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投資信託の「分配金」って何ですか?「分配金」は多い方がいいの?

投資信託の「分配金」って何ですか?「分配金」は多い方がいいの?
公開日:2021年7月19日
更新日:2024年1月23日
投資信託の「分配金」は、「分配金利回り」という使われ方もするので、もしかすると預金の「利息」に似ているものと考えている人がいるかもしれません。しかし、投資信託の分配金は、預金の利息とはまったく違うものです。今回は、そのような誤解をなくすべく、投資信託の「分配金」について、少し詳しく解説していきます。

投資信託の「分配金」とは

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(画像提供:Choat/stock.adobe.com)
投資信託の「分配金」は、正確には「収益分配金」といいます。
投資信託には計算期間というものがあり、計算期間の最終日に決算を行います。この決算日に、運用している資産(信託財産)の財務状況を明らかにし、計算期間中に得た収益などを確定させ、運用会社が収益分配金(以下、分配金)の金額を決定します。
また、投資信託協会のウェブサイトにある用語集では、分配金は次のように説明されています。

「投資信託の運用の結果、得られた収益を口数に応じて決算ごとに投資家に分配するお金のこと。分配金を出すかどうか、またはどのくらいの額を出すのかは、投資信託の約款(*)や投資信託協会の規則に基づいて運用会社が決定するため、状況によっては分配金が出ないこともある。」

*約款とは、運用会社と信託銀行が締結する信託契約の条項のこと

このように、投資信託の分配金は運用会社が、分配金を出すのか出さないのか、分配金を出す場合、金額をいくらにするか、を決算ごとに決めています。ここが預金の「利息」と大きく異なる点です。

預金の「利息」とは違うもの

預金の場合は、あらかじめ定められた利率に応じて定期的に「利息」が支払われます。それに対して投資信託の「分配金」は、決算を迎えてから分配金の有無や金額が決まります。これは、投資信託の分配金が、計算期間中の運用成果を中心に決定されるものだからです。
この計算期間中の運用成果とは、その投資信託が投資している株式や債券から得られる株式の「配当金」や債券の「利子」などに加え、株式や債券の売買による「売買益」などがあります。
この「配当・利子」や「売買益」などのことを分配対象額というのですが、前期から繰越した収益なども含めた分配対象額をもとに分配可能な金額が決まります。その分配可能な金額の範囲内で、運用会社は分配金の有無や分配金の額を決定することになります。

投資信託の分配金の種類

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(画像提供:takasu/stock.adobe.com)
次に「分配金」にはどのような種類があるか、見ていきましょう。その前に分配金に密接に関連する用語である「個別元本」について説明しましょう。

個別元本とは

投資信託協会ウェブサイトの用語集によると、「個別元本方式」とは「追加型投資信託の収益分配金や解約(償還)時の収益に対する課税計算を個々の受益者の取得価格(個別元本)を基に算出する方式のこと」とされています。
わかりやすく言うと、「個別元本」とは、投資家ごとに、投資信託の購入時の価格を課税上の購入価格とすることになります。そんなことは当たり前なのでは?思うかもしれませんが、投資信託のこの制度は、2001年4月から始まりました。
それ以前は、投資家ごとの"実際の購入価格"と"課税上の購入価格"は違っていました。この個別元本は、このあとで説明する「分配金」に密接に関係してくる用語なので、覚えておきましょう。
そして、投資信託の分配金の種類には、「普通分配金」と「元本払戻金(特別分配金)」という2種類があります。それぞれについて説明します。

普通分配金とは

「普通分配金」とは、「個別元本(購入時の基準価額)を上回る部分の分配金」のことです。この普通分配金は、源泉徴収の対象とされ一定の税率が課税されます。
「分配金」が普通分配金かどうかの判断基準は、分配金を支払ったあとの基準価額が、「個別元本」よりも高い場合になります。
この場合は、支払われた分配金の全てが普通分配金となります。普通分配金は、購入時の基準価額を上回っている部分ですので、主に、運用により獲得した株式の配当金や債券の利息、株式や債券の売却益などがもととなっています。
運用で得られた利益を投資家の利益として、分配金の形で支払うことになるため、その段階で課税されることになります。

元本払戻金(特別分配金)とは

一方、「元本払戻金(特別分配金)」とは、どういうものでしょうか。これは、「個別元本(購入価格)の払戻しに相当する部分」のことです。つまり、投資家が自分で支払った金額の払戻しに相当するということです。

そのため、元本払戻金(特別分配金)は、「普通分配金」とは異なり非課税扱いになります。自分が投資したお金が戻ってくるだけなので、それに対し課税されるということはありません。けっして「特別」だから非課税になるわけではなく、もともと自分のお金だから非課税となるわけです。

そして、「分配金」が支払われたあとの基準価額が、投資家の「個別元本」よりも低くなる場合は、分配金の一部もしくは全部が、元本払戻金(特別分配金)ということになります。

分配金の多いファンドは良いファンドですか?

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(画像提供:ytemha34/stock.adobe.com)
では、「分配金」を出しているファンドは、良いファンドということができるのでしょうか。
現在、投資信託の多くは1年決算型の追加型株式投資信託ですが、そのファンドの多くは、原則として決算ごとに分配するということをファンドの分配方針でうたっています。そして分配金額は、基準価額水準・市況動向等を勘案して決定することとしていますが、委託者(運用会社)の判断で分配を行わない場合があると書かれているケースがほとんどとなっています。
最近では、この委託者(運用会社)の判断で決定するという分配方針を受けて、分配を行わないファンドも多く見られます。また、継続して分配を行っているファンドであっても、基準価額水準や市況動向等によっては、分配金を支払えなくなる場合があるということです。
このように分配金を出すか出さないか、ということは、ファンドの良し悪しの判断基準にはなりません。
ファンドの良し悪しを測るには、分配金とは無関係に、あくまで、そのファンドの運用状況・運用成果を定量的・定性的に評価して、また、ほかの類似ファンドとの比較などを通じて、総合的に判断する必要があるでしょう。
ちなみに、分配金を支払わないことをうたう「無分配型」のファンドというものもあります。それは「単位型」と言われる投資信託(設定前の一定期間に購入可能で信託期間が有期限)で、従来は、3年間または4年間の無分配期間が認められていました。
なお、今注目の「つみたてNISA」においては、再投資される分配金が、つみたてNISAの年間の積立上限額の枠を消化する(毎月の積立額のほかにプラスされる)という点にも注意が必要です。

分配金を有効に活用するなら

「分配金」を支払うファンドでは、多くの場合、「分配金再投資コース」と「分配金受取りコース」に分かれています。
前者は、分配金が支払われると、税金が控除されたのち(普通分配金の場合)、残りの分配金で同じファンドを買い増すこととなります。そして、買い増しの際に、通常の購入では必要な購入時手数料が無料になるというメリットがあります。分配金再投資により、投資家にとっては保有する投資信託の口数が増加するという点もメリットです。
一方で、分配金受取りコースは、分配金再投資コースと同様に税金が控除されたのち、投資家の口座に現金が振り込まれることになります。
分配金の活用の方法は人それぞれです。再投資するにしても、受取りするにしても、ご自身で上手な活用方法を考えてみるといいでしょう。

分配金を出していないファンドについて

「分配金」を出していないファンドは、ファンドで受取った株式の配当金や債券の利息などを、ファンドの中に留保し、もう一度投資に回すことができます。分配金を出しているファンドと違って、投資家の保有口数は増えませんが、分配金をファンドの外に払い出すことがないため、効率的な運用が期待できるといえるでしょう。

ただし現在、分配金を出していないファンドの多くは、原則分配という分配方針のもと運用されていますので、可能性として分配を開始することもあるという点は考慮しておいてもいいでしょう。

基準価額と分配金の関係

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(画像提供:whyframeshot/stock.adobe.com)
「分配金」で注意すべき点は、基準価額が値下がりするという点です。なぜなら、投資信託の分配金は投資信託の信託財産から支払われるものだからです。
「分配金」の総額は1口当りの分配金にそのファンドの総口数を乗じた金額となり、その分配金の総額が信託財産から支払われるため、基準価額は分配金の額だけ値下がりするということになります。これは勘違いしやすい点なので注意が必要です。
たとえば、預金の場合は、仮に1万円を1%の利率(今はあり得ない利率ですが)で1年間預けた場合、1年後に100円の利息が付きます。すると、元金と利息の合計は、1万100円(1万円+100円)になります(税金は考慮していません)。
それに対し、同じ1万円で投資信託を購入した場合は、どうなるでしょうか。
仮に1万円で購入した投資信託が値上がりし、1年後に基準価額が1万100円になったとします。その時点で決算を迎え、分配金として100円が支払われると、分配金支払後の基準価額は、1万円(1万100円-100円)となります。つまり、分配金の100円分、基準価額は値下がりするのです。

ファンドの基準価額だけを見ていてはダメ

投資信託の月次レポートや運用報告書には、そのファンドの設定以来の「分配金」の累計額が記載されています。
あるファンドの現在の基準価額が設定時の基準価額1万円を下回っていたとしても、設定以来の分配金累計額を現在の基準価額に加えてみて、初めて設定来の運用成果を把握することができます。設定来の分配金累計額を加えると、設定時の1万円を大きく上回っているファンドもあるのです。

前述の通り、分配金が支払われると、その分、ファンドの基準価額は下がります。ですから、基準価額や分配金の水準だけで、投資信託の良し悪しを判断するのではなく、分配金の累計額や基準価額の推移も加味する必要があります。そして、投資信託を評価する際には総合的に判断していただきたいと思います。

分配金の金額は運用会社が決定していると述べましたが、極端なことを言えば、分配方針に従っていてそのファンドの分配可能な金額の範囲内であれば、運用会社は分配金をいくらにしても構わないということになります。

繰り返しになりますが、「分配金の多い少ない」や「基準価額が高い低い」ということは、投資信託の良し悪しには直接結びつかないということを覚えておきましょう。

執筆者:大地恒一郎

株式会社アセットデザインラボ代表

AFP、2級FP技能士、証券アナリスト(CMA)、証券外務員、1級DCプランナー他。

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