[ ここから本文です ]

住宅ローン控除(減税)の概要&手続き方法と確定申告の流れを解説!

住宅ローン控除(減税)の概要&手続き方法と確定申告の流れを解説!
  • 2022年3月31日
  • 2023年12月7日
2022年12月16日に発表された税制改正大綱は、2023年2月3日国会に提出され3月28日に国会で承認されました。
税制改正で何がどのように変わったのか、2023年以降に住宅購入や住み替えを検討している方にとって気になる住宅ローン控除(減税)のポイントと手続きについてくわしく解説します。

目次

住宅ローン控除(減税)とは?

住宅ローン控除(減税)とは、正式には「住宅借入金等特別控除」といい、広く国民が住宅を取得できるように、住宅ローンを借りる際に支払う金利負担を軽減するための減税制度です。
住宅の建築、新築・中古物件の購入、リフォーム、またその取得資金を住宅ローンでまかなった場合に、その居住開始後の年末借入残高に対して0.7%分が所得税と住民税から減税されます。

住宅をローンで購入した個人が税制上の優遇を受けられる制度

所得税と住民税が直接減税されるのが住宅ローン控除のポイント

2022年1月1日以降に住宅の取得や居住を開始した方の住宅ローン控除は、以下のような内容になります。

  • 住宅ローンの年末残高に対して0.7%の減税
  • 控除期間13年間

住宅ローンの返済期間が10年以上あることを条件に、年末時点の残高に対して0.7%の所得税が減税されます。所得税から引き切れないときには、住民税から減税します。
住民税から減税できる金額には上限があり、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)までとなります。
たとえば、住宅ローン残高:2,000万円、所得税:10万円/年の場合

減税額:14万円
内訳)所得税から10万円、住民税から4万円

要件を満たせば13年間にわたって減税を受けることができます。
また、住宅ローン控除はふるさと納税との併用も可能です。ただし、両制度とも納税金額以上は控除されませんので、減税額は支払う税額が上限になります。

住宅ローン控除を受けるための5つの条件

住宅ローン控除を受けるには、次の5つの条件を満たす必要があります。
条件1 住宅ローンの返済期間が10年以上あること
新たに借り入れた住宅ローンの返済期間が、10年以上ない場合には控除を受けることができません。また、適用を受けている間でも、繰り上げ返済などで、当初の契約の最初に返済した月から最終の返済月までの期間が10年未満になった時点で適用が受けられなくなります。
条件2 自ら居住していること
住宅ローン控除が設けられた上記趣旨から、控除を受ける方が住むことが条件です。投資用マンション、土地のみの購入(家をしばらく建てない)には利用できません。ただし、転勤などで一時的に本人が居住していなくても家族が住んでいる場合には適用を受けられます。
条件3 床面積が50㎡以上あること
マンションの場合では、専有部分の床面積(登記簿上)で判断され、階段や通路といった共用部分は含まれません。
条件4 居住用割合が1/2以上あること
自営業などで自宅を事業に利用している場合では、その居住割合が1/2を超えている必要があります。
条件5 合計所得金額(*)が2,000万円以下であること
合計所得金額が2,000万円以下の方のみ受けることができます。2,000万円を超えた場合は、その年は控除を受けられませんが、超えていない年は受けることができます。
なお、株式などの配当や売買益を特定口座源泉徴収あり口座で申告不要にしている場合には、その所得は算入されません。
  • 合計所得金額とは、以下の合計額を指します。

  • 給与所得(給与所得控除後の金額)
  • 不動産所得
  • 譲渡所得
  • 雑所得 など

2023年住宅ローン控除(減税)の税制改正による変更点

2023年の住宅ローンに関する税制は、2022年の税制改正で決定した内容から不変です。
2022年の税制改正で、住宅ローン控除を利用できる期間が2025年まで4年間延長されました。そのため、2023年も引き続き住宅ローン控除を利用できます。
そこで、2022年の税制改正で変更になったポイントをあらためておさえておきましょう。一番注目すべき変更点は、控除率の引き下げです。
低金利下の中、住宅ローンの返済で支払う利息よりも住宅ローン控除による節税額の方が多くなる「逆ざや」が問題となったため、2022年の改正では控除率がそれまでの1%から0.7%へ下がることとなりました。

主な変更点をチェック

1)1%の控除率が0.7%に引き下げ

2022年の改正で大きく変わったのは控除率が1%から0.7%に下がったことです。これまでは1%の減税を受けられましたが、その減税額は大きく下がります。

2)最長13年間に期間延長

控除率は下がったものの、控除期間が通常は最長10年間でしたが最長13年間に延長されました。ただし、中古住宅は最長10年間です。

3)環境に配慮した住宅を税制面で優遇

これまでは一般住宅でも、ローン残高4,000万円まで住宅ローン控除の対象でしたが、2022年の改正で、対象住宅の環境性能によって上限が細かく設定されるようになりました。
環境性能による分類は以下です。

  • 長期優良住宅・低炭素住宅
  • ZEH水準省エネ住宅
  • 省エネ基準適合住宅
  • その他住宅(一般住宅)

一般住宅の借入限度額は3,000万円に引き下げられ、2024年入居以降は住宅ローン控除の対象外になります。

4)その他の変更点

  • 住民税から引ける分が課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)へ引き下げ

課税総所得金額とは、所得控除後の金額で、課税総所得金額が195万円超の人は最高9.75万円となります。また、その他の変更点として下記があります。

  • 所得制限が3,000万円から2,000万円へ
  • 対象の住宅の種類(環境性能)により借入限度額が変わる
  • 合計所得金額1,000万円以下であれば40㎡以上50㎡以下の住宅も適用可能に

ファミリーだけでなく一人暮らし・二人暮らし用の広さの住宅に対しても対象となるため、適用される住宅の範囲が広がります。

住宅ローン控除(減税)で税金はいくら戻ってくる?

これから住宅を取得した場合、税金はいくら戻ってくる?
住宅ローン控除が適用されると、どれくらいの税金が戻ってくるのでしょうか。住宅ごとの最大控除額を比べてみましょう。

住宅ごとの最大控除額一覧

控除の種類 入居開始年 借入限度額 控除率 控除期間 最大控除額
区分 住宅性能 1年間 合計
新築・買取再販住宅 長期優良住宅・低炭素住宅 2022~2023年 5,000万円 0.7% 13年 35万円 455万円
2024~2025年 4,500万円 31.5万円 409.5万円
ZEH水準
省エネ住宅
2022~2023年 4,500万円 31.5万円 409.5万円
2024~2025年 3,500万円 24.5万円 318.5万円
省エネ基準適合住宅 2022~2023年 4,000万円 28万円 364万円
2024~2025年 3,000万円 21万円 273万円
その他の住宅 2022~2023年 3,000万円 21万円 273万円
2024~2025年 住宅ローン控除の適用なし
既存住宅 長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅 2022~2025年 3,000万円 0.7% 10年 21万円 210万円
その他の住宅 2,000万円 14万円 140万円
リフォーム(増改築等) 2,000万円 14万円 140万円
  • 国土交通省
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
  1. 2024年以降に新築の建築確認を受けた場合は、住宅ローン控除対象外。
    2023年末までに新築の確認を受けた住宅に2024年・2025年に入居する場合は、借入限度額2,000万円・控除期間10年間の住宅ローン控除あり。

住宅ローン控除(減税)の適用条件

住宅ローン控除の適用を受けるには、前述のとおり一定の条件を満たす必要があります。新築・買取再販住宅、中古住宅、リフォーム(増改築)などによって内容が異なるため、適応の条件を住宅の種類ごとに確認しましょう。

1)新築の場合

新築住宅の適用条件は以下です。
1.居住要件
減税を受ける人が自ら居住するための住宅で、引渡しまたは工事完了から6ヵ月以内に入居し、特別控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること
2.所得要件
特別控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
3.床面積
住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自己の居住用であること
  1. ただし、合計所得金額1,000万円以下の場合で、2023年末までに建築確認を受けた新築住宅の場合は、住宅の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満
4.住宅ローン期間
住宅に対して10年以上にわたるローンがあること
5.その他
  • 居住用年とその年の前後2年の計5年間に、譲渡所得の課税の特例の適用を受けていないこと
  • 住宅(土地等を含む)は、取得時および取得後も同一生計の親族や特別な関係のある物からの取得でないこと
  • 贈与による住宅の取得でないこと

2)買取再販の場合

買取再販とは、業者が既存住宅を買い取り、リフォームして販売された物件です。買取再販は、新築住宅の適用条件に加えて、次の条件を満たさなければなりません。
1.取得時点で、新築日から10年経過した住宅であること
2.建物価格に対し、リフォームの工事費用が20%以上を占めること
3.大規模修繕、耐震改修工事、一定のバリアフリー改修や省エネ改修など、対象となる工事が行われており、その工事費用が一定以上であること
4.宅地建物取引業者が住宅を取得しており、リフォーム実施から再度販売するまで2年以内であること
5.建築後使用されたことのある家屋で、次のいずれかに該当すること
  • 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたもの
  • 業者が耐震改修工事をしたか居住までに耐震基準を満たすことが証明されたもの

3)中古住宅の場合

中古住宅とは、買取再販住宅以外の既存住宅です。中古住宅は、新築住宅の適用条件に加えて次の条件を満たさなければなりません。
  • 建築後使用されたことのある家屋で、次のいずれかに該当すること
  • 1982年(昭和57年)1月1日以降に建築されたもの
  • 業者が耐震改修工事をしたか居住までに耐震基準を満たすことが証明されたもの

4)リフォーム(増改築)の場合

リフォーム(増改築)は、新築住宅の適用条件に加えて、次の条件を満たさなければなりません。
1.自己が所有し、自己の居住のための家屋について行う増改築等であること
2.増改築等の金額(補助金等があればそれを控除した額)が100万円を超えており、その2分の1以上が自己の居住用部分の工事費用であること
また、リフォーム(増改築)は、次のいずれかに該当しなければなりません。
  • 増改築、建築基準法に規定する大規模な修繕または大規模な模様替えの工事
  • マンションの専有部分の床、階段または壁の過半について行う一定の修繕・模様替えの工事
  • 家屋・マンションの専有部分のうち居室、キッチン、浴室、トイレ、洗面所、納戸、玄関または廊下の一室の床、または壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
  • 耐震改修工事(現行の耐震基準への適合)
  • 一定のバリアフリー改修工事
  • 一定の省エネ改修工事

住宅ローン控除(減税)を受けるために必要な手続きは?

住宅ローン控除を受ける最初の年には確定申告が必要で、入居年の翌年1月(還付のみの場合)から確定申告ができます。翌年以降は会社員なら年末調整により減税を受けることができます。

最初の年は会社員でも確定申告が必要

一般的に会社員は毎年の確定申告をする必要はありませんが、住宅ローン控除を受けるためには最初の年のみ確定申告を行います。

1)1年目の手続きに必要なものと手続き方法

必要事項を記載した確定申告書へ、下記の書類などを添えて納税地(原則として住所地)の所轄税務署へ提出します。
<確定申告時の主な必要書類>

  • 「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
  • 金融機関の借入金の年末残高等証明書
  • 家屋の「登記事項証明書」
  • 家屋の「工事請負契約書」または家屋の「売買契約書」の写しなど家屋の取得価額がわかる書類
  • 土地購入にも住宅ローン控除を受ける場合
  1. 土地の「登記事項証明書」など敷地の取得年月日がわかる書類
  2. 土地の売買契約書の写しなど土地の取得価額がわかる書類

2)2年目以降の手続き・会社員の場合

年末調整で住宅ローン控除の適用を受けることができます。
以下を添付して会社に申告します。

  • 金融機関の借入金の年末残高証明書
  • 税務署から最初に申告をした年に交付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」

3)2年目以降の手続き・会社員以外の場合

確定申告を行う際の添付書類は、下記のとおり少なくなります。
<確定申告時の主な必要書類>

  • 「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」
  • 金融機関の借入金の年末残高等証明書

所得税の減税分の還付は、確定申告年は確定申告後から1ヵ月程度で銀行口座に直接振り込みされます。住民税の減税分は、申告した年の6月以降にかかる住民税から減税されることになります。

住宅ローン控除(減税)の申請期限を過ぎてしまったら

住宅ローン控除は期日までに必要な手続きを済ませる必要があります。しかし、何らかの事情で申請期限を過ぎてしまった場合に申告は可能なのでしょうか。

手続きを忘れた場合は還付申告を行う

会社員・個人事業主に関わらず、確定申告や年末調整を忘れた場合、所定期間内であれば、納めすぎた所得税の還付を受けることができます。
この申告を還付申告といい、確定申告期間とは関係なく、住宅ローン控除を受ける住宅に入居した年の翌年1月1日から5年間提出することができます。
申告を忘れていたことに気付いたら、速やかに税務署に相談して還付申告をしましょう。

まとめ

税制改正大綱が2023年3月28日に国会で承認され、住宅ローン減税は引き続き延長となりました。
住宅購入時には、住宅控除を利用するとローン負担を大きく減らすことができます。住宅ローンの返済額だけでなく、控除金額も含めて計画をたてる事が大切です。まずはシミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。

執筆者:岩永 真理(いわなが まり)

執筆者保有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
この記事をシェアする
  1. 「Facebook」及びそのロゴマークは、Meta Platforms, Inc.の商標または登録商標です。
  2. 「X」及びそのロゴマークは、X Corp.の商標または登録商標です。
  • 本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品等の勧誘目的で作成したものではありません。商品の購入時にはお客さまご自身でご判断ください。
  • 本記事の情報は、記事の公開日または更新日時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。
  • 一部、当行にて取り扱いのない商品に関する内容を含みますが、商標登録されている用語については、それぞれの企業等の登録商標として帰属します。
  • 記事の内容は、予告なしに変更することがあります。

三菱UFJ銀行の住宅ローンのくわしい内容は商品説明書をご確認ください。

三菱UFJ銀行で住宅ローンをお申し込み

ネットでかんたん事前審査はこちら!

あわせて読みたい

人気記事ランキング

株式会社 三菱UFJ銀行
(2023年12月7日現在)