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新NISAにはメリットしかない?見落としがちなデメリットを、お金のプロが徹底解説

新NISAにはメリットしかない?見落としがちなデメリットを、お金のプロが徹底解説
  • 2023年11月21日
  • 2024年4月1日
2024年1月から大きく改正されるNISA制度。年間の投資上限額の拡大や非課税期間の無期限化など、より制度が拡充されるとして多くの投資家の注目を集めています。
しかし、新NISAは決してメリットばかりではありません。本記事では、新NISAの概要や注意したいデメリット、上手な使い方について解説します。

目次

2024年から始まる新NISA。2023年までのNISAとの違いは?

2024年1月から始まる新NISAは、非課税期間や年間の投資上限額など多くの制度改正が予定されています。まずは、主な変更点を押さえておきましょう。
  1. この記事では便宜上、2023年までのNISAをつみたてNISAと区別し「一般NISA」、2024年からの新制度を「新NISA」と呼びます。

2023年までのNISA制度から新NISAへ。投資の自由度がぐんと高まる

2023年までのNISAと新NISA制度の違い
  • 金融庁ウェブサイトの図を加工して作成
新NISAの主な変更点は、下記の4点です。

  • つみたて投資枠と成長投資枠を併用できるようになる
  • 年間の投資上限額と、生涯の非課税保有限度額が大幅にアップする
  • 非課税で保有できる期間の期限がなくなる
  • 売却した翌年に非課税保有限度額(総枠)を再利用できるようになる

2023年までのNISA制度では、つみたてNISAと一般NISAの選択制でしたが、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」をどちらも併用できるようになります。
また、年間の投資上限額が最大360万円へ増額され、非課税期間も無期限化されることから、より長期の資産運用に活用しやすくなります。1人あたりの非課税保有限度額は1,800万円ですが、売却による再利用が認められているため、投資意向の変化やマーケット環境に合わせて保有資産を調整することも可能です。
ただし、非課税保有限度額の再利用ができるようになるのは売却した翌年です。年間の投資上限額(360万円)については再利用できませんので注意しましょう。

新NISAはメリットしかない!?それってホント?

新NISAはメリットしかない!?それってホント?
新NISAは非課税期間が無期限化されたことや、年間の投資上限額が増額されたことから、制度が大幅に拡充されたと評価されています。しかし、これらのメリットに、デメリットも存在することを理解しておく必要があります。
ここからは、新NISAのメリットの裏に隠れているデメリットについて解説していきます。

新NISAのメリットの陰にはデメリットも隠れている

【デメリット1】2023年末までに購入したNISAの残高は、新NISAへロールオーバーできない

2023年までの一般NISAでは、非課税期間満了の際にロールオーバーを行うことで、非課税期間の延長が行えました。しかし、2024年以降は一般NISAと新NISAの保有分が別々に管理されるため、ロールオーバーが行えないようになります。
したがって、2023年末までに購入した一般NISAの残高は、非課税期間満了までに売却するか、課税口座へ移管するかを選択しなくてはなりません。

【デメリット2】成長投資枠の対象商品が限定される

新NISAの成長枠では、下記の条件に該当する銘柄が対象外となる見込みです。

  • 整理・監理銘柄
  • 信託期間が20年未満の投資信託
  • 毎月分配型の投資信託
  • デリバティブ取引を用いた一定の投資信託

一般NISAでは信託期間や分配方式への制限がなかったため、これまで非課税で投資できていたファンドも2024年以降は対象外となる可能性があります。新NISAの対象商品は投資信託協会より随時公表されていますので、ぜひチェックしておきましょう。

【デメリット3】口座を開設できるのは18歳以上のみ

新NISAで口座開設ができるのは、口座開設を行う年の1月1日時点で18歳以上の人に限られます。2023年までは、ジュニアNISAを活用して未成年でも非課税で投資ができましたが、新NISAでは未成年を対象とした非課税制度は設けられていません。

【デメリット4】2023年までのNISA制度と変わらず元本割れリスクがある

NISA制度の対象となっている株式や投資信託は元本保証がなく、投資した元本が割れるリスクがあります。投資する際は必ず余裕資金を原資として、万が一損失が出ても日常生活に影響が出ない範囲で取り組みましょう。
ただし、元本割れのリスクは、長期投資に取り組むことで低減できます。NISA制度で資産運用を行う際は、短期で売買を繰り返すのではなく、長期保有を心がけることが大切です。

【デメリット5】2023年までのNISA制度と変わらず損益通算ができない

損益通算とは、利益と損失を相殺することです。特定口座や一般口座などの課税口座では、損益通算が認められているため、万が一損失が出たときも他の取引で得た同一年分の利益と相殺することができます。
しかし、NISA制度では損益通算が認められていないため、損失が出たときにその損失を有効活用する方法がありません。
新NISAのメリットの陰にはデメリットも隠れている

新NISAをかしこく利用するには、方針をしっかり決めること

新NISAはこれまでと比べて自由度が高くなるため、かしこく活用するためには運用方針をしっかり決めることが大切です。ここからは、新NISAを活用するときに事前に考えておきたいポイントを紹介します。

つかうお金、ためるお金、ふやすお金をわけて考える

資産運用に取り組むときは、まず自分の資産を「つかうお金」、「ためるお金」、「ふやすお金」の3つに分けてみましょう。
資産形成の主な種類
  • 三菱UFJ銀行オンラインセミナー資料「定期預金だけじゃ足りない?今から始めて差をつける!NISAと資産形成」
NISA制度の対象となる株式や投資信託は元本割れのリスクがあるため、当面使う予定のない「ふやすお金」で取り組む必要があります。日常生活で使う生活費や、近々使う予定のあるお金は普通預金や定期預金を活用して、いつでも引き出せるようにしておきましょう。

投資の目的を考える

次に、投資の目的を考えます。
目標を立てずに資産運用を始めると、「いつまでにいくら貯めればよいか」ということが分からず、適切な運用計画が立てられません。しかし、「老後資金として〇年後までに〇万円貯めたい」といった目標がはっきりしていれば、自ずと「そのために今毎月いくら貯めればよいか」ということが明確になります。

つみたて投資枠と成長投資枠の配分を考える

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。年間の投資上限額はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円ですので、どのような配分で投資するか計画を立てることが大切です。
また、このときに気を付けたいのが非課税保有限度額についてです。新NISAでは1人あたりの非課税保有限度額(総枠)が1,800万円となっており、成長投資枠で利用できるのはそのうち1,200万円までとなっています。

  • 「つみたて投資枠対象の投資信託に500万円、成長投資枠で株式を200万円」
  • 「非課税保有限度額の全額1,800万円を、つみたて投資枠対象の投資信託で利用する」
  • 「配当金受取を目的に成長投資枠で株式に1,200万円、残りの600万円をつみたて投資枠で投資信託購入」

など、自分の投資意向に合った配分を考えてみましょう。
つみたて投資枠と成長投資枠の配分を考える

リスク許容度によって商品を選ぶ

リスク許容度とは、「どれくらいの損失に耐えられるか」ということです。
NISA制度に限らず、資産運用に取り組むときは、リスク許容度を明確にしておく必要があります。たとえば、「10年後に使う子供の教育資金を貯めたい」という人が、ハイリスク商品で運用するのは適切とはいえません。
運用商品を選ぶときは、投資を行う目的やお金が必要となる時期に合わせて、適切なリスクを取るようにしましょう。

初心者の場合は、プロに相談することがデメリット対策になる

新NISAの開設は、銀行・証券会社などの金融機関窓口やオンラインの手続きから申し込みが行えます。初めて資産運用に取り組む人は、「運用計画をどのように立てればいいのか分からない」、「自分で商品を選べるか不安」と感じることもあるでしょう。
新NISAをより有効活用するためには、金融のプロへ相談することもひとつの方法です。

投資初心者はいつもの銀行で相談できると安心

新NISAはネット証券などで開設することもできますが、オンラインの手続きで完結するところでは投資の目的・目標額の設定や、商品選びなどを自分1人で行わなければなりません。
一方、いつも利用している銀行であれば、オンラインで口座を開いたあとでも、相談したいときに対面やオンライン相談で担当者に直接相談できるため、疑問点や不安をひとつずつ解消しながら資産運用に取り組めます。
インターネットバンキングを利用すれば、スマートフォン・パソコンから購入・売却手続きが行えますので、預金と運用商品をまとめて管理できる利便性もあります。
「いきなり大きな金額を投資するのが不安」という人は少額投資から始めて、担当者と相談しながら徐々に投資金額を大きくしていくのも良いでしょう。
迷ったらプロに相談!

まとめ

新NISAにはデメリットがまったくないわけではありませんが、「利用によるデメリット」よりも「利用しないデメリット」の方が大きい優れた非課税制度といえるでしょう。
新NISAでは活用の選択肢が広がった分、「この使い方でいいのだろうか」と不安が大きくなる人もいるかもしれません。その場合は、いつも利用している銀行など頼れる専門家に相談しながら、自分に合った活用方法を見つけてみましょう。
執筆者:椿 慧理(つばき えり)
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、1種外務員資格、内部管理責任者
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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  • NISA口座は、開設後、税務署の審査が完了するまで金融機関の変更および廃止はできません。
  • NISA口座での損失は税制上ないものとされます。
  • NISA制度では、年間の非課税投資枠(つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円)と非課税保有限度額(総枠)(つみたて投資枠・成長投資枠あわせて1,800万円、うち成長投資枠1,200万円)の範囲内で購入した上場株式等の商品から生じる配当所得および譲渡所得等が非課税となります。
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(2024年4月1日現在)