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住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは?仕組みや種類をくわしく解説します!

住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは?仕組みや種類をくわしく解説します!
公開日:2022年12月5日

団信(団体信用生命保険)とは、住宅ローンを返済中に、死亡や高度障害など万が一のことがあった場合に、住宅ローンの借入残高をゼロにして、家族の住居を確保することができる保険です。

住宅ローンの契約と同時に加入するケースがほとんどですが、団信にはいくつかタイプがあるので、自分に合うものを選ぶことが大切です。

この記事では、団信のタイプ、加入するメリットやタイミング、方法などについて解説します。


目次

安心の仕組み!住宅ローンの「団信(団体信用生命保険)」とは?

そもそも住宅ローンの団信とは、どのようなものなのでしょうか。

まずはその目的や仕組みについて解説します。

もしものときに、住宅ローンの残高をゼロにできる

団信とは、住宅ローン利用者が、死亡または高度障害の状態になった場合にそなえられる保険です。

具体的には、住宅ローンを借りている人が死亡、または高度障害の状態になった場合に保険が適用され、住宅ローンの残高を支払う必要がなくなります。団信に加入することにより、死亡、または高度障害の状態になった場合に残りの住宅ローンの返済を免除され、家族はそのまま住宅に住み続けることができます。

住宅ローンは最長35年など、長い期間をかけて返済していくものです。途中で事故にあったり、重い病気になったりする可能性はゼロではありません。団信に加入していれば、万が一、そのような事態になったときに、少なくとも家族には家を残すことができ、生活をある程度守ることができるのです。

団信に加入していないとどうなる?

団信に加入していないとどうなる?
もし、団信に加入していないと、万が一のことがあっても住宅ローンがそのまま残ることになります。
たとえば、契約者である夫が亡くなり、その時点でローン残高が2,000万円あったとしましょう。団信に加入していないと、残された家族がこの2,000万円を返済していくことになるのです。万が一、住宅ローンの返済が滞ると家を手放すことになりかねません。

団信は住宅購入にあたって非常に重要な保険なのです。

団信の契約者は金融機関

団信の仕組みとしては、「契約者・保険金の受取人」は金融機関で、住宅ローンを借り入れるお借入人が「被保険者」となります。
被保険者であるお借入人に万が一のことがあった場合、生命保険会社が保険金の受取人である金融機関に対して、住宅ローンの残高に相当する保険金を支払います。その結果、住宅ローンの残高がゼロになるというわけです。

基本的に団信の保険料は、金融機関が負担しますが、団信の保険料相当額は住宅ローンの金利に含まれている場合が多く、住宅ローンのお借入人が追加で支払う必要はありません。

ただし、後ほどご紹介する疾病保障の保険については住宅ローンの適用金利に上乗せ、または別途保険料がかかることが多いです。

団信への加入は、借り入れの条件

住宅ローンのお借入人が、病気や事故などで支払いが困難になってしまう場合にそなえて、ほとんどの金融機関では、住宅ローンの契約は団信への加入が必須条件となっています。

しかし、団信は生命保険であり、健康状態によっては加入できないケースがあります。また、加入できるのは契約時だけです。

そのほかいくつか押さえておきたいルールについて確認していきましょう。

団信(団体信用生命保険)に加入するには

団信に加入するには、審査に通過する必要があります。団信は生命保険と同様に、現在の健康状態について告知が必要で、この審査をクリアできないと加入できません。

どのような審査なのか、万が一落ちた場合はどうすれば良いのか見ていきましょう。

健康状態は正確に告知する

健康状態の告知は、保険会社所定の書式で行われます。
内容は、金融機関によって異なりますが、過去の病歴や治療歴について正確に記入します。

同じ病気であっても、治療歴などによって審査結果が異なってくるケースもありますので、通院や手術、入院、処方された薬などについて、詳細に書くことが大切です。

たとえ故意でなかったとしても、正しく伝えなかったために告知義務違反となるケースもあります。告知義務違反をすると、万が一のときに保険金が下りず、住宅ローンがそのまま残ることになりかねません。

記入時にわからない点はあいまいにせず、保険会社などに問い合わせながら確実に記載するようにしましょう。

審査に通らなかった場合

実際には、持病などがあって団信に加入できない場合もあります。

その際は、「ワイド団信」を検討してみるのも方法の一つです。「ワイド団信」とは、疾病や持病があっても加入しやすいよう、条件が緩和された団信のことです。

住宅ローンの金利に保険料相当分年0.3%の金利が上乗せされるケースが一般的ですが、万が一の場合にご家族にローン残高を残さないという点で団信に加入できるメリットは大きいです。もちろん、ワイド団信にも加入条件や審査があり、誰でも加入できるわけではありませんが、選択肢としては有力です。

健康に不安がある場合は金融機関にワイド団信の取り扱いがあるかどうか、ある場合はその審査基準についても確認しておくと良いでしょう。

万が一、どの団信にも加入できない場合は、団信への加入が必須でない住宅ローンが選択肢となります。

ただし、団信に加入しない場合は、万が一の際に生活を守る保障や貯蓄が必要です。加入している生命保険の死亡保障や、住宅購入後の貯蓄額、今後のライフプランなどを確認し、万が一の際に住宅ローンが残っても、家族が困らないそなえを検討しましょう。

加入できるタイミングと留意点

団信は、契約時のみしか加入できない

団信に加入できるタイミングは、住宅ローンの契約時に限られ、後から申し込みはできません。つまり新規の申し込み、または借換時のみとなります。

また、一度契約した内容は変更できず、特約の追加や解約もできません。途中で団信を解約すると、再加入も不可となります。

「やっぱり入っておけばよかった」「あの金融機関の団信にすればよかった」などと後悔しないためには、住宅ローンを契約する時点で団信についてもしっかり検討していくことが大切です。

借り換えでは、新たに審査がある

住宅ローンの借り換えを行うと、それまで加入していた金融機関での団信契約は切れます。

借換先の金融機関で、団信に加入することはできますが、審査を新たに受け直す必要が出てきます。

年齢が上がり、健康診断に引っかかっていたり、手術歴があったりなど、健康状態が以前と変わっている場合、審査に通らないケースも出てくるので、注意が必要です。

免責事項がある

団信には、自殺や反社会行動によるケガで障害が残った場合などは、保障の対象外となるなど、免責事項について細かく設定されています。

また、団信のなかには保障の上限額を設けているものもあり、上限を超えるローン残高がある場合は、死亡や高度障害になってもローン残高が0円にはなりません。

免責などはそれぞれの金融機関ごとに違うため、加入前にきちんと確認するようにしましょう。

特定疾病保障保険のタイプ

死亡時と高度障害時には「一般団信」で保障されますが、ケガや病気が原因で働けなくなったり、職場復帰をしたものの収入が減少すると、住宅ローンの返済が家計の大きな負担になってしまいます。そんな幅広いリスクに対応できるよう保障内容を充実させたものが特定疾病保障保険です。
特定疾病保障保険のタイプには、一般団信に特約をつける「特約付き団信」と、金融機関が独自で作る保険があり、金融機関ごとに商品が異なります。
自分に合う保障を選ぶために、それぞれの商品の仕組みを理解しておくことが大切です。

特約付き団信

死亡または高度障害以外の状態で適用となる保障内容を充実させた特約には、たとえば、以下のような条件の特約があります。
なお、保険料は住宅ローンの金利に上乗せして負担するのが一般的で、上乗せ金利は商品ごとに異なります。

3大疾病

がん・脳卒中・急性心筋梗塞の3大疾病に罹患し、所定の状態に該当した場合に保障対象となる特約であり、団信の代表的な特約です。

所定の身体障害状態

病気やケガを問わず人工透析を受けている、心臓のペースメーカーを装着しているなど、所定の身体障害状態に該当した場合に保障される特約です。

要介護状態

公的介護保険制度で、要介護状態の認定を受けた場合に保障される特約です。
保障範囲や保障が受けられる条件や要介護レベルの条件は金融機関によって違いがあるため、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。

特定疾病保障保険

がんは診断確定が保険の支払条件になっている商品が増えてきていますが、そのほかの病気については所定の条件や保障内容が金融機関によって異なります。

所定の身体障害状態で残債がゼロになる特約は、要件に該当すればすぐ保障対象とする場合と、就業不能状態が数ヵ月続かないと保障対象とならない場合があります。

たとえば、8大疾病保障など保障される疾病が大きいほうが一見良いと思われがちですが、実際に罹患した際にきちんと支払われる保険でないと困ることになってしまいます。保障になる条件をきちんと確認したうえで判断することが大切です。

三菱UFJ銀行の特定疾病保障保険について

次に、金融機関が独自に作る保険とはどのようなものなのか、例として三菱UFJ銀行の商品を見てみます。
三菱UFJ銀行では、ライフプランにあわせて2つのタイプを選べる「7大疾病保障付住宅ローン ビッグ&セブン<Plus>」を用意しています。

3大疾病保障充実タイプ(金利上乗せ型)

「3大疾病保障充実タイプ」は、がんの診断、あるいは脳卒中・急性心筋梗塞での入院で、住宅ローン残高が0円になる保険です。
一般的な疾病保障では60日要件の商品が多いなか、脳卒中・急性心筋梗塞の入院で住宅ローン残高がゼロとなるのが、特徴です(*)
また、「高血圧性疾患」「糖尿病」「慢性腎不全」「肝硬変」の4つの生活習慣病に罹患した場合は、就業障害が30日を超えたら毎月の返済額が最長1年間免除、就業障害が1年30日を超えたら住宅ローン残高が0円となります。

保険料の支払いは、住宅ローンの金利に年0.3%上乗せとなります。

  • 60日要件とは…60日以上の入院、60日以上の言語障害などが継続するもの

安心の保険料タイプ(保険料支払型)

「安心の保険料タイプ」は、手広くそなえられる毎月保険料支払型の商品です。

対象となる疾病は、上記の「3大疾病保障充実タイプ」と同じ3大疾病(悪性新生物(がん)・脳卒中・急性心筋梗塞)+4つの生活習慣病(高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変)ですが、保険の支払条件が異なります。

「安心の保険料タイプ」は、7大疾病に罹患し、就業障害が30日を超えて継続したら毎月の返済額を最長1年保障、就業障害が1年30日を超えたら住宅ローン残高が0円となります。

保険料は月払いで、性別・年齢(5の倍数年齢)・お借入残高・毎月のご返済額等により決まります。お借入残高等の変動により毎月保険料は変動します。

金利に上乗せする商品は途中での解約はできませんが、この商品は保険料支払型につき、借入後の解約が可能である点が特徴です。

また、保険料は所得控除(介護医療保険料控除)の対象となり、年末調整や確定申告で申告できます。

特定疾病保障保険を選ぶ際のチェックポイント

団信と同様に特定疾病保障保険に加入できるのは、住宅ローンを新たに申し込む際、あるいはほかの金融機関に借り換えをするときのみです。
一般的に住宅ローン借入後に加入することはできません。選ぶ際は、しっかり内容を検討しましょう。

ここからは、押さえておきたいチェックポイントをご紹介します。

リスクに十分そなえられるか

死亡や高度障害以外にも、収入が減り返済が厳しくなるケースはあります。長い治療を要する病気や、高度障害まではいかなくとも障害が残り働けなくなってしまうケースが自分の身に起こることも考えられます。
保険は「万が一生じたら、貯蓄ではまかなえないリスクをカバーする手段」です。
個々の条件にもよりますが、万が一の際に、数千万円の残高を抱えることになると、生活が行き詰まってしまいます。保障範囲が十分か、しっかり確認しましょう。

保険金は支払われやすいか

似たような保障内容でも、保険金の支払条件は、金融機関により異なります。

所定の条件に該当すれば保険金が下りるのか、就業不能状態が長く続かないと下りないのかなど、支払条件についてもチェックしましょう。

生命保険の見直し

団信に加入しておくと、お借入人が住宅ローンを返済中に死亡したとしても、遺族にはローンが残りません。
ここで考えたいのが生命保険の見直しです。

生命保険では、住宅費用も含めて死亡保障を考慮して契約しているケースが多いため、住宅購入後も見直さずにいると、保障が重複している可能性があります。重複している住居費の必要保障額を適正額に見直すことで、保険料の節約につながります。

同じことは、医療保険やがん保険にもいえます。特定疾病保障保険を付加する場合、すでに加入している医療保険やがん保険と保障が重複する可能性があります。
もちろん、民間の医療保険やがん保険は治療費用の補填が目的であり、団信とは意味合いが異なりますが、保険料と保障内容を比較し、過剰なかけすぎがないようにしたいものです。
ただし一方で、見直しで保障を減らしすぎないことも大切です。団信は、住宅ローン完済後に契約が切れます。
その後、生命保険や医療保険に入り直したい場合、年齢が上がっているため保険料も上がり、健康状態によっては審査に通らず加入できないケースもあるためです。

その点も考慮しながら、適切な保障となっているか見直すようにしましょう。

まとめ

住宅ローンの団信は、住宅ローンのお借入人が死亡・高度障害になった場合、保険で残りのローン残高をゼロにでき、家族に住居を残すことができる、住宅購入時においては大切な保険です。

死亡・高度障害以外にも、がんや脳卒中、生活習慣病など、幅広いリスクをカバーする特定疾病保障保険もあります。

住宅ローンの契約時には、団信の加入を必須としている金融機関がほとんどですが、健康状態などによっては加入できない、住宅ローン借入後に追加で加入することはできない点などに留意が必要です。
また、特定疾病保障保険は金融機関によって保障内容や加入条件が異なります。

それぞれの特徴やルールをよく理解して、ご自身に合うタイプ、金融機関を検討するようにしましょう。

執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)

執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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