つみたてNISA(積立NISA)の上限金額40万円を超えたらどうなる?使い切ることは重要なのかを解説
- 2022年10月11日
- 2023年12月27日
- 現行制度は、2024年1月以降に制度内容が大きく改正される予定です。
本ページは2022年12月16日(金)「令和5年度の税制改正大綱」で公表された情報をもとに作成しております。今後変更となる可能性もございますので、予めご了承ください。
つみたてNISAは、少額での長期・積立・分散投資を支援する目的で生まれた、国が作った少額投資非課税制度です。
投資できるのは、金融庁の定めた基準をクリアした投資信託などだけで、少額からの「長期・積立・分散」投資に特化しています。少額で長く、コツコツ積み立てる投資に特化しているため、投資できる金額は年間40万円までと決められています。
そして、この40万円の投資枠は、「非課税」扱いです。この枠内で投資した分については、運用で得た利益に税金がかからないという税制優遇メリットがあります。では、この40万円の投資枠を超えてしまった場合はどうなるのでしょうか?あるいはそもそも使い切らなくてはいけないのでしょうか?
2022年12月下旬に金融庁から発表があった通り、2024年からNISA制度は新しい内容に変わります。この記事では、つみたてNISAの上限金額に関して生まれがちな疑問について解説しつつ、2024年以降の新しいNISA制度についても紹介します。
つみたてNISAの上限金額40万円を超えたらどうなるのか
つみたてNISAの非課税枠は年間40万円まで
つみたてNISAで、非課税で投資できる金額は、年間40万円までです。この「年間」は1月~12月を区切りとして数えます。1月から始めても、6月から始めても、その年の12月までに使える投資枠は40万円までというわけです。
この投資枠は1年ごとにリセットされるので、もし、その年に20万円しか投資しなかったとしても、翌年に余った非課税の投資枠を繰り越すことはできません。
上限額を超えた場合、どうなるのか
つみたてNISAはもともと年間40万円までと投資枠が決まっているため、金融機関では、それ以上投資することはできない設計になっています。
ごく稀に、積立金額だけで年間40万円をほぼ使い切っているケースで、投資している商品に分配金が出て、その分配金を年の途中で再投資する場合は、分配金の金額によってはオーバーする可能性もあります。分配金の再投資分も、非課税枠を消費するからです。
しかし、つみたてNISAでは、基本的に分配金がでない「無分配型」の商品が大半のため、あまり気にする必要はありません。万一、40万円をオーバーしてしまった場合の対応は、金融機関によって変わりますが、つみたてNISA口座では投資できず、課税口座(一般口座もしくは特定口座)での投資となるケースが多いようです。
金融機関によって、積み立てられる金額の単位は異なる
40万円をなるべく使い切りたい場合、毎月の積立金額は毎月33,333円が上限金額です。
40万円 ÷ 12ヵ月 = 月33,333円(少数以下切り捨て)
ただ、つみたてNISAで積み立てできる金額の単位は金融機関によって異なり、1円単位で指定できる金融機関は限られています。
また、ボーナス月など特定月に増額設定ができる金融機関もあります。(三菱UFJ銀行では、ボーナス設定は取扱いしておりません。)こうしたところでは、指定した月だけ追加投資することも可能です。つみたてNISAを始める際は、その金融機関で投資できる商品だけでなく、毎月の積立金額や増額設定についてもチェックするようにしましょう。
2024年以降、新しいNISAの上限金額はどうなるのか
金融庁から令和5年度税制改正大綱の発表があり、2024年からつみたてNISAとNISAは併用可能になり、名称などが変わることになりました。
具体的な変更内容は、以下の通りです。
具体的な変更内容は、以下の通りです。
現行 | 改定後 | |||
---|---|---|---|---|
勘定の呼称 | NISA | つみたてNISA | 成長投資枠 | つみたて投資枠 |
制度期間 | 2014~2023年 | 2018~2042年 | 無期限 | |
非課税期間 | 5年間 | 20年間 | 無期限 | |
年間の投資上限額 | 120万円 | 40万円 | 240万円 | 120万円 |
非課税保有限度額 (総枠) |
600万円 | 800万円 | 1,800万円 (内、成長投資枠の上限額は1,200万円) |
|
各勘定の併用 各勘定の |
不可 | 可 | ||
対象商品 | 上場株式(*1)、 株式投資信託 |
つみたてNISA専用ファンド (株式投資信託) |
上場株式(*1)、株式投資信託のうち一定の条件を満たすもの(*2) | 不変 |
- 三菱UFJ銀行では、上場株式のお取り扱いはありません
- 次のすべての条件を満たすもの。①信託期間が20年以上または無期限であること②分配頻度が1ヵ月以下でないこと③ヘッジ目的以外のデリバティブが組み込まれていないこと
現行のつみたてNISAでの年間の投資上限額は40万円でしたが、新しいNISAのつみたて投資枠では、120万円まで引き上げられます。
また、対象ファンドは異なりますが成長投資枠との併用が可能で、この枠でもつみたてができるため、両方の枠を使用すると、年間360万円までは非課税でつみたてができるようになります。
このように年間の投資上限額は大きく増加しますが、それぞれの上限額を超えた場合、それ以上非課税口座での投資ができない点は、現行のつみたてNISAと同様です。
2024年になったタイミングで、余裕のある方は積立金額の変更を検討してみると良いでしょう。
また、対象ファンドは異なりますが成長投資枠との併用が可能で、この枠でもつみたてができるため、両方の枠を使用すると、年間360万円までは非課税でつみたてができるようになります。
このように年間の投資上限額は大きく増加しますが、それぞれの上限額を超えた場合、それ以上非課税口座での投資ができない点は、現行のつみたてNISAと同様です。
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三菱UFJ銀行のNISA・つみたてNISA
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現行のつみたてNISAの上限金額40万円を使い切る方法とは
年始から33,333円を積み立てる
年間40万円の非課税投資枠を使い切るには、1月から毎月33,333円ずつ積み立てていくのが最もシンプルです。厳密には4円だけ余ってしまいますが、ほぼ使い切ることができます。
33,333円 × 12ヵ月 = 399,996円
ただし、前述のとおり、1円単位で金額を指定できる金融機関を選ぶ必要はあります。1円単位では指定できない金融機関では、毎月33,000円など上限金額に設定にすると良いでしょう。
特定月に増額して積み立てる
特定の月に増額設定ができる金融機関であれば、この仕組みを組み合わせることで、年間40万円の投資枠をピッタリ使い切ることも可能です。たとえば、毎月2万円ずつ積み立て、年2回8万円で積み立てる増額月を設定したとします。
すると、
2万円 × 12ヵ月 + 8万円 × 年2回 = 40万円
で、非課税の投資枠をピッタリ使い切ることができます。
もう少し増額分の金額を減らしたい場合は、
2.5万円 × 12ヵ月 + 5万円 × 年2回 = 40万円
という設定も考えられます。
増額設定には注意点も
増額設定は、年間40万円の非課税枠を使い切れる点で、一見、都合の良い方法に思えます。
しかし、この方法はデメリットもあるので注意が必要です。そもそもつみたてNISAは、少額からの長期・積立・分散投資を目的に作られた制度です。これは、相場が安いときも高いときも淡々と定額で買い続けていくことで、初心者でも損をするリスクを減らしながら資産形成ができる可能性を高められる投資の方法です。定額でコツコツ購入することで、相場が高い時期は少ししか買えなくなるため、自動的に高値掴みするリスクを減らせます。
反対に相場が安い時期は、同じ金額でもより多く購入できるので、資産のボリュームを増やすことができ、1口当たりの平均購入単価を安定させる効果が期待できるとされています。つまり、1回あたりの投資リスクを低減しながら資産を形成できる「時間分散メリット」があるのですが、特定月に増額してしまうと、この時間分散メリットが薄れてしまうのです。
たとえば、増額した月に相場がたまたま上がってしまうと、わざわざ増額して高値掴みする結果になるためです。上限金額まで使い切ることにとらわれてしまうと、本来の少額でコツコツ積み立てるという目的から、少しずれてきてしまいますので、投資単位や増額設定はあくまでも、判断材料のひとつとして考えておきましょう。
- 三菱UFJ銀行では毎月のつみたて金額の変更はできますが、増額設定(ボーナス設定)は取扱いしておりません
つみたてNISAで上限金額まで使い切るメリット
複利効果が大きくなる
つみたてNISAでは、運用中に得た利益は元本に組み入れられ、そのまま運用されていきます。つまり、利益が利益を生んでいく仕組みです。これを「複利効果」といいます。
投資する額が大きいほど、利益も大きくなるので複利効果で得られる利益もどんどん膨らんでいきます。年間40万円を使い切るメリットのひとつとしては、投資額を増やし、この複利効果を大きくすることができるという点があるでしょう。
非課税の恩恵も大きくなる
さらに、つみたてNISAは「少額投資非課税制度」ですので、利益に税金がかかりません。複利効果で増えた利益も、そのまま受け取ることができるので、利益が大きくなるほど非課税の恩恵も大きくなります。年間40万円の投資枠を上限まで使い切ることで、非課税で運用できるメリットも、より大きくなるというわけです。
2024年から始まる新しいNISAの非課税保有限度額(生涯枠)には算入されない
2023年末までに購入したつみたてNISAの残高は、現行の非課税期間(20年間)が満了するまで非課税で保有ができ、新制度の非課税保有限度額(生涯枠)には算入されません。
そのため、2024年以降は2023年末までにつみたてたNISAの残高は、投資をした年からそれぞれ最大20年間非課税で保有をしながら、それとは別に新しいNISAでの条件に沿ってつみたてをすることが可能です。
そのため、2024年以降は2023年末までにつみたてたNISAの残高は、投資をした年からそれぞれ最大20年間非課税で保有をしながら、それとは別に新しいNISAでの条件に沿ってつみたてをすることが可能です。
つみたてNISAの上限金額まで使い切ることは重要ではない
つみたてNISAは必ずしも上限金額を使い切らなくてもいい
つみたてNISAの年間40万円の投資枠を目一杯使って投資すれば、複利効果も大きくなり、非課税のメリットも享受できます。
しかし、必ずしも上限金額を使い切る必要はありません。つみたてNISAは、月1,000円程度の少額からでも投資でき、投資がまったく初めてという人でも取り入れやすい制度です。最初は数千円で始め、慣れてきたら少しずつ増やすという形でもまったく問題ありません。上限金額やメリットにとらわれすぎて、家計に無理をしてまで積み立てるのは避けましょう。
上限金額を使い切るより、無理せず続けることが大切
無理な積み立てをしないほうが良い理由はもうひとつあります。投資額が大きくなれば、利益も増える反面、リスクもそれだけ増えるという点です。相場は上がったり、下がったりを繰り返すので、長く積み立てていく間に、何度か大きな下落を体験することもあるでしょう。
しかし、相場が安いときこそ、同じ金額でもより多く購入でき、1口あたりの平均取得単価を下げる効果が期待できるとされています。相場下落に怖くなってやめてしまうと、資産の成長は止まってしまいます。
つみたてNISAの非課税期間は最長20年。非課税の恩恵を活かして資産を増やすために、長期で積み立て、下落時もコツコツと続けることが前提の制度です。上限金額を使いきることよりも、無理なく続けられる金額に設定することこそ、最も重要といえるでしょう。
まとめ
つみたてNISAにおいて、非課税で投資できるのは年間40万円までで、この金額を超える積み立ての設定はできません。もし、超えてしまった場合は課税口座での購入となるのが一般的です。年間40万円を使い切りたい場合、毎月約33,000円ずつ積み立てていくのがシンプルです。
特定月の増額設定を併用すれば、ぴったり使い切ることも可能ですが、増額は高値掴みのリスクもあり、定額の積み立てによる時間分散メリットを薄くする面もあるので注意しましょう。上限金額まで使い切ると、投資による複利効果や非課税の恩恵は大きくなりますが、使い切る必要はなく、無理は禁物です。
つみたてNISAは少額から投資できるというメリットをふまえ、ご自身の将来設計や家計の事情に合わせて、無理のない積立金額を設定しましょう。
執筆者:大上 ミカ(おおうえ みか)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
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投資信託をお申し込みの際は、次の点にご注意ください。
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- 当行または他金融機関で、2018年以降のNISA口座の開設をお申し込み(2017年以前のNISAが継続した場合を含みます)されたことがある場合、当該口座は、税務署の審査が承認となり、当行所定の手続きが完了した後に開設されます(通常、お申し込みから2~3週間程度で手続きは完了します)。
- NISA口座は、開設後、税務署の審査が完了するまで金融機関の変更および廃止はできません。
- NISA口座での損失は税制上ないものとされます。
- NISA制度では、年間の非課税投資枠(つみたて投資枠は年間120万円、成長投資枠は年間240万円)と非課税保有限度額(総枠)(つみたて投資枠・成長投資枠あわせて1,800万円、うち成長投資枠1,200万円)の範囲内で購入した上場株式等の商品から生じる配当所得および譲渡所得等が非課税となります。
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- つみたて投資枠に係るつみたて契約(投資信託継続購入プラン)により購入した投資信託の信託報酬等の概算値を、原則として年1回通知します。
- 成長投資枠の対象商品は、NISA制度の目的(安定的な資産形成)に適した一定の投資信託に限られます。
株式会社 三菱UFJ銀行
登録金融機関 関東財務局長(登金)第5号
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株式会社 三菱UFJ銀行
(2023年12月27日現在)