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貯蓄と投資の違いとは?どうバランスをとって投資をすればいい?

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貯蓄と投資の違いとは?どうバランスをとって投資をすればいい?
公開日:2021年6月2日
更新日:2024年1月30日
老後資産を作るためにも投資を始めたいと考えているものの、「資産が大きく減って損をするのでは……」という不安を抱いている人もいるかもしれません。また、毎月どの程度の金額を投資に回せばいいのかわからない人も多いでしょう。この記事では、貯蓄と投資の違いや比率を解説しつつ、30代の夫婦をモデルケースにして、長期投資を行った場合のシミュレーションも紹介します。

貯蓄、投資、投機の違いとは?

貯蓄,投資
(画像提供:cassis/stock.adobe.com)
まずは「貯蓄」「投資」「投機」の違いについて、くわしく見ていきましょう。

貯蓄とは

将来のために、銀行などにお金を預けることを「貯蓄」と言います。普通預金や定期預金などが一般的な貯蓄です。貯蓄は元本が保証されているのでリスクは低いのですが、現在は超低金利なため、受け取ることのできる利息も少なくなっています。

投資とは

成長有望な企業などに資金を投じることを「投資」と言います。たとえば株式投資などは、投資家から集めた資金を使い企業が設備に投資したり、新商品の開発を行います。そして利益が上がったときには、投資家である株主に配当金などで還元します。
元本の保証はありませんが、「投資したお金が減る(もしくは無くなる)かもしれない」というリスクを取ることによって、貯蓄よりも高いリターンが期待できます。

投機とは

投機とは相場の変動を利用して短期間で利益を得ようとする方法です。簡単そうに思えますが、安いときや高いときのタイミングを逃さず掴むことはとても難しいことです。
会社の成長や、経済の成長に投資するのと違い、その一瞬の利益だけを目的としています。短期間での利益を目指すため、元本を大きく減らしてしまう可能性もあります。
貯蓄,投資

平均貯蓄額と投資額

貯蓄,投資
(画像提供:Fantasista/stock.adobe.com)
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(2019年)」によると、2人以上の世帯の平均金融資産保有額は下記の表のようになりました。金融資産を全く保有していない世帯が一定割合あり、30代以降は年代が上がるほど非保有の割合が高くなっています。
貯蓄,投資
(表内の数字は%)
貯蓄,投資
年代別の金融資産保有額では、年代が上がるごとに増えていき60代がもっとも多くなっています。60代では資産を持っている人と、持っていない人の差が大きく現れています。
30代以降では1,000万円以上保有している人の割合が増えているため、平均値への影響が大きく、中央値とは大きく異なることもあります。たとえば、30代では金融資産の平均保有額は529万円ですが、中央値では240万円となっています。
また、どのような金融資産を保有しているのか、種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ると、どの年代でも預貯金の金額がもっとも多くなっています。さらに生命保険や、個人年金などの貯蓄性の保険商品が続き、全体での貯蓄割合は若い年代ほど多く、50代以下では80%以上を占めています。
貯蓄,投資
(表内の数字は万円)
貯蓄,投資

※貯蓄 = 預貯金・財形貯蓄・生命保険・損害保険・個人年金

※投資 = 債券・株式・投資信託・金銭信託・その他

貯蓄と投資の割合はどうしたらいい?

貯蓄,投資
(画像提供:kai/stock.adobe.com)
貯蓄性の商品と投資性の商品の保有割合がどれくらいがいいのか正解はありません。しかし、預貯金では働いて得た金額よりも増やすことは難しいため、ある程度は投資に目を向ける必要もあります。
前掲の表【貯蓄金額と投資金額の割合】を見ると、各世代の貯蓄と投資の割合は8:2から7:3といったところですが、年齢やライフプラン、リスク許容度によってそれぞれ異なります。
投資が必要とはいえ、全く経験がない人は何から始めたらいいのか、どうしたらいいのか分からないこともあるでしょう。そんな場合は、まず、これから使う予定のお金を目的別、時間軸別(短期・中期・長期)に分類し、それぞれに適した方法で貯蓄と投資に振り分けることから始めてみてはいかがでしょうか。

短期的なお金は流動性の高い預金で準備

まず、毎月の生活費や病気など緊急時に対応するための資金は流動性が高いため、銀行などの普通預金の口座で対応します。目安としては、毎月の生活費の最低でも半年分~1年分くらいあれば安心できるでしょう。

中期的に必要なお金は確実性の高い金融商品で準備

5年から10年の間に必要になる資金はリスクの少ない金融商品で準備しましょう。たとえば、住宅を購入するための頭金や、子どもの進学費用など使う予定が決まっているものは、確実に準備しなければなりません。金利はあまり高くはないものの、定期預金や国債などリスクの少ない金融商品で準備するといいでしょう。

長期で準備することのできる老後資金などは収益性を活かして準備

老後の資金は、だれもが必要な資金です。しかし、今すぐ必要なわけではなく準備するまでに時間を使うことができます。国内株式など個別銘柄に投資することもできますが、株式や債券、日本や先進国などに分散投資ができる投資信託などもあります。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどの長期向きの資産運用を行ってもいいでしょう。

モデルケースで見てみよう!

貯蓄,投資
(画像提供:kai/stock.adobe.com)
では具体的にどのようにバランスを取りながら準備をしたらいいのか、30代後半子ども2人の家庭のケースで考えてみましょう。

【例】

東京都在住

夫37歳 会社員

妻35歳 会社員

子ども 小学1年生と幼稚園児

<収入>

夫500万円

妻400万円

生活費420万円(毎月35万円)

保有金融資産 700万円

<今後のおもな支出>
  • 住宅の頭金(3年後)500万円
  • 教育準備金(10年後)300万円、(12年後)300万円
  • 老後資金2,000万円
まず、保有資産700万円のうち、緊急予備資金として1年間の生活費420万円は普通預金などに準備しておきます。保有資産の残りは280万円となります。

次に必要になるお金として、住宅の頭金を準備しなければなりません。目標は500万円ですから、残り220万円を準備します。中期で確実に準備するためには積立定期預金などを使います。金利はほとんどつきませんが、確実に貯めることができます。3年後に500万円にするためには毎月約6万1,000円積み立てていきます。

220万円÷3年÷12ヵ月=約6万1,000円

次に子どもの教育費を準備します。期間は10年と12年です。住宅の資金よりも時間がある分積立の金額も少なくて済みます。10年後に300万円を準備するためには、定期預金などであれば、毎月約2万5,000円、12年後に300万円準備するためには、約2万1,000円を積み立てます。合計すると4万6,000円です。

300万円÷10年÷12ヵ月=約2万5,000円

300万円÷12年÷12ヵ月=約2万1,000円

合計:約4万6,000円

同じ金額を定期預金ではなく、つみたてNISAなどの仕組みを使って投資信託などで積み立てた場合はもう少し増える可能性もあります。
たとえば、つみたてNISAの月額上限額である毎月3万3,000円を投資信託で年利3%で積み立てられた場合、12年後には約571万円になります(運用は確定しているわけではありません)。
月々の積立額4万6,000円のうち、残り1万3,000円を定期預金などで積み立てれば約187万円になるので合計758万円です。定期預金だけで600万円準備するよりも多く準備することができます。
そして、老後の資金2,000万円は、時間をつかって投資信託などの金融商品を使って準備します。たとえば、夫が65歳になるまでの28年間、3%で積み立てしていくとすると毎月の積立金額は約3万8,000円で、2,000万円弱の老後資金を準備することができます。
住宅の頭金、教育費、老後資金を準備するために必要となる毎月の積立額は、下表のとおりです。
貯蓄,投資
投資をしているのは老後の資金だけなので、積立金額のうち26%程度です。

貯蓄だけでなく上手に投資をしていこう

超低金利時代が長く続いているので、働いたお金だけで将来に備えることは難しくなっています。投資をしたことのない人は怖いと思うかもしれませんが、全くしないことにもリスクはあるのです。自分で働いたお金にも上手に働いてもらって、二人三脚で資産を作っていきましょう。
初めからたくさん投資に回す必要はありませんが、貯蓄する金額の最低でも2割くらいは投資商品を加えてみてもよいでしょう。

執筆者:黒須かおり

FPラポール株式会社代表取締役ファイナンシャル・プランナー、CFPⓇ

2007年FP資格取得。独立系FP会社を経て2016年独立。

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