iDeCo(イデコ)とは?仕組みや特長をわかりやすく解説!

更新日:2022年12月27日
iDeCoとは、個人で加入できる年金制度です。個人が将来にそなえて老後の資金を作りやすいよう、国が用意した制度で、掛金が全額所得控除になるなど税制優遇メリットがあるのが特長です。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)とは
iDeCoは個人が任意で加入する、私的年金制度です。より多くの国民が老後を豊かに過ごせる準備ができるようにと国が後押ししており、加入者には多くの税制優遇メリットが用意されています。
老後の資産形成に、ぜひ検討したい制度です。
老後資金づくりを目的とした制度
iDeCoの主な特長や仕組みは次のとおりです。
長期でコツコツ積み立て、60歳以降に受け取る
iDeCoでは、資産をコツコツと長期で積み立て、60歳以降に受け取ります。これは、iDeCoが老後の資産形成を目的としているためで、原則として途中での引き出しはできません。
税金面で優遇がある
まず、積立中は掛金が全額所得控除となり、申告すれば毎年の所得税と住民税が軽減されます。会社員の場合、年末調整で申告できるので手続きもカンタンです。拠出した分だけ税制メリットが高まるので、早く始めるほど恩恵が大きくなります。
また、運用で得た利益には通常20.315%の税金が課されますが、iDeCoでは非課税です。築いた資産を税金で減らさずにすむ、という点で有利です。将来受け取る際も、「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用されるので、一定額を非課税で受け取れます。
掛金を運用する
iDeCoの加入申し込みは、銀行や証券会社などの金融機関でおこないます。申請すると加入審査後は、指定した口座から掛金を拠出し、自分で選んだ運用商品で運用していく仕組みです。
一般的には、資産の残高や運用状況は電話やインターネットからアクセスでき、自分の資産状況をいつでも確認することができます。運用商品の変更は何回でも可能です。
公的年金との違い
iDeCoは個人で加入する年金制度のため、「国民年金」や「厚生年金」といった公的年金とは、仕組みや受け取り方が異なります。
運用は自己責任で行う
iDeCoに加入すると、掛金を拠出(積み立て)し、あらかじめ用意されている定期預金や投資信託などのなかから、自分で選んだ金融商品で運用します。
公的年金や企業年金は、国や企業が運用を指示しますが、iDeCoの運用は自己責任なので注意が必要です。
受取額は運用成績によって変化する
また、受け取れるのはあくまで運用で得た資産となり、公的年金のように一生涯の受給が保障されているわけではない点にも理解が必要です。
iDeCo(イデコ)の仕組み

iDeCoには、「積み立てる」「運用する」「受け取る」の3つのステップがあります。それぞれ、ポイントを見ていきましょう。
ステップ1:掛金を決めて積み立てる
また、掛金には上限があり、金額は働き方や勤め先の年金の状況によって変わってくるため、くわしくは後半で解説します。
ステップ2:運用する
iDeCoで運用できる商品には、主に「定期預金」「投資信託」「保険」があり、自分の運用方針に沿って決められます。
たとえば、商品Aに2,000円、商品Bに3,000円、商品Cに5,000円と決めた場合、毎月その配分で指定した商品を積み立てていきます。
iDeCoで運用する商品について
運用する商品は、自分のリスク許容度に合わせて選ぶことが大切ですが、前述のとおり、組み合わせや配分は自由に決められ、さらに変更もできます。
「投資は気になるけれどリスクが怖い」という場合、たとえば、掛金の一部だけ投資信託を積み立て、様子を見て運用を判断することも可能です。
ステップ3:受け取る
コツコツ積み立てた資産は、60歳以降で「老齢給付金」として受け取ります。受取方法は、次の3つです。
- 一時金として一括で受け取る
- 年金として分割で受け取る
- 一時金と年金を併用する
なお、次のようなケースの場合は、老齢給付金以外の形でも受け取れます。
障害給付金
加入者が60歳になる前に高度障害者となった場合は、運営管理機関に請求することにより、年金資産を非課税で受け取ることができます。受け取り方は、前述した3つから選択可能です。
死亡一時金
iDeCo(イデコ)の加入資格と掛金は?年齢制限や上限金額はあるの?
iDeCoの加入資格
iDeCoで拠出できる上限金額は、人により異なる
対象 | 企業年金 | 企業型DC | 月額 / 年額の上限 |
---|---|---|---|
会社員 | なし | なし | 23,000円 / 276,000円 |
なし | あり | 20,000円 / 240,000円 | |
あり | なし | 12,000円 / 144,000円 | |
あり | あり | 12,000円 / 144,000円 | |
公務員 | - | - | 12,000円 / 144,000円 |
自営業者等 | - | - | 68,000円 / 816,000円 (国民年金基金の掛金との合算で) |
専業主婦(夫) | - | - | 23,000円 / 276,000円 |
iDeCo(イデコ)を始めるときの注意点
60歳まで資産を受け取ることができない
老後資金という目的を考えると、引き出せないのはメリットでもあるのですが、掛金は無理のない金額に設定するなど、今使う資産とのバランスを考えて利用することが大切です。
受け取りには加入期間の要件がある
資産の運用のみを行った期間 = 運用指図者期間
60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
受取開始年齢は、通算加入者等期間によって細かく決められており、拠出期間終了後は受取開始の年齢になるまで、運用のみをおこなうことになります。
手数料がかかる
iDeCoの加入には、手数料がかかり、資産から控除されます。具体的には、次の4つです。
1. 新規加入時 | 2,829円 | 1回のみ・共通 |
---|---|---|
2. 事務数料 | 月額105円 | 毎月(加入者のみ) |
3. 資産管理手数料 | 月額66円 | 運用指図者となった場合も必要 |
4. 運営管理機関手数料 | 0円〜数百円 | 金融機関によって異なる |
運用する商品に、投資信託を選んだ場合は、商品ごとに決められた「運用管理費用」というコストもかかります。
iDeCoには、掛金が全額所得控除になるという大きな税制メリットがありますが、コスト以上の運用成績を出さないと、結果的に積み立てる資産はマイナスになってしまうため、注意が必要です。
iDeCoは1つの金融機関しか開設できない
iDeCoで扱う金融商品の数や種類、毎月発生する手数料は金融機関ごとに異なるので、最初に選ぶ際にきちんと確認することが重要です。
まとめ
毎年、掛金が全額所得控除になることを考えると、少額ずつでも早く始めるほど有利です。老後の資金をつくりたいと思ったら、ぜひ利用を検討してみましょう。
執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP®認定者
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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三菱UFJ銀行でiDeCoを始める方法
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ご注意事項
iDeCoをお申し込みいただく前に、下記についてご確認ください。
- 原則、60歳まで引き出し(中途解約)ができません
- 脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。
- ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
- 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
- 当行から特定の運用商品の推奨はできません。
- 運用商品の主なリスクについて
- 預金は元本確保型の確定利回り商品です。預金は預金保険制度の対象となります。
- 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
- 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
- 預金、保険および投資信託は異なる商品であり、それぞれリスクの種類や大きさは異なります。
- 初回手続き時、運用時、給付時等で、各種手数料がかかります
- iDeCoには、初回手続き手数料・毎月の事務手数料・資産管理手数料・運営管理機関手数料・給付事務手数料等がかかります。
- 手数料は、加入者となられる方は毎月の掛金から、運用指図者となられる方は積立金から控除されます。年金でお受け取りになられる方は給付額から控除されます。
- 60歳になっても受け取れない場合があります
- 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
- 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
- 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。
株式会社 三菱UFJ銀行
(2022年12月27日現在)