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離婚時の財産分与について。持ち家や住宅ローン残債はどう整理するの?

離婚時の財産分与について。持ち家や住宅ローン残債はどう整理するの?
2021.8.4
日本において離婚は珍しいものではなくなってきました。離婚の協議をするときの悩みは、大きく「(離婚するかしないかについて)夫と妻の方向性が一緒かどうか」、「子どものこと」、「お金のこと」の3つに分けられるでしょう。そのうち「お金のこと」には財産分与、慰謝料、養育費などの問題があります。この記事では「財産分与」の中でも、持ち家や住宅ローン残債の整理についてわかりやすく解説していきます。

離婚時の財産分与の考え方

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(画像提供:SZPhotos/stock.adobe.com)
結婚生活では、さまざまな資産(不動産、預貯金といった財産)が増えていくでしょう。これらは夫婦で協力して増やした財産とみなされます。そのため、離婚するときには、結婚してから作り上げた財産は、基本的には夫婦で半分ずつに分けることになります。

離婚時の財産分与の対象財産と分与方法

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(画像提供:StudioRomantic/stock.adobe.com)
財産分与の対象となる財産は、結婚してから離婚するまでの間に夫婦で作り上げてきた財産が対象となります。
ここで知っていただきたいことは、たとえ夫名義の預貯金、夫名義の土地であったとしても、婚姻期間中に取得した財産であれば、妻は財産分与を要求することができます。妻名義の財産も同様に夫が財産分与を求めることができます。

対象になる財産は、具体的には、現金、預金はもちろんのこと、株や投資信託などの有価証券、へそくり、保険金、退職金、年金等、貴金属、車、家財道具等、家やマンションなどの不動産です。

また、忘れがちなのが、住宅ローン、教育ローン、生活のために借りているカードローンなどの負債で、こちらも財産分与の対象となります。

分与について

財産分与には3つの種類があると言われますが、ベースになるのは清算的財産分与で、財産を半分に分け、夫婦の状況によって必要な場合に扶養的財産分与、慰謝料的財産分与の考えを加味して、半分に分けた財産から加算や減算されることになります。

・清算的財産分与

夫婦で作り上げた財産を、財産を作り上げた貢献度に応じて、公平的に分配するというものです。裁判所では、よほど特殊な事例は別にして夫婦の貢献度は2分の1とされます。

・扶養的財産分与

基本的には、離婚をしたら夫婦は赤の他人ですので本来互いに扶養の義務はありません。しかし、このまま離婚したら、相手方の生活が成り立たない場合に、相手の生活を保障するために財産を多めに分けるというものです。

・慰謝料的財産分与

不倫やDV等で離婚原因を作った方が、相手の配偶者への慰謝料に相当するものとして、多めに財産を分けるというものです。

財産の洗い出しと具体的な分与方法

まずは、今ある財産をリストアップしていきましょう。そのうち、現金、預金、へそくりや、現金化が容易な株や投資信託などの有価証券は分配しやすいので問題ありません。貯蓄性の保険については、解約返戻金を分与の対象にします。退職金は婚姻期間に築いた分が分与の対象になります。
また、貴金属、車、家財道具などについては、資産性があれば分与の対象になりますが、価値がないことも多く、話し合いでどちらが持っていくか決めることが多いです。問題なのは家やマンションなどの不動産です。それでは家の分与方法について見ていきましょう。

家の財産分与をする際の大まかな流れ

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(画像提供:АндрейЯланский/stock.adobe.com)
家は金額が大きく、所有者や担保など権利関係が複雑に入り混じっています。まずは自宅の権利関係がどのような状態になっているか、確認しましょう。

1 家の所有名義を確認

自宅の土地・建物の登記簿謄本を見ると権利関係を確認できます。登記簿は法務局に行けば、誰でも取得することができます。都市部では住居表示と登記の地番が異なることがありますので、注意しましょう。
登記簿謄本でわかることは、この家は誰がどれだけ持っているかです。たとえば、夫または妻の単独名義なのか、それとも夫と妻の共有名義で持ち分はどれくらいかです。さらにその土地・建物には抵当権などがついているか、ということを確認します。

2 住宅ローンの契約内容と残債、債務者の確認

続いて、住宅ローンを組んだときの銀行との契約書(金銭消費貸借契約書)、返済予定表を確認します。契約書を見ると、誰が負債を負っている債務者で、誰が連帯保証人か、という権利関係がわかります。
また、返済予定表を見ると、現在の残債がどれくらいか、ということもわかります。たまに契約書を大事にしまい込んで見つからない人もいますが、見つからない場合は、銀行に問い合わせをして確認することができます。

3 不動産の価値を算定

財産分与のために、実際の取引をしている価格を知るためには、不動産業者に頼んで、現在、どれくらいの価格で売却できるかを確認するとよいでしょう。不動産業者に頼むのは面倒という場合は、インターネットの不動産情報サイトで、近隣の土地がいくらぐらいの値段で売り出されているかを見ることができます。

また、毎年4月から7月に通知書が届く固定資産税の納付書と一緒に送られてくる課税明細を見てみましょう。土地・建物に固定資産税などを課税するための評価額を確認することができます。

土地の固定資産税評価額は土地の相場の7割程度になっていますので、0.7で割ると大まかな土地の売却価格を把握できます。ただし、実際に売却するときにはさまざまな要因で価額が変わってきますので注意してください。

4 分与方法を選択する

分与方法は、2つあります。1つ目は、家を売却して現金化する方法です。もう1つは、家を夫または妻どちらかが財産分与でもらい、その家の評価額の半分を、家をもらわない夫または妻へ支払う方法です。

5 特有財産の有無と割合

最後に、特有財産を確認します。特有財産とは、独身時代から貯めていた預金や有価証券、それらを原資に婚姻期間中に増やした財産のことを言います。また、親やその他の親族からの相続や贈与により、夫または妻が自己の名義で取得した財産も特有財産となります。

土地や家については、購入代金の頭金に独身時代から貯めていた預貯金を充てたり、両親から住宅資金贈与をもらったりする場合も多く、これに相当する不動産の評価額も特有財産となります。

特有財産は、夫婦が協力して得た財産ではないので、清算的財産分与の対象にならないため、不動産に特有財産にあたる部分があるのかないのか、その金額、評価額はいくらなのかをきちんと把握する必要があります。

離婚で家を財産分与する場合の注意点

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(画像提供:polkadot/stock.adobe.com)
土地・家屋については金額が大きく、ここまで見てきたように権利関係が複雑な場合が多くあります。それだけではなく、家に対する愛着や思い入れ、子どもに肩身の狭い思いをさせたくない、学校を転校させたくないなどと気持ちの問題も多く含まれ、分与がなかなかうまく運ばないのが現実です。
気持ちだけではなく、住み続ける人、住宅ローンの名義人、登記簿上の名義等も考えて決断をする必要があります。実際には、とくに次の点に注意しましょう。

住宅ローンの残債について

住宅ローンの残債については、オーバーローンとアンダーローンという考え方で見ていきましょう。
・オーバーローンとは
オーバーローンとは、不動産の価格よりも住宅ローンの残債の方が多い場合のことです。この場合、たとえ売却したとしても、住宅ローンとの差額を借主と保証人が払わなければなりません。
オーバーローンの場合、債務を引き受ける側が不動産以外の預貯金などの財産を多めにもらい、全体として財産を半々に分与できるように調整します。売却すると差額を一括で払わなければならなくなるため、夫婦の片方が住み続けて、ローンを支払っていくことも多いです。
・アンダーローンとは
アンダーローンとは、不動産の価格から住宅ローンの残債を引いておつりがくる形です。つまりプラスの資産なので、この差額は財産分与の対象となります。また、売却するにしても、ローンは清算できるので、ローン残額の負担について調整が不要になります。
売却をしない場合は、どちらが不動産の分与を受けるのか、住宅ローンの残債を誰が負担していくか、住宅ローンを組みなおすことはできるのか、誰の名義にしていくのか、保証人はどうしたらいいのかなど決めていきます。

住宅ローンの契約内容を変更する

その他の注意点は、連帯保証人の変更です。離婚をしても、夫の住宅ローンの連帯保証人から妻がはずれるためには、妻に代わる連帯保証人を新たに立てるよう求められるのが通常で、新たな連帯保証人を立てられなければ妻が連帯保証人からはずれるのは難しいです。
また、妻が財産分与で自宅を取得したいと思っても、住宅ローンの残債をどのように払っていくか考えなければなりません。妻に経済力があれば、妻が残債を一括で清算し、あるいはローンを引き継いで返済していくことができますが、実際には妻に経済力がなく、清算もローンの引き継ぎも難しいことが多いです。
夫の名前で住宅ローンを支払い続け、完済したあとで名義変更をするという合意をして協定書を取り交わす例も見られますが、これはとても危険で、夫がローンの返済が難しくなった場合、自宅が差し押さえられ、妻が住み続けられなくなります。いくら協定書があったとしても銀行の債権の方が強いので注意が必要です。

離婚時には早めの話し合いを

持ち家や住宅ローン残債の整理に限らず、離婚に関する財産分与は早めに整理しておきたいところです。一方が積極的な姿勢を持っていても、離婚後に相手の家族環境が変わった、リストラされたなど、話し合いの状況に立てないことも考えられます。離婚後の生活を前向きに捉えられるよう、離婚の時点でなるべく早めに話し合うことが大切です。

執筆者:竹内みどり

株式会社さくら総合オフィス代表取締役

CFPR・1級FP技能士・DCアドバイザー

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