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年金受給年齢は何歳から?自分に合った受給開始時期を選ぼう!

年金受給年齢は何歳から?自分に合った受給開始時期を選ぼう!
公開日:2022年9月12日
年金は大切な老後資金の一つです。年金をいつ、どれくらいもらえるか知っておくと、今後の人生設計にも役立ちます。
ただし、年金の受給開始年齢は原則として65歳ですが、生年月日や性別によって異なる場合もあるため注意が必要です。
また、公的年金の受給開始年齢は繰り上げまたは繰り下げができるため、資金計画に応じて繰り上げ・繰り下げ制度の利用を検討してみましょう。
この記事では、老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始年齢および受給年齢の繰り上げ・繰り下げ制度について、ファイナンシャルプランナーがわかりやすく解説します。
いつから年金をもらえるか気になる方は、ぜひこの記事で受給開始年齢を知って、今後のマネープランの参考にしてください。

はじめに年金に関する基礎知識を知っておこう

はじめに年金に関する基礎知識を知っておこう
まずは、年金の基本的な知識を解説します。

公的年金は大きく分けて3種類ある

支給される公的年金は3種類あります。
老齢年金:高齢(原則65歳)になるともらえる年金
障害年金:一定の障害や病気になるともらえる年金
遺族年金:亡くなった人に扶養されている配偶者や子等がもらえる年金
さらに国民年金(基礎年金)と厚生年金に分けることができ、加入している年金制度によって、支給内容や要件が異なるため、自分がどの年金を受給できるのかを把握しておきましょう。
自営業者、学生、無職の人等(第1号被保険者):国民年金
会社員・公務員等(第2号被保険者):国民年金と厚生年金
専業主婦等の第2号被保険者の被扶養者(第3号被保険者): 国民年金
ここからは3つの公的年金について説明します。

老齢年金

老齢年金は、国民年金や厚生年金保険等に加入して、一定の期間と金額の保険料を収めた方が、原則として65歳以上になったときに支払われます。
年金の加入月数等により支給額が変わり、支給は生涯にわたって続きます。
ほとんどの方は、老齢年金を受け取る可能性が高いため、老後の生活設計をするうえで、ぜひ知っておきたい年金です。受給要件等は次の章で解説します。

障害年金

障害年金は、病気やケガ等によって一定の障害を患ったとき、生活を支えるものとして支給されます。
障害の状態とは、聴覚や視覚における障害、がんや脳梗塞、統合失調症等の精神障害により、生活が難しくなった状態のことをいいます。
障害の状況等によって支払われる年金額が変わるため、支給条件等を確認して受給申請をしてください。

遺族年金

遺族年金は、年金の被保険者が亡くなった際、被保険者に養われていた家族に対して支給される年金です。
亡くなった方の加入実績や子どもの有無等により支給額が変わります。くわしい年金額を知りたい場合は、年金事務所等に確認しましょう。
なお、多くの方は老齢年金を受け取るため、この記事では老齢年金を中心に紹介させていただきます。

老齢基礎年金と老齢厚生年金の違い

老齢年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金が2階建てになっています。国民年金の加入者は老齢基礎年金を受給でき、厚生年金保険の加入者は老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受給できます。
老齢基礎年金と老齢厚生年金のくわしい受給要件は以下のとおりです。

老齢基礎年金の受給要件

保険料納付済期間・保険料免除期間・合算対象期間を合わせた受給資格期間が10年以上必要
保険料納付済期間:国民年金の保険料を支払った期間、厚生年金保険(船員保険を含む)加入期間、各共済組合等の組合員期間
保険料免除期間:保険料を免除・納付猶予された期間
合算対象期間:国民年金に加入しなかった等の理由により、年金加入期間に含まれない期間。年金額の計算には反映されない

老齢厚生年金の受給要件

老齢基礎年金の受給資格を満たしたうえで、厚生年金の加入期間が1ヵ月以上必要
老齢基礎年金の支給額は、免除期間等の有無によって変動します。日本年金機構の「老齢年金ガイド 令和4年度」によると、令和4年度の老齢基礎年金の満額は、年額77万7,800円です。
そして、老齢厚生年金の支給額は、厚生年金加入時の平均標準報酬月額や加入期間から算出されます。
老齢年金の支給額算出方法は複雑であるため、自分の年金額が気になる方は日本年金機構の「ねんきんネット」等を活用してください。

その他の年金制度

老齢年金・障害年金・遺族年金以外にも、年金にはさまざまな制度があります。寡婦年金・死亡一時金・加給年金・振替加算について、それぞれ見ていきましょう。

寡婦年金

寡婦年金とは、国民年金の第1号被保険者として保険料を納めた期間や、国民年金の保険料免除期間が10年以上ある夫が亡くなった場合に利用できる制度です。一定の要件を満たす妻が、この年金を受け取れます。
ただし、寡婦年金は死亡一時金との併用ができない点に注意が必要です。

死亡一時金

死亡一時金は、第1号被保険者として保険料を納付した期間が合計3年以上ある人を対象とする年金制度です。対象者が年金を受け取らずに死亡し、対象者が養っていた遺族が遺族基礎年金を受け取れない場合、一定範囲の遺族に一時金が支給されます。なお、前述のとおり、寡婦年金との併用はできません。

加給年金

加給年金は、厚生年金の加入期間が20年以上ある方を対象とした制度です。対象者が65歳になる時点で、対象者に生計を維持されている配偶者(65歳未満)か、一定条件を満たす子どもがいる場合に支払われます。

振替加算

振替加算は、加給年金との関連性が強い制度です。配偶者が65歳になると、加給年金が停止されます。それを補うように、要件を満たした配偶者の老齢基礎年金に対して、生年月日に応じた金額が加算されるのが振替加算です。

年金を受け取るときの手続き

年金は、「年齢が65歳になる」「受給資格を得る」等の年金を受け取る権利(受給権)を満たしても、自動的に支払われるわけではありません。年金を受け取るには、年金事務所等への請求手続きが必要です。
年金を受け取る際の手順は以下のとおりです。
年金を受け取るときの手順
  1. 受給開始年齢になる3ヵ月前に、日本年金機構から年金請求書が送られてくる
  2. 年金請求書の必要事項を記入し、受給開始年齢になる誕生日の前日以降に、添付書類とともに年金事務所等に提出
  3. 年金請求書を提出した1~2ヵ月後に「年金証書・年金決定通知書」が送られてくる
  4. 年金証書・年金決定通知書が届いてから1~2ヵ月後に年金の受け取り開始
    (偶数月の15日に、前月までの2ヵ月分が支給される)
なお、年金を請求しないまま、受給できるようになったときから5年を過ぎると、法律に基づいて5年を過ぎた分の年金が受け取れなくなる可能性があるため注意してください。

年金の受給開始年齢は原則65歳!ただし例外もある

年金の受給開始年齢は原則65歳!ただし例外もある
年金の受給開始年齢は原則として65歳ですが、条件によっては例外もあります。受給開始年齢が早まったり遅くなったりする場合もあるため、注意が必要です。
老齢年金の受給開始年齢をそれぞれ解説します。

老齢基礎年金の受給開始年齢

先述のとおり、老齢基礎年金は受給資格期間が10年以上ある場合に、原則65歳から受給可能です。65歳以降に受給資格を満たした場合は、その時点から年金を受け取れます。
なお、令和4年度の年金額は満額の場合、年額77万7,800円(月額6万4,816円)です。年金額は毎年変更される点に注意してください。

老齢厚生年金の受給開始年齢

老齢厚生年金は、受給資格期間が10年以上ある場合に原則65歳から受給でき、厚生年金保険加入時の報酬額や加入期間をもとに年金額が計算されます。
ただし、一定の要件を満たす場合は、65歳になるまでの間「特別支給の老齢厚生年金」を受け取れるため、自身が該当するか確認しておきましょう。

特別支給の老齢厚生年金

受給要件:
  • 男性は昭和36年4月1日、女性は昭和41年4月1日以前に生まれていること
  • 厚生年金保険等の加入期間が1年以上あること
  • 老齢基礎年金の受給資格期間(10年)があること
  • 生年月日に応じた受給開始年齢に達していること
支給期間:
生年月日に応じた年齢から65歳になるまでの間
特別支給の老齢年金は、生年月日によって受給開始年齢が異なります。また、年金は標準報酬月額から算出される報酬比例部分と、加入期間から算出される定額部分に分かれており、それぞれ受給開始年齢が異なるため注意しましょう。

【支給開始を早くする】年金の繰り上げ受給

【支給開始を早くする】年金の繰り上げ受給
年金は原則として65歳から受給できますが、手続きをすれば受給時期の繰り上げや繰り下げが可能です。
ただし、年金の繰り上げ・繰り下げにはメリットとデメリットがあります。自身の状況等を踏まえたうえで、制度を利用するか判断しましょう。
ここからは繰り上げ・繰り下げ受給のメリット・デメリットを解説します。

繰り上げ受給の要件

繰り上げ受給とは、老齢年金の受給開始を繰り上げる、つまり、受給時期を早くする制度です。60歳から65歳になるまでの期間で請求でき、60歳まで受給開始年齢を早められます。
ただし、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰り上げることが必要です。どちらか一方のみを繰り上げることはできないため、注意してください。
また、繰り上げ受給には、繰り上げた期間に応じて年金の受給額が減額されるという特徴があります。いくら減額されるかは、老齢基礎年金や老齢厚生年金の金額に、以下の式で算出される減額率を乗じて求めます。
昭和37年4月2日以降生まれた方の減額率(最大24%)
=0.4%×繰り上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数
例えば、年間受給額が100万円で、受給開始年齢が65歳の方が60歳まで年金受給を繰り上げた場合、100万円×0.4%×12ヵ月×5年=年間24万円の減額となります。
なお、昭和37年4月1日以前に生まれた方は、0.4%ではなく0.5%(減額率最大30%)で計算します。
繰り上げ受給をする場合は、繰り上げを希望する時期に請求書を年金事務所や年金相談センターへ提出する必要があります。申請時点で減額率が決定するため、いつ手続きするのかをしっかりと検討したうえで行うほうがよいでしょう。

繰り上げ受給のメリット

繰り上げ受給のメリットは、早く年金をもらえる点にあります。
65歳より前に仕事を辞めた場合、年金が支払われるまでは貯蓄を切り崩して生活しなければなりません。貯蓄が十分にない場合は、生活費が足りなくなってしまうことも考えられます。
年金の受給開始時期を繰り上げれば、最短で60歳から受給できるため、例えば健康に不安がある方は、年金で医療費や生活費の一部を賄うことができるでしょう。

繰り上げ受給のデメリット

繰り上げ申請をするとその段階で減額率が決定し、その効果は生涯続きます。繰り上げ受給を利用すると、障害基礎年金(障害の程度による)や寡婦年金を受け取れなくなるうえに、遺族厚生年金と同時には受給できません。
また、繰り上げ期間中は、国民年金の任意加入や保険料の追納ができない等のデメリットも発生します。
繰り上げ受給は、一度手続きすると請求を取り下げられません。メリットとデメリットを踏まえ、繰り上げるかどうか慎重に検討しましょう。

【支給開始を遅くする】年金の繰り下げ受給

【支給開始を遅くする】年金の繰り下げ受給
続いて、年金の繰り下げ受給の概要とメリット・デメリットを紹介します。

年金の繰り下げ受給の概要

年金の繰り下げ受給とは、老齢年金の受給開始を繰り下げる、つまり受け取りを遅くすることで年金額を増額できる制度です。
老齢基礎年金と老齢厚生年金のうち、どちらか一方のみを繰り下げることもできます。ただし、遺族年金や障害年金を受け取る権利がある場合は、老齢基礎年金の繰り下げができない点に注意してください。
繰り下げは最大75歳まででき(*)、繰り下げ期間に応じて加算額が変化します。いくら増額するかは、老齢基礎年金と老齢厚生年金の金額に増額率を乗じて算出可能です。なお、増額率は以下の計算式から求められます。
  • 昭和27年4月1日以前生まれの場合は70歳まで
増額率(最大84%)=0.7%×65歳に達した月から繰り下げ申し出月の前月までの月数
(昭和27年4月1日以前に生まれた場合の増加率は、70歳までの繰り下げで最大42%)
例えば、年間受給額が100万円で、受給開始が65歳の方が70歳まで年金受給を繰り下げた場合、100万円×0.7%×12ヵ月×5年=年間42万円が増額になります。申請時点で増額率が決定するため、いつ申請するかは慎重に検討しましょう。
繰り下げ受給を希望する場合は、65歳時点で年金を請求せず、66歳以降、自分のタイミング(1ヵ月単位)で年金事務所や年金相談センターへ請求書を提出してください。請求書を提出した月の翌月分から、繰り下げた年金を受け取れます。

繰り下げ受給のメリット

年8.4%という繰り下げ受給の増額率は、私的年金制度と比較しても大きなものです。また、繰り下げの効果は生涯続くため、長生きすればするほど増額の効果が大きくなっていきます。
ただし、繰り下げている間は年金が受け取れないため、年金がなくても生活できるように貯蓄しておくか、繰り下げ期間中は働いて生活費を確保しておきましょう。
いつまで長生きするかは誰にもわかりませんが、繰り下げ期間をどれくらいにするのか、繰り下げた結果、どれくらい年金が増額するのかを知っておくことを大切だといえます。

繰り下げ受給のデメリット

受給開始が遅くなるため、早くに亡くなると繰り下げの増額効果を得られず、受給総額が減ってしまいます。
受給開始から12年目が、受給総額が増えるかどうかの分岐点です。健康状況等を考慮し、受け取るタイミングを考えるとよいでしょう。
また、年金受給時には、受取額に応じた所得税や住民税、社会保険料がかかります。受け取る年金額が増えると納税額も増えるため、繰り下げ期間が長くなるほど、手取りの年金額が思っていたより増えない可能性もあります。
さらに、加給年金額と振替加算額は繰り下げの増額対象にならず、繰り下げ期間中はどちらも受け取れません。このように、繰り下げ受給によって受け取れなくなるものもある点に注意してください。

〈ケース別〉年金繰り下げの判断基準

〈ケース別〉年金繰り下げの判断基準
繰り下げ制度では、年金増額という大きなメリットを得られますが、繰り下げをするとその間は年金を受給できません。年金を繰り下げるかは、どのように判断すればよいのでしょうか。ケース別に、年金繰り下げの判断基準を紹介します。

単身者の場合

単身者の場合、加給年金や振替加算が利用できないといった、繰り下げのデメリットを考慮する必要がありません。繰り下げで年金額が増えるメリットが大きいため、当面の生活費や健康に問題がなければ、繰り下げを検討してみるとよいかもしれません。
生活費や健康に不安がある場合は、無理に繰り下げると生活に支障が出るおそれがあります。繰り下げをせずに受給して生活費を賄うか、無理のない範囲で繰り下げ申請し、繰り下げ期間中に働いて生活費と老後資金を確保しましょう。
【ケーススタディ】
自営業の単身者で、20歳から60歳まで40年間国民年金の保険料を満額で支払った場合は、満額の老齢基礎年金のみを受け取ることになります。
令和4年度 老齢基礎年金(満額)は、6万4,816円(月額)になるため、繰り下げを考慮すると以下のような金額になります。
65歳から受け取った場合(増額率0%):6万4,816円(月額)
70歳から受け取った場合(増額率42%):9万2,039円(月額)
75歳から受け取った場合(増額率84%):11万9,261円(月額)
  1. 昭和27年4月1日以前生まれの場合は70歳まで
単身者であっても自営業の方は、公的年金の額が少ないといえるでしょう。国民年金基金やiDeCo等で補うようにするのも一つの手です。
  1. ケーススタディは、実際の金額を保証するものではございません。条件によって異なるため、あくまでも試算であることをご了承ください

配偶者がいる場合

配偶者がいる場合、配偶者の年金受給状況等によっては、加給年金や振替加算がなくなるデメリットが発生します。繰り下げによる増額を比較し、よりメリットがあるほうを選択しましょう。
配偶者が年下で加給年金の対象者となっている場合は、老齢厚生年金を繰り下げると加給年金を受け取れなくなってしまいます。また、配偶者が年上で老齢基礎年金を受け取っている場合も同様に、老齢厚生年金の繰り下げにより振替加算が受け取れません。
加給年金と振替加算は老齢厚生年金に関連しているため、老齢厚生年金は繰り下げず、老齢基礎年金のみの繰り下げを検討する必要があります。
【ケーススタディ】
厚生労働省によると、令和4年度の夫婦2人の標準的な年金額(*)は、月額21万9,593円です。この数字をもとに見ていきましょう。
  • 平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9 万円)で 40 年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
65歳から受け取った場合(増額率0%):21万9,593円(月額)
70歳から受け取った場合(増額率42%):31万1,822円(月額)
75歳から受け取った場合(増額率84%):40万4,051円(月額)
夫婦での受け取りとなると加給年金や振替加算で金額が異なるため、年金の相談窓口に確認するとよいでしょう。

65歳以上になっても働き続ける場合

65歳以上70歳未満で厚生年金に加入して働いている場合、老齢基礎年金は全額支給されますが、老齢厚生年金は収入に応じて一部または全額が支給停止になります。
支給停止となった額は繰り下げの対象外となるため、働いていない場合ほど繰り下げの効果を得られません。
65歳以上で働いている場合は、65歳以降の収入と年金額の支給停止額を踏まえて、繰り下げるかどうか判断する必要があります。
【ケーススタディ】
前提として、60歳以降、厚生年金に入りながら受け取る老齢厚生年金を在職老齢年金といい、賃金(*1)と年金(*2)の合計額によっては、年金が減額・支給停止になります。
  • 厳密には賃金ではなく、総報酬月額相当額になります。総報酬月額相当額は月給(標準報酬月額)に、直近1年間の賞与を12で割った額を加えた額になります。
  • 厳密には年金ではなく、老齢厚生年金(年額)を12で割った額になります、(加給年金は除く)
計算式
支給停止額=(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2
賃金と年金の合計額が47万円を超え、47万円を超えた半分が年金額より支給停止になります。(老齢基礎年金は全額支給)また、年金支給停止部分は増額の対象になりません。
仮に70歳(増額率42%)から繰り下げすると、どれくらい年金が支給停止になるか見ていきましょう。
パターン1:賃金32万円+年金15万円=47万円
合計額が47万円を超えないので、年金は42%増額されて支給されます。
パターン2:賃金42万円+年金15万円=57万円
合計額が57万円となり、基準額である47万円を超えた分(10万円)の半分である5万円が支給停止され、10万円の42%が増額対象になります。
パターン3:賃金52万円+年金15万円=67万円
合計額が67万円となり、基準額である47万円を超えた分(20万円)の半分である10万円が支給停止され、年金の5万円42%が増額対象になります。
パターン4:賃金62万円+年金15万円=77万円
合計額が77万円となり、基準額である47万円を超えた分(30万円)の半分である年金15万円が支給停止されるため、年金は増額されません。
年金の繰り下げを考えるときは賃金や年金の額によって、支給停止になる場合もあるので、しっかり把握しておきましょう。

まとめ

年金は原則として65歳から受給できますが、繰り上げ・繰り下げの制度を利用すると、受給時期を変更できます。繰り上げ・繰り下げにはメリットとデメリットがあるため、自身の経済状況等を踏まえて制度を上手に活用しましょう。
今回は、公的年金制度を中心に紹介しました。年金には任意で加入できる私的年金もあります。私的年金は金融機関等によって制度内容が異なりますが、一般的には60歳以上が受給開始年齢です。
私的年金に加入することで、退職後から公的年金を受け取るまでの間の収入を補うこともできるので、人生設計をするうえでの選択肢を増やすこともできます。
老後資金を確保する方法は、今回紹介した制度だけではありません。iDeCo(個人型確定拠出年金)や保険等があるため、自分に合った金融商品を選んで老後の資金計画に役立ててください。
執筆者:高橋 光世(たかはし みつよ)
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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株式会社 三菱UFJ銀行
(2022年9月12日現在)