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結婚したら生活費はどれくらい?家計バランスと貯蓄のポイント

結婚したら生活費はどれくらい?家計バランスと貯蓄のポイント
2021.4.20
結婚を考えている人、結婚したばかりの人は「生活費をどのようにやりくりしていけばいいのか」不安に思う人も多いのではないでしょうか。「結婚したら、どれくらいの生活費がかかるのか」「1人暮らしのときと比べて、どれくらい増えるのか」などの疑問を解消しながら、夫婦の生活費について考えるときの大切なポイントを解説します。

結婚したら生活費はいくらかかる?

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(画像提供:One/stock.adobe.com)
結婚したら、毎日の生活にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか?まずは一般的な生活費について、内訳と平均的な金額からイメージしてみましょう。

夫婦の生活費の平均は?

ここでは、総務省が実施している「家計調査(2020年)」の、2人以上の世帯かつ世帯主の年齢が34歳以下の場合を参考にしてみます。この場合の、1ヵ月にかかる支出の平均は約26万2,000円でした。支出の細かな内訳は次の通りです。

費目

金額(円)

消費支出

26万1,996

消費支出
(住宅・自動車除く)

19万7,523

【内訳】

 

住宅費(家賃など)

3万3,871

食費

6万2,855

光熱・水道

1万7,915

家具・家事用品(日用消耗品含)

1万2,081

被服及び履物

1万150

保健医療(医薬品含)

1万1,605

交通費

2,904

自動車等関係

3万602

通信

1万3,451

教育

4,243

教養・娯楽(旅行含)

2万2,527

その他(こづかい、交際費など)

3万9,791

住宅にかかる費用や自動車の費用は、支出の中で占める割合も大きく、地域によってかかる費用が異なります。それらを除いた場合の消費支出は、約19万8,000円でした。
結婚したあとの生活費を考えるときは、この金額をベースに、住んでいる地域の住宅にかかる費用をプラスして考えてみましょう。地方に住む場合は、都心と比べ家賃などが抑えられる一方で、自動車の保有が必須の地域もあるのでそれを踏まえて生活費をイメージしてみるとよいでしょう。
なお、この場合の平均世帯人員は3.34人となっていることから、この調査結果は20~30代前半の夫婦に、子どもが1~2人いる世帯と考えることができそうです。
将来的には子どもの成長にあわせて、食費はもちろん教育にかかる費用が増えていくことも予想されます。またライフステージによってお金のかかる項目も異なってきますが、まずは上記を目安に考えてみるとよいでしょう。

1人暮らしの生活費とも比べてみよう

結婚,生活費
(画像提供:japolia/stock.adobe.com)
現在の生活費と比べて、結婚後の生活費にどれくらいお金がかかるかイメージできたでしょうか?自分で家計簿をつけていないと、今の生活費と比べて考えるのは難しいかもしれません。
そこで、1人暮らし生活費の平均についてもチェックしておきましょう。前出の「家計調査(2020年)」によると、単身世帯(世帯主の年齢が34歳以下)の1ヵ月にかかる支出の平均は約15万3,000円ということがわかりました。

費目

金額(円)

消費支出

15万2,575

消費支出
(住宅・自動車除く)

10万7,479

【内訳】

 

住宅費(家賃など)

3万8,426

食費

3万6,400

光熱・水道

7,692

家具・家事用品(日用消耗品含)

4,407

被服及び履物

5,497

保健医療(医薬品含)

3,268

交通費

3,604

自動車等関係

6,670

通信

8,811

教育

0

教養・娯楽(旅行含)

1万8,880

その他(こづかい、交際費など)

1万8,920

ここでも住宅と自動車にかかる費用を除くと消費支出は、約10万7,000円です。
平均の数字だけを見ると、1人暮らしの時にここまでお金をかけていたのか?あるいは、もっと生活費がかかっていたかも……などさまざまな心配が過ぎるでしょう。さらに、これから2人の生活費をやりくりしていくことができるのか、不安を覚える人もいるかもしれません。
これらの数字は、あくまでも平均の支出で、住まいの地域や家族構成、働き方や年齢などで大きく変わります。実際の生活費を考えていく場合には「自分たちの生活にどれだけのお金がかかっているのか」をしっかりと把握していくことが大切です。

生活費を把握する方法

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(画像提供:dzono/stock.adobe.com)
1人で暮らしていたときは「なんとなく赤字になっていなかった」「赤字のときは預貯金から補てんできていたから大丈夫」という人も、"どんぶり勘定"は独身時代で終わりにしましょう。
今まで家計簿をつけたことがない、どれくらい生活費がかかっているのかきちんと計算したことがないという人は、何にどれくらいお金がかかっているのかを把握することが肝心です。まずは、レシートやカード明細などから書き出して、1ヵ月分の支出を把握することからはじめましょう。

固定費と変動費

支出の全体が見えたら、費目ごとに書き出してみましょう。費目はおもに固定費と変動費に分けられます。
【固定費】
毎日の生活に関わりなく定期的に一定の額がかかる費用

生活費…住居(家賃・住宅ローン)、光熱・水道、通信費(携帯やインターネット)

保険料…生命保険(死亡・入院・がん等)、損害保険(火災・自動車)

自動車…定期点検、駐車場、自動車税

ローン…奨学金返済、自動車ローン、その他

【変動費】

日々の生活のしかたによって金額が変動する費用

生活費…食費、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療

娯楽費…教養娯楽、交際費など

家計を考えるときに注目すべきは固定費です。毎月あるいは定期的にかかるお金なので、貯蓄に大きく関係していきます。固定費と変動費がどれくらいかかるかを、しっかりと確認しておきましょう。

家計簿をつける意味とは?

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(画像提供:takasu/stock.adobe.com)
そもそも、家計簿はなぜつけるのでしょうか?家計簿を普段からきちんとつけている人の中には、その中身を見ずに、つけたことだけで満足してしまう人もいます。しかし、家計簿は「つける」ことが目的ではありません。
家計簿はつけたことによって、「何にお金を使ったのか」「なぜそこにお金を使ったのか」お金を使った理由と結果を把握していくことが大切です。
さらに独身の場合は、家計簿をつけて自分の生活を振り返るだけでよかったですが、結婚して生活をしていく上では、お互いの価値観を共有することが大切です。

これまでの価値観を共有しよう!

たとえば、リーズナブルなブランドの服を購入する夫と、ハイブランドの服を購入する妻がいたとします。これだけを見ると、妻が贅沢をしていて夫が堅実に見えるかもしれません。
では、妻のケースが「昔から愛用しているハイブランドを、結婚してからは年に数点だけ購入している」、夫のケースが「すでに同じような服があるにも関わらず、リーズナブルという理由だけでたびたび購入している」という背景があるとしたらどうでしょう。
こういった背景を踏まえれば、夫が浪費家で妻が節約家のようにも見えてきます。これはどちらが良い悪いといった問題ではなく、これまでの考え方や価値観の違いが明確にあらわれた一例です。
夫婦が新生活をはじめたり、家計を見直したりする上で大切なことは、2人の価値観をすり合わせ、お金をかけるポイントを共有しておくことです。自分の目ではわからなかった"浪費"を、相手の視点があることでチェックできるのも、夫婦ならではないでしょうか。

お互いによく話し合うことが大切

お互いの価値観を共有することは簡単ではありませんが、生活をともにするタイミングで話し合っておくことがベターです。そして結婚生活がはじまったら、お金の流れをしっかりと把握していきましょう。先ほど費目分けした「変動費」に大きな動きがなければ、毎月かかる生活費は大枠把握できるはずです。
結婚後しばらくして、一定の生活費を把握できる時期がきたら、細かく家計簿をつけなくても管理していくことができます。なぜなら、家計は収支のバランスが取れていればよいからです。
会社も赤字が続くと倒産します。家庭も同じです。赤字が続けば家計が破綻します。しかし黒字経営であれば順調な経営であるように、家計も黒字であればよいのです。

貯蓄についても考えよう!

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(画像提供:polkadot/stock.adobe.com)
生活費で家計バランスを管理することに加えて、忘れてはならないのは貯蓄です。家計を黒字にするだけではなく、将来のための蓄えを準備していくことも重要です。

お金が貯まる方程式とは

家計においては、シンプルにお金が貯まる方程式と貯まらない方程式があります。
【 収入 - 支出 = 貯蓄 】
これは収入から必要な生活費を支出して、お金が残ったら貯蓄をするという方程式です。これでは、お金を貯めることができないでしょう。
お金が貯まる方程式は次の通りです。
【 収入 - 貯蓄 = 支出 】
貯蓄と支出を入れ替え、収入から貯蓄分を先に確保して、残ったお金を使うという方程式です。お金はあればあるだけ使ってしまいがちです。貯蓄分をあらかじめ確保しておくことで、自動的に貯蓄できますから、着実に貯まっていきます。このように、お金を貯めるには"仕組み作り"が大切です。

貯蓄は3つの目的に分けて考えよう

さらに、貯蓄をする上で大切なのは目的をもつことです。独身のときは、海外旅行のため、留学費用のためなどといった用途があったかもしれませんが、夫婦として暮らす場合には、もう少し工夫していきたいところです。

そこで、「使う」「貯める」「増やす」の大きく3つの目的に分けて管理すると考えれば、わかりやすいでしょう。

1.使う…生活費×3ヵ月分
使うことを目的とする貯蓄って、一体どういうこと?と思う人もいるでしょう。これは予備資金の確保のことで、収入がなくなった場合など、もしものときに備えておくお金です。
2.貯める…10年以内に使うお金
おもに教育費やマイホームの購入資金などが挙げられます。子どもが生まれてからも貯蓄はできますが、2人だけの生活のときからできるだけ貯めておくとよいでしょう。
3.増やす…10年以上先に使うお金
将来的には老後資金の準備も必要です。今から老後といってもあまりピンと来ないかもしれませんが、長い時間をかけて、投資などで増やしながら準備しておくと安心です。

2人でじっくり生活費に向き合おう

結婚したあとの生活費は、どんなものにどれくらい使っているのか把握し、夫婦がお互いの価値観に照らして意味のある支出となっているか、すり合わせることが大切です。結婚生活の第一歩を幸先よくスタートにするためにも、2人でよく話し合い、お互い納得のできるお金の使い方をしていきましょう。

執筆者:高野具子

My Money Coach代表 ファイナンシャル・プランナー

ウェディングから保険、そしてファイナンシャル・プランナー(FP)へと人生の節目と保険、お金のプランニングに従事。
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