69.2%です。平均返済期間は、分譲戸建て住宅は31.0年、分譲マンションは31.1年でした。
まとめると、住宅ローンは35年で組む人が約7割、契約時の返済期間の平均は約31年ということで、多くの人は30年以上でローンを組んでいるということになります。
ちなみに、同調査によれば購入資金は、分譲戸建て住宅で平均3,826万円、分譲マンションで4,639万円と、分譲マンションで高い傾向です。住宅ローンの年間返済額の平均は、分譲戸建て住宅で123.5万円、分譲マンションで139.1万円という結果でした。
現在、物件価格が高騰しており、都市部のマンションでは中古でも4,000万円以上することもあります。
だからといって、住宅ローンを借りすぎてしまうと、後々家計が苦しくなります。無理のない返済プランを立てるためのポイントを見ていきましょう。
(*)参考:国土交通省「令和2年度 住宅市場動向調査」
住宅ローンは何歳までに完済するべきか
住宅支援機構フラット35の利用者調査(2020年)(*)によれば、住宅ローンの借入年齢の平均は40.3歳です。
仮に40歳で35年の住宅ローンを組んだ場合、完済予定は75歳ということになります。しかしこの場合、もし65歳で仕事をリタイアすると、65歳から75歳までは年金生活に住宅ローンがのしかかることになります。年金以外にも十分な資産があり、ローンの返済余力があり問題がないなら別ですが、どこかで繰り上げ返済をしていくなど、老後に負担が残らないプランを検討する必要があるでしょう。
住宅ローンを完済すべき年齢は、一概に何歳という決まりはありませんが、少なくとも働いて収入を得られるうちに払い終えるのが安心です。つまり、自分は何歳まで働くのかを考えることが、大事なポイントになってきます。
現在は60歳で定年を迎える会社が多いですが、2021年4月に高年齢者雇用安定法が改正され、70歳までの雇用を確保する流れができつつあります。働き方も多様化しており、独立して個人事業主となれば、定年はありません。何歳まで働くかは自由に決められる時代ですので、一概に定年=完済予定年とする必要はないでしょう。
ただ、やはり高齢になるほど体力も落ち、病気などのリスクが高まることは事実です。働ける環境が整ってきているとはいえ、現役時代と同じ収入が確約されているわけではありません。現在も、定年後に再雇用で働く場合、年収は大幅にダウンするのが一般的です。住宅ローンを35年で契約する際は、働ける残り年数や定年後の収入が下がることなどもよく考えることが大切です。
老後に住宅ローンの返済が残りそうな場合は、繰り上げ返済をどのぐらいできるかも含め十分な検討が必要です。始めから無理のない返済計画、借入額で契約できるかどうかが、老後の生活を左右するといっても過言ではないでしょう。
(*)参考:住宅金融支援機構「2020年度集計表」
住宅ローンの借り入れには年齢制限がある!
ローンが組める年齢にも制約があります。大手都市銀行では「70歳の誕生日まで」「71歳未満」など、70歳ぐらいまでが借り入れの上限年齢です。ネット銀行は「65歳未満」「65歳以下」など、大手都市銀行より低く定めているところが多いようです。
借入時だけでなく、完済時年齢も設けられています。多くの金融機関は「80歳未満」で設定しているため、35年ローンを組むことができるのは、44歳が上限です。住宅金融支援機構のフラット35では完済時年齢が80歳ですので、45歳が上限となります。
30歳で申し込めば、35年ローンを組んでも65歳で完済でき、老後にローンが残る心配はありません。
たとえ70歳まで申し込みが可能でも、年齢が高くなれば現実的にローンを組める年数は減っていきます。つまり、借り入れができる金額も減っていくことになります。
もちろん、それまでに頭金をたくさん貯めておき、最初から10年など短いローン年数で組む方法もありますが、完済まで安定した収入があるかどうか、健康状態に問題がないかどうかなど、住宅ローンの審査が厳しくなる点は留意が必要です。
住宅ローンの申し込みは早ければ良いというわけでもありませんが、借り入れる年齢が遅くなるとデメリットも増えてくる点は、理解しておいたほうが良いでしょう。
45歳以上で住宅ローンを組むときの注意点
多くの金融機関は、完済時年齢を80歳未満に設定しているため、45歳以上になると、35年ローンを組むのが難しくなります。
ですが、実際には、45歳以上で住宅ローンを組む人も一定数います。2020年の住宅支援機構フラット35の利用者調査によれば、「45歳以上」で住宅ローンを借りる人は、全体(調査対象78,560件)の中で約30%です。
45歳以上で長い住宅ローンを組む場合は、老後に残るローンをどうするか考える必要があります。前述のとおり、収入や健康の問題も出てくるかもしれないため、頭金をなるべく多く入れて借入額を減らす、現役中に繰り上げ返済を積極的に行うなど、できるだけ返済期間を短くし、老後に残るローンを減らすプランを検討することが大切です。
40代~50代は子どもの教育費もかかるほか、老後資金もためていかなくてはならない時期でもあります。教育費の支出が何歳まで、どれくらい必要となるのかなどを確認したうえで、住宅ローンを組むようにしないと、手詰まりになりかねません。
会社員であれば、残りの現役中の収入は、ある程度見通せると思いますので、それをどう配分していくか、しっかり見通しましょう。
もうひとつ、注意したいのが団体信用生命保険(団信)です。
住宅ローンを組む際に団体信用生命保険(団信)に加入しますが、これは生命保険ですので、健康状態に問題があると、断られるケースがあります。特に、団信の加入が必須の住宅ローンでは、注意が必要です。がんなど特定の疾病にかかった場合、ローンの残債が免除される「特定疾病保障特約付団信」は、年齢に制限がある場合もあります。
早ければ良いというわけでもありませんが、借り入れする年齢が遅くなると、住宅ローンを組む条件が厳しくなってくる点は、理解しておいたほうが良いでしょう。
まとめ
国土交通省の令和2年度 住宅市場動向調査によれば、住宅ローンは「35年以上」で借りる人が約7割、ローン開始年齢の平均は40.3歳です。
何歳までに借りなければならないという決まりはありませんが、住宅ローンは働いて収入を得られるうちに完済するのが理想です。
何歳まで働くか、教育費や老後資金との兼ね合いもきちんと検討し、自分自身のライフプランに合った資金計画を立てるようにしましょう。
執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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