つみたてNISA(積立NISA)は確定申告が必要なのか?
この記事は9分40秒で読めます。
- 2022年10月11日
- 2023年12月27日
少額投資非課税制度のつみたてNISAは、資産運用の1つとして注目されています。
投資と聞くと確定申告が必要なのか気になる方も少なくないのではないでしょうか。この記事では、つみたてNISAには確定申告が必要なのか、必要になった場合の確定申告の方法を解説します。
つみたてNISAの確定申告は不要!
投資により利益が出た場合、原則として確定申告が必要になりますが、つみたてNISAで投資している場合は必要ありません。そもそもつみたてNISAは、長期・積立・分散投資を後押しするために2018年から始まった非課税制度です。このため、投資で利益が発生しても税金を納める必要はありません。
より具体的にいうと、つみたてNISAでは毎年40万円までの新規投資が非課税となり、それぞれの年に保有していた投資信託から得る分配金と、売却して得た譲渡益が課税されなくなります。非課税期間は最長20年です。このように、つみたてNISAを利用して非課税で投資しているのなら、確定申告も不要ということになります。
損益通算や繰越控除の対象にはならない
ただし、つみたてNISAは「損益通算」の対象にならないという点に注意が必要です。
まず損益通算とは、1年間の投資で生じた利益と損失を相殺することができる仕組みです。投資による利益が出ていれば課税の対象になりますが、損失と差し引きすることで、支払う税金を減らすことができます。
さらに、損益通算してもマイナスの損失となった場合は、その損失を翌年以降に繰り越して損失と差し引きすることができる繰越控除という仕組みがあります。繰越控除は、損失発生の翌年以降、最長3年まで繰り越すことが可能です。
つみたてNISAは、このような損益通算や繰越控除の対象とはなりません。たとえばつみたてNISAで損失が出て、ほかの課税口座で利益が出たとしても、損益通算はできないので、課税口座で発生した利益は通常通り課税されるということになります。
\口座から自動引き落とし、初心者にもおススメ!/
三菱UFJ銀行のNISA・つみたてNISA
三菱UFJ銀行のNISA・つみたてNISA
\口座から自動引き落とし、初心者にもおススメ!/
三菱UFJ銀行のNISA・つみたてNISA
三菱UFJ銀行のNISA・つみたてNISA
確定申告が必要な投資とは?
ここまでで、つみたてNISAは少額投資非課税制度であるため、確定申告が必要ないということを述べてきました。それでは、確定申告が必要になるのはどのような投資の場合なのかも押さえておきましょう。
投資で使用する口座は3種類
基本的に、投資に関する確定申告は、1年間の投資において発生した譲渡益を計算して申告するために行います。投資を始める際に開設する口座は、大きく分けると「一般口座」「NISA口座」「特定口座」の3つで、これらの種類によって確定申告の扱いが異なります。
まず一般口座とは、後述するNISA口座や特定口座以外の口座のことです。課税対象となり、1年間に発生した譲渡損益を投資家自身が計算して確定申告を行う必要があります。
次にNISA口座とは、つみたてNISAもしくはNISAの口座のことです。前述のように非課税で、確定申告の必要はありません。
そして特定口座とは、投資家による確定申告の手続きを簡素化するために設けられた口座です。課税対象となりますが、確定申告の手続きは一般口座よりも進めやすくなっています。特定口座は源泉徴収の有無によって2種類に分かれ、源泉徴収なしの特定口座なら確定申告が必要で、源泉徴収ありの特定口座なら確定申告が不要となります。
特定口座は源泉徴収ありの利用が多い
特定口座の仕組みについて、もう少しくわしく説明しましょう。特定口座を利用すると、投資家に代わって金融機関が譲渡損益を計算して整理した「年間取引報告書」を作成します。源泉徴収なしの特定口座では、この年間取引報告書を使うことで確定申告の書類を作成しやすくなります。
さらに、源泉徴収ありの特定口座であれば、金融機関が所得税・住民税を代行して納付していることになるため、原則として確定申告が不要になります。このように、確定申告の手続きを自分で行う必要がないため、「特定口座」の「源泉徴収あり」を選ぶ人が多いといわれています。
ただし、源泉徴収ありの特定口座でも、次の場合は確定申告が必要になるので要注意です。
- 源泉徴収ありの口座が複数あり、損益を通算する場合
- 過去3年以内の譲渡損失を翌年以降に繰り越す場合
- 繰り越していた譲渡損失を当年の譲渡益等と通算する場合
ここまでで述べた口座ごとの特徴を整理すると、下記のようになります。
口座の種類 | 課税・非課税 | 確定申告の有無 | |
---|---|---|---|
一般口座 | 課税 | あり | |
特定口座 | 源泉徴収なし | 課税 | あり |
源泉徴収あり | 課税 | 原則なし | |
NISA口座 | 非課税 | なし |
つみたてNISA満了時は課税口座に移る
一般口座や特定口座の仕組みは、つみたてNISAでNISA口座を使用しているなら気にしなくてもいいと思うかもしれませんが、注意すべきときがあります。
それは、つみたてNISAの非課税期間20年間が満了となったときです。このとき、つみたてNISAの運用商品を売却する、もしくは一般口座か特定口座に資産を移すことになります。
なお、NISAでは非課税期間が満了する際に保有している金融商品を翌年の非課税投資枠に移すこと(ロールオーバー)が可能ですが、つみたてNISAでは、20年間の非課税期間が満了となった際にロールオーバーはできないという点でも注意が必要です。
つみたてNISAからNISA、NISAからつみたてNISAへのロールオーバーも制度上認められていません。いずれにしても、非課税期間が満了すれば、一般口座や特定口座で運用することになるので、それぞれの仕組みを理解しておくと良いでしょう。
確定申告の流れ
つみたてNISAは確定申告が不要ですが、一般的な確定申告の手順を説明します。参考までに記載をしていますが、確定申告の流れについて興味のない方は読み飛ばしても問題ありません。
確定申告は、大まかにいうと下記の手順で進めていきます。例年、前年1月1日から12月31日までの所得について、翌年の2月16日から3月15日までに申告書を提出することになっています。
●確定申告の手順
(1)確定申告に必要な 書類を準備する |
|
(2)申告書や付表、 計算書等を準備する |
|
(3)申告書を作成する |
|
(4)申告書を提出する |
|
(5)納税する (または還付を受ける) |
|
- 詳細は、税理士やお近くの税務署までお問い合わせください。
つみたてNISAの税制優遇をおさらい!
ここまでで、つみたてNISAの口座では確定申告が必要ないことや、ほかの口座での課税・非課税の扱いや確定申告の手続きなどを述べました。最後に、つみたてNISAの税制優遇について改めておさらいしておきましょう。
運用益の全額が非課税
これまでにも触れてきたように、つみたてNISAでは、運用で得られた分配金や譲渡益が全額非課税となります。一般口座や特定口座を利用する場合は利益に対して20.315%の税金が課され、その分手元に残る運用益は減りますから、大きなメリットといえるでしょう。
投資額は年間最大40万円まで非課税
つみたてNISAでは、年間で最大40万円まで投資でき、それによって得た分配金や譲渡益が非課税になります。なお、長期・積立による投資を促進する趣旨から、年間120万円のNISAに比べると年間の非課税枠は少なく設定されています。
最長20年の非課税期間
つみたてNISAの非課税期間は最長20年です。非課税の年間投資額は40万円ですから、つみたてNISAで最大限に20年投資を続けると、合計800万円分を非課税で投資できることになります。
なお、つみたてNISAの制度が開始したのは2018年で、現状は2042年まで投資可能と決まっています。このため、最も遅い場合は2042年に開始したときで、2061年末まで非課税期間が続くことになります。
まとめ
つみたてNISAでは確定申告が不要であることや税制優遇の特徴、一般口座や特定口座を利用した場合の手続きなどをみてきました。
つみたてNISAは少額の資金で投資信託を始められるよう支援するための制度で、最長20年間は運用益が非課税となります。運用益が非課税であるため、年末調整や確定申告は必要ありません。
一般口座や特定口座で投資した場合は運用益に20.315%が課税されるだけに、最長で20年という長期間にわたり非課税を享受できるメリットは大きいといえるでしょう。つみたてNISAをうまく活用して将来のために資産形成していきましょう。
執筆者:八木 陽子(やぎ ようこ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、1級ファイナンシャル技能士、キャリアコンサルタント
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
- 記事の情報は当行が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その確実性を保証したものではありません。
- 記事は外部有識者の方等にも執筆いただいておりますが、その内容は執筆者本人の見解等に基づくものであり、当行の見解等を示すものではありません。
- また、一部、当行にて取り扱いのない商品に関する内容を含みますが、商標登録されている用語については、それぞれの企業等の登録商標として帰属します。
- なお、記事の内容は、予告なしに変更することがあります。
三菱UFJ銀行でつみたてNISAを始める方法
三菱UFJダイレクトでNISA
NISA・つみたてNISAの口座開設は、三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング)で今すぐお申し込みいただけます。
インターネットバンキング専用ファンドは手数料がおトクです。
インターネットバンキングなら窓口に行く必要がないため、
24時間365日お取引ができます。
インターネットバンキングなら窓口に行く必要がないため、
24時間365日お取引ができます。
- 他金融機関で2018年以降のNISA口座を既に開設しているお客さまは、金融機関変更のお手続きが必要です。廃止通知書の提出を伴うNISA口座開設のお手続きは、店頭のみでのお取り扱いとなります(三菱UFJダイレクトではお申し込みいただけません)。ご来店の際は、お手数ですが「ご来店予約」からご予約をお願いします。
あわせて読みたい
投資信託をお申し込みの際は、次の点にご注意ください。
- 投資信託は預金ではなく、その基準価額は、組入れ有価証券(株式・債券等)の値動きにより変動しますので、お受取金額が投資元本を下回る場合があります。
- 組入れ有価証券等は、株式指標・金利等を原因とした値動きにより変動します。
- 投資信託の購入時手数料や運用管理費用(信託報酬・管理報酬等)・信託財産留保額等の手数料等はファンド・購入金額等により異なるため、具体的な金額・計算方法を記載することができません。
- お申込前に必ず最新の契約締結前交付書面(目論見書および目論見書補完書面)等を十分にご確認ください。
「NISA」制度をご利用の際は、次の点にご注意ください。
- 当行でNISA口座を開設するには、投資信託口座が必要です。
- NISA制度では、すべての金融機関を通じて1人につき1口座しか開設することはできません(金融機関の変更を行った場合を除く)。
- NISA口座は、店頭でお申し込みの場合、原則として、お申込日当日(お申し込みが休日の場合または当行所定の時刻までに受付手続が完了しなかった場合は翌営業日)、三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング)の場合、最短でお申込日当日に開設します(*)。NISA口座では、開設と同じ日またはそれ以降に投資信託を購入することが可能です。口座開設後に行う税務署審査の結果、二重口座であったことが判明した場合、NISA口座で購入した投資信託は当初から課税口座で購入したものとして取り扱います。当該投資信託から生じる配当所得および譲渡所得等については、遡及して課税されます。
- 当行または他金融機関で、2018年以降のNISA口座の開設をお申し込み(2017年以前のNISAが継続した場合を含みます)されたことがある場合、当該口座は、税務署の審査が承認となり、当行所定の手続きが完了した後に開設されます(通常、お申し込みから2~3週間程度で手続きは完了します)。
- NISA口座は、開設後、税務署の審査が完了するまで金融機関の変更および廃止はできません。
- NISA口座での損失は税制上ないものとされます。
- NISA制度では、年間の非課税投資枠(つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円)と非課税保有限度額(総枠)(つみたて投資枠・成長投資枠あわせて1,800万円、うち成長投資枠1,200万円)の範囲内で購入した上場株式等の商品から生じる配当所得および譲渡所得等が非課税となります。
- 上場株式等の配当等はNISA口座を開設する金融機関等経由で交付されないものは非課税となりません。
- 基準経過日において、NISA口座を開設しているお客さまの氏名・住所を、所定の方法で確認します。
- 当行のNISA(つみたて投資枠・成長投資枠)では、株式投資信託のみを取り扱いしております。
- つみたて投資枠での購入は、つみたて契約(投資信託継続購入プラン)に基づく、定期かつ継続的な方法により行うことができます。
- つみたて投資枠の対象商品は、長期のつみたて・分散投資に適した一定の投資信託に限られます。
- つみたて投資枠に係るつみたて契約(投資信託継続購入プラン)により購入した投資信託の信託報酬等の概算値を、原則として年1回通知します。
- 成長投資枠の対象商品は、NISA制度の目的(安定的な資産形成)に適した一定の投資信託に限られます。
株式会社 三菱UFJ銀行
登録金融機関 関東財務局長(登金)第5号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人 金融先物取引業協会、一般社団法人 第二種金融商品取引業協会
株式会社 三菱UFJ銀行
(2023年12月27日現在)