生命保険料控除の対象と申請方法とは|計算方法等丁寧に解説していきます
所得税納税者が生命保険料や介護医療保険料・個人年金保険料を支払っている場合は、払い込んだ保険料に応じて所得控除が受けられます。
しかし、「生命保険料控除」という言葉を耳にしたことはあっても、実際にどのようなものかわからないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、生命保険料控除の対象や申請方法、具体的な計算方法等を丁寧に解説します。
生命保険に関する所得控除について理解を深めましょう。
まずは「所得控除」について押さえておこう
生命保険料控除は、税金の負担を減らすことができる「所得控除」という制度のひとつです。
生命保険料控除の解説をする前に、まずは「所得控除」の概要や種類について押さえておきましょう。
控除の概要
収入から必要経費を差し引いて、残った額のことを「所得」と言います。
所得控除は、所得から一定の金額を差し引くことで課税対象となる所得金額を減らし、「所得税」や「住民税」の負担を減らせる制度です。
所得控除は大きく分けて、個人的な事情を反映する「人的控除」と、家事上の支出や損失を反映する「物的控除」の2種類あります。
所得が多いほど納税額も多くなるので、税金の負担を減らすための手段として活用できるのは大きなメリットといえるでしょう。
控除の種類
「人的控除」と「物的控除」には、それぞれどのような種類の控除があるのか見ていきましょう。
人的控除には、以下のような控除があります。
基礎控除
配偶者控除
扶養控除
障害者控除等
物的控除には、以下のような控除があります。
生命保険料控除
医療費控除
社会保険料控除
雑損控除等
受けられる控除の種類が多ければ、その分課税される所得金額が減り、納税額も抑えられます。
しっかり活用して、税金の負担を減らしましょう。
このように控除の種類はさまざまですが、今回はそのなかから「生命保険料控除」について解説します。
生命保険等に加入している方や、加入を検討している方はしっかり確認しておきましょう。
生命保険料控除の対象と活用方法
控除の対象となる保険のパターンや、申請方法について解説します。
生命保険料控除の対象
控除の対象は、加入している保険の契約を結んだ時期によって2パターンに分けられます。
2012年1月1日以降の保険は「新制度」、2011年12月31日以前の保険は「旧制度」の対象です。
「新制度」と「旧制度」では、控除額の計算方法等が異なります。
生命保険料控除は、新制度の場合「一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除」の3種類、旧制度の場合、「一般生命保険料控除・個人年金保険料控除」の2種類です。
一般生命保険料控除・介護医療保険料控除の対象となる保険は、保険金の受取人が「契約者・配偶者・その他の親族」となっているものに限られます。
また、個人年金保険料控除の対象となる保険は、年金の受取人が「契約者・配偶者」となっているものに限られます。
保険期間が5年未満の貯蓄型保険等、対象外の保険もあるため注意が必要です。
生命保険料控除の申請方法
控除を受けるには、加入している保険会社から送付される「保険料控除証明書」の添付が必要です。
保険加入者の就労状況等によって申請方法が異なりますが、主に以下のケースに分かれます。
- 会社員の場合
- 自営業の場合
- 電子データで控除証明書の交付を受けた場合
それぞれ解説します。
会社員の場合
会社員の場合は、「生命保険料控除証明書」を「給与所得者の保険料控除等申告書」に添付して勤務先に提出し、年末調整により生命保険料控除を受けます。勤務先で加入している保険で、給与天引きにより保険料を支払っている場合は、「生命保険料控除証明書」の提出は不要です。
年末調整により控除を受けることで、所得税は給与と合わせて還付され、翌年の住民税が減額されます。
自営業の場合
自営業の場合は、確定申告にて申請します。
確定申告書に「生命保険料控除証明書」を添付し、確定申告を行いましょう。
電子データで控除証明書の交付を受けた場合
現在、控除証明書は電子データにて交付を受けることも可能です。
電子データで控除証明書の交付を受けた場合も、年末調整や確定申告にて申請します。
各申告書に「電子的控除証明書等」を添付し、電子的に提出・送信することで控除を受けることが可能です。
生命保険料控除の計算方法
生命保険料控除について理解したところで、具体的な計算方法を確認しておきましょう。
会社員等の場合、会社が年末調整を行ってくれるため、自分で計算する機会はほとんどありません。
しかし、実際に支払っている保険料をもとに自分で計算を行えば、さらなる税金負担の軽減の可能性や、保険を見直す必要性等に気づけるかもしれません。
ここからは控除される上限金額や、年間支払保険料をもとにした計算方法について解説します。
上限金額
控除額には適用限度額が定められており、「新制度」と「旧制度」ではそれぞれ適用限度額が異なります。
契約始期によって2パターンに分けられ、2012年1月1日以降に締結した保険契約は「新制度」、2011年12月31日以前に締結した保険契約は「旧制度」の対象です。
「新制度」にて控除されるそれぞれの適用限度額は以下のとおりです。
- 所得税40,000円
- 住民税28,000円
- 所得税50,000円
- 住民税35,000円
計算方法
控除額は、年間の支払保険料額によって異なります。
「新制度」と「旧制度」の計算方法は、以下の表で確認しましょう。
①「新制度」の計算方法(所得税)
年間の支払保険料 | 控除額 |
---|---|
20,000 円以下 | 支払保険料の全額 |
20,000 円超 40,000 円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 10,000 円 |
40,000 円超 80,000 円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 20,000 円 |
80,000 円超 | 一律 40,000 円 |
例)年間の支払保険料が30,000円の場合の控除額は、30,000円×1/2+10,000円=25,000円となります。
一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料、あわせて120,000円が上限です。
②「新制度」の計算方法(個人住民税)
年間の支払保険料 | 控除額 |
---|---|
12,000 円以下 | 支払保険料の全額 |
12,000 円超 32,000 円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 6,000 円 |
32,000 円超 56,000 円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 14,000 円 |
56,000 円超 | 一律 28,000 円 |
例)年間の支払保険料が30,000円の場合の控除額は、30,000円×1/2+6,000円=21,000円となります。
一般生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料、あわせて70,000円が上限です。
③「旧制度」の計算方法(所得税)
年間の支払保険料 | 控除額 |
---|---|
25,000 円以下 | 支払保険料の全額 |
25,000 円超 50,000 円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 12,500 円 |
50,000 円超 100,000 円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 25,000 円 |
100,000 円超 | 一律 50,000 円 |
例)年間の支払保険料が30,000円の場合の控除額は、30,000円×1/2+12,500円=27,500円となります。
一般生命保険料・個人年金保険料、あわせて100,000円が上限です。
④「旧制度」の計算方法(個人住民税)
年間の支払保険料 | 控除額 |
---|---|
15,000 円以下 | 支払保険料の全額 |
15,000 円超 40,000 円以下 | 支払保険料 × 1/2 + 7,500 円 |
40,000 円超 70,000 円以下 | 支払保険料 × 1/4 + 17,500 円 |
70,000 円超 | 一律 35,000 円 |
例)年間の支払保険料が30,000円の場合の控除額
30,000円×1/2+7,500円=22,500円
一般生命保険料・個人年金保険料、あわせて70,000円が上限です。
また、「新制度」と「旧制度」それぞれに加入している場合は、以下の計算方法により算出します。
旧制度の年間支払保険料等の金額が60,000円を超える場合
旧制度の計算方法にて算出
旧制度の年間支払保険料等の金額が60,000円以下の場合
新制度と旧制度それぞれの計算方法で算出した金額の合計
一般生命保険料控除または個人年金保険料控除にて、新制度と旧制度の双方について生命保険料控除を適用する場合には、「新制度を適用し算出した控除額+旧制度で算出した控除額」で計算します。
ただし、所得税は40,000円、個人住民税は28,000円が限度となります。
まとめ
生命保険料控除では、新制度と旧制度でそれぞれ控除額の上限金額や計算方法が異なります。
まずは、自分が加入している保険はいつ加入したものなのかをしっかり把握しましょう。
実際に控除額を計算することで、生命保険料控除への理解が深まります。
また、控除を受けるには年末調整や確定申告にて申請する必要があります。
保険会社から送付される「生命保険料控除証明書」をしっかり保管しておきましょう。
記事提供:トランス・コスモス株式会社
監修者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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お客さまにご負担いただく諸費用について
お客さまにご負担いただく手数料のうち主なものは以下の通りです。
種類 | 費用の概要 |
---|---|
保険契約関係費用 | ご契約時の初期費用や、運用期間中・年金受取期間中の費用等、契約の締結・成立・維持・管理に必要な費用です。 |
資産運用関係費用 | 投資信託の信託報酬や、信託事務の諸経費等、特別勘定の運用により発生する費用です。 |
解約控除 | 契約日から一定期間内の解約の場合に特別勘定から控除される費用です(解約時のみ発生いたします)。 |
- ご負担いただく手数料種類やその料率は、商品によって異なります。くわしくは各商品の「パンフレット」、「契約概要・注意喚起情報」、「ご契約のしおり・約款」等でご確認ください。
- くわしくは、窓口までお問い合わせください。
個人年金保険・終身保険等の保険(以下「保険」といいます)をお申し込みの際は、次の点にご注意ください。
- 保険は預金ではなく、当行が元本を保証する商品ではありません。
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- 商品種類・運用状況・経過年数等によっては、価格変動リスク・金利変動リスク・為替変動リスク・信用リスク等により、積立金額・年金額・解約返戻金額等が払込保険料を下回る場合があります。
- 商品種類によっては、ご契約時の契約初期費用のほか、ご契約後も毎年、保険関係費用・運用関係費用・年金管理費用等がかかる場合があります。また、ご契約から一定の期間内に解約された場合、解約控除(費用)がかかる場合があります。
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