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【2022年改正】新・住宅ローン控除(減税)の概要&手続きのポイントまとめ!

 【2022年改正】新・住宅ローン控除(減税)の概要&手続きのポイントまとめ!
公開日:2022年3月31日
更新日:2023年1月31日
2022年から住宅ローン控除の仕組みが変わりました。そもそも住宅ローン控除って何?税制改正で何がどのように変わったの?手続きの方法は?
住宅ローン控除を受けている方、これから新しく家を買う方のそんな疑問を解決します。

目次

住宅ローン控除(減税)とは?

住宅ローン控除(減税)とは、正式には「住宅借入金等特別控除」といい、広く国民が住宅を取得できるように、住宅ローンを借りる際に支払う金利負担を軽減するための減税制度です。
住宅の建築、購入、リフォーム、またその取得資金を住宅ローンでまかなった場合に、その居住開始後の年末借入残高に対して0.7%分が所得税と住民税から減税されます。

住宅をローンで購入した個人が税制上の優遇を受けられる制度

所得税と住民税が直接減税されるのが住宅ローン控除のポイント

2022年1月1日以降に住宅の取得や居住を開始した方の住宅ローン控除は、以下のような内容になります。

  • 住宅ローンの年末残高に対して0.7%の減税
  • 控除期間13年間

住宅ローンの返済期間が10年以上あることを条件に、年末時点の残高に対して0.7%の所得税が減税されます。所得税から引き切れないときには、住民税から減税します。住民税から減税できる金額には上限があり、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)までとなります。
たとえば、住宅ローン残高:2,000万円、所得税:10万円/年の場合

減税額:14万円

 内訳)所得税から10万円、住民税から4万円

要件を満たせば13年間にわたって減税を受けることができます。
また、住宅ローン控除はふるさと納税との併用も可能です。ただし、両制度とも納税金額以上は控除されませんので、減税額は支払う税額が上限になります。

住宅ローン控除を受けるための5つの条件

1)住宅ローンの返済期間が10年以上あること
新たに借り入れた住宅ローンの返済期間が、10年以上ない場合には控除を受けることができません。また、適用を受けている間でも、繰り上げ返済などで、当初の契約の最初に返済した月から最終の返済月までの期間が10年未満になった時点で適用が受けられなくなります。
2)自ら居住していること
住宅ローン控除が設けられた上記趣旨から、控除を受ける方が住むことが条件です。投資用マンション、土地のみの購入(家をしばらく建てない)には利用できません。ただし、転勤などで一時的に本人が居住していなくても家族が住んでいる場合には適用を受けられます。
3)床面積が50㎡以上あること
マンションの場合では、専有部分の床面積(登記簿上)で判断され、階段や通路といった共用部分は含まれません。
4)居住用割合が1/2以上あること
自営業などで自宅を事業に利用している場合では、その居住割合が1/2を超えている必要があります。
5)合計所得金額(*)が2,000万円以下であること
合計所得金額が2,000万円以下の方のみ受けることができます。2,000万円を超えた場合は、その年は控除を受けられませんが、超えていない年は受けることができます。なお、株式などの配当や売買益を特定口座源泉徴収あり口座で申告不要にしている場合には、その所得は算入されません。
  • 合計所得金額は、以下の合計額をいいます。

  • 給与所得(給与所得控除後の金額)
  • 不動産所得
  • 譲渡所得
  • 雑所得 など

2022年の税制改正で住宅ローン控除(減税)はどう変わった?

2022年の税制改正で住宅ローン控除(減税)はどう変わった?
2022年の住宅ローン控除の変更点で、一番注目すべきは控除率の引き下げです。
制度改正前の住宅ローンの控除率は1%でした。
しかし、低金利下の中、住宅ローンの返済で支払う利息よりも住宅ローン控除による節税額の方が多くなる「逆ざや」が問題となったため、2022年の改正では控除率が0.7%まで下がることとなりました。

控除率引き下げ&適用期限延長で節税効果は下がる可能性も

1)1%の控除率が0.7%に引き下げ

今回の改正で大きく変わったのは控除率が1%から0.7%に下がったことです。これまで、1%の減税を受けられたので、その減税額は大きく下がります。

2)最長13年間に期間延長

控除率は下がったものの、控除期間が通常は最長10年間でしたが最長13年間に延長されました。ただし、中古住宅は最長10年間です。

3)環境に配慮した住宅を税制面で優遇

これまでは一般住宅でも、ローン残高4,000万円まで住宅ローン控除の対象でしたが、今回の改正で、対象住宅の環境性能によって上限が細かく設定されるようになりました。
環境性能による分類は以下のようになっています(詳細後述)。

  • 長期優良住宅・低炭素住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅
  • その他住宅(一般住宅)

一般住宅の借入限度額は3,000万円に引き下げられ、2024年入居以降は住宅ローン控除の対象外になります。

4)その他の変更点

  • 住民税から引ける分が課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)へ引き下げ
課税総所得金額とは、所得控除後の金額で、課税総所得金額が195万円超の人は最高9.75万円となります。また、その他の変更点として下記があります。

  • 所得制限が3,000万円から2,000万円へ
  • 対象の住宅の種類(環境性能)により借入限度額が変わる
  • 合計所得金額1,000万円以下であれば40㎡以上50㎡以下の住宅も適用可能に

ファミリーだけでなく一人暮らし、二人暮らし用の広さの住宅に対しても対象となるので、適用される住宅の範囲が広がります。

これから住宅を取得した場合、税金はいくら戻ってくる?

すでに適用を受けている方は現状どおり、変わるのはこれから適用を受ける方

すでに住宅ローン控除の適用を受けている方は、今回の制度変更の影響はありません。控除率もこれまでどおり、1%となります。

1)新築、分譲住宅の場合

今回の改正では、対象住宅の環境性能によって上限が細かく設定されるようになりました。また、入居年が遅いほど控除額が少なくなります。
住宅の環境性能等 借入限度額 控除期間 最大控除額
2022年・
2023年入居
2024年・
2025年入居
2022年・
2023年入居
2024年・
2025年入居
長期優良住宅
低炭素住宅
5,000万円 4,500万円 13年間 455万円 409.5万円
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円 409.5万円 318.5万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円 364万円 273万円
その他住宅 3,000万円 0円 273万円 0円
  • 2024年以降に建築確認を受けた場合、住宅ローン控除の対象外。2023年末までに新築の建築確認を受けた場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年
※ 国土交通省ウェブサイト『住宅ローン減税の概要について(令和4年度税制改正後)』を元に作成
<長期優良住宅>

長持ちする構造や設備であり、バリアフリー性、省エネ性、耐震性などにおいて基準満たした住宅
2023年までの入居で1年あたりの控除額:最大35万円
13年間の控除額合計:最大455万円

<低炭素住宅>

二酸化炭素の排出を一定以下にできる省エネ性の優れた住宅
2023年までの入居で1年あたりの控除額:最大35万円
13年間の控除額合計:最大455万円

<ZEH(ゼッチ)>

「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」の略。
高断熱素材の利用や太陽光発電の導入により、住宅のエネルギーがおおむねゼロの住宅
2023年までの入居で1年あたりの控除額:最大31.5万円
13年間の控除額合計:最大409.5万円

<省エネ基準適合住宅>

自ら電気を作り出すZEHほどではないが、省エネ性の優れた住宅
2023年までの入居で1年あたりの控除額:最大28万円
13年間の控除額合計:最大364万円

<その他住宅>

上記のいずれの環境性能基準も満たさない一般の住宅
2023年までの入居で1年あたりの控除額:最大21万円
13年間の控除額合計:最大273万円

2)中古住宅、増改築の場合

中古住宅購入で住宅ローン控除の適用を受けるには、新耐震基準に適合している家屋である必要があります。また、住宅ローン控除期間は新築より短く最長10年間です。
住宅の環境性能等 借入限度額 控除期間 最大控除額
長期優良住宅
低炭素住宅
ZEH水準省エネ住宅
省エネ基準適合住宅
3,000万円 10年間 210万円
その他住宅 2,000万円 140万円
<環境性能に適合する中古住宅>

借入限度額3,000万円、最大控除額210万円

<環境性能に適合しないその他住宅>

借入限度額2,000万円、最大控除額140万円

住宅ローン控除(減税)を受けるために必要な手続きは?

住宅ローン控除を受ける最初の年には確定申告が必要で、入居年の翌年1月(還付のみの場合)から確定申告ができます。翌年以降は会社員なら年末調整により減税を受けることができます。

最初の年は会社員でも確定申告が必要

1)1年目の手続きに必要なものと手続き方法

必要事項を記載した確定申告書へ、下記の書類などを添えて納税地(原則として住所地)の所轄税務署へ提出します。
<確定申告時の主な必要書類>

  • 「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
  • 金融機関の借入金の年末残高等証明書
  • 家屋の「登記事項証明書」
  • 家屋の「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写しなど家屋の取得価額がわかる書類
  • 土地購入にも住宅ローン控除を受ける場合
  1. 土地の「登記事項証明書」など敷地の取得年月日がわかる書類
  2. 土地の売買契約書の写しなど土地の取得価額がわかる書類

2)2年目以降の手続き・会社員の場合

年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。
以下を添付して会社に申告します。

  • 金融機関の借入金の年末残高証明書
  • 税務署から最初に申告をした年に交付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」

3)2年目以降の手続き・会社員以外の場合

確定申告を行う際の添付書類は、下記のとおり少なくなります。
<確定申告時の主な必要書類>

  • 「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
  • 金融機関の借入金の年末残高等証明書

所得税の減税分の還付は、確定申告年は確定申告後から1ヵ月程度で銀行口座に直接振り込みされます。住民税の減税分は、申告した年の6月以降にかかる住民税から減税されることになります。

まとめ

税制度にはその時々の住宅政策の意向が反映される

今回の改正では、低金利を背景に控除率が0.7%に下がりましたが、最長控除期間は13年間になりました。控除金額の上限は住宅の環境性能によって異なります。
一般住宅は控除金額が減少することになりましたが、環境性能等の優れた住宅の普及拡大を推進するため、中古住宅を含めて環境性能を意識した住宅は優遇されることになりました。長期優良住宅などは税制面での優位性だけではなく、自分が住むうえでの耐久性にもつながりますので、いま購入するなら環境性能を意識した家選びがおススメです。

執筆者:岩永 真理(いわなが まり)

執筆者保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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