住宅ローンを一括返済(全額返済)するメリットとは?手続方法や注意点を解説!
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公開日:2022年9月12日
住宅ローンを一括返済すると、残りの返済期間で支払う予定だった金利の利息をなくせるので、返済総額を減らせるメリットがあります。
一方、一括返済する金額が大きい場合、預貯金をそれだけ減らすことになり、手元の資金が一時的に少なくなるほか、住宅ローン控除も使えなくなるなどの注意点もあります。
この記事では、住宅ローンを一括返済するメリットや注意点、手続方法について解説します。
住宅ローンを一括返済するメリットとは
住宅ローンの一括返済とは、住宅ローンを返済中に、残高を一括で全額返済することを指します。
住宅ローン返済中は、残高に対して金利の利息を払い続けるため、返済期間が長くなるほど、返済総額が膨らみます。しかし、一括返済でローンを完済すると、本来払い続けるはずだった金利の利息をなくすことができ、結果的に返済総額を減らすことが可能です。
もちろん、「住宅ローンがない」という開放感を味わえ、毎月の費用負担も減らせるというメリットも大きいでしょう。
また、住宅ローンを組む際に、保証料を一括で支払っている場合、保証料が戻ってくるケースもあります。保証料は返済期間にかかるため、一括返済によって減った分の返済期間に応じて保証料が返金となるのです。これを、「戻し保証料」といいます。
ただし、事務手数料型、および保証料の支払方法が利息組込型の場合は、戻し保証料はありません。
住宅ローンを一括返済する際の注意点
住宅ローンの返済総額を減らせ、毎月の費用負担からも開放されるメリットがある一括返済ですが、注意する点もあります。
一括返済を行う前に、次の3つの点をチェックしましょう。
【注意点1】住宅ローン控除の恩恵がなくなる
住宅ローン控除を受けている場合、一括返済することによって、その恩恵を受けられなくなります。
住宅ローンの金利より、控除される税率のほうが高い場合、年末調整や確定申告で戻ってきていた税金がなくなる点に注意しましょう。
ただし、前述のとおり、一括返済ではローン残高にかかる金利の利息も減らせます。住宅ローン控除期間中は、一括返済しないほうがおトクと考えがちですが、トータルで考える必要があるでしょう。
住宅ローン控除の期間・税制優遇は基本的に次のとおりです。
●2021年までに住宅を取得・居住開始
控除期間10年間/住宅ローンの年末残高に対し1%の減税
控除期間10年間/住宅ローンの年末残高に対し1%の減税
●2022年以降に住宅を取得・居住開始
控除期間13年間/住宅ローンの年末残高に対し0.7%の減税
控除期間13年間/住宅ローンの年末残高に対し0.7%の減税
【注意点2】一時的な負担が大きく、ライフプランに影響する
一括返済で、大きな金額を返済にあてる場合、手元の資金がそれだけ減ることになります。
子どもの教育費がかさむ時期や車の買い替えなど、大きな出費がある時期は、余裕資金があるなら別ですが、なるべく避けたほうが賢明です。
大きな支出はなくても、事故や病気で万が一収入が減った場合の生活費を確保しておく必要はあります。
手元に残るお金があまりにも少なくなる場合は、タイミングとして適切ではありません。老後資金への影響なども含め、全体のバランスを見て行うようにしましょう。
【注意点3】団信が消滅し、保険を見直す必要がある
住宅ローンを借り入れる際、死亡や病気になった場合に住宅ローンの返済がなくなる「団体信用保険」に加入していた場合、一括返済するとその保障がなくなります。
自分に万が一のことがあったときの保障や医療の保障が不足する場合は、新たに保険に入り直すケースも出てきます。
年齢が上がると保険料は高くなる傾向がありますので、事前に保険内容を見直しておくといいでしょう。また、一括返済をして新たに保険に入るまで、一時的に無保険となる期間が出るのはリスクです。
新たに加入する場合は、一括返済の前に手続きしておくなど、無保険となる期間が出ないように注意しましょう。
住宅ローンを一括返済する最適なタイミング
住宅ローンを一括返済するのに最適なタイミングは、各家庭の事情や返済後に手元に残せる資金の額などによって変わってきますが、一般的には、次のようなタイミングが考えられます。
- 住宅ローン控除が終了したとき
- 子どもが独立し、教育費の支出がなくなったとき
- 退職金や相続でまとまったお金が入ってきたとき
相続以外は、それぞれ時期を予想できますので、一括返済にあてる資金をコツコツ積み立てるなど、計画的に用意することができます。
住宅ローン控除期間は13年(2021年までに住宅を購入・居住開始の場合は10年)ありますので、その間につみたてていくといいでしょう。
子どもの独立後に一括返済を考えるなら、教育費にかかっていた費用をそのまま返済費用としてつみたてるなど、計画的にためていきましょう。ただし、退職までの年数があまりない場合は、一括返済が可能なほどためられるかどうか、よく見通す必要があります。教育費終了後は、老後資金へのそなえも見据えた上で計画を立てましょう。
どうしても一括返済をしたいならば、早めにつみたてをスタートするなど、ため方を検討しましょう。
退職金などで余裕資金ができた場合は、老後資金との兼ね合いを考慮して、一括返済か、あるいは一部を繰り上げ返済するか、検討するようにします。
ただ、予定していたタイミングでほかに必要な支出ができたり、収入が不安定になっていたりする可能性もあります。優先順位を考慮し、柔軟な調整を心がけるようにしましょう。
住宅ローンを一括返済する手続きの流れ
住宅ローンの一括返済は、インターネットバンキングを使えば、カンタンに行うことができます。
手続方法や操作は、金融機関によって異なりますが、一般的には口座に資金を入金した後、インターネットバンキングにログインし、住宅ローンのページから「繰り上げ返済」の手続きを選び、「全額返済」を選択します。あとは、画面上の指示に従って手続きを進めていきましょう。
ただし、自己資金ではなく、売却や借り換えでの一括返済の場合は、来店が必要になるケースがありますので、事前に金融機関に確認するようにしましょう。
完済後は速やかに、「抵当権抹消登記」を行います。抵当権とは、お金を貸した側(主に銀行)が、貸付の担保として不動産を確保しておくものです。
これは、住宅ローン完済後も、自動的に消えるものではなく、抵当権を抹消しないと、不動産を売却することができません。
「抵当権抹消登記」に必要な書類一式は、全額返済日に資金の引落しが確認できた後、金融機関等より約1週間~10日ほどでお届けのご住所にご郵送されます。
必要な書類を集め、できるだけ早めに法務局で手続きを行いましょう。
まとめ
住宅ローンの一括返済は、残りの返済期間にかかる金利の利息をなくすことができるため、返済総額を少なくできるのがメリットです。
ただし、一括返済することによって手元の資金が少なくなるため、教育費など大きな支出がある時期は避けたほうが無難です。
一括返済、あるいは一部繰り上げ返済を計画する際には、今後の収支予定を十分に確認し、ライフプランに影響が出ない返済方法とタイミングを検討しましょう。
執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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