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住宅ローンのペアローンと収入合算の違いとは?仕組みやメリット・デメリットを解説!

住宅ローンのペアローンと収入合算の違いとは?仕組みやメリット・デメリットを解説!
  • 2022年10月17日
  • 2023年12月25日
家を購入する際に住宅ローンを利用するケースも多いと思いますが、夫婦や親子で協力して住宅ローンを組む方法として、ペアローンと収入合算があります。
2人の収入で住宅ローンを組むことができるのは大きなメリットです。ただし、ペアローンと収入合算にはいくつかの違いがありますので、自分に合った契約を選ぶために、それぞれの違いやメリット・デメリットを知っておきましょう。

目次

ペアローンの仕組みとは?収入合算との違い

ペアローンとは、一つの物件に対し、夫婦または親子が、それぞれ契約者として住宅ローンを組む方法です。
それぞれの収入に応じて借り入れができるので、どちらか一方が単独でローンを組むよりも借入金額を増やすことができます。
また、ペアローンの場合、それぞれの借入金額等に応じて物件持分を共有保有するため、住宅ローン控除を2人とも利用でき、節税効果が高くなります。ただし、ペアローンを組む場合は同じ金融機関で借り入れをし、購入する物件に同居する必要があります。
一方、収入合算は、お申込人本人の収入に加えて、配偶者や親子の収入を合算して住宅ローンを組む方法です。配偶者または親子の収入を合算することで、お申込人が単独でローンを組むよりも大きな金額を借り入れることができます。
ただし、収入合算には、収入合算者が連帯保証人となる「連帯保証型」、連帯債務者となる「連帯債務型」という2つのタイプがあり、金融機関によって取り扱いが異なります。なお、三菱UFJ銀行の場合は「連帯保証型」での取り扱いとなります。この記事では、夫婦でのペアローンや収入合算(連帯保証型)についてくわしく解説していきます。
以下の表は、単独でのローンやペアローン、収入合算の違いをまとめたものです。共働き夫婦が全額ローンで物件を購入するケースを想定しています。
  夫単独で借入 夫婦ペアローンで借入 妻を収入合算者(連帯保証人)として夫が借入
お借入人
(住宅ローン合計本数)
1人
(1本)
ご夫婦それぞれ
(2本)
1人
(1本)
配偶者の年収 なし 100% 50% ~ 100%
※金融機関によって違いあり
住宅ローン控除 夫のみ対象 ご夫婦それぞれが対象 夫のみ対象
団体信用生命保険 夫のみ加入 ご夫婦それぞれ加入 夫のみ加入
└「夫が死亡」の場合 ローンは全額0円 夫名義のローンが0円 ローンは全額0円
└「妻が死亡」の場合 影響なし 妻名義のローンが0円 影響なし
物件の持分 夫のみ ご夫婦で按分 夫のみ
ペアローンは夫婦それぞれが債務者となってローンを組むので、世帯ごとにローン契約が2本必要になります。そのため、ローン2本分の抵当権設定の登記費用など、諸費用が増えることに注意が必要です。

ペアローンのメリットとは

ペアローンのメリットを収入合算(連帯保証型)と比較しながら確認していきましょう。

単独でのローンよりも借入額が大きくなる

ペアローンの大きなメリットの一つに、借入額を増やせるという点が挙げられます。
住宅ローンの借入額は、収入により決定されます。そのため共働きの夫婦の収入が同じ場合、夫と妻がそれぞれにローンを組むことができるペアローンでは、単独でのローン借入額の倍の額を借り入れすることができます。
一方、収入合算の場合、金融機関ごとに合算できる金額の上限を定めているケースが多く、収入合算者の収入を全額合算することができない場合があります。
具体的な例で、借入可能額の差を確認してみましょう。
<夫婦の年収が各々600万円、住宅ローンを35年(その他借り入れなし)で借入した場合の例>
  夫単独で借入 夫婦ペアローンで借入 妻を収入合算者(連帯保証人)として夫が借入
借入可能額 4,210万円 4,210万円 夫の年収に妻の収入を合算(*)
6,310万円
- 4,210万円
世帯合計での借入可能額 4,210万円 8,420万円 6,310万円
  • 合算する収入金額の上限が、債務者年収の50%の場合の算出方法(算出方法は金融機関によって異なります)。
  1. 三菱UFJ銀行「住宅ローンシミュレーション(https://www.bk.mufg.jp/kariru/jutaku/sim/limit/index.html)」で試算
上記の例では、ペアローンの場合では収入合算と比べて2,110万円も多く借り入れすることができ、より高い物件の購入が可能になります。
ただし、夫婦の年収に大きな格差がある場合は、ペアローンと収入合算で借り入れできる金額の差が縮小する場合もあります。

それぞれが住宅ローン控除の対象となる

住宅ローンの返済中に特定の条件を満たした場合、年末の住宅ローン残高に応じて所得税や住民税から「住宅ローン控除」が受けられます。この控除は最大で13年間または10年間適用されます。
住宅ローン控除は住宅ローンの債務者が対象となります。たとえば、2023年(令和5年)に新築の認定住宅に入居した場合、住宅ローン控除の対象となるのは借入額の最大5,000万円が上限です。しかしペアローンの場合、夫婦それぞれが住宅ローン控除を受けられるため、単独でのローンや収入合算よりも高い税制メリットを得ることができる可能性があります。
<新築した認定住宅に2023年(令和5年)に入居した場合の例>
  夫単独で借入 夫婦ペアローンで借入 妻を収入合算者(連帯保証人)として夫が借入
各年の
最大控除額
年35万円 年35万円 年35万円
対象外 年35万円 対象外
世帯合計での最大控除額 年35万円 年70万円 年35万円
住宅ローン控除は、入居した年と住宅の種類によって対象となる控除額が異なりますので、事前に確認しておきましょう。

それぞれが団体信用生命保険に加入できる

ペアローンでは、それぞれが債務者として団体信用生命保険(団信)に加入することができます。団信は、契約者が死亡または高度障害を負った場合に、住宅ローンの残債を返済してくれる保険です。
一方、収入合算(連帯保証型)では、収入合算者は団信に加入することができません。そのため、収入合算者が亡くなった場合でもローン残債に変化はありません。これに対して、ペアローンでは団信に加入することができるため、残債を軽減することができます。そのため、万が一のリスクに備えるためには有効な手段といえるでしょう。
ただし、どちらか一方に万が一のことがあった場合、残された債務者はローンの返済を続ける必要があるのも、ペアローンの特徴です。

異なる金利タイプや返済期間を選べる

ペアローンは原則として夫婦が同じ金融機関で住宅ローンを組む必要がありますが、同じプランを選ぶ必要はありません。借入金額や返済期間、金利タイプは個別に決めることができます。
もしローンを組むタイミングで金利の動向が読みにくい場合、夫は変動金利、妻は固定金利といった異なる金利タイプのローンを組むこともできます。これにより、金利の上昇リスクに対してより柔軟に対応することができます。
また、通常、住宅ローンの返済期間は、完済時の年齢が80歳未満と規定している金融機関が多くありますが、ペアローンでは返済期間をそれぞれ設定することができます。例えば、夫婦で年齢差が大きく、どちらか一方が35年の返済期間を選べない場合でも、夫婦それぞれの借入期間で借り入れすることができます。

ペアローンのデメリットとは

メリットも多いペアローンですが、一方で注意しておかなければならないデメリットもあります。長い返済期間のトラブルに備え、事前に確認しておきましょう。

離婚時の返済リスク

住宅ローンを返済中に離婚することとなってしまった場合、ローンの残債がある家について話し合いが必要となります。
夫婦が共同で持っているペアローンを解消する方法として、家を売却して住宅ローンを完済する、またはペアローンを一本化してどちらかが住み続けるといった方法が挙げられます。
双方合意のうえ家を売却することになった場合でも、家の価格がローン残高を上回る場合は売却後に余った資金を財産分与することができます。ただし、ローン残高よりも売却費用が安くなる場合は、差額を自己資金で返済しなくてはなりません。
また、物件を売却せず、どちらかが住み続ける場合には、一方の持分を他方に譲渡することになるため、返済が残っているローンを一本化する必要性がありますが、借入中の金融機関で審査や手続きが必要になります。ただし、元々2人で支払っていたローンの返済額を一人で背負うのは負担が大きい可能性があります。
ローンを組む際に離婚の可能性について考えることは難しいですが、万が一離婚した場合、ペアローンはトラブルの原因になることもあるので注意しましょう。

どちらか一方の収入が減ると返済が難しくなる

ペアローンの返済期間中には、夫婦の収入が減ることがあるかもしれません。片方の収入が大幅に減少したり、片方が仕事を辞めたりすることになると、もう一方が2人分の返済を負担しなければなりません。また、退職等により収入がなくなると、所得税もなくなるので、住宅ローン控除を受けることができなくなります。
どちらかが働けなくなると、返済計画が大きく崩れてしまう可能性があります。そのため、ペアローンを組む前に、万が一どちらかの収入がなくなっても返済を滞らせずに済むかどうか、シミュレーションをしておくことをおススメします。

どちらかが一方が亡くなってももう一方のローン返済は残る

ペアローンでは、夫婦両方が団信に加入することができますが、どちらかに万が一のことがあった場合、残された側はローンの返済義務を負い続けなければなりません。
一方、単独でのローンや収入合算の場合、団信に加入している債務者が亡くなった場合、残債は全て保険で支払われます。
しかし、ペアローンにおける団信は、夫婦それぞれが組んだローンの残債のみを保障対象としています。そのため、夫が亡くなった場合でも、妻は返済義務を負い続けなければなりません。
ペアローンを組む際には、万が一どちらかが亡くなった場合でも、自分自身が返済額を支払っていけるかを事前に考えておくことも重要です。

贈与税が発生するケースがある

ペアローンで住宅を購入する際、住宅ローンの負担割合と登記している所有割合が異なると、贈与税が発生する能性があります。
また、ペアローンを組んだ後に一方が働けなくなり、その間の返済をもう一方が負担する場合、贈与税が発生することがあります。贈与税は夫婦間でも適用され、年間110万円以上を贈与した場合は納税の義務があります。住宅ローンを代わりに請け負うことは贈与とみなされるので、どちらかの返済に不安がある場合は注意が必要です。
ペアローンの特徴

ペアローンがおススメなケースとは?

ここまでペアローンのメリット・デメリットについてご紹介してきました。では、ペアローンはどのようなケースの方におススメなのでしょうか。

共働きで、それぞれに安定した収入がある場合

ペアローンを利用する場合、双方が安定した収入を得られることが重要です。夫婦が安定した職業に就き、ローンの返済に不安がない場合は、ペアローンの利用がおススメです。
ペアローンを組むことで、単独でのローンよりも多額の融資を受けることができ、より高額な物件の購入が可能になります。特に、夫婦の収入が拮抗している場合は、ペアローンのメリットを最大限に活かせます。
しかし、収入に差がある場合や、将来的に収入が減る可能性がある場合は、将来の返済負担が厳しくなる可能性があるため、ペアローンよりも収入合算の方が適しているかもしれません。

まとめ

ペアローンには、世帯で借入できる金額が増えたり、住宅ローン控除がそれぞれ受けられたりなどのメリットもありますが、離婚や片方の収入が減るなど生活に変化があった場合、返済リスクが生じるというデメリットもあります。
住宅を購入する際には、自分たちの収入だけでなく、将来の計画なども考慮して、最適な住宅ローンを選びましょう。

執筆者:手塚 裕之(てづか ひろゆき)

監修者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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