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住宅ローン金利の推移とは?金利変動の要因や住宅ローンを借りるメリット・デメリットをライフステージ別に解説!

住宅ローン金利の推移とは?金利変動の要因や住宅ローンを借りるメリット・デメリットをライフステージ別に解説!
公開日:2022年5月9日
更新日:2023年1月31日
住宅ローンを選ぶ際には、現時点の金利だけでなく、過去の金利の推移も踏まえたうえで選ぶことが大切です。
この記事では、住宅ローンの金利の基礎知識とともに、過去の金利推移の動向とその背景について解説、ライフステージ別に住宅ローンを借りるメリットとデメリットを紹介します。
住宅ローン選びの参考として、ぜひお役立てください。

目次

住宅ローンの金利とは

金利とは、お金を借りた人が借りたお金(元金)に応じて支払う利息のことで、住宅ローンの場合は「年利」(年間の利率)で表示されるのが一般的です。
住宅ローンの金利には、大きく分けて「変動金利型」「当初固定期間選択型」「全期間固定型」の3つがあり、それぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。
金利タイプ メリット デメリット
変動金利型 市場金利が低い状況下では、一般的に固定金利型より金利が安い 返済期間中に市場金利が上がると、返済額が増える
当初固定期間選択型 固定金利適用期間は返済額が一定で、家計管理がしやすい 固定金利適用期間終了後の適用金利がわからないため、返済計画が立てづらい
全期間固定型 返済期間中に市場金利が上がっても、返済額が増えない 返済期間中に市場金利が下がっても、返済額が減らない

(1)変動金利型

金融情勢の変化に応じて、返済の途中でも決められた基準日ごと(毎月または年2回かは金融機関によって異なる)に借入金利が見直されるタイプの金利です。
市場金利が低い状況下では、固定金利型の住宅ローンよりも金利が低く設定されており、返済額を低く抑えることができます。一方、返済期間内に市場金利が上がると返済額が増えてしまうおそれがあります。また、借り入れの時点で最終返済月までの適用金利が確定しないので、返済計画が立てにくいというデメリットもあります。
なお、借入後に市場金利が急上昇して、毎月の「利息支払額」が毎月の「返済額」を超えてしまった場合は、超えた分の利息支払いは繰り延べられることになり、「未払い利息」として最終返済時に一括返済しなくてはなりません。

(2)当初固定期間選択型

借入期間のうち当初の一定期間のみ固定金利が適用されるタイプの金利です。固定金利適用期間に適用される金利はローンによって異なります。
固定金利適用期間は毎月の返済額が決まっているので、家計管理がしやすいというメリットがあります。また、変動金利適用期間に市場金利が下がれば、返済額を低く抑えることができます。一方で、固定金利適用期間中は市場金利が下がっても適用される金利が変わらないので、変動金利タイプのように返済額が減るメリットは享受できません。
逆に変動金利適用期間に市場金利が上がると返済額が増えるリスクもあります。また、固定期間終了後の適用金利や返済額が確定できないため、返済計画が立てにくいというデメリットもあります。

(3)全期間固定型

ローンを借り入れた時点の金利が、全借入期間を通じて適用されるタイプの金利です。
最大のメリットは、全期間にわたって一定の金利が適用されるので、市場金利が上昇しても返済額が増えないこと。毎月の返済額が決まっているので家計管理がしやすく、返済計画が立てやすいというメリットもあります。
一方で、「変動型より金利が高めに設定されている」、「市場金利が下がっても、その恩恵は受けられないので、返済額が減らない」というデメリットも指摘されています。

住宅ローン金利推移について

では、日本の住宅ローン金利は今後、どのように推移していくのでしょうか?
住宅ローン金利は、指標となる市場金利の影響を大きく受けます。
固定金利、変動金利により差はありますが、政策金利の動向に左右される部分も大きくあります。
民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)
出典:独立行政法人住宅金融支援機構『民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)』より
上のグラフは、民間金融機関の住宅ローン金利推移をグラフにしたものです。バブル景気の終了後、日本は政策金利を大幅に引き下げたのと同時期に住宅ローンの変動金利も大きく下がっていることがわかります。1999年からはゼロ金利政策が始まり、政策金利の水準の低下により、住宅ローンの金利もさらに低下しており、住宅ローン金利と政策金利の強い相関が見て取れます。

今後、住宅ローン金利はどうなる?

それでは、今後の住宅ローンの金利はどうなるでしょうか。
世界的には、足下、政策金利を引き上げる国が多く見られます。
例えばアメリカでは、国内のインフレを抑えるため、2022年だけでも7回連続して引き上げており、政策金利の動きを受けて、アメリカ国内の住宅ローン金利も上昇しています。
日本国内では、日銀は2016年1月のマイナス金利政策をきっかけに低水準になり、国内の住宅ローンの各金利も低水準で推移してきました。しかし、2022年12月20日に日銀金融政策決定会合にて、長期金利の変動幅上限をこれまでの0.25%から0.50%へと引き上げました。この変更は、市場が想定していなかったタイミングでの動きであり、決定を受け、市場金利も大きく上昇しました。日銀の政策変更が今後市場金利にどこまでのインパクトを与えるかは予測できませんが、今後の住宅ローンの金利水準に影響する可能性があります。
市場の金利変動に対し、変動金利・当初固定金利・全期間固定金利のどの金利をどれだけ変化させるかは、各金融機関により異なります。他行と比べて、変動金利が一番低い金融機関が、固定金利も低いとは限りません。各金融機関の方針の差が出やすい部分ですので、将来の金利上昇リスクにそなえて固定金利を検討する場合は、固定金利の金利水準で比較するとよいかもしれません。
では、日本の住宅ローン変動金利・固定金利は今後、どのように推移していくのでしょうか?

変動金利はどうなる?

変動金利は一般的に、日銀の政策金利の影響を受ける「短期金利」をもとに決定されるため、変動金利の推移を予測するには政策金利の動きに注目する必要があります。
海外の主要国に追随する形で日本でも政策金利が引き上げられれば、結果として住宅ローン金利は上がる可能性があります。もっとも2022年12月現在、日銀では金融緩和政策継続する意向を示していますが、前述のとおり2022年12月20日には実質的な利上げを行いました。将来的に賃金が上昇し、物価安定目標が継続的に達成されれば、日本でも金融緩和政策が継続されなくなり、政策金利がさらに引き上げられる可能性があることを念頭に置いておく必要があります。

固定金利はどうなる?

一方、固定金利は長期金利(一般的には10年もの国債の金利)をもとに決定されます。
2016年以降、日本では金融緩和政策の一環として、日銀が指値オペレーション(指定の利回りで国債を買い入れることで、一定以上の利回りの上昇を抑える政策)をおこない、長期金利は年0.25%で推移してきました。しかし、2022年12月20日に長期金利の変動幅上限を0.50%へ引き上げています。
金融緩和政策が終了すれば、固定金利が上昇する可能性が大きくなります。経済状況の変化に目を配り、いざというときに迅速かつ賢明な判断ができるように心がけておくことが大切です。

住宅ローンの金利が上昇推移し始めたときの対処法

では、この先、政策転換などで住宅ローンの金利が上昇推移し始めた場合、どのように対処をすればよいのでしょうか?

固定金利のローンを選ぶ

例えば日銀が政策金利の引き上げを決定するなど、今後明らかに住宅ローンの金利が上昇推移することが予想される場合、変動金利の住宅ローンを組むのはリスクをともないます。このタイミングで住宅ローンを利用するなら、固定金利型のローンを選ぶことをおススメします。
また、子どもが増える可能性がある、親の介護をする必要がある、勤務先の経営状態が良くないなど、将来の不安定要素が高い人も、毎月の返済額が一定で返済計画が立てやすい固定金利のローンを選んだほうが安心です。

繰り上げ返済を活用する

変動金利型の住宅ローンを利用している場合は、住宅ローンの金利が本格的に上昇推移し始める前に、繰り上げ返済することをおススメします。一気に完済できない場合も、可能な限り多く繰り上げ返済をしましょう。繰り上げ返済は支払った分が全額、元金の返済に充当されるため、利息分の負担を抑えることができ、全体の返済額も抑えることができます。

金利推移する中で、借りるメリット・デメリットをライフステージ別に解説

金利推移する中で、借りるメリット・デメリットをライフステージ別に解説
前述のとおり、日本では20年以上にわたって超低金利状態が続いていますが、2022年1月31日には長期金利(10年もの国債の金利)が6年ぶりに高値を更新、2022年12月20日に長期金利の変動幅上限が0.50%へ引き上げられたことが話題になりました。今後も長期金利の上昇が続けば住宅ローンも上昇するので、低金利のうちに住宅ローンを組んだほうが良いのでは、と思う人も多いことでしょう。
しかし、低金利だけを理由に住宅を購入するタイミングを決めるのは考えものです。
金利だけでなく年齢やライフステージも考慮して、購入のタイミングを慎重に検討したいものです。
ここでは年代別に、そのライフステージならではのメリットやデメリット、注意点を確認してみましょう。
20代 子どもなしの場合
メリット
  • 返済期間を長く設定できるので、毎月の返済額を抑えられる
  • 繰り上げ返済できる可能性が高い
  • 教育費がかからないので、ローン返済しながら貯蓄がしやすい
  • 団体信用保険に加入しやすい
  • 定年までに完済できる可能性が高い
デメリット
  • 年収が低く、希望金額を借りられない恐れがある
  • 頭金が十分に貯められない恐れがある
  • 借入期間が長い分、利息分の支払いが多くなる
共働きで子どものいない夫婦は比較的生活にゆとりがある場合も多く、若くてもペアローンを利用すれば高額の住宅ローンを組むことができます。
しかし、住宅ローン返済中に子どもが生まれるなどして、共働きができなくなってしまった際に収入が減ってしまうことなども想定して、無理のない借り入れをするようにしましょう。また、子どもが生まれると生活が大きく変わるため、住宅に求める条件も変化します。子どもがいない共働き夫婦は「通勤に便利な立地」で家を選ぶことが多いですが、子どもが生まれると利便性だけでなく、治安の良さや遊び場の有無、保育園や学校への距離なども重要になってきます。
20代でマイホームを購入する場合は、生活スタイルが変化する可能性も考慮して判断するようにしましょう。
30代 子ども有りの場合
メリット
  • 20代よりも収入が上がり、勤続年数も増えるので希望する金額を借りられる可能性が高くなる
  • キャリアの方向性が固まる時期のため、ライフプランが立てやすく、住居に求める条件をより明確にしたうえで購入できる
  • 団体信用生命保険に加入しやすい
  • 返済期間が30年以下のローンを組めば定年までに完済できる
デメリット
  • 子どもの教育費など家族の支出が増えてくるため、無理のある返済プランで借りると、返済が難しくなる恐れがある
30代は20代よりも年収が増える半面、子どもの学費や習い事の費用などが増え始める時期です。
30代で住宅ローンを組む場合は、できるだけ頭金をためて借入金額を少なくし、毎月の返済額を抑えることが大切です。また、最近は30代で転職や起業をする人も多いですが、転職・起業の直後はローンの審査で不利になる恐れがあることにも注意が必要です。
40代~50代 子ども有りの場合
メリット
  • 頭金を貯められる期間が長いため、借入金額を抑えられる
  • 年収が増え、毎月の返済に充てられる金額が多い
  • 老後を見据えた家選びができる
  • 若くして購入した場合に比べて、リタイヤ時点でマイホームの築年数が浅いため、将来の修繕費などを安く抑えられる可能性がある
デメリット
  • 返済期間の長いローンを組みづらい
  • 持病を持つ人が増える年代であり、団体信用生命保険に加入できないリスクが増えてくる
  • 子どもの教育費が大きく増える時期であり、返済が家計の負担になりやすい
健康に自信がある方なら40代以降でも遅くはないですが、返済期間が35年間の住宅ローンを借りたい場合、多くの住宅ローンは80歳までの完済が条件となっているので、検討するのは早いほうが良いでしょう。
なお、80歳が制限の場合も、45歳までに申し込めば返済期間が35年のローンを組むことはできますが、本当に80歳まで返済が続けられるのか、もしくは繰り上げ返済で返済期間が短縮できるのかどうかをしっかり考えたうえで、慎重に判断する必要があります。
目先の返済額を抑えるために安易に長期の住宅ローンを申し込むと、ゆとりある老後が送れなくなってしまう恐れがあることも忘れないようにしましょう。

まとめ

住宅ローンの金利は、指標となる市場金利の影響を大きく受けます。
現在は超低金利で推移していますが、2022年12月20日に長期金利の変動幅上限を0.50%へ引き上げたこともあり、今後はますます経済状況の変化に目を配り、いざというときに迅速かつ賢明な判断ができるように心がけておくことが大切です。
ただし、「低金利だから、今のうちに借りておこう」と慌てることなく、年齢やライフステージで住宅ローンを組むメリットやデメリットも比較検討し、住宅ローンを組むタイミングを見極めるようにしましょう。

執筆者:相山 華子(あいやま はなこ)

執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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