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生命保険を活用した相続税対策の6つのメリットとは?

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生命保険を活用した相続税対策の6つのメリットとは?
2021.4.28
生命保険を活用すれば、相続税の節税や相続人同士のトラブル防止など、さまざまなメリットが期待されます。この記事では、相続税対策に生命保険が有効な理由を解説し、対策方法の具体例をわかりやすく紹介します。スムーズに相続を済ませるためにも、生命保険を活用して事前に相続税対策を行いましょう。

相続税の税率や計算方法は?簡単に仕組みをおさらい

生命保険,相続税対策
(画像提供:tamayura39/stock.adobe.com)
まず、相続税の仕組みを簡単におさらいしましょう。相続税の税率は、相続財産の金額ごとに次の通り定められています。

法定相続分に応ずる

取得金額 税率 控除額

1,000万円以下 10% -

3,000万円以下 15% 50万円

5,000万円以下 20% 200万円

1億円以下 30% 700万円

2億円以下 40% 1,700万円

3億円以下 45% 2,700万円

6億円以下 50% 4,200万円

6億円超 55% 7,200万円

ただし、相続税は、被相続人(亡くなった本人)から相続する財産の全額にかかるわけではなく、一定の「基礎控除」が設けられています。相続税は、相続財産のうち基礎控除額を上回った部分にのみ課されます。2021年現在、相続税の基礎控除の金額は次の計算式で計算されます。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
法定相続人とは、民法で定められた相続人のことです。まずは相続税の基礎控除額を計算し、相続財産が基礎控除額の範囲内であれば、相続税を支払う必要はありません。
2015年の相続税法改正では、この基礎控除額が以前より大きく引き下げられました。そのため、2015年以前と比べると、相続税の課税対象となる人の範囲が大幅に拡大しています。
相続税法の改正前、相続税の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」という計算式で算出されていました。改正前と改正後を比べると、基礎控除額が大幅に引き下げられていることがわかります。
基礎控除額が大きく減った現在、相続税は以前のような一部の資産家や富裕層だけの問題ではなくなりました。昔の感覚で「うちには相続税はかからないだろう」と判断するのは危険です。

相続税対策に生命保険が有効な6つの理由

生命保険,相続税対策
(画像提供:ktktmik/stock.adobe.com)
2015年の相続税法の改正により、資産家や富裕層以外でも相続税がかかるケースが出てきました。しかし生命保険を活用すれば、相続税の支払いをなくす、または減らせる可能性があります。
次に、相続税対策に生命保険が有効な理由を6つの観点から解説していきます。

保険金の非課税枠がある

被相続人の死亡時に遺族が受け取る生命保険の保険金は、「みなし相続財産」として、相続税の課税対象になる場合があります。相続税の課税対象となるケースでは、次の計算式で求められる「非課税枠」が適用されます。
500万円×法定相続人の数
通常、相続税の基礎控除額を上回る相続財産には、相続税がかかります。しかし、基礎控除額を超える分のお金を事前に保険会社に支払い、死後に保険金として相続人が受け取れるようにすれば、非課税枠が適用され、相続税をなくしたり減らしたりできる可能性があります。
非課税枠の計算で用いる法定相続人の数には、相続放棄をした人も含まれます。ただし、非課税枠の対象となるのは法定相続人のみで、相続放棄をした人が保険金を受け取っても、非課税枠は利用できません。
なお生命保険の死亡保険金は、契約者と被保険者、受取人の関係によって、かかる税金の種類が次のように変わります。

<被保険者である夫が亡くなった場合>

契約者:夫 被保険者:夫 受取人:妻=相続税

契約者:妻 被保険者:夫 受取人:妻=所得税・住民税(一時所得)

契約者:妻 被保険者:夫 受取人:子=贈与税

※契約者が保険料を負担しているものとする。

ポイントは、被相続人(夫)が契約者として保険料を支払っていたかどうかです。
契約者として保険料を支払っていたのが妻であれば、夫の死亡を機に支払われる保険金であっても、妻が自分のお金を自分で受け取る構図になるため、所得税・住民税の対象として扱われます。また、妻が保険料を負担して子が受取人という場合、妻から子への贈与とみなされます。
相続税対策で生命保険を活用するなら、本人が保険料を負担し、受取人を相続人にしましょう。

子どもを契約者として財産を贈与できる

生命保険は、親から子に財産を贈与する手段としても活用できます。生命保険に加入する際、契約者と受取人を子、被保険者を親として、親が贈与した財産を全額保険料の支払いにあてることで、親の死後に子が死亡保険金を受け取れます。
贈与する金額を毎年110万円以下に抑えれば、贈与税がかかりません。契約者である子が保険金を受け取った場合、保険金は相続税ではなく、一時所得もしくは雑所得として所得税・住民税の対象になります。
この方法を活用する場合、相続税と所得税・住民税のどちらの税金が安くなるか、しっかりシミュレーションすることが大切です。
また、場合によっては、多少の贈与税がかかったとしても、財産の移転を進めた方が有利になる場合もあります。110万円という金額は、あくまで贈与税がかからずに移転できる金額の上限と認識しておいてください。

保険金は受取人固有の財産であり、受取人を指定できる

相続財産は、遺言がある場合、被相続人の遺言に従って分けられます。遺言がない場合は、相続人全員の遺産分割協議によって、誰がどの財産を相続するか決めなければなりません。
しかし、生命保険の保険金は、受取人固有の財産と考えられています。そのため、事前に指定された受取人は、ほかの相続人との話し合いなしに保険金を受け取れます。ほかの相続人から遺留分の請求をされる心配もありません。
生命保険を活用することで、被相続人は自分が渡したい人に確実に財産を遺すことができ、受取人もほかの相続人とのトラブルを避けて財産を受け取れるというメリットがあります。

保険金の支払いがスムーズで、納税資金の確保に役立つ

被保険者の死後、スムーズに保険金の支払いを受けられるのも生命保険のメリットです。
一般的に人が亡くなると、相続税の納税や葬儀関連費用の捻出が必要になり、出費が増えます。その際に、相続財産の多くを不動産が占めている場合など、納税資金を用意できないことがあります。
また、被相続人の死後は預金口座が凍結され、遺産分割協議が終わるまで預金を引き出せなくなります。遺産分割協議が長引くと、預金があるのに引き出せずに困るといった状態にもなりかねません。
そんな時、申請してから比較的短期間でまとまったお金を受け取れる生命保険は、納税資金やそのほかの資金の確保に役立ちます。

相続放棄した場合も保険金を受け取れる

相続財産には債務などマイナスの財産も含まれるため、被相続人の死後に相続放棄を選択する人もいます。しかし、受取人固有の財産である生命保険の保険金は、相続放棄をした場合でも受け取れます。
ただし、相続放棄をした人は法定相続人ではないため、生命保険の非課税枠を利用できない点は押さえておきましょう。
なお、相続放棄をするには、相続の開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。単に「放棄する」と公言するだけでは相続放棄にはならないため、注意しましょう。

代償分割に活用できる

生命保険は、代償分割にも活用できます。代償分割とは、不動産など分割の難しいまとまった財産を受け取った人が、ほかの相続人に代償金を支払うことで、相続のバランスをとる方法のことです。
例として、2人兄弟で、父親の死後に相続が起きたケースを考えてみましょう。相続財産は事業用不動産のみで、事業用不動産は長男が相続しました。その場合、このままでは、次男の手元には何も残りません。そこで、長男は次男に対し、不動産の評価額の半分を現預金で支払い、バランスをとりました。
このようなケースが、代償分割にあたります。代償分割の際に、被保険者を被相続人にし、契約者を被相続人か長男、保険金の受取人を長男にしておけば、長男は相続発生時に受け取った保険金を、弟への現預金の支払いにあてられます。こうすることで、トータルでかかる税金の負担を抑えられる可能性があります。

生命保険を活用して、計画的に相続税対策をしよう

相続税対策に生命保険を活用することで、相続税の負担を軽減したり、相続人同士のトラブルを防止したりするのに役立つ可能性があります。自分の死後、相続財産をめぐって親族間で争う事態は誰もが避けたいと考えるでしょう。無用な課税や争いを防ぐためにも、生命保険を有効活用し、計画的に相続対策を行うことが大切です。

執筆者:水瀬 理子

ファイナンシャル・プランナー

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(2022年3月28日現在)