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日本における少子高齢化の原因と問題点とは?社会的な影響や今後の対策について解説します

日本における少子高齢化の原因と問題点とは?社会的な影響や今後の対策について解説します
公開日:2022年9月22日
日本では、出生率の低下による若年齢者の減少と平均寿命の向上で人口に占める高年齢者の割合が増加する少子高齢化が進行しており、働き手の減少による「社会保険料負担増加」や、年金額が現役世代の平均的な手取り金額より大幅に減少する「所得代替率の低下」などさまざまな問題が生じます。
少子高齢化時代に充実したセカンドライフをおくるための対策について解説します。

少子高齢化とは?

現在、日本が直面する大きな問題である「少子高齢化」は、人口構成のうち若年齢者の割合が減少する「少子化」と、高齢者の割合が相対的に増加する「高齢化」が、同時に進行している状態を指します。

少子化の定義

少子化とは、人口を維持するのに必要な合計特殊出生率(*)が2.08を下回った状態です。
合計特殊出生率は、人口の増加率を示す代表的な指標のひとつで、15歳から45歳までの女性が一生のうちに出産する子どもの人数を表しています。
これが継続すると、将来的には人口が減少に転じるといわれ、経済・社会活動などにデメリットをもたらします。
1970年代半ばから少子化が続く日本では、さまざまな対策が講じられています。
  • 参考:内閣府「第1章 少子化の現状はどのようになっているのか」

高齢化の定義

高齢化は人口に占める65歳以上の高齢者の割合が高まっている状態です。
高齢化には段階があり、総人口に占める高齢者の割合が7%超で「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超で「超高齢社会」と推移していきます。
日本は1970年に高齢化社会へと移行し、1994年には高齢社会に、2007年には超高齢社会に突入しています。
日本の高齢化は世界に先駆けて進行し、2025年には高齢者の割合が30%にも達すると予想されています(*)
それに伴い、介護問題や社会保障費の増加などさまざまな問題も深刻化する可能性があります。
  • 参考:厚生労働省「今後の高齢者人口の見通しについて」

少子高齢化が進むとどうなるのか?

高齢化は、医療技術の発達した先進諸国では共通した問題です。
しかし、日本の場合は高齢化が少子化と同時に進んでいるため、若年齢者を中心とした人口減少と相まって、急速に進んでいます。

少子化の原因は?

少子化にはさまざまな原因が考えられます。

  • 結婚タイミングの晩婚化や未婚率の上昇など結婚や出産に関する価値観が多様化した
  • 仕事と子育てを両立できる環境整備が不十分なため、出産後の就労継続やキャリア形成で不利になってしまうのではないかといった雇用に関する不安がある
  • 大学への進学や塾などの習い事の増加などで子どもの教育費が増加したため、経済的な理由により子どもを持つことを諦めてしまう

社会や価値観の変化なども原因にあるでしょう。

日本の人口は50年間で3分の2に

少子高齢化が進むと、働き手となる若年齢層を中心とした人口の減少が始まります。
日本では人口が2010年の1億2805万人をピークに、現在は減少に転じています。
2060年には8,674万人にまで減少し、ピーク時から50年間で人口が3分の2にまで減少すると予想されています(*)
  • 参考:内閣府「第1章 第1節 1(2)将来推計人口でみる50年後の日本」

少子高齢化の問題点とは

人口の減少により内需が低下し、経済規模の縮小へとつながります。企業は発展性の乏しい国内事業への資金・設備投資を控え、従業員の雇用も減少していきます(*)
雇用機会の減少は若年齢層に経済的不安を与え、出産控えにつながります。
人手不足により長時間労働が常態化し、ワーク・ライフ・バランスが悪化することで、さらに少子化が進むという悪循環につながるおそれもあります。
また、あらゆる産業やサービスはそれを利用する一定の人口がいることを前提に事業展開されています。
人口が少ない自治体では産業やサービスが維持できず、倒産や廃業・事業撤退などが進んでしまいます。
そのため、若年齢層は仕事を求めて地方から都市部へ移住するなど人口流出が生じる可能性があります。
地方自治体は産業の後退と労働人口の減少により税収が低下し、さらに高齢化が進んで公的介護費用などが増加、地方自治体の公的サービスや行政機能の低下も懸念されます。
  • 参考:内閣府「第2章 人口・経済・地域社会の将来像」

2060年には「肩車社会」がやってくる

若年齢層の減少は高齢者の生活を支える社会保障制度にも大きな影響を与えます。
公的介護・年金制度をはじめとした社会保障制度の基本的な仕組みは、働き手である若年齢層が高齢者を支える形となっています。
現状の出生率のままでは2060年には1人の高齢者を1人の若年齢層が支える「肩車社会」が到来すると予測されています。
働き手が減少すると、支払われる年金保険料なども減少するため、高齢者への給付水準も低下し、国全体の豊かさが失われていくことになります。
こうした状態は、ひとたび陥ってしまうと負のスパイラルにとらわれ、抜け出すことは容易ではありません。

平均寿命が伸びた定年後のセカンドライフは資金・健康・趣味がカギ

平均寿命が伸びた定年後のセカンドライフは資金・健康・趣味がカギ

社会保障制度の後退にどう備える?

少子高齢化の問題点のひとつに労働人口の減少により厚生年金を始めとした社会保障制度の後退が懸念されています。
現在の厚生年金の老齢給付の金額は現役時の所得の60%を代替する水準となっていますが、今後はこの水準が低下していくと予想されており、より多くの自己資金を用意する必要があります。
これからセカンドライフを迎える方は、少子高齢化による社会構造の変化を踏まえたプランをたてることが重要です。

資産運用

充実したセカンドライフをおくるのに充分な資金を用意するのが難しい場合は、現役時から株式や投資信託などの資産運用による資産形成を進めたり、退職金を資産運用に充て資金寿命を延ばすなどの対策をすすめましょう。

キャリアを活かして起業

また、定年退職後も働き続けることで収入を確保する方法もあります。
定年後再雇用などで同じ職場で働き続けることも可能ですが、現役時よりも賃金が減ってしまうかもしれませんし、健康状態によっては勤め続けることが難しい場合もあります。
ご自身のペースで働き続けられるよう、起業するのもひとつの選択です。
起業の際、これまでのキャリアを活かしたビジネスモデルを選ぶのもよいのですが、少子高齢化による人口減少は、ビジネスチャンスと捉えることもできます。
人手不足対策として各種業務のデジタル化による業務効率や、生産性の維持・向上は、常にニーズがあります。
今後は、高齢者の増加と定年退職後も働く高齢の就業者の人数の増加が予想されるため、高齢者が高齢者の介護を行う老老介護が想定される介護現場などでは、福祉用具や介護ロボットなどの開発・実用化などをビジネスモデルとすることもおススメです。

趣味をもつことも大事

一方で、高齢化にもメリットがあります。医療技術の発達により、以前よりも長いセカンドライフがおくれるようになりました。充実したセカンドライフをおくるには、健康状態の維持がカギです。
健康状態の維持のために、健康管理サービスを活用したり、現役時は忙しくてできなかった、ボランティア活動や旅行・レジャーなどの趣味時間を持つことを検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

少子高齢化により、人口減少や高齢者の増加といったデメリットが予想されていますが、一方で平均寿命の改善によるセカンドライフ期間の増加といったメリットもあります。
少子高齢化時代のセカンドライフを充実させるには、資金の準備と健康の維持、そして趣味時間を持つことが重要な対策となります。
今後はセカンドライフ期間の延伸とともに労働人口の減少などによる厚生年金の給付水準低下が見込まれているため、より多くの自己資金を準備する必要があります。
しかし近年、銀行預金などは低金利状態が続いているため、貯蓄だけでは充分な資金を確保できないかもしれません。
貯蓄や退職金などで資産運用を行い資産形成の効率化や資金寿命の延長を進めたり、定年後再雇用や起業などによって積極的に資金を確保するようにしましょう。
また、仕事を続けたり趣味を楽しんだりするのも、健康な心と体があってこそ。健康管理サービスなどの活用や、ボランティア活動などを通じた地域社会とのコミュニケーションを持つことで、心の豊かさや生きがいを持ち続けることをおススメします。
  • 菊原 浩司(きくはら こうじ)
  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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