[ ここから本文です ]

宝くじに税金はかかる?税金が課されるケースや注意点をわかりやすく解説

この記事は8分で読めます。
宝くじに税金はかかる?税金が課されるケースや注意点をわかりやすく解説
  • 2023年11月21日
高額当選を夢見て宝くじを購入する人は少なくないでしょう。もしも運良く当せん金を手にしたとき、税金がかかるのかどうかは気になるところです。
実のところ、宝くじの当せん金は非課税ですが、場合によっては課税されるケースもあります。
この記事では、宝くじの当せん金がなぜ非課税なのか、課税される場合はどのようなケースなのか、そして非課税で当せん金を分配する方法について、わかりやすく解説します。

目次

宝くじの当せん金に税金はかからない

宝くじの当せん金に税金はかかりません。なぜなら、当せん金付証票法の第13条にて『当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。』と定めているからです。
当せん金は所得には含まれないため、住民税もかかりません。また、非課税なので確定申告も不要です。
宝くじには、ジャンボ宝くじなどの普通くじ、ナンバーズ、ロト、ビンゴ5、スクラッチなどがありますが、どれだけ高額当選をしても税金がかからないので、原則的には自由にお金を使うことができます。

当せん金が非課税なのはなぜか

宝くじの当せん金がどうして非課税なのか、疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
当せん金が非課税なのは、購入するときに都道府県や指定都市への収益金が徴収されているからです。
宝くじを販売できるのは、都道府県と20の指定都市に限られています。都道府県や指定都市が公共事業などを行う際、財源を確保するため総務大臣の許可を得て、宝くじを銀行などに委託して販売します。そうして得られた収益金を使い、都道府県や指定都市は高齢化・少子化対策、防災対策、公園整備、教育施設や福祉施設の建築・改修などの公共事業を実施しています。
当せん金が非課税なのはなぜか
では、宝くじによってどれくらいの収益金が得られているのでしょうか。ここで、令和3年度における宝くじの売上金額の割り振り方を見てみましょう。
売上金額の割り振り 割合 金額
当せん金 46.2% 3,758億円
都道府県や指定都市の収益金 37.5% 3,048億円
印刷経費、売りさばき手数料など 14.9% 1,210億円
社会貢献広報費 1.4% 117億円
  • 「宝くじ公式サイト 収益金の使い道 販売実績額(令和3年度)」より執筆者作成
宝くじを販売して得られた売上金額のうち、約46%は当せん金となり、約38%が収益金となって、都道府県や指定都市に納められています。収益金は、都道府県や指定都市にとっては税収と同じなので、購入者は知らないうちに税金を納めていることになります。つまり、購入した時点で税金を支払っているため、宝くじの当せん金は非課税になっているのです。

宝くじの当せん金に税金がかかるケース

ここまで宝くじの当せん金は非課税と説明しましたが、一部のケースでは税金がかかることがあります。具体的には、当せん金をほかの人と分配した場合や、家族が相続した場合です。
では、それぞれのケースについてくわしく見ていきましょう。

当せん金を家族や友人と分配した場合

宝くじの当せん金を家族や友人と分け合ったり、共同購入して分配したりすると、贈与税がかかる場合があります。当せん金をほかの人に分配すると、贈与税の基礎控除額110万円を超える分は贈与税が課されます。
贈与税はお金を受け取った側が納める税金です。つまり、宝くじに当たった本人ではなく、当せん金を受け取った家族や友人に納税の義務が生じます。
また、家族や友人と宝くじを共同購入した場合、代表者1人が当せん金を受け取りに行く場合は注意が必要です。この場合、当せん金は受け取りに行った人のものとみなされます。そのため、たとえお金を出し合って宝くじを購入したとしても、ほかの人には贈与税が課されてしまいます。
贈与税の計算式は以下のとおりです。
贈与税額 =(贈与された金額 - 贈与税の基礎控除額110万円)× 税率 - 控除額
  • 国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm
たとえば、宝くじの当せん金400万円を受け取った場合の贈与税を試算してみましょう。(※一般贈与財産の場合)
400万円 - 110万円 = 290万円(基礎控除後の課税価格)
課税価格290万円に該当する税率は15%で、控除額は10万円なので、
290万円 × 15% - 10万円 = 33.5万円
となり、当せん金を400万円受け取った場合の贈与税額は33.5万円になります。宝くじの当せん金を受け取った場合は、贈与税がかかるかどうかを確認しましょう。もし贈与税がかかる場合は、忘れずに確定申告を行う必要があります。
  1. 特例贈与財産(祖父母や父母など直系尊属から、18歳以上の子や孫など直系卑属への贈与財産)に該当しない贈与財産のこと。
宝くじの当せん金に税金がかかるケース

当せん金を配偶者や子が相続する場合

宝くじの当せん金は受け取った人の財産になります。そして、当せん金を受け取った後に亡くなった場合、そのお金は相続財産となります。ただし、当せん金は特に税制優遇が受けられるわけではなく、他の現金と同じように相続税の対象になります。
よって、当せん金を相続した人は、そのお金も相続税の計算に含める必要があります。
ただし、相続税は相続人の数や亡くなった人との関係性、相続財産の種類などによって変わります。そのため、どれくらいの相続税がかかるかは一概にはいえませんが、相続財産が高額になると相続税が発生する可能税があることは留意しておきたいです。

非課税で当せん金を分配する方法

非課税で当せん金を分配する方法
前述のとおり、当せん金を複数人で分配すると贈与税がかかってしまいます。しかし、受け取り方によっては贈与税がかからずに済む場合があります。
ここでは、当せん金を非課税で分配する方法を2つご紹介します。

  • 宝くじを共同購入し、全員で受け取りに行く
  • 基礎控除額の110万円以内の金額を渡す

では、それぞれ詳細を見ていきましょう。

宝くじを共同購入し、全員で受け取りに行く

宝くじのうち、ジャンボ宝くじと全国通常宝くじは共同購入することができます。共同購入した場合、当せん金を購入者全員で受け取りに行けば、非課税で分配できます。
ただし、宝くじの購入場所によって非課税で分配するための手続きが異なります。
では、購入場所別の手続きを見ていきましょう。

宝くじ売り場やコンビニで購入した場合

宝くじを宝くじ売り場やコンビニで購入した場合、50万円以上の当せん金はみずほ銀行本支店で受け取り手続きをします。その際、代表者1人が手続きに行くと、全額が代表者のものになるため贈与税が発生しますが、共同購入した全員で出向いて手続きすれば、贈与税はかかりません。
手続きの際、銀行が「当選証明書」を発行してくれます。その際、証明書には共同購入者全員の受け取り分を記載してもらいましょう。

宝くじ公式サイトで購入した場合

宝くじは金融機関のインターネット版売サイトからネット購入できますが、当せん金は購入者の銀行口座へ振り込まれるため、分配すれば贈与税がかかります。
そこで注目したいのが、宝くじ公式サイトです。宝くじ公式サイトにはジャンボ宝くじと全国通常宝くじを共同購入できる仕組みがあります。
宝くじ公式サイトの共同購入では、共同購入者とグループを作り、必要事項をフォームに登録します。そして共同購入した宝くじが当選したら、「自分の購入枚数÷グループ全体の購入枚数」で計算した分配率で当せん金が分配されるという仕組みです。
グループを登録して共同購入するので、当せん金はグループで受け取ることになります。そのため当せん金を分配しても贈与税はかかりません。

基礎控除額の110万円以内の金額を渡す

贈与税の基礎控除額110万円以下の金額であれば、当せん金を分配しても贈与税はかかりません。もし高額当選したときは、基礎控除額以下の金額を毎年渡せば非課税で分配できます。
ただし、基礎控除額以下の金額とはいえ、毎年決まった金額の贈与を受けると定期贈与とみなされて、贈与税の対象になる場合があります。そこで、定期贈与とみなされないために、毎年贈与するたびに贈与契約書を作成するという方法もあります。
当せん金を非課税で分配するには

まとめ

宝くじの当せん金は非課税です。どれだけ高額の当せん金を受け取ったとしても、所得税や住民税はかからず、確定申告も必要ありません。
当せん金は全額自由に使えるお金です。ただし、ほかの人と分配する場合、受け取り方によっては贈与税がかかることがあります。手元にお金を残すために、どんな場合に贈与税の課税対象になるのか確認しておきましょう。
執筆者:前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。
この記事をシェアする
  1. 「Facebook」及びそのロゴマークは、Meta Platforms, Inc.の商標または登録商標です。
  2. 「X」及びそのロゴマークは、X Corp.の商標または登録商標です。
  3. 「LINE」及びそのロゴマークは、LINEヤフー株式会社の商標または登録商標です。
  • 上記記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品等の勧誘目的で作成したものではありません。商品の購入・申込時にはお客さまご自身でご判断ください。
  • 上記記事の情報は、記事の公開日または更新日時点での情報であり、その正確性、完全性、最新性等内容を保証するものではありません。
  • 一部、当行にて取り扱いのない商品に関する内容を含みますが、商標登録されている用語については、それぞれの企業等の登録商標として帰属します。
  • 上記記事の内容は、予告なしに変更することがあります。

あわせて読みたい

人気記事ランキング

株式会社 三菱UFJ銀行
(2023年11月21日現在)