NYダウとは?S&P500との違いや投資できる商品をわかりやすく解説
ニュースや新聞でよく見かける株価指数の一つに、NYダウがあります。
NYダウは、経済新聞「ウォール・ストリート・ジャーナル」を発行するダウ・ジョーンズ社(Dow Jones & Company, Inc.)が公表する、米国の代表的な株価指数です。持続的な成長実績等の基準で選ばれた30銘柄によって構成されており、世界で最も歴史の古い株価指数として、投資や金融取引の指標として活用されています。
特に米国への投資を検討している方は、NYダウについて知っておくと、投資を判断する際に役立つでしょう。
今回は、NYダウの特徴や構成銘柄、歴史を解説し、NYダウに関連する資産運用法をファイナンシャルプランナーが紹介します。米国の株価指数である、ナスダック指数やS&P500との違いも解説しているので、株価指数全般について知りたい方もぜひ読んでみてください。
NYダウとは「ニューヨーク証券取引所等に上場している主要30銘柄から算出した株式指数」
NYダウは、米ダウ・ジョーンズ社が算出・公表している米国の代表的な株価指数です。正式名称を「ダウ工業株30種平均」といい、ダウ平均株価と呼ばれる場合もあります。
正式名称に「工業株」と入っていますが、時代の流れに合わせて銘柄の入れ替えが行われた結果、現在では幅広い業種の銘柄で構成されているのが特徴です。
NYダウを構成する銘柄は、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している米国企業の普通株式等30銘柄です。持続的な成長実績がある、投資家の関心が高い、米国で創立し米国に本社がある等を基準に銘柄が選定されており、世界情勢に合わせて随時入れ替えられています。
NYダウは構成する30銘柄の株価を単純に株数で割ったものを、株価の変動等をもとに修正して算出されます。そのため、株価の高い銘柄に指数が左右されやすく、指数が市場全体を的確に反映していないという指摘もあり、NYダウを見る際はその点を留意すべきでしょう。
NYダウを構成する30銘柄(2022年8月時点)
NYダウには、どのような銘柄が組み入れられているのでしょうか。NYダウの全30銘柄を一覧でご紹介します。
NYダウの構成銘柄
アップル | ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J) |
アムジェン | JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー |
アメリカン・エキスプレス | コカ・コーラ |
ボーイング | マクドナルド |
キャタピラー | 3M |
セールスフォース | メルク |
シスコシステムズ | マイクロソフト |
シェブロン | ナイキ |
ウォルト・ディズニー・カンパニー | プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) |
ダウ | トラベラーズ |
ゴールドマン・サックス・グループ | ユナイテッドヘルス・グループ |
ホーム・デポ(Home Depot) | ビザ |
ハネウェルインターナショナル | ベライゾン・コミュニケーションズ |
IBM | ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス |
インテル | ウォルマート |
- 2022年9月1日時点
- 企業名は略称で表示しています
NYダウは構成銘柄の入れ替えを繰り返し、現在ではITや金融、ヘルスケア関連の企業が多くなっていることがわかります。
なお、直近の銘柄変更は2020年8月に実施されました。エクソン・モービル、ファイザー、レイセオン・テクノロジーの3銘柄が外れ、セールスフォース・ドット・コム、アムジェン、ハネウェルが新たに加わっています。
NYダウとナスダック指数・S&P500の違い
米国の代表的な株価指数には、NYダウ以外にも「ナスダック指数」と「S&P500」があります。NYダウとの違いも含めて、それぞれの特徴を解説します。
ナスダック指数との違い
全米証券業協会が運営する株式市場は、正式名称の頭文字をとってナスダック(NASDAQ:National Association of Securities Deals Automated Quotations)と呼ばれています。ナスダックに上場している企業の銘柄をもとに算出した株価指数がナスダック指数です。
ナスダック指数は、ナスダック100指数とナスダック総合指数に分かれており、それぞれ異なる対象銘柄の時価総額加重平均で指数を算出しています。
- ナスダック100指数:ナスダック上場企業のうち、時価総額上位約100銘柄を指数化したもの
- ナスダック総合指数:ナスダック上場企業全約3,000銘柄を指数化したもの
ナスダックはハイテク企業やIT関連企業の占める割合が高いため、これらの企業の動向を把握するのにナスダック指数は適しています。
S&P500との違い
S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社によって毎日算出・公表されている指数です。小型株を除く、米国株式市場を代表する優良企業500銘柄で構成されており、対象銘柄の時価総額加重平均で指数が算出されています。
構成銘柄が多いため、NYダウよりもS&P500のほうが、米国株式市場全体の大型株の動向を把握するのに適しているでしょう。
NYダウを活用した資産運用にはどのような方法がある?
NYダウを指標とした資産運用にはどのような方法があるのでしょうか。投資信託と先物取引の、2種類の運用法を紹介します。
NYダウの値動きに連動する投資信託(インデックスファンド)
投資信託とは投資家から集めた資金をもとに、運用の専門家が株式や債券等に投資・運用する金融商品です。1つのファンドに複数の投資先が組み込まれているため、手軽に投資先を分散させられるといった特徴があります。
投資信託のなかでも、NYダウやS&P500等の株価指数に連動した運用を目指すものを、インデックスファンドと呼びます。
インデックスファンドは、株価指数に連動するため動きがわかりやすいメリットがありますが、株価指数以上のリターンは望めず、これはいずれの投資信託元本は保証されません。
運用等を専門家に任せられる投資信託は、投資初心者にとって始めやすい金融商品であり、株式指数に連動するファンドを選択すれば、運用の難易度も下がるでしょう。
NYダウの先物取引
先物取引とは、投資対象の将来の決められた日(決算期日)に取引の時点で定められた価格で売買することを約束する取引です。
例えば、現在価値1,000円の商品が今後値上がりすると予想されれば、将来1,000円で買う約束を取りつけます。約束したあと商品が1,500円まで値上がりした場合、通常の取引よりも先物取引のほうが500円安く商品を仕入れられることになるのです。
逆に、投資対象の価格が今後安くなると予想されれば、将来売る約束を取りつけることもできます。買いと売りのどちらからでも取引を開始できるため、先物取引では相場の上昇局面と下降局面の両方で利益を狙えるのです。
なお、NYダウの先物取引は大阪取引所に上場しているため、ドル建てではなく円建てで取引でき、為替レートの影響を受けません。
また、米国と日本の取引時間が重なっているため、米国市場の取引時間内にリアルタイムでの取引が可能です。取引時に証拠金を納めることでレバレッジを効かせられるという点も、NYダウ先物取引の魅力でしょう。
ただし、レバレッジを効かせすぎると資産を失うリスクも大きくなります。取引で損が出て証拠金額を下回ってしまった場合には、短期間で不足分を入金しなければなりません(追加証拠金、略して追証(おいしょう)と呼びます)。
いつどれくらい取引するべきか、投資判断には専門知識も必要になるため、先物取引は投資初心者には不向きです。
まとめ
米国を代表する株式指数であるNYダウは、ニューヨーク証券取引所やナスダックに上場している米国企業30銘柄で構成されています。
長い歴史を持つNYダウは、世界恐慌やコロナショックにより何度も急落した過去もありますが、長期的に見ると大きく成長しているのが特徴です。
NYダウを活用した資産運用には投資信託や先物取引がありますが、これから投資を始めるなら、投資の専門家に運用を任せられる投資信託が始めやすいでしょう。
NYダウの特徴を知ったうえで、どのような方針で資産運用していくのかをじっくりと検討しましょう。
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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(2022年10月31日)