外貨預金とFX、どっちが自分に合う?それぞれのメリット・デメリットを解説
普段の生活で外貨を使うシーンはあまりありませんが、投資の世界では外貨を使ったさまざまな運用方法があります。しかし、ほかの投資手法と違って、そもそも外貨投資の必要性について理解している人はそう多くないかもしれません。今回は、外貨投資の必要性や外貨預金とFXの違い、自分にはどのタイプの外貨投資が合うのかの判断基準などを紹介します。
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外貨は、経済と密接な関係があります。日本は少子化や高齢化が進んでおり、働き盛りの世代である労働人口が減っています。そうすると、経済が停滞し税収が減ることで財政が悪化する可能性があります。
日本の経済力に陰りが見えれば、「日本円は持っていても価値がない」と思われ、海外の投資家から日本円を売られてしまい、円安が進み輸入品が値上がりすることも考えられます。
このことは輸入大国の日本経済に大きな影響を与えるだけでなく、個人の資産運用にも関係してきます。外貨資産を持っておけば、円の価値が下がったとしても、外貨資産の価値が上がれば資産全体の減少割合は抑えられます。
「普段の生活では外貨で支払う機会がないから外貨投資は関係ない」のではなく、自分の資産全体を守るリスクヘッジのために外貨投資は必要だと言えるでしょう。
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ここでは、外貨投資にまつわる基本的な知識を紹介します。
為替とは、現金の代わりに決済をする方法のことを言い、身近なものでいうと手形や小切手などです。これを異なる国の通貨で行うと、通貨の交換が必要となるので「外国為替」と呼ばれます。
各国の通貨の交換比率のことを外国為替相場といい、需給によって変動するのが特徴です。異国間の通貨交換の際に使われるのが為替レートで、この為替レートをもとに、円高や円安が決まります。円高とは対比する通貨よりも円の価値が高いことで、円の価値が下がれば円安となります。
外貨投資では、為替だけでなく金利も重要です。日本円は外国通貨に比べて金利が低いのが現状です。たとえば同じ普通預金で比べた場合、金融機関によって異なりますが、日本円の普通預金は一般に年0.001%であるのに対して、外貨普通預金の米ドルだと年0.01%となります(2021年2月現在)
為替変動がないとした場合、10倍違うのです。日本円よりも金利の高い通貨が多いことは外貨投資にとって魅力のひとつとなります。外貨投資には外貨普通預金だけでなく、外貨定期預金や外国債券などさまざまな金融商品があるので、より金利が高い商品も見つかるでしょう。
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次に、外貨投資の方法でもっとも一般的な「外貨普通預金」と「FX(外国為替証拠金取引)」の違いについて、メリットとデメリットを挙げながら考えていきましょう。
外貨預金とは、外国の通貨で行う預金のことです。外貨預金の種類として、外貨普通預金と外貨定期預金があります。中身は円の普通預金や定期預金と同じです。預金の出し入れが自由なのが外貨普通預金、満期日まで出し入れが自由にできないのが外貨定期預金です。自由に出し入れできない分、外貨普通預金よりも外貨定期預金のほうが、金利を高く設定しているのが特徴です。
・メリット1:為替差益が狙える
1つ目のメリットは、為替の変動によって為替差益を狙えることです。たとえば1ドル70円のときに、1万米ドル購入したとします。それを1ドル130円のときにすべて日本円に戻したとすると、60万円の利益となるのです。
この計算では為替スプレッドを考慮していませんが、為替変動によってこれだけの利益を得る可能性があります。
・メリット2:日本円よりも高い金利を受け取れる可能性がある
2つ目のメリットは、日本円で普通預金に預け入れるよりも、外貨預金のほうが高い金利を得られる可能性がある点です。
前述したように、超低金利の日本円よりも米ドルやその他の通貨で預金したほうが有利な金利で運用できます。各金融機関が行っているキャンペーンなどを活用すれば、さらに高い金利を受け取れる可能性もあるでしょう。
・デメリット1:為替変動リスク
為替は常に変動しているので、預け入れたときよりも必ず円安になっているという保証はありません。円安になれば為替差益が得られますが、反対に円高になれば為替差損が生じます。為替相場は世界中の政治・経済的な要因によって変動するので、そのリスクはあらかじめ留意しておく必要があります。
・デメリット2:為替手数料がかかる
外貨投資で気をつけなければならないのが手数料です。日本円を違う国の通貨に換える際と、違う国の通貨から日本円にする換える際には手数料が発生します。この手数料は為替手数料や為替スプレッドと呼ばれ、金融機関や通貨によって金額が違います。
取引のときには事前に確認しておいたほうが良いでしょう。また、為替手数料を考慮せず円に戻すと、想定していたよりも利益が少ない場合もあるので注意しましょう。
FXとは「Foreign Exchange」の略で、正式には外国為替証拠金取引と呼ばれ、為替差益を得ることを目的とした投資商品です。一定の担保金を預けておき、それを元手に為替取引への運用額を増やせる取引なのでリスクは高いものの、その分ハイリターンが期待できます。
・メリット1:為替差益が狙える
1つ目のメリットは外貨預金と同じで、為替の変動によって為替差益が得られることです。
・メリット2:スワップポイントが受け取れる
スワップポイントとは、FXの特徴的なメリットで、低い金利の通貨を売って高い金利の通貨を買った際に受け取れる金利の差額のことで、逆の場合は支払わなければなりません。
各国の金利はそれぞれ異なるので、通貨だけを交換すると不公平さがでます。それを解消するためにあるのがスワップポイントなのです。たとえば1%の金利の通貨を売って、3%の金利の通貨を買ったとしましょう。すると差額が2%(年)になります。その2%を1日に換算した金額をスワップポイントとして、受け取れるのです。外貨預金では1年預けないと1年分の金利は受け取れませんが、FXだと1日分ずつ受け取れます。
・メリット3:手持ち資金よりも大きな金額で取引できる
FXではレバレッジが活用できるので、保証金の意味合いである「証拠金」を預け入れることで、手持ち資金の数倍の取引が可能です。レバレッジが高くなるほど大きなリターンが期待できます。
・デメリット1:相場の変動で大きな損失が出る可能性がある
為替相場は日本のニュースだけでなく、世界の経済ニュースや天災、各国首脳陣の発言などさまざまな要因に左右されます。そのため、短時間であっても大きく変動する可能性があり、場合によっては大きな損失を抱える可能性もあるでしょう。
・デメリット2:手持ち資金以上の損失が出る可能性がある
メリットでも挙げたレバレッジを使った取引をすると、急な相場変動によって証拠金以上の損失が発生した場合、追加で証拠金を入金しなければなりません。また含み損が一定の水準を超えた場合には、ロスカット(強制決済)される仕組みもあります。
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外貨預金を始めるには、銀行やネット銀行に口座開設をする必要があります。為替手数料や預金金利は、金融機関によって違います。自分にとって使い勝手が良く、できるだけ有利な条件の金融機関を選びましょう。
FXを始めるには、証券会社やネット証券、FX専門の取引会社に口座開設する必要があります。外貨預金のようにFXの場合も、為替スプレッドやスワップポイントは各社で違うので、比較しながら利用しやすい金融機関を選びましょう。
なお、外貨預金もFXも為替差損益に対して確定申告が必要な場合があるので注意しましょう。税法上雑所得とされ、所得税などの税金がかかることを覚えておいてください。
外貨預金もFXも為替の変動リスクがある商品です。外貨預金は手元資金から運用資金を出しますが、FXは手元資金を元手に、さらに大きな投資金額で運用できる商品でもあります。そのため、レバレッジを調整すればハイリスク・ハイリターンにもローリスク・ローリターンにもできるでしょう。
外貨預金は金利を受け取りながら銀行に預けているイメージですが、FXは大きな変動があるとロスカットで損切りされる可能性があります。常に為替の状況をチェックしておかなければ、対応が遅れるかもしれません。
以上のことから、外貨預金に向いているのは低リスク派の人です。為替相場を常に注視している時間がない人や、売買を頻繁にしない人に向いています。中・長期で運用を考えている人も良いでしょう。
FXに向いているのは、手元資金よりさらに大きな投資金額で運用して、大きなリターンを考えている人です。自分のリスク許容度を考えてレバレッジを設定すると良いでしょう。また、為替の変化をこまめに確認できる人や、自分の相場観を持っているなどの投資上級者や短・中期で運用したい人に向いている投資手法と言えます。
外貨投資すると自然と世界の各経済指標や政治の動きなどに興味がわくはずです。「この経済指標が発表されたらこれくらい為替が変動した」など、自分の相場観を作るデータを収集すると投資に役立つでしょう。
外貨預金やFXを始める際には、自分がどれだけリスクをとれるのかを考えてください。考えたものの、どちらにするか迷った人は、まずは気になる通貨の為替の動きや金利の変化などをチェックして、外貨投資について勉強してみましょう。
執筆者:株式会社peekaboo
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(2022年3月28日現在)