住宅ローンの審査に勤続年数はどう影響するのか?転職後でも申し込みができるのか解説します!
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- 2022年10月11日
- 2023年6月12日
ほとんどの金融機関では、住宅ローンの審査において申込者の勤続年数(同一の勤務先に何年続けて勤務しているのか)を確認します。なかには申込時の条件に「勤続年数〇年以上」という条件を設けているところもあります。
では、勤続年数が短い、たとえば転職直後の場合は、住宅ローンに申し込むことはできないのでしょうか?
勤続年数が住宅ローン審査に及ぼす影響や、勤続年数が短くても審査に通過しやすいケースについても解説します。
住宅ローンの審査に勤続年数はどう影響する?
住宅ローンの審査において、勤続年数は重要な審査項目の1つです。
国土交通省の「令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査」でも、93.2%の金融機関が「勤続年数」を審査項目としています(*)。
■95%以上の金融機関が審査対象としている項目
審査項目 | 審査の対象としている金融機関の割合 |
---|---|
完済時年齢 | 98.7% |
健康状態 | 97.9% |
担保評価 | 96.1% |
借入時年齢 | 97.2% |
では、具体的にどのくらいの勤続年数があれば、審査に通りやすいのでしょうか?
同調査によると、勤続年数を審査項目にしていると回答した金融機関の60%以上が、審査に必要な勤続年数を「1年以上」と回答、次いで「3年以上」が約14%、「2年以上」が約4%と続き、全体の80%以上の金融機関が勤続年数の条件を「1年以上」と回答しています(*)。
したがって、住宅ローン審査には勤務開始後、少なくとも1年以上経過してから申し込んだほうが良いでしょう。
(*)参考:国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」
勤続年数から判断されるポイント
このように、金融機関の多くが住宅ローンの審査において申込者の勤続年数を重視する理由は、勤続年数から次の2つのポイントを判断しようとしているからです。
①安定した収入があるかどうか
一般的には、勤続年数が長いほうが安定した収入を継続的に得やすいため、長期間にわたるローンの返済が可能だと判断されます。
②収入増が見込めるかどうか
一般的には、勤続年数が長い方が昇給などによる収入増の可能性が高くなるため、収入が安定し、住宅ローンをスムーズに返済できる可能性が高くなると判断されます。つまり、勤続年数が長ければ長いほど、「収入が安定していて昇給の見込みがあり、住宅ローンの返済能力が高い」と判断され、審査に通りやすくなるというわけです。
逆に勤続年数が短い人は、一般的に「収入が安定しない」「昇給まで時間がかかる」と判断されます。そのため、転職したばかりの人や独立開業したばかりの人は、審査が厳しくなる可能性が高くなります。
勤続年数が短くても審査に通過しやすいケース
では、転職をしたばかりで勤続年数が1年に満たない場合、住宅ローンを組むことはできないのでしょうか?
結論から言うと、必ずしもそういうわけではありません。
次のようなケースでは、転職したばかりでも、住宅ローンの審査に通る可能性があるといわれています。
関連会社やグループ会社へ転籍したケース
会社都合で関連会社やグループ会社に転籍となった場合については、自己都合の転職とはみなさず、勤続年数も転籍前と合算して評価する金融機関もあります。該当する人は、審査申込時に関連会社・グループ会社への転籍である旨を伝えると良いでしょう。
ただし、転籍先の会社規模が明らかに小さい場合や年収が大きく下がってしまう場合は、審査で不利になる可能性もあることに注意が必要です。
同業種内で転職し、年収が増えたケース
以前の勤務先と同じ業界内での転職は、それまでに培ったスキルや経験、人脈を生かして働けるため、キャリアアップとみなされ、審査に有利に働くことがあります。特に同じ業界内で以前の勤務先よりも規模が大きく知名度の高い会社への転職で、年収が上がる場合は、高く評価されやすいでしょう。
ただし、1年おきに転職するなど、スパンの短い転職は、たとえ年収UPを伴うものであっても、「収入の安定が判断できない」などの理由で、金融機関からの信頼を得づらくなる可能性があることに注意してください。
資格を活かした転職
税理士資格や弁護士資格など、業務に役立つ資格を活かした転職は、住宅ローンの審査に有利に働く可能性があります。
ただし、資格を活かして会社員として働くのではなく、独立開業する形での転職は、収入の安定や昇給について見通すことが難しいため、審査に不利に働くことがあります。
転職後の申し込みに必要な書類
ここまで見て来たとおり、原則として転職後1年以内は住宅ローンの審査に通りづらく、通った場合も希望どおりの金額が借りられない可能性があります。そのリスクを理解したうえで、どうしても住宅ローンを利用したい場合は、金融機関に事情を話し、申し込めるかどうか相談してみましょう。
前述したケースのように、勤続年数が短くても住宅ローン審査に通る可能性はゼロではありません。
なお、転職直後に住宅ローンを申し込む場合、継続的に安定収入が見込めるかどうかをしっかり判断するために、通常の申し込みに必要な書類に加え、次のような書類の提出を求められることがあります。
- 採用通知書・雇用契約書(転職先での在籍確認ができる書類)
- 勤務先発行の勤続証明書(転職後の勤続期間を確認できる書類)
- 見込収入証明書(転職後の収入見込みが確認できる書類)
- 転職後の給与明細書(転職後に給与が支払われたことが確認できる書類)
- 職歴書(これまでの職歴が確認できる書類)
必要な書類の種類は、金融機関によって異なります。
よりスムーズに審査が進むよう、あらかじめどんな書類がどのタイミングで必要なのか、事前に金融機関に確認して、必要なものはなるべく早く準備しておくようにしましょう。
まとめ
この記事では、住宅ローンの審査と勤続年数の関係について見てきました。
一般的に勤続年数が長いほうが審査には有利であり、転職後1年未満の場合は、住宅ローンを組めないこともあります。
ただ、グループ会社内の転籍や年収UPを伴う転職の場合は、借りられる場合もあるので、まずは金融機関に相談してみましょう。
なお、住宅ローンを組む際には、無理のない返済計画を立てることが大切です。
自分の年収に見合った借入額はどのくらいか、無理のない返済金額はどのくらいか、金融機関に相談してアドバイスを受けるなど、信頼できる第三者の意見を聞いたうえで、返済計画を立てるようにしてください。
執筆者:相山 華子(あいやま はなこ)
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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