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ふるさと納税とは?仕組みや確定申告までの手続き、制度改正についてわかりやすく解説!

ふるさと納税とは?仕組みや確定申告までの手続き、制度改正についてわかりやすく解説!
公開日:2023年9月20日
今、返礼品がもらえる「ふるさと納税」をする人が増えています。また、所得税や住民税の控除が受けられることから、ふるさと納税をやってみたいと考えている人は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、初めてふるさと納税をする人のために、ふるさと納税の仕組みやメリット、手続き方法のほか、上手な活用方法や2023年10月からの制度改正についてわかりやすく解説します。

目次

自分の選んだ自治体に寄附できる制度

まずはふるさと納税の概要について解説します。

ふるさと納税とは

ふるさと納税とは、故郷や応援したい市町村など、自分が選んだ自治体に寄附ができる制度のことです。また、ふるさと納税は所得控除の1つ「寄附金控除」の対象となるため、税制メリットが受けられます。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税では、寄附額のうち2,000円を超える部分が寄附金控除の適用を受けて所得税が還付され、住民税が控除されます。
ただし、年収や家族構成などにより控除上限額が設けられています。控除上限額とは、実質自己負担が2,000円で済む寄附額の上限のことです。控除上限額を超える部分には寄附金控除の適用はなく、超過金額はすべて自己負担となるので注意が必要です。
つまり、控除上限額の範囲内であれば、実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取りながらふるさと納税ができます。
ここで、年収400万円の夫と専業主婦の妻の2人世帯が3万円分のふるさと納税をした場合を例に、ふるさと納税の仕組みを見てみましょう。

<家族構成>
  • 夫:会社員 年収400万円
  • 妻:専業主婦
<寄附額>
3万円

年収400万円では控除上限額の目安は33,000円です。
  • 総務省ふるさと納税ポータルサイト「税金の控除について」
    https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html
この場合、寄附額は3万円ですから、2,000円を超える部分はすべて寄附金控除の対象となります。
寄附金控除の対象額:30,000円 - 2,000円 = 28,000円
このとき28,000円にあたる所得税が還付され、住民税からの控除分がふるさと納税をした翌年の住民税から差し引かれます。実質自己負担となるのは2,000円のみです。
3万円を寄附した場合
同様に、下記の場合も見てみましょう。

<家族構成>
  • 夫:会社員 年収400万円
  • 妻:専業主婦
<寄附額>
4万円

年収400万円では控除上限額の目安が33,000円ですから、33,000円を超える部分はすべて自己負担となります。
寄附金控除の対象額:33,000円 - 2,000円 = 31,000円
自己負担となる部分:40,000円 - 33,000円 = 7,000円
このとき、31,000円にあたる所得税が還付され、住民税が控除されます。実質自己負担となるのは9,000円です。(2,000円 + 7,000円)
4万円を寄附した場合
  1. ご紹介した控除上限額はあくまでも目安です。実際には若干の差異が生じる場合があります。

ふるさと納税の魅力(メリット)

ふるさと納税とは、どんな魅力がある制度なのでしょうか。ここでは、ふるさと納税のメリットとなる3つのポイントをご紹介します。

お礼の品がもらえる

ふるさと納税をすると、納税先の自治体からその地域の特産品や地域産業で生産される商品をお礼の品(返礼品)として受け取ることができます。私たちはふるさと納税を通して、寄附する自治体ならではの名産品に出会うことができ、地域の魅力を知ることができます。

寄附の使い道が選べる

ふるさと納税では、寄附金の使い道として自分の希望する用途を選ぶことができます。寄附金の使い道は、まちづくりや子育て支援、産業振興、環境保護、文化遺産の保護、災害支援など自治体によりさまざまです。自治体のホームページで寄附金の使い道を紹介しているところもあるので、チェックしてみると良いでしょう。

税金還付・控除が受けられる

ふるさと納税の大きなメリットは、所得控除である寄附金控除を受けられることです。年収や家族構成などによる控除上限額が設けられていますが、控除上限額までの寄附であれば、2,000円を超える部分に対して所得税の還付、住民税の控除を受けられます。

ふるさと納税の手続き方法

ふるさと納税の手続き方法
ふるさと納税の手続き方法はとても簡単です。ここでは、ふるさと納税の手続き方法を5つのステップに分けて、初めてふるさと納税をする人でもわかりやすく解説します。
以下は、ふるさと納税の利用の仕方を図で表したものです。
ふるさと納税の利用の仕方
では、各ステップの詳細を見ていきましょう。

STEP1:寄附する金額を確認する

前述したとおり、ふるさと納税では、控除上限額を超える部分は寄附金控除の対象にならず、すべて自己負担になってしまいます。ふるさと納税の節税メリットの恩恵を受けるためにも、まずは自分の控除上限額を確認しておきましょう。
総務省のふるさと納税ポータルサイトやふるさと納税サイトでは、年収や家族構成別の控除上限額の目安を一覧表にして紹介しています。ぜひチェックして、控除上限額を超えないよう寄附額を決めましょう。

STEP2:寄附したい自治体や返礼品を選ぶ

ふるさと納税サイトや自治体のホームページで返礼品を選ぶことができます。応援したい自治体や自分の故郷などの返礼品をチェックしてみましょう。また、欲しい返礼品があれば検索して選ぶこともできます。自分にあった納税先や返礼品を探してみてください。

STEP3:寄附の手続きを行う

ふるさと納税の返礼品はふるさと納税サイトや自治体のホームページからクリックするだけで簡単に申し込むことができます。また、自治体への電話やファックスでも申し込めます。
寄附金の支払い方法は自治体やふるさと納税サイトにより異なりますが、クレジットカードやスマホ決済、郵便振替、銀行振込、現金書留、納付書払い、コンビニ払いなどさまざまな方法があります。返礼品を選ぶと複数の支払い方法が提示されるので、自分にあった方法を選びましょう。

STEP4:返礼品や寄附受領証明書を受け取る

ふるさと納税をすると、納税先の自治体から返礼品と「寄附受領証明書」が届きます。返礼品の到着のタイミングは、自治体や品物により異なります。
また、指定した支払方法によっては、郵便振替や銀行振込の用紙、納付書、コンビニ払いの振込用紙が同封されてきます。その際、払込票の控えが確定申告に必要となる場合があるので、失くさないようにしましょう。
さらに寄附受領証明書は寄附をした証明になるもので、確定申告の際、必要となる書類です。届いたら失くさないよう大切に保管しておきましょう。

STEP5:自分にあった税金控除の手続き

ふるさと納税での寄附金控除の手続きには2通りの方法があります。1つは「確定申告」で、もう1つは「ワンストップ特例制度」による手続きです。
ワンストップ特例制度とは、確定申告をしなくても寄附金控除を受けられる制度で、年末調整をする会社員が利用できる方法です。納税先の自治体から「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」を入手し、必要事項を記入して添付書類とともに自治体へ送るだけで手続きが完了します。
ただし、寄附した自治体が5自治体を超えた場合、あるいは年末の寄附で申請書の送付期限(寄附した翌年の1月10日必着)に間に合わないときは、確定申告で手続きをする必要があります。
また、会社員でも医療費控除など所得控除を受けるため、あるいは年収2,000万円を超える会社員は確定申告が必要なので、ふるさと納税の寄附金控除も一緒に確定申告をしましょう。
下記に確定申告とワンストップ特例制度の違いを一覧にしていますので、内容をよく確認しておきましょう。
確定申告とワンストップ特例制度の違い
ワンストップ特例制度と確定申告は併用できないのでご注意ください。ワンストップ特例制度の申請をした後に確定申告をすると、先に手続きしたワンストップ特例制度の申請が無効になってしまいます。もし後から確定申告をすることになったときは、あらためてワンストップ特例制度で申請した分も確定申告で申告しましょう。

10月からふるさと納税が変わる!制度改正で返礼品への影響は?

2023年10月から、ふるさと納税の指定制度が改正され、以下のように基準が見直されることになりました。

  • 5割ルールの適用厳格化
  • 熟成肉と精米は同一都道府県内産のみとする

ふるさと納税の指定制度は2019年(令和元年)6月1日に創設され、ふるさと納税の返礼品に関する基準を以下のように定めていました。
  1. 募集経費を寄附金額の5割以下とすること
  2. 寄附金額に対する返礼品の割合を3割以下とすること
  3. 返礼品は地場産品であること
今回、この基準のうち(1)と(3)が見直されることになりました。

5割ルールの適用厳格化

ふるさと納税の募集に要する経費には、寄附総額の5割以下とする「5割ルール」が定められていました。しかし、寄附金の受領証発行に要する事務費用やワンストップ特例制度の申請書の受付事務費用は募集経費に含めなくても良いとされていました。
そこで今回、募集経費の扱いが見直されることになりました。2023年10月からは5割ルールが厳格化され、寄附金の受領証の発行事務費用やワンストップ特例制度の申請に関する事務費用も募集経費に含めなければいけなくなったのです。
5割ルールの厳格化で、ふるさと納税にかかる経費のすべてを寄附総額の5割以下で賄うことになります。そうなると考えられるのが、寄附金額の引き上げです。同じ返礼品を受け取るのに、今までよりも多くの寄附金が必要になるかもしれません。また、寄附金額は変わらなくても、返礼品の内容量が減るものが出てくる可能性があります。

熟成肉と精米は同一都道府県内産のみとする

これまでのふるさと納税指定制度では、返礼品は地場産品であることと定められていました。ただ実際には、産地の異なる物を区域内で加工したり、主要な工程を実施したりして付加価値を付けることで、地場産品の返礼品としていたものがありました。
しかし2023年10月からは地場産品の基準が改正され、熟成肉と精米については、返礼品にできるのは寄附をする地方団体が属する都道府県産のものに限られることになります。
これにより返礼品の選択肢が減る可能性があります。また、返礼品としての取り扱いがなくなる品物が出てくるかもしれません。

FPが教える!ふるさと納税を上手に活用する方法

これまでふるさと納税の仕組みや魅力(メリット)、手続き方法を解説してきました。ここでは、ふるさと納税を生活の中でお得に活用する方法についてご紹介します。すぐにでも取り入れられるものばかりなので、ぜひ活用してみてください。

生活必需品(お米・卵・おむつなど)を定期便にする

ふるさと納税では、お礼の品として地域の特産品をもらえるところが多いのですが、実はその地域の産業で生産している生活必需品を返礼品としているところも少なくありません。
なかでも、生活必需品を「定期便」として複数回に分けて送ってくれる自治体があります。定期便を利用すれば手頃な量の品物を送ってくれるので、保管場所に悩むこともありません。また、一度の手続きだけで定期的に生活必需品を受け取れるので、手間がかかりません。
米やトイレットペーパー、ティッシュペーパー、おむつ、入浴剤、味噌などのほか、ビールやミネラルウォーターを定期便で受け取れるところもあります。
生活必需品を受け取りながら、所得控除の恩恵も受けられるのが定期便です。普段から使っているものが定期便の返礼品にあれば、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

クレジットカード払いでポイ活

ふるさと納税の寄附金をクレジットカードで支払うと、クレジットカードのポイントが付くのでおトクです。
また、スマホ決済が使える自治体なら、スマホ決済の引き落とし先にクレジットカードを紐づけしておけば、スマホ決済とクレジットカードのポイントを二重取りすることも可能です。スマホ決済によっては紐づけできるクレジットカードが限定されたり、二重取りできなかったりする仕組みのものもありますが、うまく活用すればふるさと納税をしながらポイ活もできます。
とはいえ、ふるさと納税で利用できるクレジットカードは、納税者名義のカードに限られるので注意が必要です。なぜなら、寄附金を引き落とすクレジットカードが納税者の名義でなければ、寄附金受領証明書が無効になるからです。くれぐれもクレジットカードの名義には注意しましょう。

普段は買えない特産品や高級食材を返礼品にする

ふるさと納税の良いところは、納税先の特産品を返礼品としてもらえるところです。なかなか行くことができない地域でも、返礼品を通してそこでしか味わえない特産品を楽しむことができます。
特に、普段ではなかなか買うことのできない牛肉や海鮮、フルーツなどの高級食材を返礼品として選ぶのはいかがでしょうか。近所の店では買えない食材を返礼品としてもらえば食生活が充実し、非日常感を味わうことができます。
また、グルメを楽しみながら寄附金控除も受けられるのでおトクです。ときには普段は買えない特産品や高級食材を返礼品に選んで、贅沢を楽しむのもよいでしょう。

まとめ

ふるさと納税は自分の選んだ自治体に寄附することで、所得控除の1つ寄附金控除を受けられて返礼品がもらえる、魅力ある制度です。
寄附金の支払いにはさまざまな方法がありますが、特にポイントが貯まるクレジットカード払いがおススメです。税制優遇のメリットを受けながらポイ活もできるので利用すると良いでしょう。
ただ、ふるさと納税は寄附をした後、寄附金控除を受けるために確定申告もしくはワンストップ特例制度による手続きが必要です。寄附をして終わりというわけではないので、くれぐれも寄附金控除の手続きを忘れないようにしましょう。
執筆者:前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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