住宅ローンの保証料とは?相場や計算方法をわかりやすく解説!
公開日:2022年5月16日
保証料は、住宅ローンの契約時に必要な諸経費のひとつです。保証料の金額は、手数料や登録免許税、団体信用生命保険などの諸経費のなかでも高い割合を占めています。
保証料の仕組みや相場、計算方法、支払方法について知ることで住宅ローン選びも変わります。また、最近増えている保証料のない住宅ローンについても解説します。
住宅ローンの保証料とは
住宅ローンの保証料は、住宅ローン契約時の諸経費のうちのひとつです。
住宅ローン利用者がローンの返済ができなくなったときのために「保証会社と住宅ローン利用者」の間で保証契約をするための費用です。
保証会社との保証契約により「住宅ローン利用者が返済できなくなったときに返済を免除してくれる」と誤解されやすいのですが、住宅ローン利用者の返済義務はなくなりません。
住宅ローン保証料の仕組みを解説します。
住宅ローン保証料の仕組み
住宅ローンは、数千万円という多額のお金を借り入れ、長期間かけて返済していくものです。
住宅ローンを組んだときは返済能力があったとしても、長いローン返済中には失業や病気などさまざまな事情で返済ができなくなることがあります。
そのような場合、金融機関は貸したお金を回収できないリスクを避けるために「保証会社とローン利用者」の間で保証契約を結ぶことを融資の条件にします。
保証会社は、返済できなくなった住宅ローン利用者に代わり、一括で返済してくれる連帯保証人を代行する会社です。保証会社と住宅ローン利用者が契約を交わし、その際に支払うものが保証料です。
保証料を支払っても返済義務はなくならない
住宅ローン利用者が、ローン返済ができなかった場合、保証会社が全額肩代わりして金融機関に返済額を支払ったとしても、その後の支払いが免除されるわけではありません。
住宅ローン利用者にとって、返済する相手が金融機関から保証会社に変わるだけです。
保証料を支払っていても、返済義務が残る点には注意が必要です。
住宅ローンの保証料の相場と計算方法
保証料の金額は金融機関ごとに異なります。また、ローン利用者の借入金額や返済期間、選択した返済方法によっても金額が変わります。
ここでは、住宅ローン保証料の相場と計算方法について解説します。
住宅ローンの保証料の金額は金融機関または保証会社ごとに異なる
住宅ローンの保証料は、住宅ローンの申し込みをする金融機関、またはその金融機関と提携している保証会社によっても異なります。
各金融機関のおおよその保証料は、比較サイトなどで調べることができます。
おおまかに調べて候補を絞ったあとは、その金融機関のホームページで詳細を確認して比較検討してください。
住宅ローンの保証料の相場は借入金額の0%~2%
住宅ローンの保証料は、一般的に借入金額に保証料率をかけて計算されます。借入金額に対して0%~2%程度が保証料の相場です。
保証料が0円となっている場合、保証料の代りに事務手数料や金利を上乗せして支払うことがほとんどです。
住宅ローン保証料の計算方法
保証料の計算方法は、一般的には住宅ローンの借入金額に各金融機関が定めた保証料率をかけて計算します。
また、同じ借入金額でも返済期間によって保証料率が変わります。一般的には、返済期間が長ければ保証料率は低く、短ければ高く設定されています。
保証料の金額を決める要素は、「借入金額」と「返済期間」のほかに、「支払方法」があります。次項で「支払方法」について説明します。
住宅ローンの保証料の支払方法は2種類
保証料の支払方法は「一括前払い型(外枠方式)」と「金利上乗せ型(内枠方式)」の2種類があります。
住宅ローンの「借入金額」「返済期間」のほかに、この2種類のどちらの支払方法を選択するかで、支払う保証料の総額が変わります。
それぞれの支払方法のメリット・デメリットと、どのような基準で選択すれば良いかを説明します。
一括前払い型(外枠方式)
住宅ローンの契約時に保証料を一括で支払う方法です。借入期間や借入金額によって保証料は異なります。
「一括前払い型(外枠方式)のメリット」
- 契約時に保証料を一括で支払うため、保証料に利息がつかず支払総額が抑えられます。
- 毎月のローン返済額に保証料の支払いがないため、返済額が軽減されます。
- 住宅ローンの繰り上げ返済や一括返済をすると、支払った保証料の一部が返金されます(戻し保証料)。
「一括前払い型(外枠方式)のデメリット」
- 契約時に一括して支払うため、まとまった資金が必要になります。
「金利上乗せ型(内枠方式)とは」
金利上乗せ型(内訳方式)とは、住宅ローン契約時に保証料を一括で支払うのではなく、月々の住宅ローンの適用金利にさらに金利を上乗せして支払う方法です。
上乗せする金利は、金融機関によって利率が異なりますが、住宅ローンの適用金利に0.2%程度を加えることが一般的とされています。
「金利上乗せ型(内枠方式)のメリット」
- 契約時に準備する諸費用の金額を抑えることができます。
「金利上乗せ型(内枠方式)のデメリット」
- 一括前払い型(外枠方式)に比べて、保証料の支払総額が大きくなります。
- 繰り上げ返済や一括返済時に保証料の返還はありません。
複数の金融機関を比較したうえで選択する
一括前払い型(外枠方式)か金利上乗せ型(内枠方式)のどちらの支払方法が良いかは、現在の資金状況や今後の支出予定によって変わります。
また、保証料の金額だけにとらわれるのではなく、住宅ローンの金利やそのほかの諸経費などを総合的に比較して検討してください。
住宅ローンの保証料が不要の金融機関も選択肢の1つに
最近では、保証料が不要の「事務手数料型」という住宅ローンが増えています。
なぜ、保証料が不要なのか、「事務手数料型」の仕組みと、そのメリット・デメリットについてお話します。
また、あわせて「事務手数料型」と「保証料型」の選択のポイントについても解説します。
住宅ローンの保証料が不要でも事務手数料がかかる
保証料の負担のない「事務手数料型」は、保証料がない代わりに「事務手数料」を契約時の諸経費として一括で支払うことになります。
保証料は保証会社に支払いますが、事務手数料は金融機関に支払うという点に違いがあります。
「事務手数料型」の住宅ローンの事務手数料は、「借入金額の〇%」というように定率で決まります。
その手数料は、保証料型の事務手数料率に2%程度上乗せされたものになります。例として、借入金額が3,000万円で、事務手数料率が2.2%の場合に支払う金額は66万円になります。
そのため、保証料が0円であっても保証料と同等程度の金額を支払うことになります。
また、手数料という性質上、繰り上げ返済や一括返済をして借入期間が短縮されたとしても、保証料の一括前払い方式の「戻し保証料」のような返金はありません。
「事務手数料型」のメリット・デメリット
金融機関によっては「事務手数料型」と「保証料型」の両方を取り扱い、住宅ローン利用者が選べるようになっているケースがあります。
以下で紹介する「事務手数料型」のメリットとデメリットを比較して、自分の場合はどちらを選択すれば良いかを、住宅ローンの契約時までに考えておきたいものです。
「事務手数料型」のメリット
- 保証料は、借入期間が長いほど割高で高額になりますが、事務手数料は定率のため借入期間の長短に左右されません。
「事務手数料型」のデメリット
- 手数料という性質上、繰り上げ返済や一括返済をして住宅ローンを早く返済したとしても返金はありません。
- 契約時に一括で支払うのでまとまった手持ち資金が必要です。
保証料の有無だけではなくトータルコストで考える
自分にとって「事務手数料型」「保証料型」のどちらを選択するのかは、保証料の有無にとらわれるのではなく、借入金額や返済期間、月々の返済額、そして自分自身の返済計画によって検討すると良いでしょう。
「事務手数料型」「保証型」の特長比較
事務手数料型 | 保証料(一括前払い型) | 保証料(金利上乗せ型) | |
---|---|---|---|
返済期間 | 定率のため返済期間の長短に左右されない | 返済期間が長くなるほど割高になる | 金利がかかるため、返済期間により返済総額がかわる |
繰り上げ返済 一括返済 |
返済期間短縮による返金はない | 返済期間短縮により保証料が戻る | 分割払いのため返金はない |
手持ち資金 | 契約時に支払うため必要 | 契約時に支払うため必要 | 月々返済するため不要 (初期費用が抑えられる) |
借入期間が長い場合は、「事務手数料型」の方にメリットがあるといえますが、借入期間が何年以上なら「保証料型」よりもメリットがあるのかという損益分岐点は、金融機関や住宅ローンの条件によって違ってきます。
実際に複数の金融機関のホームページでシミュレーションをして比較してみると良いでしょう。
さらにいえば、契約時の諸経費だけではなく、住宅ローンの実質金利を含めた返済総額をシミュレーションしてトータルコストで考えることが重要です。
こちらから住宅ローンのシミュレーションができます。
まとめ
住宅ローンを契約する際にかかる保証料は、住宅ローン利用者がローンの返済ができなくなったときのために「保証会社と住宅ローン利用者」の間で保証契約をするための費用です。
保証料は、思いのほか大きな費用になります。住宅ローンを組むときは、従来の「保証料型」だけではなく、保証料不要の「事務手数料型」の住宅ローンも、選択肢のひとつに加えましょう。
最終的には「保証料型」と「事務手数料型」の仕組みや計算方法と、それらのメリットやデメリットを知ったうえで住宅ローンを選択してください。
大事なことは、住宅ローンの実質金利やそのほかの諸経費を含めた返済総額をシミュレーションしてトータルコストで比較していくことです。
家を購入するということは、人生で一度あるかないかの家族の大切なライフイベントです。今後のライフプランも含めて総合的に判断して、ご自身にあった住宅ローンを選んでください。
執筆者:井上 美鈴(いのうえ みすず)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP認定者、一種外務員
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