iDeCo(イデコ)のデメリットとは?加入時の注意点を徹底解説!

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)とはどんな制度?
iDeCoは個人が任意で加入する私的な年金制度です。老後を豊かに過ごせる準備ができるようにと国が後押ししており、加入者には多くの税制優遇メリットが用意されています。まずは制度の概要をカンタンに押さえておきましょう。
60歳未満の国民年金被保険者であれば、原則誰でも加入できる
iDeCoに加入できるのは、国民年金の保険料を納めている60歳未満(*)の人です。細かい条件はありますが、基本的には誰でも加入できます。
掛金を拠出し、自分で運用する
申し込みは銀行や証券会社などの金融機関でおこないます。加入後に拠出する掛金は、個人の資産として管理されます。一般的にはコールセンターやWebから、いつでも資産状況の確認が可能です。
加入中は、毎月掛金を拠出します。毎月コツコツ、資産を積み立てていくイメージです。積み立てた資産は、自分が選んだ商品で運用し、その運用結果によって将来受け取る金額が変わってきます。
積立金の受け取りは60歳以降
コツコツ積み立てた資産は、60歳~70歳になるまで(*)の好きなタイミングで受取開始できます。受け取り方は一括、年金、またはその併用から選択が可能です。
税制優遇が受けられる
iDeCo最大のメリットといえるのが、税制優遇が受けられることです。次の3つがあります。
掛金が全額所得控除になる
iDeCoに積み立てる掛金は、全額所得控除の対象です。年末調整や確定申告で申請すれば、その年の所得税と住民税の負担を減らすことができます。たとえば、所得税10%、住民税10%の人の場合、月1万円の掛金で年間約2.4万円の税金が軽減となります。
運用益が非課税になる
iDeCoの運用益には税金がかかりません。通常、運用益から20.315%の税金が引かれることを考えると、おトクといえるでしょう。
受け取る時も控除がある
将来受け取る際も、非課税枠が用意されており、一括で受け取る際は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となります。
iDeCo(イデコ)のデメリット
iDeCoには、税制優遇という大きなメリットがありますが、気をつけるべきポイントがあります。ひとつずつ見ていきましょう。
原則60歳まで資産は引き出せない
iDeCoは老後のための資産づくりを目的としているため、原則60歳まで資産を引き出すことができません。つまり、加入すると途中での解約は基本的にできないということです。そのため、60歳までは「まとまったお金がほしい」と思っても、iDeCoの積立金はあてにすることができません。手元資金とのバランスを考え、無理のない掛金に設定することが大切です。
手数料がかかる
iDeCoの利用には、手数料がかかります。具体的には、次の4つです。このうち、2、3、4については運用期間中、ずっと払い続けるコストとなり、最低でも月額171円、年額2,052円かかることになります。加入中は、コストを考えて運用する必要があります。
1. 新規加入時 | 2,829円 | 1回のみ・共通 |
---|---|---|
2. 事務数料 | 月額105円 | 毎月(加入者のみ) |
3. 資産管理数料 | 月額66円 | 運用指図者となった場合も必要 |
4. 運営管理機関手数料 | 0円~数百円 | 金融機関によって異なる |
運用する商品に、投資信託を選んだ場合は、上記以外に商品ごとに決められた「運用管理費用」というコストもかかります。
運用状況によって元本割れする場合がある
iDeCoで運用できる商品は、「定期預金」と「投資信託」、「保険」があります。
定期預金は、商品自体の元本割れはありませんが、金利が低く、資産の成長は見込めません。前述した通り、iDeCoの利用は手数料がかかるため、資産が増えないと手数料の分がマイナスになります。
投資信託は、定期預金や保険より資産が成長する可能性が高まりますが、元本保証はありません。
運用できる金融商品は金融機関によって異なる
iDeCoで選べる商品は、各金融機関によって異なります。そのため、買いたい投資信託の商品があっても、金融機関のラインアップになければ選ぶことができません。加入時には、その金融機関で運用できる商品をあらかじめ調べ、欲しい商品があるか確認しておくことが必要です。
iDeCoは1つの金融機関でしか開設できず、金融機関の変更はカンタンにできない
iDeCoは1人1口座です。加入する金融機関を変更することはできますが、手続きはネットでカンタン……というわけにはいきません。書面で申請し、手数料も5,000円ほどかかります。
国民年金基金連合会の審査などが入るため、手続きには数ヵ月必要です。また、資産を移す際、一度現金化する必要があるため、時期によっては損をする可能性もあります。
掛金には上限がある
iDeCoで拠出できる掛金は、上限があります。「全額所得控除になるから」と、掛金を増やしたくても、上限金額以上はできません。上限金額は、働き方などによって次のようになります。
対象 | 企業年金 | 企業型DC | 月額 / 年額の上限 |
---|---|---|---|
会社員 | なし | なし | 23,000円 / 276,000円 |
なし | あり | 20,000円 / 240,000円 | |
あり | なし | 12,000円 / 144,000円 | |
あり | あり | 12,000円 / 144,000円 | |
公務員 | ― | ― | 12,000円 / 144,000円 |
自営業者など | ― | ― | 68,000円 / 816,000円 (国民年金基金の掛金との合算で) |
専業主婦(夫) | ― | ― | 23,000円 / 276,000円 |
課税所得がない場合、税制メリットはない
iDeCoは、掛金が全額所得控除になりますが、税負担を減らすことができるのは、税金を納めている人だけになります。専業主婦(夫)など、所得がない場合は税金を納めていないため、このメリットはありません。
iDeCo(イデコ)を始めるときの注意点

iDeCoは金融機関選びや掛金の設定など、始めるときに注意したいことがいくつかあります。そのポイントをまとめました。
加入条件を確認する
iDeCoは、60歳未満(2022年5月からは65歳未満)の国民年金被保険者であれば、基本的に加入できますが、次のケースは加入ができません。念の為、確認しましょう。
- 国民年金保険料を免除中、未納中の人(障害基礎年金を受給している場合は加入可)
- 農業年金の被保険者
- 会社に企業年金や企業型確定拠出年金があり、規約でiDeCoとの併用が認められていない場合(2022年10月以降は緩和)
金融機関を比較する
iDeCoは、金融機関ごとに購入できる商品や手数料が異なります。加入時は、どのような商品を揃えているか、手数料は高すぎないか、十分に検討しましょう。証券会社で申し込む場合は、証券口座を開設する必要があります。一般に、手数料が安いとされるネット証券は、すべて手続きがオンラインとなるので、サポートサービスや、操作画面の分かりやすさなどもチェックしたいものです。
ネットの操作に不安がある場合は、対面相談窓口やコールセンターのある金融機関も選択肢にすると安心です。
掛金は無理のない金額に設定する
iDeCoは途中で引き出すことができません。掛金は、無理のない範囲で設定しましょう。iDeCoは最低5,000円から1,000円単位で設定できます。
iDeCoは掛金の上限金額がありますが、目一杯使う必要はないので、まずは少額から様子を見てもよいと思います。なお、掛金は、年に1度だけ変更できます。どうしても掛金のつみたてが苦しいときは、掛金の減額、もしくは停止を金融機関に申請しましょう。
掛金の変更は「加入者掛金額変更届」、拠出の停止は「加入者資格喪失届」を提出します。ただし、掛金の変更は年に1度しかできません。また、停止後もお金を引き出すことはできず、それまで積み立ててきた資産の運用を続けることになります。その間、毎月66円の手数料が必要です。停止は、所得控除の恩恵も受けられなくなるので、慎重に判断してください。
例外的に解約できるケースとは
加入者が死亡、もしくは高度障害者となった場合は「死亡一時金」「障害給付金」として積み立てた資産を受け取ることが可能です。それ以外でもいくつかの条件を満たせば解約は可能ですが、条件は非常に厳しいものとなっています。”解約はできないもの”と思っていたほうが良いでしょう。
まとめ
iDeCoで最も注意しなければならないのは、60歳以降しか引き出せないということです。
途中の解約は原則としてできないので、無理な金額でのつみたては禁物です。また、金融機関の変更は簡単にできないので、加入前に手数料やサービス、運用できる商品などをきちんと検討しましょう。
執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP®認定者
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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ご注意事項
iDeCoをお申し込みいただく前に、下記についてご確認ください。
- 原則、60歳まで引き出し(中途解約)ができません
脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。 - ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
- 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
- 当行から特定の運用商品の推奨はできません。
- 運用商品の主なリスクについて
- 預金は元本確保型の確定利回り商品です。預金は預金保険制度の対象となります。
- 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
- 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
- 預金、保険および投資信託は異なる商品であり、それぞれリスクの種類や大きさは異なります。
- 初回手続き時、運用時、給付時等で、各種手数料がかかります
- iDeCoには、初回手続き手数料・毎月の事務手数料・資産管理手数料・運営管理機関手数料・給付事務手数料等がかかります。
- 手数料は、加入者となられる方は毎月の掛金から、運用指図者となられる方は積立金から控除されます。年金でお受け取りになられる方は給付額から控除されます。
- 60歳になっても受け取れない場合があります
- 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
- 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
- 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。
株式会社 三菱UFJ銀行
(2022年4月20日現在)