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住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)とは?メリット・デメリットやタイミングについて解説します

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住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)とは?メリット・デメリットやタイミングについて解説します
公開日:2022年11月7日

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)には期間短縮型と返済額軽減型の2種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

この記事では住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰上げ返済)についての概要と適しているタイミングについて解説します。

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)とは?

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)とは、毎月の返済額以外に、住宅ローン残高の一部を予定より早く返済することです。

繰り上げ返済を行うことで、ローン残高の元金を減らすことができます。元金が減ることで、その元金に対し支払う予定だった利息も減るため、返済総額を減らせる効果があります。余裕資金ができた場合などに、ぜひ検討したい手段です。

繰り上げ返済には、次の2種類があります。

期間短縮型

毎月の返済額はそのまま据え置き、返済期間を短縮する返済方法です。

たとえば、残り20年のローンが、1年短縮され19年になるといった具合です。

返済額軽減型

返済期間は変えず、毎月の返済額を軽減する方法です。

たとえば、毎月8万円の返済額が7万円になるような返済方法です。

住宅ローンを繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)するメリット

「期間短縮型」と「返済額軽減型」のどちらを選んでも、元金とそれに伴う支払利息を削減でき、返済総額を減らすことができます。

住宅ローンは、元金の残高に対し金利がかかるので、同じ金額を繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)する場合、ローンの初期に行うとより効果的です。元金の残高を減らしておくことで、将来的に金利が上がった場合に受ける影響が軽減されるのもメリットといえるでしょう。

期間短縮型のメリット

返済期間が短くなり、その期間に払う予定だった支払利息を削減できます。

同じ金額を同じタイミングで一部繰り上げ返済する場合、返済額軽減型より多くの支払利息の削減が可能です。

一般的な返済方法である元利均等返済の場合、返済額に利息部分が占める割合は、ローンが始まった当初が最も高く、後になるほど減少していきます。このため、初期に繰り上げ返済を行うと、同じ金額でも利息削減効果がより大きくなります。

期間短縮型は完済時期を早められるので、それだけ早くローンから開放され、将来の家計の収支も改善できます。定年までに住宅ローンを完済したい人などは、期間短縮型を選ぶと良いでしょう。

返済額軽減型のメリット

毎月の返済額を減らせるのが大きなメリットです。繰り上げ返済した効果を実感しやすいでしょう。

教育費の増加や転職などで家計が変化し、出費がふえたときなどは、返済額軽減型が役立ちます。

住宅ローンを繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)するデメリットと注意点

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)は、メリットばかりでなくデメリットもあります。

ひとつは、繰り上げ返済によって手元の資金が減ってしまう点です。

繰り上げ返済を実施したら、取り消すことはできません。病気やケガ、転職などで収入が減ったり、子どもの進路で教育費が予想以上にふえてしまったり、急に住居の修繕が必要になったりすることはあります。

ローン残高を減らしたいからと、貯蓄のすべてを一部繰り上げ返済にまわすのはリスクです。

また、残高が減ることで住宅ローン控除の控除額も減ります。住宅ローン控除で控除できる額は、年末時点のローン残高で決まります。繰り上げ返済を行うとその年に軽減できる税金が少なくなる点も留意が必要です。

期間短縮型のデメリット

期間短縮型の場合、繰り上げ返済の効果を感じられるのは将来です。

今現在の負担は変わらないため、貯蓄を投じた割に「減らせた」実感は持ちにくいでしょう。

返済額軽減型のデメリット

返済額軽減型は、期間短縮型と比べ、支払利息分の大幅カットにはつながりません。

毎月の返済額は減らせますが、返済総額は期間短縮型よりも多くなります。

繰り上げ返済は、手数料がかかるケースもあります(金融機関によっては、ネットバンキングでの手続きは無料の場合もあります)。その場合、何度も行うとそれだけコストも増加する点にも注意が必要です。

また、1円から繰り上げ返済ができるところもあれば、半年分以上など、金融機関によって規定が異なりますので、確認しておきましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)に適したタイミング

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)に適したタイミング

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)は、十分な預貯金を確保したうえで行うことが大切です。手元資金が一時的に減りますので、子どもの進路が定まっていない時期や、転職などを控えている時期は避けたほうが無難です。

余裕資金がある場合、判断のポイントのひとつになるのが住宅ローン控除との兼ね合いです。

2022年以降に購入し、居住を開始した住居は、基本的に年末のローン残高の0.7%を13年間、住宅ローン控除として使え、その年の所得税を軽減できます(2021年以前はローン残高に対し10%を10年控除)。(2022年9月現在)

このため、「住宅ローン控除期間中は、繰り上げ返済しないほうがおトクなのでは?」という意見もあります。

しかし、一概にそうとも言えません。住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)は、早い段階で実施したほうが支払利息削減効果は大きくなります。金利が高い、あるいは借入金額が多いケースなどは、住宅ローン控除を使いつつ、繰り上げ返済も行うと両方の恩恵を受けられるでしょう。

金利が低い場合も、早めに繰り上げ返済を実施したほうが、利息軽減効果が高いのは同じですが、住宅ローン控除で軽減できる税金額のほうが多い場合もあります。その場合は、住宅ローン控除期間が終了するまで資金をためておき、期間終了後に実施するのも手です。

ポイントになるのは、住宅ローン控除で軽減できる実際の税金額です。

これは、年末の住宅ローン残高だけでなく、所得や扶養控除などさまざまな条件を重ねて決定されるため、人によって異なります。

ローン残高が多いと控除額も多くなりますが、その人の所得や扶養などの条件によっては控除額を使い切れない場合もあります。

軽減できる税額は、自分が納めている税額が限度ですので、たとえば、住宅ローン控除で30万円の所得税が軽減されるとしても、実際に払う所得税が20万円だった場合、20万円しか控除効果はありません。

所得税で使いきれなかった控除分は、翌年の住民税を控除してくれますが、もともと納めている税金が少ないならば、繰り上げ返済をして返済総額を減らすほうがおトクになるケースもあります。自分が納めている所得税は、源泉徴収票の「源泉徴収税額」で確認できるので、実際の軽減額がどのぐらいかつかんでおくと判断の目安になります。

いずれにしても、「住宅ローン控除期間中は、繰り上げ返済をしないほうがおトク」という思い込みには注意が必要です。

多くの金融機関のサイトには、繰り上げ返済のシミュレーションが用意されていますので、具体的にチェックして判断するようにしましょう。

まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)を行うと、返済額にかかる支払利息を減らせ、返済総額を少なくすることができます。

ただし、手元資金が少なくなるため、ライフプランなどを考慮したうえで実施することが大切です。

方法としては、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、それぞれメリット・デメリットを確認したうえで選択するようにしましょう。

余裕資金があり、繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)を検討したい人は、一度金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。

執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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