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平均寿命と健康寿命はどう違う?いつまでも人生を楽しみ続けるには?

平均寿命と健康寿命はどう違う?いつまでも人生を楽しみ続けるには?
公開日:2022年9月22日
日本の平均寿命は世界的に見るとかなり高く、長寿国といわれています。ただ、長生きできても生涯を通じて健康で過ごすのは難しいかもしれません。
なぜなら、一般的に健康寿命は平均寿命よりも短いからです。
健康寿命の意味を正しく理解し意識することで、今後の人生を楽しめるかどうかが決まってきます。
今回は、健康寿命と平均寿命はどう違うのかを解説し、セカンドライフを充実させるヒントをご紹介します。

平均寿命と健康寿命の違いとは?

「平均寿命」とは、0歳の時点での平均余命のことです。
2022年7月29日に厚生労働省が「令和3年簡易生命表の概況」を公表(*1)しました。それによると、2021年の平均寿命は男性が81.47歳、女性が87.57歳となっています。
例年、平均寿命は延び続けてきましたが、2021年は前年と比べると男性は0.09年、女性は0.14年下回る結果となりました。
それでも日本の平均寿命は世界的にも高い水準を維持しています。世界的に見ても平均寿命が高い日本ですが、生涯を通じて健康を維持するのは難しいことかもしれません。
そこで注目したいのが「健康寿命」です。健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間を表しています。
日本の健康寿命の最新データが2019年に公表(*2)されていますが、それによると男性は72.68歳、女性は75.38歳でした。そこで2019年の平均寿命を振り返ってみると、男性は81.41歳、女性は87.45歳となっています。
ここでわかるのは、平均寿命と健康寿命には男性が8.73歳、女性は12.06歳の差があるということです。
この差は何を意味しているのでしょうか?
  • 参考:厚生労働省「令和3年簡易生命表のR」
  • 参考:厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」

平均寿命と健康寿命の差が意味することとは?

健康上の問題がなく日常生活を送れる期間である健康寿命と平均寿命には差があります。この差は、健康寿命の先に病気や要介護など不健康な期間があることを意味しているのです。
ということは、医療費や介護費用が必要になるということです。これは家計に大きな影響を与えるかもしれません。
それに平均寿命と健康寿命の差が生じるということは、国が給付する社会保障費の増加も見込まれるでしょう。
近年、高齢者の人口は増え続けています。2022年からは団塊世代が後期高齢者になり始め、2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上になり、高齢者人口がピークを迎える見込みです。
このように高齢化社会が進み、さらに平均寿命が延びて健康寿命との差が広がることになれば、社会保障費がますます増加するかもしれないのです。
このような状況を踏まえた国は、社会保障を持続可能なものにし、誰もが健康で自分らしく生きていくため、健康寿命を延ばすことが重要だと考えています。

健康寿命を伸ばすには

健康寿命を延ばし、平均寿命との差を縮めることが重要だと考える国は、さまざまな取り組みを始めています。その1つが「健康寿命延伸プラン」です。
健康寿命延伸プランは、2019年5月に「誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現」のための3本柱の1つとして発表されました。
これには次のような目標が掲げられています。
「2040年までに健康寿命を男女ともに2016年に比べて3年以上延伸し、75歳以上とする」
2016年の健康寿命は、男性が72.14歳、女性は74.79歳でした。これを2040年までに男性は75.14歳以上、女性は77.79歳以上になることを目指しています。
そして、プランの目標を達成するため、次の3分野の取り組みを中心に実施していくことになりました。

  • 次世代を含めたすべての人の健やかな生活習慣形成
  • 疾病予防・重症化予防
  • 介護予防・フレイル対策、認知症予防

このなかで、特に高齢者に対し取り組まれるものが、「介護予防・フレイル対策、認知症予防」です。
ここにある「フレイル」とは、加齢とともに運動機能や認知機能が低下した状態のことを指します。健康な人がフレイルになると介護が必要な状況になる可能性もあり、できるだけ早い段階で進行を抑えることが不可欠です。
また、脳梗塞や脳出血などが原因となって起こる認知症もあります。そこで、要介護状態になるのを防ぎ、認知症を予防するためには、私たち1人ひとりが健康な身体づくりを考え、実践する必要があるのです。

健康寿命を延ばすため私たちにできることは?

国が健康寿命延伸プランを掲げていますが、大事なのは私たち1人ひとりが健康づくりのためにできることを考え、実際に取り組むことではないでしょうか。
そこで見直したいのが、生活習慣です。ウォーキングなど取り組みやすい方法で身体を動かす習慣をつくり、栄養バランスを考えた食事を心がけ、質のいい睡眠を意識することで、健康を維持することができます。
身体を動かす方法は運動だけではありません。「社会参加」も1つの方法です。社会参加とは、ボランティア活動や地域活動、趣味や習い事を楽しむことなどが挙げられます。
社会参加で人との交流を持つことは、身体を動かすことにつながるのです。それに、自分が楽しめること、やりがいが持てることが見つかれば、自分らしく生きることができるのではないでしょうか。
ただ、なかには人との交流が苦手で、1人で過ごすことが好きな人もいるでしょう。そのような場合でも、自分が楽しめることを見つければいいのです。
フレイルや病気、要介護状態になるのを防ぐために重要なのは、常に健康を意識することです。それに加えて自分が楽しめることがあれば、健康を維持することができます。
また、健康的な生活習慣を送るために、家族ぐるみで取り組めることを見つけるのもよいかもしれません。健康であれば、人生の選択肢が広がります。
そのためにも、常に健康寿命を延ばすことを意識して生活することをおすすめします。

健康寿命の「その後」のことも考えておく

健康寿命の「その後」のことも考えておく
健康寿命を延ばすことを意識して生活していても、高齢による運動機能や認知機能の衰えは避けられないかもしれません。
また、要介護状態になってからでは、生活を支援するサービスなどを自ら探して手配するのは難しくなるでしょう。
そこで、日常生活が制限される日が来るかもしれないことを想定して、今のうちから生活支援サービスについて調べ、財産管理の方法を検討しておきたいです。
ここでは特に検討しておきたいものをご紹介します。

日常生活を支えてくれるもの

主に日常生活を支えてくれるサービスには以下のようなものがあります。

介護保険で受けられる訪問介護サービス

介護保険の訪問介護サービスでは、身体介助と生活援助を受けられます。
生活援助は、1人暮らしで自ら家事をするのが困難な場合、もしくは同居する家族が障害や疾病などで家事ができない場合に限り利用できます。
主な援助は、掃除、洗濯、調理、配下膳、日常品の買い物など基本的な家事となります。

介護保険外サービス

各自治体では、介護保険サービスではありませんが、日常生活の支援を必要とする高齢者のために独自の支援サービスを実施しているところがあります。
たとえば、家事代行サービス、配食サービス、寝具の丸洗い・乾燥・消毒サービス、病院などへの付き添い、訪問理容サービスなどがあり、費用は自費となります。

家事代行サービス

自宅へ訪問し、掃除や洗濯、調理などの日常的な家事を代行してくれる民間サービスがあります。

配食サービス

自宅まで食事を届けてくれる民間サービスは増えています。食事内容は普通食のほか、減塩食や嚥下機能に配慮した食事を提供してくれるところもあります。

介護・医療に関するもの

介護に関するサービスと医療について知っておきたいものをご紹介します。

介護保険制度

誰もが40歳になると介護保険に加入します。
通常、介護保険サービスは65歳から受けられますが(40歳から64歳は、16種類の特定疾病による介護に限る)、その際は要介護認定を受けて、要介護度(要支援度)を判定してもらいます。
サービス利用料は、負担限度額までは所得に応じて1割・2割・3割負担となりますが、負担限度額を超える分については全額自己負担となります。

医療のセカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは、担当医とは異なる医療機関の医師から第2の意見を求めることです。
セカンドオピニオンを受けることで治療の選択肢が増え、納得のいく治療を受けることができるでしょう。

財産管理に関するもの

以下は財産管理に関する制度やサービスです。
相続に関係するものなので、資産承継をお考えの場合は検討するとよいでしょう。

成年後見制度

成年後見制度とは、判断能力が衰え、自分1人では契約やお金の管理ができなくなった人の財産を守るための制度のことです。
これには家庭裁判所によって意思決定ができなくなった人の財産管理を支援する後見人を選ぶ「法定後見制度」と、本人の判断能力があるうちに、将来に備えて自分の財産管理を委託する後見人を選んでおく「任意後見制度」の2種類があります。

家族信託

家族信託とは、預貯金や不動産などの財産を信頼できる家族に託し、財産の管理・処分を任せる契約のことです。
通常、遺言書では子どもの代までしか財産承継を指定できませんが、家族信託では孫以降の代まで承継者を指定することができます。これは民事信託と呼ばれることもあります。

遺言書

相続時、自分の財産を最終的にどう分配するかの意思表示を示したものが遺言書です。
遺言書には、全文と作成日、遺言者氏名を自筆で記載し押印する「自筆証書遺言」と、公証役場で証人2人の立ち合いのもと公証人に作成してもらう「公正証書遺言」があります。
以上は、健康寿命に達したその先に活用できるものです。できるだけ早いうちに、自分はどのようなものが必要になるのかを検討し、相談先を探しておきましょう。

まとめ

平均寿命と健康寿命には差があることと、その差は医療や介護のサポートを必要とする期間であることを意識し、健康寿命を延ばすために生活習慣を見直しておきたいです。
健康寿命を意識することは、豊かで安心できるセカンドライフにつながります。セカンドライフを充実させるために、社会参加や趣味など自分らしく活動できる場を見つけることをおすすめします。
また、健康寿命に達したその先に必要になるかもしれない生活支援サービスについて調べ、財産管理や相続のことも考えておきましょう。
  • 前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者
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