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確定申告とは?初心者にもカンタン!やり方や流れをわかりやすく解説

確定申告とは?初心者にもカンタン!やり方や流れをわかりやすく解説
  • 2023年12月27日
「確定申告」という言葉はよく耳にする機会があると思います。
自営業者やフリーランスの方々にとって、確定申告は収入を申告するための重要な制度です。一方、会社が年末調整を行ってくれる会社員の方々にとっては、それほど身近なものではないかもしれません。
しかし、確定申告は全ての人に関わる制度です。状況によっては、年末調整を受けている会社員でも、確定申告を行う必要があります。
この記事では、自分が確定申告の対象者になるかどうかを判断するためのポイントと、申告の手続きについて、初心者の方でも理解しやすいようにくわしく解説します。

目次

確定申告とは

収入を得た際には、所得金額を計算し、その金額に応じた税金を納めることが国民の義務となります。そのためには、所得と税金を正確に計算するための手続きが必要となります。
確定申告とは、1年間に得た所得とその所得に対する税金を正しく申告するための手続きです。
ここでは、確定申告の基礎知識と仕組みを解説します。

確定申告は1年分の所得を計算し税額を確定する手続き

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までに得た所得から、その額に応じた所得税額を計算し申告するための制度です。税務署へ自分の所得と所得税額を申告することで、あらかじめ源泉徴収された税金や予定納税額がある場合、その過不足を精算する役割もあります。
また、確定申告をした内容は自分の住む自治体へも連携されるので、所得税の確定申告をすれば、同時に住民税の申告も行ったことになります。
会社員や社会保険に加入するパート・アルバイトの場合、確定申告に代わって会社が年末調整により税金の計算を行います。一方で自営業者やフリーランスなど個人事業主は、確定申告を通じて税金を正確に算出する必要があります。
ただし、会社員など年末調整を受ける人も、状況によっては確定申告が必要になります。自分自身が確定申告を行うべきかどうかを見極めることは、とても重要です。

確定申告をしないといけないケース

具体的に、どのようなケースで確定申告が必要になるのかをご紹介します。自分が該当するかどうか、一緒に確認してみましょう。

自分で確定申告をする必要がある人

以下のケースに当てはまる人は、確定申告が必要です。
自分で確定申告をする必要がある人
会社員やパート、アルバイトの方々も、上記に当てはまるものはないか確認しましょう。

確定申告が必要でない人

確定申告が必要でない人は、以下のとおりです。
場合によっては確定申告が必要となるケースもあるので、しっかりと確認しましょう。
確定申告が必要でない人

年末調整を受ける会社員、パート、アルバイトの人

会社が年末調整で所得や所得税額を申告してくれる会社員や、社会保険に加入するパート、アルバイトの人は、確定申告をする必要がありません。
ただし、後述のとおり確定申告をした方が良いケースもあるので注意しましょう。

年間所得が48万円以下の個人事業主

自営業者やフリーランスといった個人事業主でも、1年間の所得が48万円以下であれば、確定申告は不要です。なぜなら、すべての人に適用される基礎控除は48万円なので、所得から所得控除を差し引くと結果として所得が0円になるからです。
ただし、青色申告の届出をしている場合、青色申告特別控除を受けるためには、所得金額に関係なく確定申告が必要です。
また、所得が48万円以下の個人事業主で確定申告をしない場合でも、住民税の申告は必要なので、忘れずに行うようにしましょう。

副業や不動産所得がある会社員で、その所得が20万円以下の人

会社員のなかには副業をしていたり、家賃収入を得ていたりする人もいるでしょう。
給与所得以外の所得があれば確定申告が必要になりますが、副業や不動産収入から必要経費を差し引いた所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。

確定申告が必要な控除

所得税を計算する際、反映されるものに所得控除と税額控除がありますが、これらの控除のなかには確定申告が必要なものがあります。
所得控除や税額控除を受けることができると、税金が軽減されます。しかし、所得控除の基礎控除を除き、すべての人が同じように控除を受けられるわけではありません。
所得控除や税額控除の対象になる人でも、税制優遇を受けるには、確定申告や年末調整で手続きをする必要があります。

控除には「年末調整で手続きできるもの」と「確定申告でしか手続きできないもの」がある

所得控除や税額控除のような「控除」には、年末調整で処理できるものと、確定申告でしか対応できないものが存在します。
たとえば、会社員は受けられる控除が年末調整で手続きできるものであれば、すべて会社が処理してくれるので確定申告の必要はありません。
しかし、確定申告でしか手続きできない控除を受けるには、自分で確定申告をする必要があります。
では、年末調整で手続きできる控除と、確定申告でしか手続きできない控除には、どのようなものがあるのでしょうか?以下の図で確認しておきましょう。
<年末調整で手続きできる控除と確定申告でしか手続きできない控除>
年末調整で手続きできる控除
確定申告でしか手続きできない控除
自営業者やフリーランスなど個人事業主は、すべての控除を確定申告で手続きしましょう。

要チェック!確定申告でおトクになる人は?

要チェック!確定申告でおトクになる人は?
前述のとおり、年末調整を会社で行っている人も、確定申告をすることで税金が軽減される場合があります。
特に、ここで紹介する5つのケースに該当すれば、所得税の還付や翌年の住民税が軽減されるかもしれません。もし利用できるものがあれば確定申告をしましょう。

ふるさと納税など特定の寄附をした人【寄附金控除】

ふるさと納税のほか、国や地方公共団体、公益社団法人などへの特定寄附金を支出した場合、
  1. 特定寄附金の合計額
  2. その年の総所得金額の40%相当額
上記のうち低い方の金額から2,000円を引いた金額が寄附金控除になります。
私たちにとって身近な寄附金控除といえば、ふるさと納税です。寄附金控除は所得控除になるので、ふるさと納税をした寄附金の合計額から2,000円を差し引いた金額がその年の所得から控除されます。
寄附金控除では、収入や家族構成による控除上限額があります。この控除上限額までの寄附なら自己負担額2,000円を除く金額が所得控除となり、場合によっては返礼品を受け取ることもできます。
寄附金控除の手続きは通常、確定申告で行います。しかし、会社員の場合、寄附先が5ヵ所以内であれば、「ワンストップ特例制度」を利用することで確定申告を省くことが可能です。
ふるさと納税は、上手に活用すれば税金が軽減される制度です。ふるさと納税のポータルサイトなどで自分の控除上限額を確認したうえで、利用してみてはいかがでしょうか。

地震・火事・盗難などに遭った人【雑損控除】

地震や火事などの災害で自宅が損害を受けたり、盗難の被害に遭い損失を受けたりした場合、以下のうち多い方の金額が雑損控除となります。
  1. (損害金額 + 災害等関連支出の金額 - 保険金等の額)-(総所得金額等)× 10%
  2. (災害関連支出の金額 - 保険金等の額)- 5万円
  1. 災害等関連支出の金額とは、災害に遭った住宅を取り壊したり、家財を除去したりするのにかかった費用、または盗難に遭った資産の原状回復などにかかった支出のことです。
雑損控除は所得控除なので、上記にあたる金額が所得から控除されます。また、控除を受けるには確定申告が必要です。
災害などで被害を受けた場合には、金銭的に損失が生じる可能性があります。その際は、雑損控除を受けることをおススメします。
雑損控除について、くわしくは国税庁ホームページで確認してください。

1年間に10万円以上の医療費を支払った人【医療費控除】

医療費控除は所得控除です。1月1日から12月31日までの1年間に10万円以上の医療費を支払った場合、10万円を超えた分が医療費控除となり、所得から差し引くことができます。
その年の総所得金額が200万円未満の場合は、医療費控除の金額は総所得金額の5%の金額となります。
また、医療費控除は納税者本人のほか、生計を一にする配偶者や親族の医療費も合算できます。ただし対象となる金額は、医療保険などから受け取る給付金や、健康保険から支給される高額療養費や出産育児一時金などは差し引いた額となるので注意しましょう。
医療費控除は確定申告でしか手続きができません。病院にかかる機会が多い年は医療費控除の対象となるかもしれないので、領収書などで支払った医療費の集計をしておくと良いでしょう。
さらに、医療費控除には特例として「セルフメディケーション税制」という制度もあります。これは、1年間に市販の特定一般用医薬品を12,000円以上購入した場合、12,000円を超える分が所得控除(限度額88,000円)となるものです。
特定一般用医薬品はパッケージに記載があり、レシートにも対象品には印が付きます。特定一般用医薬品を購入したときは、レシートや領収書を保管しておきましょう。
ちなみに、医療費控除とセルフメディケーション税制は5年前までの分であれば遡って確定申告ができます。
医療費控除・セルフメディケーション税制について、くわしくは国税庁ホームページでご確認ください。

住宅ローンを利用している人【住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)】

住宅ローンを利用して住宅を新築、購入、リフォームした人は、住宅借入金等特別控除(以下、住宅ローン控除)を受けられます。
住宅ローン控除とは、要件を満たす場合、年末のローン残高の0.7%が最大13年間、税額控除になる制度です。所得税から控除しきれない場合は、翌年の住民税から97,500円を上限に控除されます。
税額控除は直接、所得税額から控除額が差し引かれるので、税制メリットは大きくなるでしょう。
また、住宅ローン控除は新築住宅だけではなく中古住宅も対象となります。自宅のリフォームも対象となるので、住宅ローンを組んだときは忘れずに住宅ローン控除の手続きをしましょう。
なお、住宅ローン控除は初年度に限り、確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で手続きできます。
ただ、この制度は何度も延長され、制度が見直されています。住宅ローン控除を利用する際は最新情報を確認しましょう。

年の途中で退職した人

年の途中で退職をし、その後再就職していない場合、年末調整ができていないため、所得税を多く払いすぎている可能性があります。
そこで、自分が本来払うべき所得税額になるよう精算するため、確定申告をしましょう。
もし所得税を多く払いすぎていれば、その分が還付されます。

いつ、どのように確定申告すべきか

確定申告ができる期間は毎年決まっています。そのため、確定申告をしなければいけない場合は、それまでに申告方法を確認しておきましょう。

確定申告の期間は毎年原則2月16日〜3月15日

確定申告は、原則として毎年2月16日から3月15日の1ヵ月間です。
ただし、確定申告の最終日が土曜日、日曜日になる場合は、その翌日(休日明けの日)が最終日となります。
期限内に申告ができるよう、余裕を持って準備しておきましょう。

所得税額算出の流れ

所得税額を計算する手順は以下のようになります。

  1. 1月1日から12月31日の収入金額を集計し、そこから必要経費や仕入金額を差し引いて所得金額を求めます。
  2. 所得金額から受けられる所得控除の金額を差し引き、課税所得金額を求めます。
  3. 課税所得金額に所得税率を掛けて所得税額を求めます。
  4. 所得税額から受けられる税額控除の金額を差し引き、自分が納めるべき所得税額を求めます。

事前に、収入から差し引く必要経費や仕入金額の合計額を集計しておきましょう。
また、自分が受けられる所得控除と税額控除も確認しておきましょう。控除額の計算ですが、保険会社や金融機関、日本年金機構などから控除証明書が送られてくるので、集計の手間はかかりません。送られてくる控除証明書はなくさないよう大切に保管しておきましょう。
年末調整を受ける人で確定申告もする必要がある人は、会社からもらえる源泉徴収票が必要なので、なくさないようにしましょう。

確定申告の手続き

個人事業主は売上などの記帳があるので、確定申告ソフトを利用しても良いでしょう。ソフトによってはe-Taxに対応しているものもあるので便利です。
会社員やパート、アルバイトの人は、確定申告をする際、国税庁のホームページにある「確定申告書等作成コーナー」の利用がおススメです。表示される項目を順番に入力するだけなので、手間なく申告ができます。パソコンだけでなくスマートフォンでも利用でき、スマートフォンとマイナンバーカードがあればe-Taxも利用可能です。
e-Taxを利用すれば画面上で申告が完了します。e-Taxを利用しない場合は、確定申告書等作成コーナーで作成した申告書を添付書類とともに管轄の税務署へ持参するか、郵送しましょう。
また、各種控除を受ける場合、マイナンバーカードを準備し、「マイナポータル連携」を利用すると良いでしょう、これを利用すると各種控除証明書の内容を自動入力できます。ただ、控除証明書の発行元がマイナポータル連携に対応している必要がありますが、利用できれば入力の手間が省け、e-Taxで申告できるので便利です。マイナポータル連携の詳細については、国税庁ホームぺージで確認してください。

まとめ

確定申告は、自営業者やフリーランスなど個人事業主の人が行うものと思われがちですが、実は会社が年末調整をしてくれる会社員やパート、アルバイトの人でも、場合によっては確定申告が必要です。
確定申告をすることで、所得税の還付が受けられ、翌年の住民税が軽減される場合があります。事前に自分が受けられる控除を確認し、確定申告が必要であれば、忘れずに手続きをしましょう。また、確定申告の必要書類も国税庁のホームページなどで確認しておきましょう。
さらに、税金や控除などの制度は税制改正で見直されることがあります。税制改正の内容や確定申告に関する情報は必ず確認しておくことをおススメします。
制度概要や申告内容に少しでも不安がある方は、税理士等の専門家へご相談ください。
執筆者:前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。

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