定年退職で失業保険はもらえる?申請手順を解説!
- 2021年7月7日
- 2023年6月2日
定年退職したらどうする?
このうち、再就職を検討する場合には、失業保険を受給することが可能です。
※失業保険は、正式には雇用保険の失業等給付のうち、基本手当といいます。この記事では、失業保険、失業手当、基本手当として解説しますが、いずれも同じ意味です
1. 失業保険の被保険者期間が離職日以前の2年間の合計で12ヵ月以上ある
2. ハローワークに来所し求職の申し込みを行う
3. 就職しようとする積極的な意思がある
4. いつでも就職できる能力がある
5. 仕事を探しているにもかかわらず、現在職業に就いていない
失業保険の給付は最長1年間延長できる?
失業手当は、離職日の翌日から原則として1年以内(受給期間)の失業している日に支給されます。離職後手続きが遅れると、その分受給できる金額が少なくなる可能性があります。
一方で、定年退職後、しばらく何もせずゆっくり過ごしたいと考える人もいるでしょう。そんな人のために、失業手当には最大1年間の受給期間延長制度があります。
「60歳以上で定年退職した人」あるいは「60歳以上の定年後の勤務延長等が終了して退職する人」で、一定期間求職の申し込みをしない人は、退職日の翌日から起算して2ヵ月以内に、住所を管轄するハローワークで申請すれば受給期間が延長されます。
本来の受給期間1年間に求職の申し込みをしない期間(1年間)を加え、合計2年間の受給期間延長ができることになります。なお、申請には次の書類が必要です。
(1)離職票1、離職票2(離職票は勤務していた会社に依頼)
(2)印鑑
(3)受給期間延長申請書
失業手当はいくらぐらい支給されるの?
基本手当日額とは?
- 離職直前の6ヵ月間に支払われた賃金の総額(ボーナスは含まない)を180で割って「賃金日額」を算出します。
- 「賃金日額」に、「一定率」を掛けて算出したのが「基本手当日額」です。一定率は、年齢や賃金日額によってそれぞれ定められており、賃金の低いほど高い率となっています。たとえば、60歳以上65歳未満で賃金日額が1万5,970円だった場合、一定率は45%で基本手当日額は7,186円となります。
失業保険の給付日数は何日?
本人が継続雇用を希望せず、定年退職離職した場合は一般の離職者になり、次の通り支給されます。
(参考)厚生労働省職業安定局「ハローワークインターネットサービス」基本手当の所定給付日数
特別支給の老齢厚生年金とは同時受給できないので注意
一方で、失業保険は、特別支給の老齢厚生年金(※1)と同時に受けられません。
※1 男性の場合1961年4月1日まで、女性の場合1966年4月1日までに生まれた人が、1年以上厚生年金保険に加入している(かつ老齢基礎年金の受給資格が10年以上)場合に、60歳~64歳のあいだ受給できる年金のこと
なお、高年齢雇用継続給付※2も失業手当に影響しますが、繰り上げ請求をしている場合の老齢基礎年金※3は影響されず、給付されます。
※2 60~65歳になるまでの雇用保険加入者に対し、賃金額が60歳到達時の75%未満になった人を対象に、賃金額の最高15%までの額が支払われる制度。失業手当を受給中に再就職した場合にも給付されますが、条件によっては失業手当を受け取っていた方が多くお金を貰えることがありますので、ハローワークなどに確認しましょう。
※3 国民年金、厚生年金保険の加入者が老後受け取れる年金。日本の公的年金の1階部分。詳しくは厚生労働省のページなどをお調べください。
失業保険と年金受給のシミュレーション
<Aさん(女性・1960年4月1日生まれ)の場合>
60歳で38年勤めた会社を定年退職後、継続雇用されており、61歳から特別支給の老齢厚生年金を受けられる予定です(男性がその生年月日の場合は64歳から受給できます)。
失業保険の計算
1. まずは、退職前6ヵ月の給与総額(ボーナスなど含まない)を180日で割って【賃金日額】を計算します。
【25万円×6ヵ月÷180日=8,333円(1円未満は切捨)】
2. 次に、規定(2021年3月1日~)の計算式により【基本手当日額】を計算します。60歳から64歳までの賃金日額が5,030円以上1万1,140円以下の場合、次の計算式のいずれか低いほうの額を採用します(W=賃金日額)
(イ)0.8w-0.35{(w-5,030)/(1万1,140-5,030)}w
(ロ)0.05w+(1万1,140×0.4)
ここでは、(イ)が採用されるため
【8,333円×0.05+(1万1,140×0.4)=4,872(1円未満は切捨)】
3. 給付日数は被保険者期間によって異なり、今回の場合は(20年以上の定年退職者なので)150日です
【4,872円×150日=73万800円】
以上から、失業保険は(150日=5ヵ月と考え)1ヵ月あたり14万6,160円になります。
特別支給の老齢厚生年金の計算
失業保険=14万6,160円
特別支給の老齢厚生年金=10万円
もしも継続雇用されていた場合はどうなる?
定年退職後に失業保険を申請する手順は?
1. 提出書類の準備
- 離職票―1
- 離職票―2
- マイナンバーカードなどの本人確認書類
- 写真2枚(最近の写真、正面上半身、タテ3.0cm×ヨコ2.5cm)
- 印鑑(認印可、スタンプ印不可)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
2.ハローワークで求職申込みを行う
3. 説明会を受け、待期期間を過ごす
4. 失業認定日に状況報告をする
失業保険を申請するときのポイント
失業手当や年金は期限を守って申請を
執筆者:岡崎成吾
岡﨑社会保険法律事務所
社会保険労務士としては、「障害年金」を中心として活動中。
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