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iDeCo(イデコ)のスイッチングをすべきタイミングとは?配分変更との違いやメリット・デメリットを解説!

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iDeCo(イデコ)のスイッチングをすべきタイミングとは?配分変更との違いやメリット・デメリットを解説!
公開日:2022年9月5日
更新日:2024年1月23日

iDeCoで運用していると、環境や年齢の変化などにより、商品の入れ替えを検討したい人もいるでしょう。

商品を変更するには「スイッチング」という手続きが必要ですが、それと似た手続きとして「配分変更」もあります。どのような違いがあるのかを知り、必要に応じて手続きしましょう。

iDeCoのスイッチングとは?

iDeCoで購入して保有している商品を変更するには、スイッチングの手続きが必要です。スイッチングは保有中の商品に対する手続きであるため、これから購入する商品も変更したい場合は、配分変更という手続きも必要になります。

スイッチングは別の商品に乗り換えること

iDeCoのスイッチングとは、現在保有している商品を売却し、別の商品を購入することです。毎月の掛金で購入する商品は変更されず、あくまでも保有中の商品を別の商品に乗り換える手続きです。

スイッチングは、商品の全部でも一部でも行えます。たとえば、保有中のA商品300,000円、B商品200,000円、C商品100,000円のうち、B商品の200,000円全部をD商品へ、C商品の一部50,000円をE商品へスイッチングすると、保有商品は以下のようになります。

  スイッチング前 スイッチング後
A商品 300,000円 300,000円
B商品 200,000円 -
C商品 100,000円 50,000円
D商品 - 200,000円
E商品 - 50,000円

スイッチングはiDeCoの基本的な制度として用意されているものです。手続き方法は金融機関ごとに異なりますが、Webサイトやコールセンターからカンタンに手続きできます。

スイッチングと配分変更の違い

スイッチングのほかに、配分変更という手続きもあります。配分変更は、将来(これから)の購入に対する手続きです。毎月の掛金で購入する商品やその配分割合を変更できます。掛金の範囲で、何の商品をどのくらい購入するかを変更する手続きと押さえましょう。

10,000円の掛金を拠出している場合に、配分変更した例を以下に紹介します。

  配分変更前 配分変更後
購入割合 購入金額 購入割合 購入金額
A商品 50% 5,000円 40% 4,000円
B商品 25% 2,500円 30% 3,000円
C商品 25% 2,500円 20% 2,000円
D商品 - - 10% 1,000円

この例では、A商品とC商品の購入割合を減らし、残りでB商品の割合を引き上げ、D商品を新たに購入するように配分変更しています。

保有中の商品も別の商品に切り替えたい場合は、配分変更に加え、スイッチングも行いましょう。配分変更の手続きは、スイッチングと同じく金融機関のWebサイトやコールセンターから行えます。

iDeCoでスイッチングをするメリット・デメリットとは?

iDeCoのスイッチングには、どのようなメリットやデメリットがあるのか見ていきましょう。

スイッチングのメリット

スイッチングをすることで、これまでの運用で得た利益を確保できます。手数料もかからないため、手続きするのにコストを気にする必要はありません。

利益を確保できる

iDeCoは原則60歳まで資産を引き出せません。そのため、値上がりした資産の利益を確保しておきたい場合は、預金などの元本確保型商品にスイッチングすることを検討してみましょう。

特に受け取りできる年齢に近づいてきた場合、スイッチングで利益を確保しておけば、受取前に大きな値下がりがあっても資産が減ることを回避できます。一方、運用期間を確保できる比較的若い間は、スイッチングせず運用しておいたほうが良いでしょう。

手数料がかからない

iDeCoのスイッチングは、手続き自体には手数料がかからないため、コストを気にせず商品を変更できます。

しかし一部の投資信託では、信託財産留保額という費用が発生する場合があります。信託財産留保額とは、投資信託を売却するときに換金する人が負担する費用です。投資信託を売却する際には事務コストが発生するため、その費用の一部を負担してもらう仕組みになっています。信託財産留保額が発生するかは投資信託によるため、あらかじめ確認しておきましょう。

スイッチングのデメリット

スイッチングは完了までに時間のかかる手続きであり、頻繁な手続きにはあまり適していません。長期的な資産形成を前提とした制度でもあるため、長い目で運用していきましょう。

手続き完了までに時間がかかる

iDeCoのスイッチングは、商品を売却してから買付を出す手続きです。この手続きはリアルタイムで行えるものではなく、売却と買付それぞれで数日はかかります。

そのためスイッチングが完了するまでには1週間以上かかることもあり、自分が思っていたより値下がりした状態で売却になったり、値上がりした状態で買付になったりすることもあります。

これを踏まえれば、スイッチングで売買をして利益を狙うことには適していません。資産のメンテナンスなどに利用すると良いでしょう。

値上がりの機会を逃す可能性がある

スイッチングは利益の確保に利用できる一方、売却した商品のほうが値上がりし、利益を得る機会を逃す可能性があります。

たとえば、成績の悪くなってきたA商品から値上がりしそうなB商品にスイッチングしたとしても、長期的にはA商品のほうが、リターンが良かったということはあり得ます。このような場合、「スイッチングしないほうが良かった」と思うこともあるかもしれませんが、事前にどの商品が一番利益を得られるかはわかりません。

そのため、あまり短期的な目線で考えず、長期的に自分の納得できる運用をするためにもスイッチングを活用しましょう。

iDeCoでスイッチングを検討すべきタイミング

iDeCoでスイッチングを検討すべきタイミング

スイッチングを頻繁に行っても、余計な売買が増えて運用成績の向上は期待しづらいです。スイッチングをするなら、一定期間ごとのメンテナンスや状況の変化に応じて見直しをしたいタイミングで行うのが良いでしょう。

注意点として、金融機関によって、スイッチング可能な回数や手続きの締め切り時間が異なる場合があります。

運用状況に応じてスイッチングする

長期投資では、リバランスが運用成績の向上に役立つと言われます。リバランスとは、当初組み合わせた商品の資産配分の割合が崩れてきた場合に、その割合を元に戻すことです。

たとえば、値上がりして割合が増えた商品の一部を売却し、値下がりして割合が減った商品を買い増すことで、当初の資産配分に近づけることがリバランスです。このように、高いものを売って安いものを買うことで、運用成績の向上が期待できます。同時に、一定の資産配分を保つことで、リスクとリターンの安定にもつながります。

リバランスは頻繁に行う必要はなく、運用状況を確認した際、資産配分が大きく崩れているような場合などにリバランスを検討してみましょう。

年齢や環境の変化に応じて見直しをする

資産運用は、一般的に年齢が若いほどリスクを取りやすく、年齢が上がるほどリスクを取りにくくなります。これは若いときのほうが運用期間を長く確保でき、損になっても回復を待つ期間が十分にあるためです。

一方、50代のように受取年齢が近い場合は、値動きの小さい資産の割合を徐々に増やして安定運用に見直していくことが無難な方法です。このようにすることで、増やす運用から守る運用に移行していくことができます。必ずしもそうする必要はありませんが、年齢や環境の変化にあわせて、スイッチングを上手に活用しましょう。

スイッチングの手続きの流れ

スイッチングの手続きはコールセンターでも可能ですが、金融機関のWebサイトで行うとスムーズです。

その場合の手続きの流れを見てみましょう。

  • 加入している金融機関のWebサイトにログイン
  • 「注文」をクリックし「保有商品の入替」を選択
  • 売却したい商品を選択
  • 売却する商品と入れ替え対象となる購入したい商品を選択
  • 売却数量を確認し「申込確認」をクリック

金融機関によって細かい部分が異なる場合もありますが、おおむねこのような流れになります。

定期的に運用状況を確認しリバランスを検討しよう

iDeCoのスイッチングは、保有中の商品を売却し、別の商品を購入する手続きです。手数料がかからないため、手続きしやすいですが、あまり頻繁に行うと運用効率が下がる可能性があります。

必要に応じてスイッチングするだけでも十分な効果が期待できますので、運用状況を確認したときなどにリバランスを検討してみましょう。うまく活用できれば、運用成績の向上やリスクとリターンを安定させることにつながります。

執筆者:國村 功志(くにむら こうじ)

執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、一種外務員資格

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    • 脱退一時金を受け取れるのは一定の要件を満たす方に限られます。
  2. ご本人の判断で商品を選択し運用する自己責任の年金制度です
    • 確定拠出年金制度では、ご加入されるご本人が自らのご判断で、商品を選択し運用を行いますので、運用結果によっては受取額が掛金総額を下回ることがあります。
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    • 当行のiDeCoで取り扱う保険は元本確保型商品です。ただし、運用商品を変更する目的で積立金を取り崩す場合は、市中金利と残存年数等に応じて解約控除が適用されるため、結果として受取金額が元本を下回る場合があります。
    • 投資信託は価格変動商品です。預金ではなく、預金保険制度の対象ではありません。運用実績は市場環境等により変動し、元本保証はありません。また、当行でお取り扱いする投資信託は、投資者保護基金の対象ではありません。
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    • 50歳以上60歳未満で加入した場合等、60歳時点で通算加入者等期間(*)が10年に満たない場合は、受給可能年齢が引き上げられます。
    • 60歳以上で新規加入した場合、加入から5年経過後に受給可能となります。
      • 通算加入者等期間は、iDeCoおよび企業型DCにおける加入者・運用指図者の期間の合算となります。

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(2024年1月23日現在)