iDeCo(イデコ)は原則解約できない?資産を受け取れる3つのケースを解説!
- 2022年9月5日
- 2024年12月1日
iDeCoは原則解約できない?
iDeCoは、60歳以降になるまで基本的に解約することはできません。60歳までは続ける、という前提で加入する必要があります。これは、iDeCoが老後資金づくりを目的とした制度であるためです。
iDeCoの受給開始は、60歳〜75歳までの間で自由に決めることができます。ただし、60歳から受給を開始できるのは、60歳に到達時点で、最初の掛金を拠出してからの期間が10年以上経過していることが条件です。これを「通算加入者等期間」と言います。
60歳に到達した時点で通算加入者等期間が10年未満の場合、段階的に65歳まで、受給開始年齢が繰り下がります。
60歳到達月時点の通算加入者等期間 | 受給が可能になる年齢 |
---|---|
10年以上 | 60歳 |
8年以上10年未満 | 61歳 |
6年以上8年未満 | 62歳 |
4年以上6年未満 | 64歳 |
1ヵ月以上2年未満 | 65歳 |
なお、通算加入者等期間には企業型DCの加入期間も含まれます。50歳以上でiDeCoに加入する場合は、資産の受給開始のタイミングがいつになるかを確認しておきましょう。
iDeCoについて、くわしく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
資産を受け取れる3つのケース
例外的に、途中で資産を受け取れるケースとしては、次の3つがあります。いずれも運営管理機関に連絡し、手続きが必要です。
①脱退一時金を受け取るケース
次の条件を全て満たす場合、「脱退一時金」として、積み立てた資産を受け取ることができます。
- 60歳未満であること
- 企業型DCの加入者でないこと
- iDeCoに加入できない者であること
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でないこと
- 障がい給付金の受給権者でないこと
- 企業型DCの加入者及びiDeCoの加入者として掛金を拠出した期間が5年以内であること。または個人別管理資産の額が25万円以下であること
- 最後に企業型DCまたはiDeCoの資格を喪失してから2年以内であること
- 国民年金第1号被保険者であって、保険料の免除を申請している、または、生活保護法による生活扶助を受給していることにより国民年金保険料の納付を免除されている方
- 日本国籍を有しない海外居住の方
- DB等の他制度に加入する方であって、55,000円からDC等の他制度掛金相当額を控除した額がiDeCoの最低掛金額5,000円を下回る方
②障害給付金を受け取るケース
加入者が75歳になる前に高度障害者となった場合は、障害給付金として積み立てた資産を「年金」「一時金」あるいはその「併給」で受け取ることができます。高度障害者とは、障害基礎年金の年金証書を所持している人や、身体障害者手帳の1級~3級を所持している人などが該当します。
③死亡一時金を受け取るケース
iDeCoの加入者が死亡した場合は、遺族が死亡一時金を請求することができます。受け取れる金額は、積み立てた資産をすべて現金化し、手数料を差し引いた金額です。また、このときの評価額は、亡くなった時点ではなく、運営管理機関が資産を売却して約定した日になります。
死亡一時金に所得税はかかりませんが、相続税の対象にはなります。ただし、生命保険の死亡保険金と同じく、相続人1人につき500万円までは非課税です。注意したいのは、手続きは亡くなってから5年以内に行う必要がある点です。5年を過ぎると、資産は国庫に帰属することになり、遺族が受け取ることができなくなります。
万一の際に備えて、家族にはiDeCoの加入状況や、手続き先の運営管理機関について知らせておきましょう。
月々の掛金が支払えないときの対処法
一時的に家計が苦しくなり、掛金の支払いが厳しくなったときは、次のような対処法があります。
掛金を減額する
iDeCoは、掛金を減額することができます。最低掛金は5,000円で、1,000円単位で任意の額に設定することができるので、無理のない額まで下げましょう。掛金の変更は、年に1回までで、「加入者掛金額変更届」を、加入している金融機関に提出します。
掛金の拠出を停止する
どうしても続けることが難しい場合は、毎月の拠出をやめることもできます。この場合は、「加入者資格喪失届」を金融機関に提出します。ただ、掛金の拠出を止めることはできますが、資産を受け取ることはできず、資産の運用のみを行う「運用指図者」として、それまで積み立てた資産の運用を継続します。
この場合、加入者資格を喪失して運用指図者になった場合も、所定の手数料がかかる点に注意が必要です。再び掛金の拠出ができるようになったら、再開はいつでも可能です。
無理のない掛金設定から始めることが重要!
老後を重視しすぎて、今の生活費や子どもの教育費が足りなくならないように、掛金は無理のない金額に設定することが重要です。拠出を停止することはできますが、その間は掛金が全額所得控除になるという税制優遇メリットが活かせません。
また、運用指図者となっても、所定の手数料はかかり続けます。たとえ少額でも、長期でコツコツ積み立てることで、毎年所得控除が使え、税制優遇メリットの恩恵を享受しながら、老後資金を作ることができます。
制度の利点を活かすためにも、継続が重要ですので、無理のない掛金から始めましょう。そして、教育費の負担が大きい期間は無理せずに積み立てる金額を減額し、教育費が終わったら再び積み立てを増やすなど、生活に影響のでない範囲で掛金を調整していくようにしましょう。
まとめ
iDeCoの資産の受け取りは、原則60歳以降となります。例外として「脱退一時金」「障害給付金」「死亡一時金」はありますが、条件はかなり厳しいため、ライフプランや家計の支出状況をよく確認し、無理のない掛金で始めることが大切です。
もし、途中で掛金の拠出が苦しくなったときは、積み立てを停止することは可能ですが、税制優遇メリットを享受するためにも、できるだけ停止ではなく減額の方向で調整しましょう。
執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
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ご注意事項
iDeCoをお申し込みいただく前に、下記についてご確認ください。
- 原則、60歳まで引き出し(中途解約)ができません
- 脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。
- ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
- 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
- 当行から特定の運用商品の推奨はできません。
- 運用商品の主なリスクについて
- 預金は元本確保型の確定利回り商品です。預金は預金保険制度の対象となります。
- 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
- 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
- 預金、保険および投資信託は異なる商品であり、それぞれリスクの種類や大きさは異なります。
- 初回手続き時、運用時、給付時等で、各種手数料がかかります
- iDeCoには、初回手続き手数料・毎月の事務手数料・資産管理手数料・運営管理機関手数料・給付事務手数料等がかかります。
- 手数料は、加入者となられる方は毎月の掛金から、運用指図者となられる方は積立金から控除されます。年金でお受け取りになられる方は給付額から控除されます。
- 60歳になっても受け取れない場合があります
- 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
- 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
- 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。
(2024年12月1日現在)