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ZEH(ゼッチ)住宅とは?地球に優しい家を建てるメリットとお金の話

ZEH(ゼッチ)住宅とは?地球に優しい家を建てるメリットとお金の話
公開日:2023年4月24日
ZEH住宅は、脱炭素社会にふさわしい地球に優しい住宅です。
日本政府も普及を後押ししており、新築や購入に対して補助金を交付しています。しかし、そもそもZEH住宅とはどのような住まいなのでしょうか。
住宅の基準やメリット・デメリット、補助金の申請方法について解説します。

目次

ZEH住宅は地球に優しい住まいのかたち

日本政府は脱炭素社会の実現に向けて、ZEH住宅の普及を推進しています。
ZEH住宅は地球環境に優しいだけではなく、居住者にとって快適で暮らしやすい住まいでもあります。
ここでは、ZEHとは何か、なぜ注目されているのかを紹介します。

ZEHとは

ZEH(ゼッチ)とは、net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語です。
断熱および省エネ性能の向上とエネルギー創出によって、1年間で消費するエネルギー量(一次エネルギー)が概ねゼロ以下となる住宅と定義されています。
ZEH基準を満たすことで、家全体の断熱性や住宅設備の効率が高まるので、夏は涼しく冬は暖かいという快適な住環境を実現でき、生活するだけで地球環境にも貢献できます。
ZEH住宅とはZeroEnergyHouse 1年間で消費するエネルギー量(一次エネルギー)が概ねゼロ以下となる住宅

今、ZEH住宅が注目される理由

ZEH住宅が注目される背景には、二酸化炭素の排出量増加による世界的な温暖化の進行があります。
このような背景から、地球に優しいグリーン社会実現の意識が国内外で高まっています。
日本政府も対策を進めており、その1つがZEH住宅の普及です。
具体的には「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」ことを政策目標に設定し、2050年のカーボンニュートラル達成を目指しています。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするということです。
排出した温室効果ガスと同じ量を植林、森林管理などにより吸収または除去することで、実質ゼロを目指します。
温室効果ガスは気候変動の原因の1つであるため、カーボンニュートラルの達成が持続可能な社会の実現につながります。

ZEH住宅の認定を受ける4つの基準

ZEH住宅の認定を受けるためには、次の4つの基準を満たす必要があります。
  1. 強化外皮基準
  2. 一次エネルギー消費量を基準から20%以上削減
  3. 再生可能エネルギーの導入
  4. トータルで一次エネルギー消費量を基準から100%以上削減
ポイントは、断熱、省エネ、創エネです。

1. 強化外皮基準

強化外皮基準とは、断熱性能の基準のことです。
断熱性能を高めれば、室内外の熱の移動が抑えられ、年中快適に過ごしやすくなります。
高断熱でエネルギーを極力使わない
断熱性能はUA値という指標で表され、数値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高いと判断されます。
省エネ住宅の場合、地域によって0.46〜0.87が基準になりますが、ZEH住宅は0.4〜0.6以下と、さらに高い基準を満たしています。

2. 一次エネルギー消費量を基準から20%以上削減

一次エネルギーとは、石油、石炭、天然ガスなど自然から得られるエネルギーのことです。
ZEH住宅においては、「冷暖房」「照明」「給湯」「換気」の4項目で使用するエネルギーを、一次エネルギー消費量に換算し、省エネ基準から20%以上削減できることが要件です。
その4項目に関しては、省エネ性能の高い高効率の機器を導入する必要があります。
高機能設備でエネルギーを上手に使う

3. 再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーとは、太陽光、地熱、風力など、枯渇せず発電時に二酸化炭素を排出しないエネルギーのことです。
ZEH住宅では、太陽光発電システムを導入する必要があり、蓄電池と組み合わせることが一般的です。
それによってエネルギーを創り出すことができ、災害時の電力確保にも役立ちます。
エネルギーを創る

4. トータルで一次エネルギー消費量を基準から100%以上削減

ここまでの1〜3の要件を満たし、最終的に一次エネルギー消費量を基準から100%以上削減することが求められます。
つまり、エネルギー消費量を減らすと同時に、再生可能エネルギーで電力を創り出し、トータルでエネルギー消費量をゼロ以下にするということです。
光熱費がゼロになるわけではありませんが、日々のエネルギー消費量は抑えられるので、環境だけではなくお財布にも優しい暮らしができます。
エネルギー消費量をゼロに

ZEH住宅で暮らすメリット・デメリット

脱炭素社会に向けた次世代の家として注目されているZEH住宅は、2012年のZEH支援事業開始から2020年度まで、累積の供給実績で約27万戸に増加しています。
今後、ますます注目を集めるZEH住宅で暮らすメリット・デメリットは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

ZEH住宅のメリット

ZEH住宅は、断熱、省エネ、創エネに優れた住宅です。それによって得られるメリットを見ていきましょう。

光熱費を抑えられる

ZEH住宅はエネルギー消費量を抑え、新たなエネルギーも生み出すので、一般的な住宅よりも光熱費を大幅に抑えられます。
経済産業省のレポートによると、実際にZEH住宅に居住した65%以上が「我慢の省エネをしなくても光熱費が抑えられている」と回答しています。
また、実例として、とあるマンションで1戸あたり年間およそ133,600円の光熱費を削減できたことも紹介されています。(*)
ZEH住宅は一般的な住宅よりも建築費用が高めですが、入居後の経済的なメリットが大きいことがポイントです。
  • 経済産業省 資源エネルギー庁「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業調査発表会 2019」

非常時の電源を確保できる

ZEH住宅は、再生可能エネルギーとして太陽光発電システムを導入し、電力の創出と蓄電ができます。
そのため、停電が起きても電気を補充でき、災害に備えられるメリットがあります。
日本は地震の多い国なので、非常時の電源を確保できることは安心感にもつながります。

一定の室温を保ってヒートショックを起こしにくくなる

ZEH住宅は断熱性が高く、家の中の気温が一定に保たれやすいことから、ヒートショックを起こしにくいというメリットがあります。
ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋に移動したときなど、急な温度変化によって血圧が変動し、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こすことです。
特に冬場は家の中でも温度差が大きくなりやすいので、ヒートショックのリスクが高まりやすいと言われています。
ZEH住宅なら冬でも家全体の気温が適温に保たれやすいので、部屋と部屋の温度差が小さく、ヒートショックのリスクを軽減できます。

ZEH住宅のデメリット

ZEH住宅はメリットばかりではありません。デメリットも把握しておきましょう。

天候によって太陽光発電が安定しない

太陽光発電は自然に頼ったエネルギーのため、常に安定した電力を得られるわけではありません。
天候の悪い日や日照時間の短い冬場は、発電量が減少する可能性があります。
それでもエネルギーを自給できることは、光熱費の削減に役立つでしょう。

設備投資やメンテナンスにコストがかかる

ZEH住宅は、太陽光発電システムや省エネ機器を設置する必要があるので、導入コストやメンテナンスコストがかかります。
例えば、太陽光パネルは劣化や損傷の可能性があるので、定期的なメンテナンスを行う必要があり、費用も発生します。
しかし、光熱費の削減効果や補助金があることを考えれば、ある程度はまかなえるでしょう。

ZEH補助金制度と申請方法

ZEH住宅には補助金制度があるので、地球に優しいマイホームをおトクに取得できます。
補助金は戸建て住宅で3種類あり、その内容と申請方法を確認していきましょう。

戸建て住宅のZEH補助金制度は3つ

戸建てのZEH住宅に対する補助金は、「ZEH」「ZEH+」「次世代ZEH+」の3つがあり、さらに「LCCM住宅」という区分もあります。
<令和4年度の戸建て住宅に対するZEH補助金制度>
補助金区分 対象住宅 補助額/戸
ZEH 注文・建売住宅におけるZEH 定額55万円
ZEH+ より高性能なZEH+ 定額100万円
次世代ZEH+ 再エネなどのさらなる自家消費の拡大を目指す住宅 定額100万円
LCCM住宅 さらに省CO2化を進めた先進的な住宅 上限140万円
  • 令和4年度3省連携事業ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの推進に向けた取り組み
ZEH住宅の省エネ性能の高さに応じて、補助金額も高くなっていきます。
標準的なZEHは省エネ基準から20%以上のエネルギーを削減できる住宅、ZEH+は省エネ基準比25%以上の削減、次世代ZEH+はZEH+よりも再生エネルギーなどのさらなる自家消費の拡大を目指す住宅です。
また、ZEHを超える環境性能がある、LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅もあります。
建設時・運用時・廃棄時の二酸化炭素排出にも配慮し、ライフサイクルを通じて二酸化炭素の収支をゼロ以下に抑える先進的な住宅です。
補助金区分と補助額/戸

ZEH補助金制度の申請方法

ZEH住宅の補助金は公募期間が決まっており、申請の先着順に交付が決定されます。
公募情報は、一般社団法人環境共創イニシアチブのホームページで随時発表されます。申請方法の流れは、以下のとおりです。
<ZEH補助金の申請の流れ>
  1. ZEH認定ビルダー・プランナーに相談・設計
  2. 金融機関によるローン審査・契約
  3. ZEH補助金の申請・審査・交付決定
  4. 着工
  5. ZEH住宅完成後に実績報告書を提出
  6. ZEH補助金の入金
実際の申請は認定ビルダーやプランナーを通して行いますので、家主がすることは特にありません。
補助金の交付が決定してから着工し、完成後に補助金を受け取るという流れです。
また、申請には第三者機関が建築物の省エネ性能を評価・認定する制度である「BELS(ベルス)」の評価書が必要です。基準を満たすことでZEHであることが評価書に記載され、補助金申請に利用できます。
BELSの申請から評価書発行までは4週間ほどかかるようですが、多くの場合、認定ビルダーやプランナーが代行してくれます。

まとめ

ZEH住宅は「断熱」「省エネ」「創エネ」を兼ね備えた地球に優しいこれからの住宅のかたちです。
光熱費を抑えられるほか、高い断熱効果で快適に過ごせるメリットがある一方で、一般住宅に比べて設備投資やメンテナンスにコストがかかるデメリットもあります。
補助金制度を上手に利用し、地球に優しいZEH住宅の家づくりを検討してみてはいかがでしょうか。
執筆者:國村 功志(くにむら こうじ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、一種外務員資格
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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