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iDeCo(イデコ)の運用利回りとは?積立額と運用利回り別にシミュレーションして解説します!

iDeCo(イデコ)の運用利回りとは?積立額と運用利回り別にシミュレーションして解説します!
  • 2022年11月14日
  • 2024年12月1日
加入者が堅調に推移しているiDeCo。老後2,000万円問題を受けて「自分の年金は自分で」というのは、いまやスタンダードになりつつある考え方と言って良いでしょう。

とりわけ若い世代の方の加入が増えています。投資は運用期間が長いほうが良いと言われていますが、どのような仕組みからそうなるのでしょうか。まずは運用利回りとは何か、から確認していきましょう。


目次

そもそも運用利回りとは?

運用利回りとは、金融商品のパフォーマンスを知る指標のことで、年にどのくらいのパーセンテージで資産を運用できたかを表します。一般的に運用利回りが高い金融商品は価格の変動幅が大きくなる傾向にあるのが特徴です。

資産形成にとって、なぜ運用利回りが大事なのでしょうか。たとえば、100万円を普通預金口座に預け入れたときのことを考えてみてください。利率が年0.1%のとき、1年後の利息は1,000円、税引き後の利息は797円になります。厳密には利回りと利率は異なるものですが、預金で資産は増えないことがわかるのではないでしょうか。

日本では長年デフレ状態が続いてきたためイメージしにくいかもしれませんが、永遠にその状態が続くことは考えにくいものです。すでに円安や、エネルギー・資源価格の高騰の影響でじわじわとインフレは始まりつつあります。インフレとはモノの値段が上がり、お金の価値が下がることです。

資産が預貯金のみだと、せっかく長い時間をかけてコツコツためてきたのに使うときには価値が目減りしている、ということもあるかもしれません。そのようなことにならないように、預貯金プラスアルファの資産形成を始めることが大切です。

とはいえ「どうやって投資をはじめればいいかわからない」「投資に時間や手間をかけられない」との声も聞こえてきそうです。そんなとき、比較的始めやすい資産形成方法が、iDeCoです。

iDeCoの運用商品の選び方については、こちらの記事をご覧ください。

運用利回りの目標の決め方について

iDeCoとは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度のひとつです。公的年金を補完するためのものなので加入は任意ですが、将来への備えを考えるなら積極的に活用を考えてみましょう。

iDeCoで資産配分が重要な理由

公的年金とiDeCoの大きな違いは、加入者(運用指図者)の判断と責任で運用商品を決定し、運用するものであるということです。公的年金の受給額をふやす方法はいくつかありますが、公的年金の場合、加入者である私たちが運用商品の意思決定に関与することはありません。

その点、iDeCoは自分の年金に主体的に関わっていくことができる制度であると言えます。運用の結果次第では、60歳以降に受け取る老齢給付金を掛金以上に増やすことも可能です。ただし、元本を減らす可能性もゼロではありません。

そのため投資信託と定期預金や保険などの元本確保型商品の組み合わせや配分を考えていくことが重要です。

運用利回りの目標の決め方

自分で運用商品を決めると言っても、どのように資産配分したらよいかわからない方もいらっしゃるでしょう。そのようなときは、始めにiDeCoの受け取りが開始する60歳までにどのくらいの資産額になっていれば良いかを考えてみてください。

資産額がどのくらいになるかは、次の要素からシミュレーションできます。また、本記事の後半では、iDeCoの運用利回り別シミュレーションについても記載しているので、ぜひ参考にしてください。

  • 運用利回り
  • 毎月の積立金額
  • 運用(積み立て)年数

シミュレーションしてみるとどのくらいの運用利回りが必要なのかがわかりますので、それに見合った資産配分を考えていきます。

投資リスクを抑えるのに有効な分散・長期投資

投資にはリスクがつきものです。私たちは「リスク=危険」と考えてしまいがちですが、金融商品の世界では価格の変動幅のことを指します。一般的に投資では大きな収益を期待すると、価格の変動幅が大きくなる関係にあります。

価格の変動幅が大きい、つまりリスクの大きな商品は大きなリターンを得られる可能性がある反面、大きな損失を出す可能性もあるということです。損失を出す可能性があるなら預貯金のようにリスクがない商品がいいと思うかもしれません。しかし、リスクがないことはリターンを得にくいことの裏返しでもあります。

物価上昇が見込まれる昨今では、預貯金の価格はどんどん目減りしていきます。実質的には損をしている、といっても過言ではありません。損はしたくない。けれど、価格変動のリスクは抑えたい。そのようなときに有効なのが、分散・長期保有です。

投資対象と時間を分散しながら、時間をかけて投資をしていくスタイルの有効性は、米国の投資家ウォーレン・バフェットをはじめ、世界中の投資家がすでに実証しています。分散・長期投資のコツは、淡々と続けていくことです。しかし、定期的に資産状況をチェックすることも忘れてはいけません。

年に一度は資産状況を確認し、今後運用成績が上向きになりそうな商品にスイッチするのもひとつの方法です。

iDeCoの運用利回りに期待できる理由

分散・長期投資ができるのはiDeCoだけではありません。それでもiDeCoをおススメするのには、次のような理由があります。

運用益が非課税で複利の恩恵を得られる

資産形成には複利での運用が効果的です。複利とは運用で得た収益を元本にプラスして再び投資することで、運用期間が長くなるほど投資額は大きくなっていきます。通常、金融商品を運用して得られた運用益は課税の対象であるため、再投資されるのは元本と税引き後の運用益となります。

その点、非課税のiDeCoは元本と運用益をそのまま再投資できます。一般的な投資信託に比べて再投資できる金額が大きくなるため、長期的に見ると大きなリターンを期待できるのです。

所得控除で実質利回りを上げられる可能性がある

iDeCoのメリットは将来受け取れる年金額が増えるだけではありません。運用期間中は掛金全額が所得控除の対象となりますので、所得税や住民税を計算するときの所得に計上されずに済みます。

たとえば、月2万円の積み立てをしたケースを考えてみましょう。税制優遇のない一般的な投資信託で運用している場合、控除できる金額はゼロです。ところが、iDeCoに加入すると、掛金の分だけ課税所得を減らすことができます。仮に所得税10%、住民税10%とした場合、支払う税金を4.8万円も軽減できることになるのです。

所得控除まで合わせた実質利回りは、運用利回り単体で見る以上によくなります。運用期間中の税負担を減らしながら、将来に備えることができるiDeCoは、資産形成期にある世代にはぜひとも積極的に活用したいところです。

仕組みや特長をもう少しくわしく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

iDeCoの運用利回り別シミュレーション

iDeCoの運用利回り別シミュレーション

iDeCoで運用すると、どのくらいの資産形成効果を期待できるのでしょうか。働き方ごとに毎月の積立額と運用利回り別にシミュレーションをしてみました。

自営業の場合

国民年金の第1号被保険者である自営業の方の年金は、国民年金部分のみの支給となるので、iDeCoは月々6.8万円まで拠出することができます。

毎月1万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約126万円 約194万円 約266万円 約341万円 約420万円
3% 約140万円 約227万円 約328万円 約446万円 約583万円
5% 約155万円 約267万円 約411万円 約596万円 約832万円

毎月3万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約384万円 約582万円 約796万円 約1,022万円 約1,258万円
3% 約948万円 約1,538万円 約2,222万円 約3,015万円 約3,935万円
5% 約465万円 約801万円 約1,233万円 約1,786万円 約2,496万円

毎月6.8万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約857万円 約1,319万円 約1,804万円 約2,315万円 約2,851万円
3% 約978万円 約1,588万円 約2,298万円 約3,122万円 約4,079万円
5% 約1,049万円 約1,800万円 約2,759万円 約3,982万円 約5,544万円

会社員・公務員の場合

会社員・公務員の方は、企業年金等に加入している方は月々2万円、加入していない方は月々2.3万円までiDeCoに拠出することができます。

毎月1万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約126万円 約194万円 約266万円 約341万円 約420万円
3% 約140万円 約227万円 約328万円 約446万円 約583万円
5% 約155万円 約267万円 約411万円 約596万円 約832万円

毎月2万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約252万円 約388万円 約531万円 約681万円 約839万円
3% 約279万円 約453万円 約656万円 約892万円 約1,165万円
5% 約310万円 約534万円 約822万円 約1,191万円 約1,664万円

毎月2.3万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約290万円 約446万円 約610万円 約783万円 約1,156万円
3% 約320万円 約520万円 約751万円 約1,020万円 約1,331万円
5% 約355万円 約609万円 約933万円 約1,347万円 約1,875万円

専業主婦(夫)の場合

専業主婦(夫)の方もiDeCoへの加入は可能です。所得控除のメリットはありませんが、運用益が非課税となるため、複利での再投資による恩恵は受けられます。

毎月1万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約126万円 約194万円 約266万円 約341万円 約420万円
3% 約140万円 約227万円 約328万円 約446万円 約583万円
5% 約155万円 約267万円 約411万円 約596万円 約832万円

毎月2万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約252万円 約388万円 約531万円 約681万円 約839万円
3% 約279万円 約453万円 約656万円 約892万円 約1,165万円
5% 約310万円 約534万円 約822万円 約1,191万円 約1,664万円

毎月2.3万円ずつ積み立てた場合

  10年 15年 20年 25年 30年
1% 約290万円 約446万円 約610万円 約783万円 約1,156万円
3% 約320万円 約520万円 約751万円 約1,020万円 約1,331万円
5% 約355万円 約609万円 約933万円 約1,347万円 約1,875万円
  1. 期間中、一定の利率での運用が均等なペースで続いたものとして計算しており、期間中の値動き(上げ下げ)や費用・税金等は考慮しておりません。また、想定利回り(年利)は、運用成果を試算するために仮定として置いたものであり、実際の運用成果を保証するものではありません。

複利で運用するiDeCoでは、いずれのケースでも運用期間が長いほど、積立金額が多いほど資産額が積み上がっていくことがわかります。

まとめ

リタイア後にゆとりのある暮らしを送るには、自助努力による資産形成が欠かせません。iDeCoは運用益が非課税なうえに、掛金が全額所得控除になるおトクな制度です。

シミュレーションからは運用期間が長くなればなるほど、期待リターンが大きくなることがわかりました。過去の運用実績では利回りが平均3〜5%のものも多くあります。場合によっては元本割れが起こる可能性もある点に注意してください。

iDeCoは慣れないうちは運用先を自分で決める難しさがある反面、年金を主体的に増やしていける魅力的な制度でもあります。上手に活用しながら、リタイア後の暮らしを描いていきましょう。

執筆者:筒井 永英(つつい のりえ)

執筆者保有資格:2級ファイナンシャルプランニング技能士

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。

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三菱UFJ銀行でiDeCoを始める方法

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ご注意事項

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  1. 原則、60歳まで引き出し(中途解約)ができません
    • 脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。
  2. ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
    • 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
    • 当行から特定の運用商品の推奨はできません。
  3. 運用商品の主なリスクについて
    • 預金は元本確保型の確定利回り商品です。預金は預金保険制度の対象となります。
    • 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
    • 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
    • 預金、保険および投資信託は異なる商品であり、それぞれリスクの種類や大きさは異なります。
  4. 初回手続き時、運用時、給付時等で、各種手数料がかかります
    • iDeCoには、初回手続き手数料・毎月の事務手数料・資産管理手数料・運営管理機関手数料・給付事務手数料等がかかります。
    • 手数料は、加入者となられる方は毎月の掛金から、運用指図者となられる方は積立金から控除されます。年金でお受け取りになられる方は給付額から控除されます。
  5. 60歳になっても受け取れない場合があります
    • 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
    • 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
      • 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。

株式会社 三菱UFJ銀行

(2024年12月1日現在)