転職は住宅ローンの審査に影響するのか?転職前後で注意すべきポイントを解説します
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- 2022年7月27日
- 2023年6月12日
「転職直後でも、住宅ローンを借りられるのか?」と、疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。ローンの審査にあたっては、申込時点での勤続年数が重要視されるので、転職のタイミングには注意する必要があります。
この記事では、住宅ローンを利用するにあたって注意したい転職のタイミングや、住宅ローン返済中に転職した場合に必要な手続きについて、くわしく解説します。
転職は住宅ローンに不利になる
原則として、転職は住宅ローンの審査では不利に働くケースがほとんどです。というのも、住宅ローンの審査では、申込者本人の勤続年数を重視する金融機関が多いからです。実際、国土交通省が行った「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査(*)」でも、回答した全国約1,100の金融機関のうち93.2%が、「勤続年数」を審査項目としています。
ただし、転職直後は絶対に住宅ローンの審査を受けられない、あるいは通らないというわけではありません。たとえば、転職によって前職よりも収入が大きく増えた場合や、中小企業から大手企業に転職した場合などは、むしろ審査で有利になる可能性も考えられます。
しかし、これはあくまでも例外であり、原則的には、転職直後は「勤続年数が短い=収入が安定しておらず、返済ができなくなるリスクがある」とみなされるため、住宅ローン審査に通りづらいと考えておいたほうが良いでしょう。
(*)出典:国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」
転職後に住宅ローンを申し込む際の注意点
転職直後は基本的に住宅ローンに通りづらいことを理解したうえで、それでも住宅ローンを利用したい場合は、次の点に注意して申し込むか否かを慎重に判断するようにしましょう。
ほかの金融機関の審査にも通りづらくなる
一度審査に落ちてしまうと、一定期間の間、金融機関が共有する信用情報に「住宅ローン審査に申し込んで、審査に落ちた」という記録が残ってしまうため、ほかの金融機関の審査にも通りづらくなるおそれがあります。
期待どおりの金額が借りられない可能性がある
転職直後に申し込んだ場合、勤続年数の短さを理由に審査での評価が低くなり、希望する金額が借りられない可能性があります。ただし、転職前よりも安定した勤務先への転職や資格を活かしたキャリアアップなど、より良い条件の職場への転職であれば、それを証明する職歴書などを提出することによって、審査が有利に運ぶ場合もありますので金融機関に相談してみましょう。
転職1年未満の場合は「見込所得」が「年収」とみなされる
一般的に住宅ローンの審査を受けるには、収入を証明する書類として直近1年分の源泉徴収票や所得証明書の提出が求められます。ただ、転職して1年未満の場合は、まだ現職での収入を証明する書類が用意できないため、転職先の平均月収をもとに1年間の見込所得を計算し、それを年収として審査されることになります。
ただし、「同じ勤務先に満1年以上勤務していること」など、住宅ローンの利用条件として勤続年数に下限を設けている金融機関も多く、そもそも転職後1年未満の人は審査を申し込めないケースも珍しくありません。金融機関に住宅ローンの利用を申し込む際には、必ず事前にホームページなどで利用条件を確認するようにしてください。
申込時に必要な書類が増える
転職直後に住宅ローンの利用を申し込む場合、通常の申込時に必要な書類に加え、次のような書類の提出を求められることがあります。
- 採用通知書・雇用契約書(転職先での在籍確認ができる書類)
- 勤務先発行の勤続証明書(転職後の勤続期間を確認できる書類)
- 見込収入証明書(転職後の収入見込みが確認できる書類)
- 転職後の給与明細書(転職後に給与が支払われたことが確認できる書類)
- 職歴書(これまでの職歴が確認できる書類)
必要書類は金融機関によって異なります。申込前に、どのような書類がどのタイミングで必要になるのか、金融機関に確認するようにしましょう。
なお、住宅ローンの審査は申込時点で提出した書類などの情報をもとに行われます。したがって、申込後、融資実行までの間に転職をした場合は、審査結果や申込自体が無効となるおそれもあります。
申込時点で近々転職の予定がある人は、後々のトラブルを避けるためにも、必ず金融機関に申告するようにしてください。
住宅ローン返済中に転職する場合に必要な手続きや注意点
住宅ローンを返済中に転職をした場合は、次のような手続きが必要になる場合があります。
金融機関に申告する
「転職しても、問題なく返済を続けられるのだから、特に何もする必要はないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、住宅ローンの返済中に転職した場合は、借入先の金融機関にその旨を届け出る必要がある場合があります。
転職した場合は速やかに金融機関に申告し、金融機関の指示にしたがって必要書類を提出するなどの手続きを行いましょう。
転職で返済が困難になる場合は、返済プランの変更を相談する
原則として、転職したことのみを理由に返済の条件が変更されることはありません。ただし、転職によって収入が大きく減って毎月の返済が困難になる場合など、返済プランに支障が出そうな場合は、あらかじめ金融機関の担当者に相談し、返済プランの変更を検討してもらいましょう。毎月の返済負担を減らす方法としては、繰り上げ返済をして月々の返済額を減らす方法などが考えられます。
また、ボーナスのある企業からボーナスのない企業に転職した場合は、「ボーナス払い」が難しくなるケースが多いので、ボーナス払い分を減額する、ボーナス払いを中止するなど、事前に金融機関に相談して対処法を決めておくことをおススメします。
住宅ローン控除の手続きをする
年の途中に転職し、年末までその転職先で勤務した場合は、転職先で住宅ローン控除の手続きを行うことになります。その際、年間の所得税額の算出は、転職前後の所得を合算して行われるため、手続きにあたっては転職前の企業から発行される源泉徴収票を、転職先の企業に提出する必要があります。
なお、前の仕事を辞めた後、再就職せずに年末を迎えた場合は、自分で確定申告をして住宅ローン控除の手続きを行わねばなりません。
転職予定がある場合、住宅ローン申し込みのタイミングはどうすべき?
では、転職予定がある人が住宅ローンを申し込む場合、どのような点に注意すべきでしょうか?前述のとおり、転職直後の住宅ローン申込を受け付けていない金融機関も多く、申し込めたとしても、勤続年数が短いと審査で不利になるケースも珍しくありません。
したがって、一般的には転職直後の住宅ローン申し込みは控えたほうが無難といえるでしょう。むしろ、転職からしばらくの間は頭金を貯金する、住宅ローンの比較検討をする、綿密な返済計画を立てるなど、準備期間に充てたほうが、結果としてより有利な条件で住宅ローンを利用できる可能性が高くなります。
審査中に転職すると再審査のリスクも
転職直後は住宅ローンの審査で不利になるからといって、転職直前に慌てて住宅ローンを申し込むのが好ましいともいえません。また、ローン申込後、融資が実行されるまでの期間中の転職は避けるべきです。
住宅ローンの審査中に転職してしまうと、勤続年数・収入の内容が変更になるため審査結果が無効とされ、再審査を受けたり、場合によっては希望する金額のお借り入れができなくなる可能性もあります。
転職予定がある人は、申込前に金融機関に相談を
住宅ローンの手続きは、一般的に「申込」⇒「審査」⇒「融資実行」の流れで行われますが、必要があれば「申込」の前に金融機関に相談することも可能です。転職の予定があってローンの利用に不安や疑問がある場合は、いきなり申し込みせず、まずは金融機関の住宅ローン担当者に相談してみましょう。
頭金と借入金額のバランスや、申し込みのタイミング、転職前に申し込んだ場合のメリットとデメリットなどについてしっかり説明を受け、納得した上で申し込みのタイミングを判断するようにしてください。
まとめ
住宅ローンの審査では勤続年数が重視されるため、原則として、転職直後は住宅ローンの審査に申し込めない、もしくは希望通りの金額が借りられないケースがほとんどです。住宅ローンの審査に落ちてしまうと、他のローンの審査も不利になるリスクもあるので、できれば転職直後は住宅ローンの申し込みは控えたほうが無難でしょう。
転職から時期を空けて申し込むと、勤続年数が増えて審査に有利になるだけでなく、その期間を使って頭金を貯められる、より入念な返済計画を立てられる、などのメリットも期待できます。転職後、住宅ローンの申し込みまで、どのくらい期間を空ける必要があるのかは金融機関によって異なります。
具体的な申し込みのタイミングについては、金融機関に相談して、アドバイスを受けたうえで判断するようにしましょう。
執筆者:相山 華子(あいやま はなこ)
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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