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私立大学の学費は4年間で300万円超え……奨学金で補う前に知っておきたいこととは

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私立大学の学費は4年間で300万円越え……奨学金で補う前に知っておきたいこととは
2020.11.30
私立大学進学にあたり、「学費やひとり暮らしの生活費は、奨学金でまかなおう」と考えている家庭も少なくないでしょう。たしかに奨学金は非常に便利な制度ですが、お金に関わることなので、実際に利用する前に予備知識をしっかりと持っておくことが大切です。ここでは、奨学金について知っておきたい基本的な情報や、そのメリット・デメリットについて分かりやすく説明します。

私立大学進学でかかる学費はどのくらい?

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(画像提供:steve-cukrov/stock.adobe.com)
奨学金について考える前に、まずは私立大学進学でどのくらい学費がかかるかを把握しておきましょう。文部科学省が公表している「国公私立大学の授業料等の推移」によれば、国立大学・公立大学・私立大学それぞれ学費は以下のようになっています(2019年現在)。
 

国立大学

公立大学平均

私立大学平均

入学料

28万2,000円

39万2,391円

24万9,985円

初年度授業料

53万5,800円

53万8,734円

90万4,146円

4年間でかかる学費

242万5,200円

254万7,327円

386万6,569円

※国立大学は国が示す標準額
4年間の学費を比較すると、国立大学と比べて144万1,369円、公立大学と比べて131万9,242円と、私立大学のほうが100万円以上多くかかることが分かるでしょう。なお、ここでは4年間の学費は単純に初年度授業料を4倍にして計算していますが、大学や学部によっては、学年により授業料が上がる場合もあります。
また、ここで挙げている私立大学の学費は、あくまで全国の私立大学全体の平均の数字です。私立大学の場合は大学や学部によっても授業料が異なりますし、実習費や施設設備費を徴収する学部・学科もあります。

奨学金制度とは?概要と種類を解説

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(画像提供:tamayura39/stock.adobe.com)
それでは、大学進学における奨学金制度とは一体どのようなもので、どんな種類があるのでしょうか?詳しく解説しましょう。

国や地方自治体、民間団体や学校が行う進学の経済的サポート

奨学金制度とは、経済状況や社会情勢などを理由に、学生にお金を給付または貸与し、大学進学における学費や生活費といった金銭面をサポートする制度のことです。国、地方自治体や民間団体のほか、大学独自の奨学金制度も多くの大学が設けています。
国内のおもな奨学金提供機関のひとつが、「独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)」です。そのほかに、「一般財団法人あしなが育英会」のような民間団体もいろいろあります。

奨学金は基本的に2種類

奨学金には、基本的に「給付型」と「貸与型」の2つがあります。このうち給付型奨学金は、学生に給付される、つまり返済しなくてよい奨学金です。一方、貸与型奨学金はあくまで貸与なので、返済する必要があります。
返済の必要がない給付型奨学金は貸与型奨学金と比べ応募条件が厳しく、学力や家計の状態が規定の高い基準を満たさなければなりません。どちらのタイプの奨学金を利用するかは、学力や家計の状態などから見極める必要があります。

2020年4月からスタートした新制度とは

ここでひとつ注目しておきたいのが、2020年4月から始まった独立行政法人日本学生支援機構による新たな奨学金制度です。新制度では、大学などの授業料・入学金の免除や減額とあわせて給付型奨学金の支給が受けられます(ただしいずれも上限あり)。また、従来の貸与型奨学金も同時に申し込むことができます。
また、この新しい制度では大学ごとの人数制限を設けていません。「住民税非課税世帯・準ずる世帯であること」「学ぶ意欲があること」という2つの条件を満たせば給付対象となります。つまり、学力に関わらず、より多くの学生が支援を受けられるようになったということです。

奨学金制度のメリットとデメリットは

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(画像提供:tumsasedgars/stock.adobe.com)
続いて、奨学金制度を利用することのメリットとデメリットについて見てみましょう。

奨学金制度のメリット

まず奨学金制度のメリットとして挙げられるのが、通常の教育ローンなどと比べて金利が低いことです。また、貸与基準が通常の教育ローンほど厳しくないため、一般的なローン審査では通過しにくい家庭の場合でも、奨学金制度なら利用できることもメリットと言えます。
さらに貸与型奨学金の場合、学生自身が大学などを卒業して就業するまで、返済を待ってもらえるケースが多いのもメリットです。

奨学金制度のデメリット

一方で、奨学金制度のデメリットとしてまず挙げられるのが、返済期間が長いことです。多くの場合、学生本人が自分で少しずつ奨学金を返済するため、たとえば年間36万円、総額144万円借りると、返済に13年ほどかかるケースもあります。ただし繰り上げ返済を行えば、返済期間や返済額を少なくすることも可能です。
また、奨学金を受ける場合、実際にお金が口座に振り込まれるのは、学校に入学した後になります。さらに言えば、一度にまとまった金額が振り込まれるわけではありません。そのため、入学金については別途用意する必要があり、それもデメリットだと言えるでしょう。
なお、新しい給付型の奨学金に関しても、「入学金を減額・免除」となってはいますが、こちらも支給自体は入学後になるため、入学金の納付が猶予されない大学の場合は、入学金を一旦自分で用意する必要があります。

奨学金制度を利用する前に意識しておきたいことは

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(画像提供:morita/stock.adobe.com)
最後に、奨学金制度を利用するうえで覚えておきたいことをいくつかご紹介します。

奨学金=借り入れであることを理解する

給付型奨学金の場合は返済不要ですが、貸与型奨学金の場合は、卒業後に返済する必要があります。つまり、実質は借り入れをして学校に通っていることと変わりありません。なお、奨学金を返済できなくなった場合には救済措置があるものの、延滞してしまうと法的処置がとられるケースもあります。

貸与型奨学金の場合は、「奨学金だから大丈夫」ではなく、あくまで「お金を借りている」と理解して、利用を考えましょう。

卒業後の生活を考慮して金額を決める

先述した通り、貸与型奨学金の場合は、卒業後に働きながら自分でお金を返すことになります。そのため、卒業後の生活も考慮して、無理のない範囲で借りる金額を決めることが大切です。
新社会人のおおよその手取り額はもちろん、ひとり暮らしをする予定の場合は食費や居住費といった生活費も考慮して、返済可能な金額を考えましょう。なお、日本学生支援機構の公式ホームページなどでは、返済シミュレーションを手軽にすることもできます。

奨学金は計画的に利用することが何より大切

奨学金は、資金が足りなくても大学に通いたい学生を支援してくれる、とてもありがたい制度です。一方で返済義務があるものも多く、気軽に借りてしまうと、後々返済に苦しむ場合もあります。
大学生活で実際いくら必要か、卒業後、どの程度の金額であれば返していけるかもしっかり考えて、利用することが大切です。

執筆者:株式会社ZUU

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