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iDeCo(イデコ)の掛金はいくらまで?上限額の変更は可能?限度額の目安や納付方法について分かりやすく解説!

iDeCo(イデコ)の掛金はいくらまで?上限額の変更は可能?限度額の目安や納付方法について分かりやすく解説!
公開日:2022年5月16日
更新日:2023年4月17日
最近の物価上昇などに不安を感じ、将来のために資産形成をしたいと考え、iDeCoを検討し始めた方も多いのではないでしょうか。
iDeCoは、任意で加入できる私的年金制度です。5,000円から掛金を積み立てられますが、上限額は職業や企業年金の加入状況によって異なります。
iDeCoに加入する場合、自分の上限額はいくらなのでしょうか。掛金の平均額や納付方法についても解説していますので、加入する際の参考にしてみてください。

目次

iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の掛金の上限額は?加入資格や平均額をチェック

iDeCoは毎月5,000円から積立ができます。ただし、掛金の上限額は人によって違うため、自分の限度額がいくらなのか把握しておきましょう。
どのくらいの掛金に設定すればいいのかわからない場合は、目安として平均額も参考にしてください。

iDeCoの掛金の上限額は?

iDeCoは、加入資格によって掛金の上限額が異なります。
加入資格は職業などで決まるため、以下の表でご自身がどれにあてはまるのか確認してみましょう。
加入資格 掛金の限度額
自営業、学生等
(第1号被保険者)(*1)
月額68,000円
(年額816,000円)
会社員等
(第2号被保険者)
企業年金なし 月額23,000円
(年額276,000円)
企業型DCのみ加入 月額20,000円
(年額240,000円)
企業型DCと確定給付型に加入 月額12,000円
(年額144,000円)
確定給付型のみ加入
公務員
(第2号被保険者)
専業主婦(夫)等
(第3号被保険者)
月額23,000円
(年額276,000円)
  • 第1号被保険者は国民年金基金または国民年金付加保険料との合算枠
会社員は勤務先の企業年金の有無などで掛金の上限額が異なります。
どれに当てはまるかわからない場合は、お勤め先の年金制度を確認してみてください。
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iDeCoの加入資格

加入資格について、もう少しくわしく見てみましょう。
iDeCoの加入資格は、正確には国民年金の被保険者種別によって異なり、第1号・第2号・第3号被保険者に区分されています。
それぞれの違いは以下のとおりです。
種別 第1号被保険者 第2号被保険者 第3号被保険者
加入制度 国民年金 国民年金
厚生年金
国民年金
対象者 学生・自営業者等 会社員・公務員等 第2号被保険者に
扶養される配偶者
上記の種別ごとに掛金の限度額が異なります。
これまでは60歳未満という年齢要件もありましたが、現在は任意加入被保険者(*1)か厚生年金の被保険者であれば、65歳になるまで加入できます。
  • 国民年金の納付済み期間が480ヵ月に足りず、60歳以降も任意で加入する人
また、第2号被保険者(会社員等)は、企業年金の有無などでさらに限度額が分かれています。
しかし、2024年12月以降、第2号被保険者の上限額は月額20,000円(*2)に統一されます(公務員含む)。
  • 月額55,000円 − (各月の企業型DCの事業主掛金額 + 確定給付型の掛金相当額)
この見直しによってiDeCoの拠出可能額が減ったり、最低掛金額(5,000円)を下回ることで拠出できなくなってしまう可能性があることは知っておきましょう。
なお、以前は企業年金のある会社員は、規約の定めにより加入できない人も多くいました。
しかし、現在は基本的に誰でもiDeCoに加入できます(勤務先の企業型DCに加入し、マッチング拠出あるいは年単位拠出をしている場合を除く)。

掛金の目安は?平均額をチェック

iDeCoの掛金は、最低5,000円から1,000円単位で設定できます。
長期で加入する制度のため、掛金は無理のない金額を設定することが大切ですが、平均拠出額も参考にして検討してみてください。
加入資格 月額の平均掛金額
第1号被保険者 28,767円
第2号被保険者 14,551円
分類 企業年金なし 16,836円
企業年金あり 11,244円
公務員 11,024円
第3号被保険者 15,451円
全体 16,202円
平均の掛金額は限度額も関係していると考えられますが、年金制度の手厚い第2号被保険者は少なく、国民年金のみの第1号被保険者は多めに積み立てている傾向が見られます。
全体の平均は約16,000円です。あくまでも平均のため、実際にはご自身の状況にあわせて掛金を設定しましょう。
また、最終的な目標金額があれば、そこから掛金を決める方法もあります。
例えば、iDeCoだけで800万円を目指す場合、利回り年1%なら毎月およそ19,000円を30年間積み立てれば達成の見込みがあります。
ただし、目標金額や加入期間によっては毎月の掛金が上限額を超えてしまいますので、NISAなどを上手に組み合わせて運用することも検討しましょう。

掛金を変更したいときは

iDeCoの掛金額は変更できますが、年1回のみです。
変更できる期間は、毎年12月~翌年11月(実際の引き落とし月は1月~12月)の間ですが、被保険者種別を変更するときの掛金額は、変更回数に含まれません。
変更したい場合は以下の書類を金融機関に提出しましょう。
<掛金変更に必要な書類>
加入者掛金額変更届
掛金の引き落としを停止したい場合は、以下の書類を提出する必要があります。
<掛金の引き落とし停止に必要な書類>
加入者資格喪失届
手続き完了まで1〜2ヵ月程度かかるため、変更したい場合は早めに手続きしましょう。

iDeCo(イデコ)の掛金の納付方法

iDeCoの掛金は、毎月の銀行引落が基本ですが、特定の月にまとめて納付する年単位拠出も可能です。

掛金の納付方法は?

iDeCoの掛金は、銀行口座からの引き落としで納付します。引落日は毎月26日で、休業日の場合は翌営業日に引き落とされます。
初回掛金については、申し込みタイミングにより、申し込み月の翌々月に2ヵ月分引き落とされることがあるため、残高不足に注意しましょう。また、引き落としできなかった場合、追納はできません。
第2号被保険者である会社員や公務員は、勤務先で手続きしてもらい、給与天引きによる納付(事業主払込)も可能です。
事業主払込で納付すれば、年末調整が不要になるメリットはありますが、対応していない企業が多いため、個人口座による銀行引落が基本です。

掛金の引き落としタイミングは?

iDeCoの掛金は、毎月の引き落とし以外に、任意の月にまとめて納付する年単位拠出も可能です。
しかし、事前に掛金と納付月を指定する手続きが必要だったり、iDeCoは経過した月の分しか拠出ができないため(1月に2~12月分の拠出は出来ない)、11月分(12月引き落とし)を含める必要があるなど、いくつか条件がある点には注意しましょう。
年単位拠出の例として、ここでは限度額が月額2万円の場合、特定の月にまとめて納付するケースと、特定の月に増額するケースを見てみましょう。

特定の月にまとめて積み立てるケース

<積立限度額が月額2万円の場合>
  12月分
(1月引落)
1月分
(2月引落)
2月分
(3月引落)
3月分
(4月引落)
拠出額 0円 0円 0円 8万円
繰越合計額 2万円 4万円 6万円 0円
このケースでは12月分〜2月分を繰り越し、3月分とあわせ、2万円 × 4ヵ月 = 8万円をまとめて納付しています。

特定の月に増額するケース

<積立限度額が月額2万円の場合>
  12月分
(1月引落)
1月分
(2月引落)
2月分
(3月引落)
3月分
(4月引落)
拠出額 1万円 1万円 4万円 1万円
繰越合計額 1万円 2万円 0円 1万円
このケースでは、毎月1万円を納付しますが、2月分は2万円に増額し、1月分までの繰越合計額(計2万円)をあわせた4万円を納付しています。
繰り越しできる金額は、毎月の掛金と拠出限度額の差額です。

iDeCo(イデコ)のメリットと運用について

iDeCo(イデコ)のメリットと運用について
iDeCoは、私的年金制度として資産形成に活用できます。さらに税制優遇も受けられるため、具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

iDeCoのメリットは税の優遇を受けられること

iDeCoの税制優遇メリットは、大きく分けて3つあります。

  • 掛金が全額所得控除になる
  • 運用益は全て非課税
  • 将来受け取るときも各種控除が適用になる

それぞれ確認していきましょう。

メリット1.掛金が全額所得控除になる

iDeCoの掛金は、全額を所得控除できます。それによって所得税と住民税を軽減できるメリットがあります。
所得税と住民税は、1年間の所得に対してかかる税金です。納めた掛金を所得から控除できれば、その分所得が減り、所得税と住民税が軽減される仕組みです。
実際に軽減される税額は、その人の税率と掛金によって異なります。
例えば、所得税率20%の人が年間24万円の掛金を積み立てる場合、一律10%の住民税率とあわせ、掛金の30%分である72,000円もの税金が軽減されます。
<所得税率20%の人が年間24万円を積み立てる場合の税軽減効果>
年間掛金24万円 × 30%(所得税率20%+住民税率10%)=72,000円
三菱UFJ銀行のホームページからも、税金の軽減効果をシミュレーションができるので、気になる人は試してみてください。

メリット2.運用益は全て非課税

金融商品を運用して利益を得た場合、通常、利益に対して20.315%の税金がかかります。
しかし、iDeCoでは運用益が全額非課税になり、運用で得た利益はそのまま元本に再投資されます。そのため、同じ運用をしても利益から税金が引かれない分、運用資産の増幅が期待できます。
仮に毎月2万円を積み立て、年率1%で25年間運用した場合、運用益は約81万円になります。
本来ならここから20.315%が課税され、およそ163,000円の税金が引かれます。しかし、iDeCoでの運用は利益をそのまま受け取れるため、手元に運用益を多く残せることがメリットです。

メリット3.将来受け取るときも各種控除が適用になる

iDeCoの運用資産を受け取るときは、年金か一時金(金融機関によっては併用)で受け取り、一定額まで税金がかかりません。
年金で受け取るときは「公的年金等控除」、一時金で受け取るときは「退職所得控除」が適用され、税負担を軽くして運用資産を受け取れる仕組みです。
公的年金等控除は所得や年齢で控除額が異なりますが、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円以下の場合、65歳未満の方は年間60万円まで、65歳以上の方は年間110万円まで、公的年金などとiDeCoの年金をあわせた収入が非課税で受け取れます(2023年2月24日時点)。
退職所得控除については、iDeCoの積立期間を勤続年数とみなし、以下のとおり控除額が決まります。
勤続年数(積立期間) 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低控除額は80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
iDeCoには、年金でも一時金でも税負担を抑えて運用資産を受け取れるメリットがあります。
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iDeCoの運用について

iDeCoに積み立てたお金は、将来受け取るまで自分で運用をしていきます。商品は大きく分けて、「元本確保型」と「投資信託」があります。
iDeCoの商品カテゴリー 特徴
元本確保型
  • 預金や保険商品のことを指す
  • 元本に利率がつく
  • 途中解約しても元本割れしない
  • 利回りが低い
投資信託
  • 株式や債券などで運用する
  • 長期的な運用で利益を目指す
  • 元本が変動し、元本保証はない
  • ある程度の利回りを期待できる
実際には上記2つのカテゴリーの中で、金融機関ごとにさまざまな商品がラインアップされています。
最終的には自身でどの商品にするかを選ぶ必要はありますが、商品の内容がよくわからない場合は、金融機関で説明を聞き、商品選びの参考にしてみましょう。
相談は、店舗ではなく電話のみで受け付けている金融機関もあるので、まずはホームページを確認することをおススメします。

運用途中で受給する場合の注意点

iDeCoは原則60歳になるまで引き出しできませんが、一定の障害状態や本人が亡くなった場合は60歳未満でも給付の対象になります。
一定の障害状態の場合は「障害給付金」として本人が受け取り、本人が亡くなった場合は「死亡一時金」としてご遺族が受け取れます。
また、特定の条件に該当すれば、iDeCoを解約して「脱退一時金」を受け取ることもできます。ただし、条件が厳しいため、通常は受け取れないと認識しておきましょう。
なお、いずれの場合でも運営管理機関に連絡して手続きが必要です。

なぜiDeCo(イデコ)を始めたのか?FPの体験談

ここまでiDeCoについて紹介をしてきましたが、筆者も10年以上加入しています。
加入のきっかけは、当時の勤務先で企業型DCに加入しており、退職時に運用資産をiDeCoに移したことです。
それから現在も積み立てを続けている理由は、税制優遇の効果が大きく、資産形成をスピードアップできると考えているからです。

税制優遇効果が大きく資産形成のスピードアップになる

税制優遇については、掛金の全額所得控除が強力だと考えています。仮に税率が30%だとすれば、運用益がなかったとしても掛金の30%分の税金が軽減されます。
先ほど計算したとおり、年間24万円の掛金なら72,000円の軽減効果です(状況により税制優遇効果は変わります)。
これが毎年続くと考えれば非常に大きなことです。私の場合は軽減した税金分のお金をNISAなどに回し、さらに運用して増やすようにしています。
そうすることで運用元本の増え方が大きくなり、資産形成のスピードアップにもつながります。
  1. 運用商品には価格変動リスクがあり、売却や受け取りのタイミングによっては元本を下回る場合もあります

運用中のFPが考えるiDeCoのポイント

iDeCoならではのポイントには、強力な税制優遇効果もありますが、途中解約できないことも資産形成をするうえでメリットといえます。
カンタンに引き出しができてしまうと、人によっては何かあったときに解約して使ってしまうことが考えられるからです。
もちろん引き出し制限がなくても問題なく貯蓄できる人もいますが、制限があることで使ってしまうリスクを抑えることができます。
NISAや保険などはいざとなったら解約できてしまうため、iDeCoは、貯蓄が苦手な人や将来に向けて着実に積立がしたい人に向いているのではないでしょうか。

まとめ

iDeCoは、原則60歳未満の国民年金被保険者なら誰でも加入でき、税制優遇メリットのある私的年金制度です。
掛金は最低5,000円から1,000円単位で自由に設定できますが、限度額は加入区分によって異なります。
iDeCoに加入する際は、ご自身の限度額を確認し、掛金をいくらにするか検討しましょう。
60歳未満での引き出しはできませんので、積立を続けていける金額に設定し、無理なく資産形成をしていきましょう。
執筆者:國村 功志(くにむら こうじ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、一種外務員資格
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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ご注意事項

iDeCoをお申し込みいただく前に、下記についてご確認ください。

  1. 原則、60歳まで引き出し(中途解約)ができません
    • 脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。
  2. ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
    • 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
    • 当行から特定の運用商品の推奨はできません。
  3. 運用商品の主なリスクについて
    • 預金は元本確保型の確定利回り商品です。預金は預金保険制度の対象となります。
    • 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
    • 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
    • 預金、保険および投資信託は異なる商品であり、それぞれリスクの種類や大きさは異なります。
  4. 初回手続き時、運用時、給付時等で、各種手数料がかかります
    • iDeCoには、初回手続き手数料・毎月の事務手数料・資産管理手数料・運営管理機関手数料・給付事務手数料等がかかります。
    • 手数料は、加入者となられる方は毎月の掛金から、運用指図者となられる方は積立金から控除されます。年金でお受け取りになられる方は給付額から控除されます。
  5. 60歳になっても受け取れない場合があります
    • 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
    • 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
      • 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。
株式会社 三菱UFJ銀行
(2023年4月17日現在)