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出産時の入院費に医療保険は使える?知らないと損するお金の話

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出産時の入院費に医療保険は使える?知らないと損するお金の話
2020.11.19
妊娠が分かって、生まれてくる子との生活を楽しみにしている人も多いでしょう。しかし、安心して出産するためにお金のこともしっかりと確認しておきたいものです。出産に健康保険や医療保険は使えるのでしょうか。この記事では、知っているか否かで大きな差がつく、出産にまつわる費用を解説します。

出産にかかる費用は施設・地域によって大きな差

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(画像提供:monet/stock.adobe.com)
病気やケガをしたときに使える各種健康保険は基本的に出産時には使えません。しかし、つわりが酷い場合や、帝王切開で出産するなど母体の保護が必要なときは保険証を使用し治療を受けることができます。
出産は自由診療となるため、分娩方法、施設、そして地域によって費用には違いがあります。一般的に費用は、分娩は自然分娩より帝王切開などの医療介入がある場合、地域は地価の影響から地方より都市部のほうが高額になりやすい傾向にあります。
公益社団法人国民健康保険中央会のデータによると、施設別の費用は、助産所、診療所、病院の順に高くなっています。費用面では助産所での自然分娩がもっとも割安ですが、母子に不測の事態が起きる可能性もゼロではありません。施設は費用だけでなく、万が一のこともふまえてじっくり考えましょう。

正常分娩では民間の医療保険は使えない

「健康保険が利用できなくても、医療保険に入っているから大丈夫」と考える人もいるかもしれません。しかし、医療保険でカバーできるのは医療行為が必要になったときだけです。妊娠中の医療行為と見なされるのは前述した重度のつわりのほか、妊娠高血圧症候群や貧血などの治療が必要なときです。
また出産の際に医療行為と見なされるのは、帝王切開の手術費や、陣痛促進剤、吸引・鉗子分娩手術などです。加入している保険商品によっては、保障の対象とならないこともあります。民間の医療保険に加入している場合は、事前に適用になるケースを確認しておくと安心です。

妊娠・出産時の費用の内訳と全国平均

出産,入院費
(画像提供:和/stock.adobe.com)
国民健康保険中央会の2016年(平成28年度)の調査によると、正常分娩時の出産費用は全国平均で50万5,759円でした。入院費用は都道府県別に見ると東京都がもっとも高額。中央値は49万3,400円で、内訳としては分娩料が半分ほどを占め、その次に入院料、新生児管理保育料が続いています。
ただし、この金額に妊婦健診やマタニティ・ベビー用品の費用は含まれていないので注意が必要です。それでは出産にかかる費用をもう少し詳しく見てみましょう。

妊婦健診費用

妊婦健診とは、妊婦の健康状態や赤ちゃんの発育状態を定期的に確認するための健診です。厚生労働省は、妊婦健診の回数は出産までに14回程度行うのが望ましいとしています。
健診費用は公費の助成を受けられますが、血液検査や超音波検診、子宮頸がん検診などは原則自己負担です。ただ、自治体によっては費用の一部を助成する制度を実施しているので、お住まいの自治体に確認してみるといいでしょう。
なお、妊婦健診にかかる自己負担額の平均は5万円程度と言われています。

入院費用

国民健康保険中央会の2016年(平成28年度)の調査によると、入院日数の平均は6日で、入院費用の平均額は11万2,726円。ただし、大部屋だと落ち着かない、産後は一人部屋でゆっくりしたいというときには、これに加えて差額ベッド代を支払うことになります。

分娩費用

分娩費用は、分娩方法によって自己負担額に大きな差があります。医療行為なしに赤ちゃんが産道を通って生まれてくる正常分娩の場合の費用平均は約25万円(2016年国民健康保険中央会の調査結果)。正常分娩には保険が適用されませんので、全額自己負担です。
一方、異常分娩には吸引分娩、鉗子分娩、帝王切開などがあります。異常分娩の手術費用は、各種健康保険や民間の医療保険も対象となりますが、手術にともなって入院日数が2~3日長くなることも珍しくありません。
厚生労働省の調査で、分娩件数に占める帝王切開の割合は増加傾向にあることが分かっています。また、40歳以上で初めて出産する妊婦の3割は緊急帝王切開になることが報じられました。初産年齢の高齢化が進む日本では、今後この傾向が強まっていくと考えられます。
こうしたことを踏まえると、分娩費用の自己負担額は増加傾向にあると言えそうです。

検査・処置費用

入院費用や分娩費用のほか、新生児管理保育料(平均5万円)や、出産後の母体の状態に応じた処置や乳房ケア、産褥(さんじょく)指導料(平均1万4,000円)もかかります。
妊娠・出産時に脳性まひを発症した家庭の経済的負担を軽減するための産科医療補償制度の掛金や、出生証明書、ベビー服のレンタル代やおむつ代などのこまごまとした費用もかかります。

入院費は出産育児一時金で 出産でもらえるお金

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(画像提供:buritora/stock.adobe.com)
出産にかかる費用を全額自分で準備するのは大変です。実は、出産することでお金がもらえる場合もありますので、妊娠が分かったら確認しておきましょう。

妊婦健診費の助成

住民票のある自治体に妊娠届を提出すると、母子健康手帳と妊婦健診の受診票が交付されます。助成額は自治体によってばらつきがありますが、健診の会計時に自己負担分を精算する仕組みとなっています。

出産育児一時金

加入している健康保険から、子ども一人につき42万円を受け取れる制度です。直接支払制度を利用すれば、健康保険が病院に直接出産費用を支払ってくれるので事前に多額の費用を用意しなくて済みます。
なお、出産育児一時金は国民健康保険に加入している人も対象です。詳細はお住まいの自治体に確認してみてください。

高額療養費制度

医療機関に支払った医療費を後日住民票のある自治体や公的医療保険(市町村国保・共済組合・健康保険組合・協会けんぽの都道府県支部)に申請すると、自己負担限度額を超えた金額が払い戻される制度です。
一時的にせよ多額の費用を準備するのが難しい場合は、限度額適用認定証の交付を受けておくとよいでしょう。

会社員なら傷病手当金・出産手当金も

出産する本人が会社員や公務員なら、協会けんぽ・会社の健康保険組合等、自分が加入している健康保険の運営主体に傷病手当金や出産手当金を申請できます。傷病手当金は、産休に入る前につわりで出社できなかったり、切迫早産などで早くから休んだりした場合に申請が可能です。
出産手当金は、産前産後休業を取得したときに日給の3分の2に相当する金額を受け取れる制度です。傷病手当金も出産手当金も医師の記入欄がありますので、あらかじめ協会けんぽや健康保険組合等のホームページから申請書をダウンロードしておくと手続きがスムーズでしょう。

出産費用は早めに準備を始めよう

出産費用の平均は50万円ほど。妊婦健診や検査費用なども含めると、まとまった金額を準備しておかなければならないと思うかもしれません。しかし、出産育児一時金の直接支払制度や、高額療養費の限度額適用認定証などを活用すれば、必ずしも多額の費用を用立てる必要はないでしょう。
経済的な負担は、制度を知っているだけで減らせることがあります。妊娠が分かったら、ぜひ早めに自分が加入している健康保険や職場の福利厚生をチェックしてみてください。

執筆者:株式会社ZUU

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