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公務員も個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できる!メリットとデメリットをくわしく解説

公務員も個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入できる!メリットとデメリットをくわしく解説
  • 2022年6月9日
  • 2024年12月1日
2015年10月に行われた年金制度改革により、公務員の退職給付が減額されました。
それにともない、公務員も2017年1月より個人型確定拠出年金(iDeCo)への加入ができるようになり、老後資金の確保に向けた資産運用が始まっています。
今回は公務員における現在の年金制度の解説から、公務員がiDeCoに加入するメリット・デメリットとあわせて、くわしく解説します。

目次

iDeCoに加入する公務員が増えている

近年、個人型確定拠出年金制度「iDeCo(イデコ)」に加入する公務員が増加しています。

2017年11月時点で約12万人だった公務員のiDeCo加入者は、2024年8月には67万人を超えるまでになりました。

その背景には、2015年に行われた公務員年金制度の見直しによる受給額の減額があり、公務員は独自に年金対策を行う必要に迫られています。

iDeCo(個人型確定拠出年金)とは

iDeCoとは、2001年10月1日から制度が開始された個人向けの私的年金制度のひとつです。

制度開始当初は自営業や企業年金がない企業の従業員を対象にした制度でしたが、2017年1月の改定からは、公務員も加入対象となるように制度が拡充されています。

国民年金・厚生年金といった公的年金制度は加入が義務ですが、iDeCoの加入は任意であり、拠出した掛金の運用方法を自ら選択する必要があります。

将来掛金と運用益の合計を給付金として受け取ることができますが、年金制度であるため原則60歳以降まで引き出すことができません。

年金制度の大幅な変更により年金対策が必要になった

2015年10月に行われた年金制度改革により、公務員の年金制度は大幅な変更が行われました。

公務員が加入する年金が「共済年金」から「厚生年金」に変更となり、年金制度の一元化が行われています。

共済年金は厚生年金よりも支払保険料の料率が低く、さらに上乗せとなる職域加算が設けられていました。

しかし、年金制度改革により厚生年金への加入となり、料率の引き上げと職域加算の廃止が行われました。

また、公務員の退職給付の支給水準が見直され、会社員と同水準まで引き下げられたため、公務員も独自に年金対策を行う必要が生まれました。

そうした制度の変化にともない、2017年1月から公務員もiDeCoへの加入が可能となっています。

公務員がiDeCoに加入するメリットは?

公務員がiDeCoに加入するメリットは?

年金制度改革により受給額が減額された公務員にとって、年金を増額できるiDeCoは加入しておきたい制度といえます。

具体的にiDeCoへの加入には、どのようなメリットがあるのでしょうか。

iDeCoを活用するメリットとは

個人年金制度であるiDeCoに公務員が加入すると、以下のようなメリットを受けられます。

メリット1:掛金が全額所得控除される

iDeCoに拠出した掛金は全額所得控除の対象となります。

支払った掛金の分だけ給与所得から控除できますので、その分税金を抑えることができます。

特に収入が高く適用税率が高い人ほど税制優遇を受けられるのがポイントです。

メリット2:運用益は非課税となる

一般的に、投資信託などで運用利益が出た場合は、税率20.315%の課税対象になります。

しかしiDeCoの制度内で運用して得られた利益はすべて非課税です。

メリット3:受取時に各種控除が受けられる

iDeCoで運用していたお金を受け取る際、一括で受け取った場合には退職所得控除、年金形式で受け取った場合には公的年金等控除が受けられます。

どちらの控除も所得に対して一定の非課税枠が適用され、受け取り時にかかる税金の負担が軽くなる仕組みです。

人によって退職金の有無や受け取る年金の金額が異なるため、控除される金額や最も課税負担が少ない受け取り方も異なります。

本記事後半で、それぞれのメリットによる効果が具体的にどのくらいの金額になるのかを紹介します。

シミュレーションもあるので、自分の場合はどうなのかをぜひチェックしてみましょう。

メリット4:転職・退職時にはiDeCoに積立した資産を他の制度へ移すことも可能

iDeCoに加入していた人が転職・退職をする場合、それまでに積み立てていた資産をほかの制度へ移換できます。

転職先の企業型確定拠出年金、確定給付企業年金へ移換させるだけでなく、iDeCoへの加入を継続することも可能です。

なお、公務員から自営業や企業年金がない会社へ転職、専業主婦(夫)または任意加入被保険者となった場合は、iDeCoの掛金上限がアップする場合があります。

資産の移換と合わせて今後の積立計画を検討すると良いでしょう。

iDeCoのデメリットとは

iDeCoは年金をふやせるメリットが大きな制度である一方、注意しなければならない一面もあります。

iDeCo運用で気をつけたい点は?

iDeCoは将来の年金となる資金を投資で増やすことを目的とした制度です。

年金向けの制度であるとはいえ、投資であるため運用は自己責任で行う必要があります。

また、iDeCoは一般的な投資にはないさまざまな制約を受けることに注意が必要です。

デメリット1:60歳まで引き出せない

iDeCoに積み立てたお金は老後資金準備のための資産であるため、原則60歳まで引き出すことができません。
そのため、教育資金や住宅費用などのまとまった資金が必要な場合でも、iDeCoの掛金は使うことができないので注意が必要です。

ただし、裏を返せば老後資金に手をつけられない制度であるといえますので、将来のために無駄遣いしないように資金をロックしておきたい人にとってはメリットといえます。

デメリット2:掛金には限度額がある

iDeCoに拠出できる掛金には上限が定められています。

掛金は全額所得控除となるため、余裕があるなら多く拠出したいものですが、職業やその他の年金への加入状況によりそれぞれ上限が定められています。上限は次の通りです。
対象 企業年金等(*1)への加入 月額/年額の上限
自営業者等 - 68,000円/816,000円(*2)
会社員・公務員等 あり 20,000円(*3)
なし 23,000円/276,000円
専業主婦(夫) - 23,000円/276,000円
  • 企業型確定拠出年金、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、石炭鉱業年金基金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員制度のことを指します
  • 国民年金基金の掛金または国民年金の付加保険料との合算した金額です
  • 下記条件があります
会社員・公務員等の第2号被保険者が確定給付型の他制度(*1)とiDeCoを併用する場合、iDeCoの拠出限度額は2万円です。ただし、各月の企業型DCの事業主掛金額とDB等の他制度掛金相当額と合算して月額5.5万円が上限です。 式で表すと以下のようになります。

iDeCoの拠出限度額(上限2万円)=月額5.5万円 ー(各月の企業型DCの事業主掛金額+他制度掛金相当額)

そのため、企業型DCの事業主掛金と他制度掛金相当額が高い場合、iDeCoの拠出限度額が減少または拠出できなくなることがあります。
また、以下の加入条件があります。
  • 企業型DC・iDeCoの掛金が年単位拠出でないこと
  • マッチング拠出を利用していないこと
  • 拠出額が上限内であること

デメリット3:手数料がかかる

iDeCoには以下のような手数料がかかります(消費税込)。
1. 新規加入時 2,829円 1回のみ・共通
2. 事務手数料 月額105円 毎月(加入者のみ)
3. 資産管理手数料 月額66円 運用指図者となった場合も必要
4. 運営管理機関手数料 0円~数百円 金融機関によって異なる
たとえ拠出をやめても60歳まで引き出せないため、預けている資産は運用を継続する必要があります。
拠出を停止する際には加入者資格喪失手続をして、拠出していなくても運用中は資産管理手数料と運営管理機関手数料がかかることは覚えておきましょう。

デメリット4:金融機関変更がカンタンにできない

iDeCoは金融機関を決めて拠出をしますが、途中で金融機関を変更する際には、すでに拠出している資産を売却し、次の金融機関に移す必要があります。

また、変更時には金融機関によっては変更手数料もかかります。

さらに国民年金基金連合会の審査などが入るため、手続きには数ヵ月は必要なので注意が必要です。

iDeCo運用で、将来いくら受け取れるの?

老後資金を増やしたい公務員にとって、iDeCoには大きな可能性があります。

実際にiDeCoで資産を運用すると、将来いくらのお金を受け取ることができるのでしょうか。

公務員がiDeCoを利用した場合の運用結果をシミュレーションしてみよう

公務員がiDeCoを運用した場合、どのぐらい受け取れるかシミュレーションで見てみましょう。
<30歳の公務員でのシミュレーション(*)

拠出:30歳~60歳まで
年収:600万円
掛金月額:2万円
運用利回り:1%

<運用結果>

  • 受取金額:8,386,568円(運用益1,186,568円)
  • iDeCoによるメリット

掛金拠出時 累計1,447,000円(年間48,500円)の税金が軽減
運用益に対する税金 237,973円の税金が非課税
受取時の税金(一括受取の場合) 非課税
  • あくまでシミュレーションであり、実際の受取額や納税額は運用結果や実際の収入などで変わります。
    また退職所得控除は、同年にほかでの退職所得があれば合算してからの控除となり、受取時の前年以前4年内に退職所得がある場合には、控除額が減額されることがあります。
毎月2万円の掛金を30年間積み立てることで、元本に運用利益が1,186,568円プラスされ、8,386,568円の老後資金を準備できる計算になりました。

今回は運用利回り1%の計算でしたが、経済や実際の運用状況によって運用利回りは変動します。

掛金拠出時には、30年間で合計約1,447,000円の税金を軽減できる結果が出ました。

税額を抑えられるということは、手元に残るお金がそれだけふえるということです。受取時の税金(一括受取の場合)は非課税ですので、そのお金を老後資金に回せることになります。

なお、実際の受取額や税金への影響は、運用結果やその時の実際の収入などで変化します。

iDeCoの加入を検討している方や、掛金をいくらにするか迷っている方は、ぜひご自身でシミュレーションをして具体的なイメージを膨らませてはいかがでしょうか。

iDeCoの所得控除の申告をする場合は年末調整をしよう!

公務員のiDeCoの所得控除は、年末調整を行うことで、年末最後の給与で所得税の還付、翌年の住民税の減額が行われます。

年末調整の手順はこちら

年末調整の具体的な手順は以下のとおりです。
10月頃 国民年金基金連合会から送付される「小規模企業共済等掛金払込証明書」を受け取り、保管しておく
11月~12月 勤務先から受け取る「給与所得者の保険料控除申告書」に、①の小規模企業共済等掛金払込証明書の記載の合計金額を記入し、証明書原本を貼付けする
12月 ②の書類を期限内に提出する
なお、iDeCoへの加入が年末近くになり、①の証明書の受け取りが年明けになってしまうといった理由で年末調整の申請できないときは、確定申告により申告することができます。

また、年収2,000万円以上または副業などで所得や利益が20万円以上ある人は、iDeCoに関連する申請の有無を問わず、確定申告による申告が必要になります。

まとめ

公務員の年金受給は、年金制度改革によって大きく変わりました。

iDeCoは所得控除、運用益非課税、受取時にも一括なら退職所得控除を受けられるなど、公務員の年金受給額を充実させるためにも有効です。

ただし、iDeCoにはメリットだけでなくデメリットもあります。

iDeCoの制度を良く理解したうえで、加入を検討しましょう。

執筆者:手塚 裕之(てづか ひろゆき)

執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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三菱UFJ銀行でiDeCoを始める方法

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ご注意事項

iDeCoをお申し込みいただく前に、下記についてご確認ください。

  1. 原則、60歳まで引き出し(中途解約)ができません
    • 脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。
  2. ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
    • 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
    • 当行から特定の運用商品の推奨はできません。
  3. 運用商品の主なリスクについて
    • 預金は元本確保型の確定利回り商品です。預金は預金保険制度の対象となります。
    • 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
    • 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
    • 預金、保険および投資信託は異なる商品であり、それぞれリスクの種類や大きさは異なります。
  4. 初回手続き時、運用時、給付時等で、各種手数料がかかります
    • iDeCoには、初回手続き手数料・毎月の事務手数料・資産管理手数料・運営管理機関手数料・給付事務手数料等がかかります。
    • 手数料は、加入者となられる方は毎月の掛金から、運用指図者となられる方は積立金から控除されます。年金でお受け取りになられる方は給付額から控除されます。
  5. 60歳になっても受け取れない場合があります
    • 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
    • 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
      • 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。
株式会社 三菱UFJ銀行
(2024年12月1日現在)