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終活とは?基本の進め方やエンディングノートの作成方法を解説

終活とは?基本の進め方やエンディングノートの作成方法を解説

公開日:2022年8月22日

「終活」という言葉を聞いたことがあるものの、具体的にどのような内容なのか、知らない方は多いのではないでしょうか?終活は、財産の整理や葬儀・お墓の準備等を通じた「人生の終わりと向き合うための活動」です。

「自分に何かあったときに家族が困らないようにしたい」という想いから、定年を迎える60代頃から終活を始めるケースが多いようです。

「人生の終わり」「自分に何かあったとき」と聞くと、ネガティブな印象を受けるかもしれません。しかし終活は、残された時間をより充実させるために取り組むものです。

この記事では、終活の概要とともに、具体的な終活の進め方や「エンディングノート」の作成方法をファイナンシャルプランナーが解説します。また、将来に備えられる保険等、銀行で相談できる商品についても紹介するので参考にしてください。

終活とは?

終活とは?

「終活」の意味や目的、終活を始めるタイミングについて解説します。

終活の意味や目的

終活とは、「人生の終わりと向き合うための活動」のことです。具体的には、身の回りの整理、葬儀・お墓の準備、遺言状の作成等を行います。

終活と聞くと、「自分の死後、家族に迷惑をかけないために行うもの」という印象を持つ方が多いかもしれません。

しかし終活には、これまでの人生を振り返りつつ人生の最期について客観的に考えることで、「残された時間をよりよく生きる」という前向きな目的があります。

つまり、終活はネガティブなものではなく、充実した余生を送るうえで必要な活動なのです。

終活を始めるタイミング

一般的には、定年を迎える60代頃から終活を始めるケースが多いようです。仕事から離れると自分の時間に余裕ができるため、これからの人生と向き合いやすいタイミングだといえます。

とはいえ終活にルールはなく、年齢に囚われず思い立ったときに始めて構いません。例えば、身近な人が亡くなったとき、病気を患ったとき、子どもが結婚して独立したとき等が終活を始めるタイミングの一つです。

終活では、財産・葬儀・お墓等、決めなければならないことや、手続きが必要なことが数多く出てきます。そのため、高齢になってから終活を始めると、負担に感じてしまうかもしれません。早いうちに終活に着手することは、体力や気力が十分にある状態で取り組めるというメリットがあります。

終活を行うメリット

終活を行うメリット

ここでは、終活を行う具体的なメリットを2点紹介します。

自分のこれからのことを家族と共有できる

介護・終末期医療・葬儀・お墓・相続等、これからのことが白紙のままだと、万が一の際に家族が困ってしまいます。特に相続に関しては、明確な意思を示していないと、残された家族の間でトラブルに発展してしまうかもしれません。

終活をすれば、終末期や死後の希望等を事前に家族と共有できるため、自分に何かあったときに、家族はスムーズに段取りを進められるでしょう。

また、家族の負担が減るだけではなく、最期をどこで過ごしたいかやどのような葬儀にしたいか等、自分の意志を全うできる点も、終活を行うメリットです。

残された時間が前向きかつ充実したものになる

終活を通して余生をどのように過ごすか考えることで、人生の終わりを迎えることへの不安を小さくできるとともに、残された時間が前向きかつ充実したものになります

終活は、これまでの人生の思い出や功績、築いてきた人間関係等を、あらためて振り返る機会です。振り返りをきっかけに、やり残していることや残りの人生で叶えたい夢が見えてくることもあるのではないでしょうか。

【5ステップ】終活の基本的な進め方

【5ステップ】終活の基本的な進め方

終活で取り組むべき活動は、人によって異なります。今回は、終活の基本的な進め方を、5つのステップに分けて見ていきましょう。

(1)財産の整理をする

財産の代表例は、次のとおりです。

  • 預貯金
  • 不動産(自宅、収益物件、農地等)
  • 保険
  • 投資商品(株式、投資信託、債券等)
  • 貴金属・骨董品
  • 債権・債務

財産には、預貯金や不動産等のプラスになるものだけではなく、借金や未払金等のマイナスになるものも含まれます。これらの財産について、例えば「複数の銀行に口座を持っているから不要な口座は解約する」「不動産を売却する」等、種類ごとに整理し、不要なものは処分するのもよいかもしれません。

自分がどのような財産を持っているのかを洗い出して整理できると、相続について考えやすくなります。

(2)葬儀の準備をする

自分の死後、家族は限られた時間で、慣れない葬儀の準備をしなければなりません。そのため、終活では以下の点を決めておくことが大切です。

  • 葬儀の内容
  • 葬儀社
  • 遺影に使用する写真
  • 葬儀に呼ぶ人、その人との間柄や連絡先

葬儀の内容に関しては、宗教・宗派とともに、葬儀スタイルを決めましょう。最近は、「一般葬」のほか、家族等の親しい人のみで執り行う「家族葬」を選ぶケースが増えています。

葬儀の内容や葬儀社が決まったら、葬儀に必要な費用を準備するとともに、自分が希望する葬儀とかかる費用について、家族と共有しておきましょう。

もし、葬儀の内容等に特別な希望がない場合は、家族と大まかな予算を決めることから始めるのがおすすめです。

(3)お墓の準備をする

お墓を準備する際に考えるべきポイントは、跡継ぎの有無・宗教・予算の3点です。

ポイント 具体例
跡継ぎの有無 子どもに引き継ぐことを想定したお墓なら、墓地を契約し墓石を建てる「家墓(家族墓)」や、ロッカーや仏壇等の納骨スペースに遺骨を納める「納骨堂」等があります。一方、引き継がないお墓なら、寺院等に管理してもらえる「集合墓」や「夫婦墓」のほか、前述した「納骨堂」等が適しているかもしれません。
宗教 家墓や納骨堂は、特定の宗教と結びついていることが多いです。宗教・宗派に囚われたくない場合は、例えば、公営墓地・民営墓地の集合墓や、樹木の下に納骨する「樹木葬」等が候補となります。
予算 お墓の購入時にかかる費用は、おもに「墓地の永代使用料/墓石代/工事・管理費」の3つで、合計500万円程度かかるケースもあります。

お墓には、遺族が故人を偲ぶという大切な役割があるため、家族の意向も踏まえながら準備を進めてはいかがでしょうか。

(4)遺言書を作成する

遺言書とは、財産について誰がどのような割合で相続するのかの指定、未成年後見者の指定、身分について子どもの認知、相続人の排除とその取り消し等ができる書面です。

財産の分け方に希望がある場合や、相続人が多く財産分割で迷惑をかけたくない場合等は、遺言書を作成することで円滑に財産分割を進めやすくなります。また、遺言書を通して、相続人へ自分の「想い」を残すことが可能です。

遺言書の種類は、おもに自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3つです。

種類 特徴
自筆証書遺言 全文を直筆で書いて作成する遺言書です(財産目録は一部通帳のコピー等が使えます)。いつでも作り始められますが、遺言書には細かいルールが定められているため、少しでも書き方を誤ると内容が無効になるリスクがあります。また、遺言書を発見した人が家庭裁判所にこれを持参し、検認の手続きをする必要があります。
公正証書遺言 自分が指定する内容をもとに、公証人が作成・保管する遺言書です。形式・内容面で不備になりにくいものの、作成に手間や時間、費用がかかります。
秘密証書遺言 公証役場で保管してもらう遺言書です。遺言書自体は自分で作成するため、遺言の内容を誰にも知られずに済みます。しかし、開封時には家庭裁判所の検認が必要で、費用がかかることや手間も公正証書遺言と同程度かかること等から、他の遺言書と比べあまり使われていません。

(5)デジタル終活をする

デジタル終活とは、スマートフォン・パソコン等のデジタル機器のデータや、インターネット上に保存されているデータについて、生前のうちに整理することを指します。ここでの「データ」とは、個人情報・写真・動画・メール・SNSアカウント等です。

デジタル終活には、次のようなメリットがあります。

  • 他人に見られたくないデータを処分することで、個人情報を守れる
  • 通販の際に登録した氏名・住所・電話番号・クレジットカード情報等を削除することで、不正利用を阻止できる

また、デジタル機器を使ってどのようなサービスを利用しており、そのサービスへどのようにアクセスしているかは、本人しかわかりません。

不要なサービスは解約し、生きている間は契約を続けるサービスについて家族と情報共有することで、自分の死後の金銭トラブルを回避しやすくなります。

終活は気軽にできる「エンディングノート」から始めよう

終活は気軽にできる「エンディングノート」から始めよう

前章で終活の基本的な進め方を紹介しましたが、いきなり財産の整理や葬儀の準備から始めるのはハードルが高いと感じるかもしれません。そのような場合は、「エンディングノート」の作成から始めるのがおすすめです。

ここでは、エンディングノートの作成にあたり、知っておきたい基礎知識を紹介します。

エンディングノートとは?

エンディングノートは、自分の希望や家族に伝えておきたい情報をまとめたノートです。

遺言書は、内容に法的な拘束力があるからこそ、書けることが限定されてしまいます。一方で法的拘束力のないエンディングノートなら、自分が生きている間のことも含め、自由に書き留めておけるのが特徴です。

エンディングノートは紙で市販されているほか、スマートフォンのアプリ等でも作れるので、何から始めればよいか迷っている方でも気軽に着手しやすいのではないでしょうか。

エンディングノートの代表的な10項目

エンディングノートに盛り込む代表的な項目は、次のとおりです。

項目 内容
自分について
  • 名前
  • 生年月日
  • 住所
  • 本籍地
  • 血液型
  • マイナンバーカード・運転免許証・パスポート等の保管場所
家族や親族について
  • 家族や親戚の基本情報
  • 自分から見た続柄
交友関係について
  • 親しい友人や職場関係者等の基本情報
ペットについて
  • 名前
  • 年齢
  • 食事
  • 生活習慣
  • 性格
  • かかりつけの病院
  • 持病
  • ペット保険
医療・介護について
  • かかりつけ医
  • 希望する介護施設
  • 延命措置や終末期医療に関する希望
身の回りについて
  • 家族や友人等へ渡したいもの
  • 処分するものと処分方法
  • ID・パスワードを含めた各種デジタルデータの取り扱い
財産について
  • 預貯金(銀行名・支店名・口座番号)
  • 不動産
  • クレジットカード情報
  • 基礎年金番号
  • 加入保険情報
  • 貴金属・骨董品
  • 投資商品
  • 貸し借りしているお金
葬儀・お墓について
  • 葬儀スタイル
  • 葬儀社
  • 予算
  • 遺影に使用する写真
  • 喪主をお願いしたい人
  • 希望する埋葬方法
  • 墓地・墓石
遺言書について
  • 遺言書の有無と種類
  • 保管場所
  • 補足事項
家族・友人への
メッセージ
  • 感謝の気持ち

エンディングノートは何度でも書き直しが可能なので、自分が書きやすい項目から、現時点での情報を記入してみましょう

エンディングノートの保管時の注意点

エンディングノートには個人情報がたくさん記されているので、厳重に保管してください。ただし、必要なときに誰も見つけられないと意味がないため、エンディングノートの存在を家族の代表者に伝えておく等、保管方法を工夫しましょう。

また、万が一に備え、通帳・キャッシュカード・印鑑等は、エンディングノートとは別に保管した方がよいかもしれません

エンディングノートには法的拘束力がありません。そのため、相続について残したい想いが固まっている場合は、遺言書などに正式に書き記すことも検討してはいかがでしょうか。

終活で活用したい金融商品

終活で活用したい金融商品

最後に、終活において活用するとよい銀行でも相談できる商品を紹介します。

終身保険

終身保険とは、被保険者の生存中は保障が継続し、被保険者が亡くなったときに受取人に死亡保険金が支払われる保険商品です。終身保険の支払い方法には、契約時に保険料を一括で支払う「一時払い」と、分割して支払う「平準払い」があります。

家族を受取人としてあらかじめ指定しておけば、被保険者の死亡後、家族は速やかに死亡保険金を受け取れます。人が亡くなると、葬儀費用や納税資金等、何かと出費があるため、残された家族が速やかにお金を受け取れる保険は有効です。

また、死亡保険金は相続税の課税対象となりますが、死亡保険金の受取人が相続人の場合、「500万円×法定相続人の数」の金額まで非課税となります。

終身保険は、契約後自分ですぐに解約してしまうと解約返戻金がない、または払い込んだ保険料を下回る可能性があるため注意しましょう。

遺言信託

遺言信託とは、想いを次の世代へと引き継ぐための“カタチづくり”をお手伝いし、その想いを実現させるためのサポートをする商品です。

具体的には、遺言書の作成から、保管、遺言の執行まで、一連の手続きを銀行および信託銀行のサポートを受けることができる商品です。

まとめ

残された時間をよりよく生きるための終活は、思い立ったときに始めて構いません。終活にルールはありませんが、以下の基本の5ステップを参考に進めてみてください。

1. 財産の整理をする

2. 葬儀の準備をする

3. お墓の準備をする

4. 遺言書を作成する

5. デジタル終活をする

より気軽に終活を始めたい方は、エンディングノートを作成するのがおすすめです。エンディングノートなら、自分が生きている間のことも含め、希望や家族に伝えておきたいことを自由に書き留めておけます。

併せて、終身保険等将来に備えられる商品を活用してはいかがでしょうか。

記事提供:トランス・コスモス株式会社

執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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(2022年8月22日現在)