資産運用とは?初心者が知っておきたい種類や注意点をわかりやすく解説
更新日:2024年1月23日
資産運用とはなに?わかりやすく解説!
「資産」とは、現金だけでなく、土地や住宅といった不動産など、価値を評価できるものです。「財産」ともいえるでしょう。
そして「資産運用」とは、お金の置き方を変え、効率的にお金が増える状態を目指すことをいいます。例えば、しばらく使わないお金を、もっと利回りの高い商品に置き換えるような行為のことです。
資産運用には大きく「貯蓄」と「投資」の2種類があるため、必ずしも投資だけを指すわけではありません。預金など貯蓄性の高い商品を選ぶことも一種の資産運用といえますが、資産運用と聞くと投資をイメージする方が多いようです。
資産運用はなぜ重要なのか?
低金利の日本ではお金がほとんど増えないから
日本では2016年1月、民間銀行が日本銀行に預けるお金の一部に「マイナス金利」が導入されました。
これまでは、民間銀行は日本銀行にお金を預けると「利子」として収益を得られたのですが、マイナス金利では逆に「利息」を日本銀行に払うことになります。
そのため、民間銀行は企業や一般人への貸し出しを増やし、経済を活性化させようとします。
また、国のマイナス金利政策を受け、私たちの預金金利も低下しました。日本銀行によると、直近の預金金利の平均は普通預金で年率0.001%、定期預金でも年率0.002~0.003%しかありません(2022年1月19日時点)。
つまり、100万円を預けても10円~30円の利息しか受け取れない計算です(税金は考慮していません)。これでは円預金でお金を増やすことは難しいでしょう。
参考:日本銀行金融機構局 預金種類別店頭表示金利の平均年利率等について
マイナス金利下の日本でお金を増やすためには、円預金以外の資産運用が欠かせません。例えば、日本より金利が高い国の通貨を用いる「外貨預金」なら、円預金より高い利息も期待できるでしょう。
また、マイナス金利は一般に景気拡大を促すため、中長期的には円安・株高になる可能性もあります。
一般に金利が低いと預金を持っていてもほとんどお金が増えないので、金利の低い円を売って金利の高い外貨を買う人が増えます。そのため、外貨の価値が高くなるのに対して、日本円は価値が下がってしまう傾向にあります(=円安)。
円安になると、輸出品が売れやすくなり、日本経済を牽引する輸出産業などの売上が伸び、株高になるという考え方です。
株式への投資も検討してみてはいかがでしょうか。
インフレが進むとお金の価値が相対的に目減りするから
退職金や年金額が減少傾向だから
「老後は退職金や年金で十分生活できる」と、考えている方もいるでしょう。
しかし、それらはいずれも減少傾向にあります。例えば、大卒者の退職金の平均は2003年~2018年で500万円以上下がりました。
- 2003年:2,499万円
- 2008年:2,280万円
- 2013年:1,941万円
- 2018年:1,983万円
- 2005年度:23万3,299円
- 2010年度:23万2,591円
- 2015年度:22万1,507円
- 2020年度:22万724円
- 2021年度:22万496円
退職金や年金は老後を支える大切なお金ですが、過度に期待してはいけません。老後に向け、資産運用で備えておくことが大切でしょう。
出典
- 厚生労働省 平成15年就労条件総合調査の概況 退職給付(一時金・年金)の支給実態
- 厚生労働省 退職給付(一時金・年金)の支給実態
- 厚生労働省 平成25年就労条件総合調査結果の概況:結果の概要(5 退職給付(一時金・年金)の支給実態)
- 厚生労働省 退職給付(一時金・年金)の支給実態
- 厚生労働省 令和3年版厚生労働白書 年金
資産運用を始める際に知っておきたい6つのポイント
お金を3つの種類に分けておく
- 生活するためのお金
- 使い道が決まっているお金
- 当面使う予定のないお金
このうち、投資を考える場合、まずは「当面使う予定のないお金」で考えましょう。「生活するためのお金」は、すぐに引き出せるようにする必要があるため投資に向きません。
住宅資金や教育資金などの「使い道が決まっているお金」は、使う時期が相当遠い将来なら投資の選択肢もありますが、リスクの大きい投資は不向きです。ただし、損失によって、用意しておくべき金額に届かないおそれがありますので、預金やリスクの小さい商品などで安定的に管理したほうが良いと考えられます。
「当面使う予定のないお金」なら、余裕のある投資が可能です。期間を中期・長期に分け、自分が取れるリスクに合わせて投資を行いましょう。
目的を決めて運用方法を選ぶ
運用の目的を定め、さらに目的から具体的な目標金額と目標時期を決めましょう。例えば、「老後に備えたい」という目的を定めたら、「60歳になる30年後までに2,000万円を用意する」といった具合です。
具体的な目標が定まると、必要な投資額と利回りが計算できます。例えば30年後に2,000万円を用意したい場合、ゼロから積み立てるなら月に約5.6万円の積み立てが必要です。
これを実行できるなら投資はいらないかもしれませんが、難しい方は投資を検討すべきでしょう。
例えば、月に積み立てられる金額が3万円の場合、30年で2,000万円に到達するためには年に4%の利回りが必要です。貯蓄で得られる利回りではないため、実現できそうな投資を検討しなければなりません。
目標が定まると運用方法が選びやすくなります。老後資金なら「iDeCo(イデコ)」や「個人年金保険」、教育資金なら「学資保険」や「つみたてNISA」などが選択肢として考えられるでしょう。
長期的な視点を持つ
投資は一時的にマイナスになるケースもありますが、目先の利益にとらわれず、できるだけ長期運用を心がけましょう。
長期運用では、「複利(ふくり)」効果が働いて効率的に資産を増やしやすくなり、一般的にリスクは抑制されると考えられます。
複利とは、得られた利益を再投資して運用額を大きくし、次の利益をさらに大きくする運用方法です。
例えば、100万円を10%の利回りで運用するとき、1年目の利益は10万円ですが、その10万円を再投資して運用額を110万円に増やせば、2年目の利益は11万円に増えます。これを繰り返すと、同じ利回りでも利益が上昇し続けるでしょう。
1年目 | 2年目 | 3年目 | 4年目 | 5年目 | |
---|---|---|---|---|---|
運用額 | 100万円 | 110万円 | 121万円 | 133.1万円 | 146.4万円 |
利益 | 10万円 | 11万円 | 12.1万円 | 13.3万円 | 14.6万円 |
分散投資でリスクを軽減させる
投資のリスクとは「リターンの振れ幅」のことです。例えば、リターンが-10%~10%で出現する商品と-2~2%で出現する商品がある場合、後者のほうが小さいリスクで運用できます。
リスクを軽減するためには「資産の分散」を心がけましょう。例えば、株式投資だけに集中投資すると資産全体の損益が株式に依存します。そうなると、株式が下落したときに、大きな損失が出てしまうかもしれません。
そうならないようにするためにも、株式・投信・外貨などバランをよく保有し「資産を分散」させることで、互いの値動きが相殺し合い、リスクを下げる効果が期待できるでしょう。
それ以外には「地域の分散」も効果的です。日本株式だけでなく海外株式にも投資すると、分散投資の効果が高まるでしょう。
また、「時間の分散」も、リスクを下げる効果が期待できます。資金を一度に投じるのではなく、積み立てで投資タイミングを分散させれば投資単価が平均化されるため、高値での投資を防ぐことが可能です。
リスクとリターンの関係を理解する
リスクとリターンの関係は基本的に比例関係にあるため、大きなリターンを求める場合はリスクも大きくなるでしょう。
預貯金はローリスクローリターンの代表的な商品で、リスクは低いですが大きなリターンは期待できません。一方、株式やFXなどは大きなリターンを期待できますが、リスクも基本的に大きくなります。
なお、このリスクとリターンの関係はあくまで一般論なので、商品によって異なるケースがあることには留意してください。
リスクの種類も知っておく
ここでいうリスクとは、上述したリターンの振れ幅ではなく、損失可能性としてのリスクです。
代表的なリスクが「価格変動リスク」でしょう。株式のように、価格が変動しているものは元本割れの可能性があります。同様に、海外に投資する際は「為替変動リスク」に注意してください。
また、「信用リスク」は、債務不履行が起こる可能性を指します。債務不履行とは、株式や債券等の発行体である国や企業の財務状況が悪化し、価格が下落することを言います。
「金利変動リスク」は、一般に債券への投資で注意が必要です。例えば、金利1%の債券を100万円分購入した場合、1年後に1万円増えます。購入後に市場金利が上昇し、5%の債券が発行されたとします。この債券は1年後に5万円増えますね。そうすると購入した金利1%の債券の魅力が下がってしまいます。
このように、市場金利が上昇すると債券価格は一般に下落します。
「カントリーリスク」は海外に投資する際のリスクで、その国の政治や社会の混乱などで価格が不利に動いてしまうリスクです。
その他にも、市場の混乱などで値がつかず取引ができなくなったり、不利な価格で売買せざるを得ない場合の「流動性リスク」もあります。
資産運用のおもな種類とその特徴
円預金
円預金は、最も身近な金融商品といえるでしょう。元本が保証されており、万が一銀行が破綻した際も「預金保険制度(ペイオフ)」によって一定の補償が受けられる安全性の高い商品です。
大きく分けると「普通預金」の「定期預金」2つがあり、「普通預金」は預入期間が定められておらず、いつでも入出金できるものです。
一方の「定期預金」は預入期間が定められており、満期前の出金は原則できませんが、その分、普通預金よりも金利が高い傾向にあります。お金を少しずつ積み立てたい方は「積立定期預金」が向いているでしょう。
債券
債券は、国や企業などがお金を集めるときに発行する証券です。国が発行するものを「国債」、企業が発行するものを「社債」といいます。発行者によって利息と元本の支払いが約束されていることから、安定した収益を得やすいでしょう。
例えば、金利1%の債券を100万円分買うとき、満期まで毎年1万円の利息を受け取り、満期では最後の利息1万円と元本100万円を受け取ります(税金は考慮していません)。
イメージは定期預金に近いものですが、債券にはペイオフのような発行者の破綻に備える補償はありません。その分、債券の金利は預金より高い場合が多く、一般的に発行者の破綻リスクが高いほど、また満期までの年限が長いほど金利は高くなります。
ただし、債券によっては当てはまらないケースもあるので注意しましょう。外国の通貨を利用した「外国債券」では、為替を考慮する必要があります。
生命保険
生命保険も資産運用に用いられます。万が一に備えられるうえに、貯蓄性が高いものもあります。
生命保険の貯蓄機能とは、端的にいえば「解約返戻金」と「満期金」のことです。前者は途中解約時に、後者は満期時に受け取れるお金を指します。支払保険料より多くのお金を受け取れるケースもあれば、支払保険料より少ない金額しか受け取れず元本割れするケースもあります。
生命保険の強みは、「生命保険料控除」という所得控除を受けられる点でしょう。最大で年12万円まで所得から差し引けるため、税制優遇効果が期待できます。
「定期保険」は、一定期間の保障を受けられる保険です。貯蓄機能のないものが多いですが、保険料は保障額に対して安い場合が多くあります。
「終身保険」は、一生涯の保障を受けられる保険です。満期がないため満期金はありませんが、解約返戻金を受け取れるものが多いです。ただし、あえて解約返戻金を低く設定し、保険料を抑えたタイプもあります。
「養老保険」は、一定期間の保障と貯蓄機能を備えた保険です。保険期間中に万が一のことがあれば保険金を受け取れ、無事に満期を迎えても満期金を受け取れます。
外貨預金
日本円ではなく、外貨で預け入れる預金です。日本より金利が高い国の通貨で外貨預金を行えば、円預金よりも高い利息収入が期待できるでしょう。
外貨預金に用いられる外貨はさまざまあり、米ドルやユーロ、英ポンド、豪ドルなどが代表的です。また、円預金と同じく普通預金と定期預金があります。
外貨ベースでは基本的に元本割れはありませんが、日本円ベースでは元本保証がされていません。例えば、1万ドルを預け入れたなら、元本は原則1万ドルを下回りません(為替手数料を考慮せず)。しかし、1万ドルが日本円でいくらになっているかは為替レート次第です。
1ドル=100円なら100万円ですが、1ドル=90円なら90万円、1ドル=110円なら110万円となります。
投資信託
投資信託は、多数の投資家から集めた資金をひとまとめにし、複数の銘柄で運用される商品です。金融機関で100円~1万円程度で始められるため少額投資できるうえに、投資信託そのものが分散投資していることからリスクも比較的低くなりやすいでしょう。
投資信託といっても、いろいろな種類があり、例えば、「公社債投資信託」と「株式投資信託」があります。
また、実物の不動産で運用する投資法人「REIT(リート)」で運用する投資信託もあり、これは中程度のリスクといわれています。
投資信託は直接買うことも可能ですが、「NISA」や「つみたてNISA」などの税制優遇制度を通して買うと、売却益や分配金が非課税になるためおすすめです。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは個人型確定拠出年金のことで、老後までお金を積み立てておき、原則60歳以降にお金を引き出す仕組みとなります。
引き出すまでのお金は「元本確保型商品(預金や保険)」か「投資信託」で自由に運用でき、その運用の次第で受け取れる金額は変動します。
iDeCoの強みは税制上の優遇です。大きく以下3つがあり、単に運用するよりも有利に運用できるでしょう。
拠出時 | 拠出額が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除) |
---|---|
運用時 | 運用益が非課税 |
受給時 | 「退職所得控除」または「公的年金控除」の対象で手取りが大きくなりやすい |
株式
証券取引所で個別の株式を売買する方法です。値上がり益のほか、配当金や株主優待を得られるケースもあるでしょう。
株価はその企業の業績や株式市場の状況、為替や景気動向などさまざまな要因で変動します。比較的リスクが大きい商品のため、分散投資でリスクを下げることを意識してください。
株式の売買は証券会社の口座が必要です。証券会社によっては海外の株式にも投資できるケースもあるでしょう。海外の株式だと、株式の値動きに加えて為替の変動もあるためリスクは高い傾向にありますが、分散投資の観点では有効です。
投資信託同様、個別の株式も「NISA」を通じて投資すれば、値上がり益や配当益は非課税となります。
まとめ
マイナス金利が導入された日本において、預貯金ではお金がほとんど増えません。仮に使わなくても、インフレが起これば資産が目減りする可能性があります。
退職金や年金も減少傾向にある今、私たちは自分を助けるためにも資産運用を考えてもよい時期かもしれません。
まずは運用の目標から逆算し、必要な投資額や利回りを把握しましょう。ある程度の利回りが必要なら投資を検討してもよいでしょう。
この記事をきっかけに、自分に合った方法で資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。
記事提供:トランス・コスモス株式会社
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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電子決済等代行業者登録 関東財務局長(電代)第18号
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