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20代、30代、40代、50代など年代別の平均貯金額は?人生に必要なお金を解説

20代、30代、40代、50代など年代別の平均貯金額は?人生に必要なお金を解説
公開日:2023年9月20日
更新日:2024年4月1日
同じ年代の人がどれくらい貯金をしているのか気になる人も多いのではないでしょうか。そこで、今回は20代〜50代の世代ごとに貯金額の平均値と中央値を紹介します。さらに、主なライフイベントにかかる平均的な費用やお金の貯め方についても見ていきましょう。

目次

20代〜50代の平均貯金額は?

金融広報中央委員の「家計の金融行動に関する世論調査」によると、20代〜50代の貯金額の平均値および中央値は次のとおりです。
  単身世帯 2人以上世帯
平均値 中央値 平均値 中央値
20代 176万円 20万円 214万円 44万円
30代 494万円 75万円 526万円 200万円
40代 657万円 53万円 825万円 250万円
50代 1,048万円 53万円 1,253万円 350万円
全体的に平均値と中央値がかけ離れていることから、平均値は貯金額が多い世帯に引き上げられており、多くの人の実態とは異なるかもしれません。実際の貯金額としては中央値に近い世帯が多いと考えられます。
  • 金融広報中央委員「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
    「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)」より筆者作成
    https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/tanshin/2022/22bunruit001.html
    https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari2021-/2022/22bunruif001.html

【データの見方】平均値だけにとらわれず、中央値も参考に

ここで記されている「平均値」と「中央値」はどのような違いがあるのでしょうか。年代ごとの貯金額を見る前に、データの見方として「平均値」と「中央値」の違いを確認しましょう。それぞれの値は意味が異なるため、両方のデータを参考にすることが大切です。

平均値とは

平均値とは、数値を合計してデータの個数で割った値のことです。
例えば、5人の貯金額の平均を考えてみましょう。それぞれの貯金額が「400万円・500万円・550万円・600万円・650万円」だった場合、平均540万円の貯金があると言えます。
では1人だけ貯金額が多い場合、平均はどうなるのでしょうか。それぞれの貯金額が「400万円・500万円・550万円・600万円・1,500万円」とした場合、貯金額の平均は710万円です。最初のケースと比べて1人だけ貯金額が多かったため、平均額もその分増加しています。
この結果からわかるように、平均値はデータ全体が反映されるため、数値の変化を追いやすい反面、極端な数値に引っ張られやすいというデメリットがあります。
平均値とは
平均値というと真ん中あたりの数値を示すイメージがあるかもしれませんが、データの中心とは限りません。

中央値とは

平均値のデメリットを補うものが中央値です。
中央値とは、データを大きい値または小さい値から順に並べた場合に、真ん中に位置する値のことです。5人それぞれの貯金額が「400万円・500万円・550万円・600万円・650万円」のケースと、「400万円・500万円・550万円・600万円・1,500万円」ケースでは、平均値が異なることを説明しましたが、中央値で見るとどちらも真ん中の数字は550万円です。
このように中央値は真ん中の値に注目するため、データに大きく外れた数値があったとしても影響を受けません。しかし、データ全体の分布がわかりにくいというデメリットもあります。
中央値とは

各年代の貯金額の平均値と中央値を見てみると?

平均値と中央値の違いがわかったら、各年代の貯蓄額の平均値と中央値をくわしく見ていきましょう。

20代の貯金額

20代の貯金額は、単身世帯で平均176万円、中央値は20万円、2人以上世帯で平均214万円、中央値は44万円です。
  単身世帯 2人以上世帯
平均値 中央値 平均値 中央値
20代 176万円 20万円 214万円 44万円
20代はほかの世代よりも貯金額が少なく、30代と比べると平均値と中央値はどちらも2分の1以下となっています。社会人としての期間が短く、収入もまだそれほど高くないでしょうから、あまり貯蓄に回す余裕がないのかもしれません。

30代の貯金額

30代の貯金額は、単身世帯で平均494万円、中央値は75万円、2人以上世帯で平均526万円、中央値は200万円です。
  単身世帯 2人以上世帯
平均値 中央値 平均値 中央値
30代 494万円 75万円 526万円 200万円
30代は、20代から貯金額が大幅に増えた印象です。結婚や子育て、住宅購入などのライフイベントをより身近に感じやすくなる世代であり、将来を意識して貯金する人も多いのではないでしょうか。

40代の貯金額

40代の貯金額は、単身世帯で平均657万円、中央値は53万円、2人以上世帯で平均825万円、中央値は250万円です。
  単身世帯 2人以上世帯
平均値 中央値 平均値 中央値
40代 657万円 53万円 825万円 250万円
40代以降は教育費の負担が増えやすい世代です。入学金や授業料などまとまったお金が必要になることもあり、貯金が厳しくなる家庭もあるでしょう。また、老後資金や将来にそなえ、貯蓄をしている人も多いでしょう。

50代の貯金額

50代の貯金額は、単身世帯で平均1,048万円、中央値は53万円、2人以上世帯で平均1,253万円、中央値は350万円です。
  単身世帯 2人以上世帯
平均値 中央値 平均値 中央値
50代 1,048万円 53万円 1,253万円 350万円
50代は引き続き教育費の負担を感じやすい世代ですが、家庭によっては支出が一段落して経済的なゆとりが生まれるところもあるでしょう。もう一段の収入アップが望める世代でもあることから、貯金がしっかりできている家庭もあるようです。

人生設計によって必要な貯金額は変わる

ここまでの貯金データはあくまでも全体の傾向を表す数値です。実際にはご自身が経験するであろうライフイベントにそなえ、資金計画を立てる必要があります。中でも特にお金がかかるのは「住宅購入資金」、「教育資金」、「退職後の生活費」で「人生の三大資金」と言われています。
では、主なライフイベントで一般的にどれくらい費用がかかるのか見ていきましょう。

住宅購入資金

住宅購入は、頭金や諸費用といった手持金を用意して残りをローンで支払う方が多いでしょう。そのため、まずは当初必要になる手持金を貯金していきましょう。住宅購入にかかる平均的な所要資金と手持金は次のとおりです。
住宅区分 平均所要資金 平均手持金 手持金の割合
マンション 4,528万円 785.9万円 17.4%
土地付注文住宅 4,455万円 412.3万円 9.3%
建売住宅 3,605万円 270万円 7.5%
注文住宅 3,572万円 596.6万円 16.7%
中古マンション 3,026万円 418.9万円 13.8%
中古戸建 2,614万円 214.9万円 8.2%
  • 住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」より筆者作成
    https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf
平均的な手持金の割合は、物件購入の所要資金に対して10%弱〜20%弱となっています。ただし、所要資金の総額は新築なら4,000万円以上することも珍しくありません。手持金を準備するだけではなく、無理なく返済していけるかどうかも大切なポイントです。また、物件費用のほかにも引越費用や新居の家具・家電費用などがかかることも想定しておきましょう。

教育資金

教育資金は、進学先が国公立か私立かで大きく変わります。平均的な費用は次のとおりです。
  国公立 私立
幼稚園(*1) 約50万円 約93万円
小学校(*1) 約212万円 約1,000万円
中学校(*1) 約162万円 約431万円
高等学校(*1) 約154万円 約316万円
大学 約243万円(*2) 約469万円
  • 学校外活動の費用も含む
  • 国立大学の費用
  • 文部科学省「令和3年度子供の学習費調査」・「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
    https://www.mext.go.jp/content/20221220-mxt_chousa01-000026656_1a.pdf
    https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00004.htm
仮に高校・大学が私立、大学のみ私立、すべて国公立のパターンだと合計金額はいくらになるのでしょうか。
<パターン別教育費>
  • 高校・大学が私立:1,209万円
  • 大学のみ私立:1,047万円
  • すべて国公立:821万円
上記のパターンでは、いずれも大学卒業まで1,000万円前後かかります。しかし、公立なら高校まではまとまったお金がかかることは少ないので、この時期に貯金を増やすのが良いでしょう。
そのため、教育費の基本は大学費用を念頭に貯金していきます。私立に進学する可能性を考えると、400万円〜500万円程度を目標にしたいところです。
ただし、大学進学時に実家から通学ではなく下宿や一人暮らしをする場合、生活費の仕送りをする可能性があるため、プラスアルファの資金計画を想定しておきましょう。

退職後の生活資金

退職後の主な収入源は年金となり、支出額が収入額を超える分は貯金などから取り崩して生活することになるでしょう。その不足分が用意すべき金額の目安です。
総務省のデータによると、65歳以上の夫婦2人のみの世帯における平均的な収入は246,237円、支出は268,508円であることから、不足額は月額22,270円です。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支-2022年
  • 総務省「家計調査報告(家計収支編)2022年(令和4年)平均結果の概要」
    https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2022.pdf
老後の生活が30年間と考えると、不足額はおよそ802万円です。夫婦2人で準備して退職金も合わせれば、十分到達できそうな金額ではないでしょうか。
ただし、ゆとりある老後生活を送るためには、上記の金額では足りない可能性があります。
生命保険文化センターのアンケート(*)によれば、一般的な認識として、ゆとりある老後生活費は平均37.9万円でした。
  • 参考:生命保険文化センター『「生活保障に関する調査」/2022(令和4)年度』
    https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1141.html
先ほどの平均収入との差額は132,763円です。この不足が30年間続くと考えれば、ゆとりある老後生活を送るためには約4,780万円が足りない計算になります。
退職金などを含めれば実際に準備すべき金額はもっと少ないでしょうが、理想的なセカンドライフに向けて、計画的に準備をしていく必要はあるでしょう。

ものの値段が上がると「お金の価値」が目減りすることも考慮しよう

将来や万が一にそなえて貯金をすることは大事です。しかし、単に貯金するだけではインフレによってお金の価値が目減りする可能性があります。そうならないためにも貯金以外の対策も考えてみましょう。

インフレとは

インフレとは、商品やサービスの値段、いわゆる物価が上がることです。日本でもインフレが進んでおり、モノの値段が上がったと感じている人も多いのではないでしょうか。実際、下の図のようにさまざまなモノの値段が上昇しています。
物価上昇の具体例
  • 三菱UFJ銀行オンラインセミナー資料を基に作成
インフレで物価が上がると、相対的にお金の価値は下がります。たとえば上の図の小麦粉(1袋・1kg)は2018年には300円あれば購入でき、お釣りもありました。しかし、2023年には300円以上出さなければ同じ小麦粉は購入できません。つまり、同じお金を持っていても、同じ商品を買うことができなくなるということ、これが相対的にお金の価値が下がるということです。
では、この先もインフレが続いていくとすれば、お金の価値はどうなるでしょうか。仮に毎年2%または4%のインフレが起こった場合、次の図のように実質的なお金の価値は下がっていきます。
インフレになるとお金の価値はどうなるの?
  • 三菱UFJ銀行オンラインセミナー資料を基に作成
現在の1,000万円は、毎年2%のインフレで30年後には552万円、4%のインフレで308万円の価値しかなくなります。このため、貯金だけでは将来必要なお金をまかなえない可能性があります。
インフレがずっと続くとは限りませんが、物価が上がっても安心できるようにそなえておくことは大切でしょう。

インフレにどうそなえるべきか

インフレにそなえるためには、投資が1つの対策になります。
たとえば株式はインフレに強い資産といわれます。株式とは企業が事業などに必要なお金を集めるために発行する証券のことで、証券取引所で売買できます。株式を購入した人は株主となり、株は企業の業績などにより価格が変動するので、投資した元本が返ってくる保証がない代わりに、売却益や配当金といった利益を得られる可能性があります。
株式がインフレに強いと言われる理由は、モノやサービスの価格が上がれば、企業の売上が上がり、利益の拡大が期待できるからです。その結果、企業の株価が上がって投資したお金も増え、インフレ時の物価上昇によって目減りしたお金の価値を補える可能性があるためです。
しかし、個別株に投資するのはハードルが高いでしょうから、投資が初めての方は投資信託を使って投資を始めることを検討してみてはいかがでしょうか。
投資信託はあらかじめ投資先や運用方法が決まっている商品です。複数の投資家から集めたお金を1つにまとめ、株式などのさまざまな資産に投資をします。実際の運用は投資のプロ(ファンドマネージャー)が行うため、専門的な知識が少ない初心者の方にもおススメの商品です。好きな金額で始められ、一括で投資することも毎月決まった金額を積み立てて投資することもできます。

【20代~30代】「先取り積立」で貯金ぐせをつけよう

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将来にそなえるためには若いときから投資を始めたいですが、貯金などで現金を確保しておくことも大切です。確実に貯めていくためには、収入から先取りして積み立てていきましょう。

「緊急資金や10年以内に使うお金」を積み立てる

貯金で確保しておきたいお金は、緊急資金や10年以内など近い将来に使うお金です。
緊急資金はケガや病気で一時的に働けなくなるなど、急な出費に対応するためのお金です。生活防衛資金とも呼ばれ、最低3ヵ月分の生活費を確保できると安心でしょう。
そして10年以内に使うお金は、住宅購入や子供の教育費などに必要なお金です。まとまったお金はすぐに用意できない可能性があるため、なるべく若いうちから少しずつ貯めていきましょう。
このようなお金を無理なく貯金するためには、たとえば、銀行の自動積立定期預金や会社の福利厚生である財形制度(勤労者財産形成促進制度)を利用する方法があります。
自動積立定期預金は、毎月指定した日に普通預金から定期預金へ自動的に振替ができる便利なサービスです。給与を受け取るタイミングで振替設定をしておけば、手間なく貯金ができ、いつのまにかお金が貯まっているはずです。
また、財形制度は給与から天引きで積立ができる制度なので、貯金が苦手でも確実に貯められます。種類は3つあり、使い道を問わない「一般財形貯蓄」、住宅資金目的の「財形住宅貯蓄」、年金受け取りが目的の「財形年金貯蓄」があります。
こうしたサービスや制度を上手に使えば、収入から先取りして貯金ができるため、意識しなくてもお金を貯めていけるでしょう。
「緊急資金や10年以内に使うお金」を積み立てる

「当面使う予定のない将来にそなえるお金」を積み立てる

10年以上など当面使う予定のないお金については、投資を検討してみましょう。まとまったお金がなくても、積立なら無理なく投資を始められます。その際、投資信託の積立であれば、毎月1万円や3万円など一定金額を投資できるため、計画的に資産形成もしていきやすいでしょう。
また、投資を始めるならNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度を利用したいところです。通常は投資で得た利益には20.315%の税金がかかりますが、これらの制度を使えば非課税で投資ができます。
NISAについては2024年から投資できる金額が増えるなど制度が大幅に拡充されます。一括投資もつみたて投資もでき、使いやすい制度なので、利用を検討してみてください。
iDeCoとは、毎月積み立てたお金を原則60歳以降に受け取る私的年金制度です。途中解約ができないなどの制約があるものの、運用益の非課税に加え、掛金を全額所得控除できる仕組みがあり、所得税や住民税が軽減されます。また、将来受け取るときも非課税枠が用意されており、高い税制優遇メリットのある制度です。
NISAやiDeCoを使えば、同じ利益でも税金の軽減分だけ受け取れる金額に差が出ます。上手に活用して将来にそなえていきましょう。
「当面使う予定のない将来にそなえるお金」を積み立てる

【40代~50代】まとまったお金で一括投資することも検討

大きな支出が一段落すれば、積立は継続しつつ、まとまったお金で投資することを検討してみても良いでしょう。
一括投資はタイミングによっては損失額が大きくなりますが、老後までの運用期間を10年以上確保できるなら、まとまったお金での運用も選択肢になります。一括投資のほうが積立より複利効果も期待できるでしょう。
複利とは、投資で得た利益を当初の元本と一緒に運用し、さらに利益が増えていくことです。複利効果は投資期間が長いほど大きくなる傾向があるため、少しずつ投資する積立よりも一括投資のほうが運用益が増える可能性があります。
2024年からのNISAでは、一括投資もできる「成長投資枠」で年間240万円まで投資できます。積立での投資専用の「つみたて投資枠」と合算で生涯1,800万円まで投資でき、そのうち一括でも投資できる成長投資枠は1,200万円が上限です。
新しいNISAは積立投資を継続しながら一括投資もできるため、うまく活用して資産運用をしてきましょう。

まとめ

20代〜50代の貯金額を紹介しましたが、数値はあくまでも一般的な金額です。全体の傾向を知るうえで参考にはなるものの、実際には今後の自分自身のライフイベントを想定し、必要な貯金額を考えてみてください。
その際、目的に合わせて投資をすることも検討してみましょう。たとえば、老後資金が目的なら時間をかけて準備できるため、ある程度のリスクを取って投資しても良いでしょう。投資はインフレ対策にもなり、インフレによってお金の価値が目減りしてしまう分を補うことができる可能性があります。
投資をするときは、NISAやiDeCoといった運用益が非課税になる制度の活用を検討してみてください。
執筆者:國村 功志(くにむら こうじ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、一種外務員資格
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