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【iDeCo(イデコ)検討者向け】イデコはデメリットしかない?メリット・デメリットを知って賢く老後の資産形成に役立てよう

【iDeCo(イデコ)検討者向け】イデコはデメリットしかない?メリット・デメリットを知って賢く老後の資産形成に役立てよう
公開日:2022年4月20日
更新日:2024年1月17日
iDeCoとは、個人で加入できる年金制度です。個人が老後の資金を作りやすいよう、国が用意した制度で、掛金が全額所得控除になるなど税制優遇メリットがあるのが特長です。
その一方で、利用には手数料がかかり、原則60歳まで解約はできないなど注意点もあります。
制度を賢く老後資金づくりに活かすために、加入時に確認しておきたいポイントをまとめました。

目次

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCoとは、正式名称を「個人型確定拠出年金」という私的年金制度のひとつです。
公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に、個人で毎月積み立てた掛金を運用し、将来、掛金と運用益の合計額を給付として受け取れます。
制度の目的が老後資金の準備にあるため、iDeCoにおける投資は「長期投資」「分散投資」「継続投資」を前提としています。
投資先は金融庁の基準を満たした投資信託、定期預金、保険が対象です。
商品によってリスクとリターンのバランスが異なるため、加入者が自身で方針を決めたうえで投資先を選ぶことが望まれます。
65歳未満の国民年金被保険者であれば、原則誰でも加入できる制度です。
加入可能年齢は65歳までであり、受給開始年齢は加入期間に応じて60~75歳の間で選択できます。

デメリットしかないって本当?iDeCoの基本ルール

iDeCoは老後に向けた資産運用に期待できる制度ですが、一方で大きなデメリットがある制度とも言われています。
なぜiDeCoはデメリットが大きな制度であると言われてしまうのでしょうか。

原則60歳まで資産は引き出せない

iDeCoは効率良く自力で老齢給付金をふやすことを目的とした制度であるため、掛金は最速でも60歳になるまで引き出せません。
また、60歳から受給を開始するには、10年以上加入し続けていなければなりません。
加入期間が10年に満たない場合は、60歳時点における加入期間によって、65歳までの間で受給開始できる年齢が決まります。
iDeCoは原則として中途解約はできない制度です。
そのため毎月の積み立ては無理のない金額の範囲で行い、支払いが厳しいようなら積立額を調整するといった対応が必要です。

掛金に上限金額がある

iDeCoで拠出できる掛金は、上限があります。「全額所得控除になるから」と、掛金を増やしたくても、上限金額以上はできません。
上限金額は、働き方などによって次のようになります。
対象 企業年金 企業型DC 月額 / 年額の上限
会社員 なし なし 23,000円 / 276,000円
なし あり 20,000円 / 240,000円
あり なし 12,000円 / 144,000円
あり あり 12,000円 / 144,000円
公務員 12,000円 / 144,000円
自営業者など 68,000円 / 816,000円
(国民年金基金の掛金または国民年金の付加保険料との合算で)
専業主婦(夫) 23,000円 / 276,000円

手数料がかかる

iDeCoの利用には手数料が必要です。
加入時に必要な加入手数料だけでなく、毎月の資産運用にともなう継続的な費用の支払いが発生します。
事務手数料と資産管理手数料は必ずかかるため、最低でも毎月171円、年間で2,052円の支払いが必要です。
また、投資信託には投資信託商品ごとに定められた「運用管理費用」の支払いが必要です。
iDeCoで投資信託を運用している場合にも運用管理費用がかかります。
これらの手数料や費用は原則として掛金の中から自動的に引き落とされるため、支払いのための手続きを行う必要はありません。
1. 初回手続手数料 2,829円 1回のみ・共通
2. 事務手数料 月額105円 毎月(加入者のみ)
3. 資産管理手数料 月額66円 運用指図者となった場合も必要
4. 運営管理機関手数料 0円~数百円 金融機関によって異なる

元本割れのリスクがある

iDeCoは積み立てた資金で投資を行うため、運用成績によっては元本割れを起こすおそれがあります。
iDeCoで運用できる商品は「投資信託」「定期預金」「保険」のいずれかです。
投資信託はほかの2種類に比べ大きな運用益を得られる可能性がありますが、一方で価格変動により大きく損をするリスクをともないます。
ハイリスクハイリターンの性質を持つ商品を選んだ場合、特に元本割れのリスクが高まる点には理解が必要です。
定期預金と保険はいずれも元本が保証されていますが、運用益や利息は少額です。
そのため運用による資産増加はあまり期待できません。
また、iDeCoの運用には毎月一定の手数料がかかるため、運用益を手数料が上回ってしまうと、実質的に元本割れのような状態となるおそれがあります。

iDeCoを利用するメリットとは?

iDeCoを利用するメリットとは?
デメリットと捉えられる面があるiDeCoですが、国が推進する個人年金制度であることから、多くのメリットも存在します。

積み立てた掛金が全額所得控除になる

iDeCoに積み立てる掛金は、全額所得控除の対象です。
年末調整や確定申告で申請すれば、その年の所得税と住民税の負担を減らすことができます。
たとえば、以下の条件の人がiDeCoに毎月1万円を拠出したとします。
  • 会社員
  • 企業年金なし
  • 年収500万円(税込)
  • 30歳
  • 扶養家族なし
年間で合計12万円を拠出すると、所得税12,200円、住民税12,000円の合計24,200円の税制メリットがあります。
さらには、同じ条件で30歳から60歳までの30年間拠出し続けると、合計723,000円の優遇を受けられます。

運用益が非課税になる

iDeCoの制度を通じて得られた運用益には税金がかかりません。
一般的な金融商品では、運用にともなう配当・譲渡益に対し20.315%の税金が発生します。
しかしiDeCoは老齢給付金の増加を目指した国が主導する制度であることから、iDeCoにおける運用益が非課税とされています。

受け取るときも控除がある

iDeCoは、将来受け取る際にも非課税枠が用意されています。
一時金として一括で受け取る際は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となり、一般的な所得に比べ税制面で優遇されます。
退職所得控除は、会社から退職した際に受け取る退職金など、退職所得に該当する収入に適用される控除です。
iDeCoに適用される退職所得控除は以下のように算出します。
  • 加入期間が20年以下  40万円 × 加入期間
  1. 80万円未満の場合は80万円
  • 加入期間が20年超   800万円 + 70万円 ×(加入期間 - 20年)
また、受け取った一時金はさらに以下の計算式で退職所得が算出されます。
(一時金の金額 - 退職所得控除額)÷ 2
公的年金等控除は、年金として受け取る所得に対して適用される控除です。
受け取る年金の額、年金以外の所得に応じて控除率が細かく定められています。
受給者の年齢 受け取る年金額(A) 年金以外の所得が年間1,000万円以下の場合 年金以外の所得が年間1,000万円超2,000万円以下の場合 年金以外の所得が年間2,000万円超の場合
65歳
未満
  130万円
以下
60万円 50万円 40万円
130万円超 410万円
以下
(A)×25%+27.5万円 (A)×25%+17.5万円 (A)×25%+7.5万円
410万円超 770万円
以下
(A)×15%+68.5万円 (A)×15%+58.5万円 (A)×15%+48.5万円
770万円超 1,000万
円以下
(A)×5%+145.5万円 (A)×5%+135.5万円 (A)×5%+125.5万円
1,000万
円超
  195.5万円 185.5万円 175.5万円
65歳
以上
  330万円
以下
110万円 100万円 90万円
330万円超 410万円
以下
(A)×25%+27.5万円 (A)×25%+17.5万円 (A)×25%+7.5万円
410万円超 770万円
以下
(A)×15%+68.5万円 (A)×15%+58.5万円 (A)×15%+48.5万円
770万円超 1,000万
円以下
(A)×5%+145.5万円 (A)×5%+135.5万円 (A)×5%+125.5万円
1,000万
円超
  195.5万円 185.5万円 175.5万円
なお、一時金受け取りはほかの退職金と、年金受け取りは他の年金と合算して控除額が算出されます。
受け取るタイミングによっては支払う税金の総額がふえるおそれがありますので、受け取り時期をずらすようにシミュレーションしておきましょう。

iDeCoを賢く運用するために知っておきたいこと

iDeCoは金融機関選びや掛金の設定など、始めるときに注意したいことがいくつかあります。
メリットの大きいiDeCoで賢く運用するためにも、次のポイントを押さえておきましょう。

確定拠出年金には個人型だけでなく企業型もある

確定拠出年金には、iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業型確定拠出年金(企業型DC)が含まれます。
企業型DCは厚生年金被保険者が加入できる年金制度であり、iDeCoと同様に掛金を運用して老齢給付金をふやすことが目的です。
大きな違いはiDeCoが個人で掛金を拠出することに対し、企業型DCは原則として企業が従業員の掛金を拠出する点にあります。
企業型DCとiDeCoは併用が可能です。ただし企業型DCとiDeCoの掛金合計は月額55,000円が上限であり、うちiDeCoは2万円が上限です。
もし企業型DCの掛金が55,000円未満であり、将来に向けて年金を積み立てておきたいと考えるなら、iDeCoとの併用を検討しても良いでしょう。

運用できる金融商品は金融機関によって異なる

iDeCoは一人につき一つの金融機関でしか手続きできません。
金融機関ごとに購入できる商品の種類や数、手数料が異なりますので、十分に吟味したうえで手続きする金融機関を選びましょう。
なお、iDeCoを運用する金融機関はあとから変更が可能です。
しかし金融機関によっては運営管理機関の変更手数料を支払う必要があります。
金融機関を変更する際には、三菱UFJ銀行など運営管理機関変更手数料無料の金融機関を中心に検討すると良いでしょう。

保有している商品の変更(スイッチング)もできる

スイッチングは、現在iDeCoで運用している商品を売却し、異なる商品を購入することです。
iDeCoは同じ金融商品を長期間積み立て続ける制度ですが、景気の変化や世界情勢の影響などを受け、スイッチングして異なる商品で運用を続けたいと考える場合もあるでしょう。
また、毎月の積み立て先を変更する場合は別途「配分変更」の手続きが必要です。
スイッチングは、運用成績が悪い商品を好調な商品に入れ替え、利益を確保できるメリットがあります。
しかし、スイッチングは手続き開始から完了まである程度の期間が必要であるため、手続き中に大きく値動きする可能性があります。
なお、保険商品からのスイッチングは中途解約にあたり、保険の解約手数料にあたる解約控除の支払いにより、元本割れするリスクも生まれます。
iDeCoは長ければ数十年に渡って掛金を積み立て続ける制度です。よほどの理由がない限り頻繁なスイッチングは避け、腰を据えた長期運用を心掛けましょう。

掛金は無理のない金額に設定する

iDeCoは途中で引き出すことができません。掛金は、無理のない範囲で設定しましょう。
iDeCoは最低5,000円から1,000円単位で設定できます。
iDeCoは掛金の上限金額がありますが、目一杯使う必要はないので、まずは少額から様子を見ても良いでしょう。
なお、掛金は、年に1度だけ変更できます。掛金の積立が苦しいときは、掛金の減額、もしくは停止を金融機関に申請しましょう。
掛金の変更は「加入者掛金額変更届」、拠出の停止は「加入者資格喪失届」を提出します。
また、停止後もお金を引き出すことはできず、それまで積み立ててきた資産の運用を続けることになりますが、その間も運用指図者として手数料がかかります。
さらに、停止は所得控除の恩恵も受けられなくなるので、慎重に判断してください。

例外的に解約できるケースもある

加入者が死亡、もしくは高度障害者となった場合は「死亡一時金」「障害給付金」として積み立てた資産を受け取ることが可能です。
それ以外でもいくつかの条件を満たせば解約は可能ですが、条件は非常に厳しいものとなっています。”解約はできないもの”と思っていたほうが良いでしょう。

まとめ

iDeCoは老齢給付金の増額を目的とした長期運用をサポートする制度です。
個人で拠出した資金を運用して資産形成を行う個人型確定拠出年金として設計された制度のため、原則として60歳以降までは掛金を引き出せません。
この長期間の資産拘束がデメリットと捉えられることが多く、iDeCoへの加入を躊躇する方も少なくありません。
一方で、iDeCoは掛金の全額所得控除や運用益が非課税になるなど、税制面では非常に優遇されています。
そのため、一度加入すれば長期間にわたり、一般的な資産運用よりも多くの利益を得られる可能性があります。
生活を圧迫するほどの無理な投資にならないよう、負担にならない程度の額を積み立て続けられるように計画的な投資を行いましょう。
執筆者:手塚 裕之(てづか ひろゆき)
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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三菱UFJ銀行でiDeCoを始める方法

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ご注意事項

iDeCoをお申し込みいただく前に、下記についてご確認ください。

  1. 原則、60歳まで引き出し(中途解約)ができません
    • 脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。
  2. ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
    • 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
    • 当行から特定の運用商品の推奨はできません。
  3. 運用商品の主なリスクについて
    • 預金は元本確保型の確定利回り商品です。預金は預金保険制度の対象となります。
    • 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
    • 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
    • 預金、保険および投資信託は異なる商品であり、それぞれリスクの種類や大きさは異なります。
  4. 初回手続き時、運用時、給付時等で、各種手数料がかかります
    • iDeCoには、初回手続き手数料・毎月の事務手数料・資産管理手数料・運営管理機関手数料・給付事務手数料等がかかります。
    • 手数料は、加入者となられる方は毎月の掛金から、運用指図者となられる方は積立金から控除されます。年金でお受け取りになられる方は給付額から控除されます。
  5. 60歳になっても受け取れない場合があります
    • 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
    • 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
      • 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。

株式会社 三菱UFJ銀行

(2024年1月17日現在)