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キャッシュレス社会になるとどうなる?スマホペイ大国・中国から考えてみた

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キャッシュレス社会になるとどうなる?スマホペイ大国・中国から考えてみた
2020.10.15
先進諸国から見ると日本は「キャッシュレス化が遅れている」と言われています。ところが日本でも最近になってキャッシュレスが少しずつ浸透してきました。キャッシュレスは、決済方法の変化以上に社会に大きな変化を与える可能性があります。この記事では、キャッシュレス先進国である中国の事例をもとにキャッシュレスが浸透した日本社会の未来を予測します。

中国では誰でもスマホペイが当たり前

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(画像提供=kinako/stock.adobe.com)
中国では、小さなお店や市場の屋台でもキャッシュレス決済が当たり前です。そんな中国のキャッシュレス決済事情について簡単に解説します。

WeChatPayとアリペイに分かれる

中国のキャッシュレス決済は、スマートフォンの普及とともに急速に浸透しました。代表的な中国のキャッシュレス決済サービスは「WeChatPay」と「アリペイ」です。QRコードを表示させて読み取ることでどちらも簡単に決済が完了します。

WeChatPayとアリペイを簡単に紹介

WeChatPayは「中国版LINE」とも言われるWeChat(微信)が提供するキャッシュレス決済サービス。アリペイは「中国版Amazon」と言われるアリババグループが提供するキャッシュレス決済サービスです。
どちらも中国内でのシェアが高いことはもちろん、アジア諸国でもユーザーが増加しています。日本では中国からの観光客増加にともない、WeChatPayやアリペイを導入している店舗があります。

スマホペイによるビッグデータの蓄積で暮らしが便利に

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(画像提供=wrightstudio/stock.adobe.com)
キャッシュレス決済の浸透は、単に決済方法の変化だけを意味するわけではありません。むしろ社会に大きな変革をもたらし、私たちの暮らしを便利にしてくれると予想されています。その理由の一つがビッグデータの活用です。
例えば個人の買い物データは、消費者の購買行動を分析するうえで大きな意味を持ちます。キャッシュレス決済では、利用者の年齢や性別、利用時間帯といったデータと実際に購入した商品・サービスのデータを紐づけて収集することが可能です。
こういったビッグデータを活用することで企業はより消費者ニーズに合った商品を開発することができ、消費者が望む製品を市場に投入することができるようになると言われています。

アリペイは蓄積データからリアルスーパー展開&信用評価

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(画像提供=nicoelnino/stock.adobe.com)
続いてビッグデータをもとにしたアリペイの取り組みを2つご紹介します。

エキサイティングなスーパー「フーマフレッシュ」

アリババグループは、新小売スーパー「フーマフレッシュ」を展開しています。普通のスーパーとしての機能を持ちつつフードコートを併設し、また宅配サービスにも対応。フードコートでは、購入した商品を調理してもらいその場で食べることが可能です。宅配サービスでは、店舗から3キロメートル圏内であれば注文してから無料で30分以内に商品が自宅に届きます。
こういった便利なサービスを実現させているのがアリババグループの蓄積した膨大な量の消費者のビッグデータなのです。

スコアが高いほど便利に暮らせる「ジーマ信用」

2015年アリババグループは、ビッグデータをもとに個人の信用を評価するサービス「ジーマ信用」を始めました。「ジーマ信用」の信用スコアは、学歴、職業、資産状況、クレジットカードの履歴、交友関係など複数の要素を加味して数値化されます。そして信用スコアが高い人ほど、さまざまなサービスで優遇を受けられるのです。
例えば無料で傘やスマートフォンの充電器がレンタルできたり、ビザの取得にかかる時間が短縮されたりクレジットカードで気軽に借り入れができたりもします。
同時に就職や結婚にも信用スコアが影響することから、多くの人が道徳的な行動をとるようになるとも予想されます。何をすればスコアが上がったり下がったりするのか分からないため、例えば中国のレンタカー業界では、「支払いの滞納が半減した」という効果もありました。
この信用スコアにも問題がないわけではありません。あらゆる個人情報を事業者に提供することになるので、それがハッキングされた場合には第三者にわかってしまう恐れがあります。また多くの個人情報を明け渡すことに抵抗を覚える人も多いことでしょう。
個人情報を提供することによるメリットが多ければ利用者も増えることが予想されますので、信用スコアの普及には堅牢なセキュリティの確立とサービスの充実がカギになることでしょう。

海外からの旅行者もWeChatPayやアリペイを使えるように

2019年アリババグループは中国を訪れる外国人観光客向けに「ツアーパス」というサービスの提供を始めました。スマートフォンにアプリをインストールし情報を登録すれば中国国内に限って海外からの旅行者でもアリペイで決済ができるようになります。
これまでアリペイを利用するには中国の電話番号と銀行口座が必要でした。しかし「ツアーパス」の登場により観光客も気軽に現地でアリペイを使えるようになったと言えます。中国に旅行する際には、利用を検討してみてもいいかもしれません。

積極的にキャッシュレスしよう

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(画像提供=studio-marble/stock.adobe.com)
キャッシュレスが浸透することにより便利なサービスの恩恵を受けることができます。時代の流れとして現金が使用できるところは減り、キャッシュレスで決済することが増える可能性は高いため、早めに慣れておいたほうがいいでしょう。
またキャッシュレス化は決済方法の変化にとどまらず社会に大きな影響を及ぼします。私たちの行動すべてがオンラインデータとして蓄積され、データをもとに社会は便利かつ豊かに変化していくでしょう。
オフラインの行動がオンラインデータに置き換わった社会は、アフターデジタルと呼ばれています。世界がアフターデジタルへと大きく歩みを進めているなか、キャッシュレス化の波に乗り遅れないようにしましょう!

執筆者:株式会社ZUU

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