債券型投資信託とは?メリット・デメリット、株との違いなどを解説
投資信託を選ぶとき「債券型」や「債券ファンド」という表示を目にする機会があるかもしれません。いったいどんなもので、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか。運用先選びの前に知っておきたい基礎知識について解説します。
投資信託ってどのファンドを選べばいい?債券が安全?
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投資信託は、投資初心者でも取り組みやすいとして人気の金融商品です。投資家は自分の運用方針に合う投資信託(ファンド)を選び、運用を行うプロ(ファンドマネージャー)に託します。
多数の投資家から集めたお金は、運用のプロによって債券や株式、不動産などさまざまな投資先に分散して運用されます。その運用で得た利益を、投資した額に応じて投資家に還元するのが基本的な仕組みです。
投資家が投資先として選べる投資信託は、約6,000本あります。これだけの数があると、どれをどうやって選べばいいのか初心者は迷ってしまうでしょう。まずは投資信託を始める前に、どのような種類があるのかを理解しておく必要があります。
投資信託にはさまざまな分類方法があり、特に投資初心者が確実に押さえておきたいのは以下の点です。
・投資エリア
投資信託の投資先は、「国内」「海外」に分類されます。また海外の中でも、「先進国」「新興国」「アメリカ」など細かく分かれています。
・投資対象となる資産
投資信託は、「株式」を中心に投資するものもあれば「債券」を中心に投資するものもあります。不動産やコモディティ(小麦、トウモロコシ、金・銀、石油などの商品)も投資対象になり得ます。株式も債券も含めて、さまざまな資産にまんべんなく投資する「バランス型」の投資信託も存在します。
目論見書(もくろみしょ:投資信託の取扱説明書)を見ると、投資エリアの分類と組み合わせて「国内債券型」「海外株式型」「バランス型」などと表示され、どこの何に投資する投資信託なのかわかるようになっています。
ちなみに、投資信託には「株式投資信託」と「公社債投資信託」という分け方もあります。株式投資信託は「株式にも投資できる投資信託」、公社債投資信託は「株式には投資できず、債券を中心に投資する投資信託」のことです。
少々ややこしいのですが、債券にしか投資していない投資信託でも、約款で株式も購入できることを定めていれば「株式投資信託」に分類されます。
・投資方針
投資信託はその運用方針によって「インデックス型」と「アクティブ型」に分けることもできます。インデックス型は日経平均株価など目安となる指標と連動した値動きを目指す投資信託で、アクティブ型は目安となる指標を上回る値動きを目指す投資信託です。
アクティブ型は運用がうまくいけば高いリターンが得られます。ただ、プロが運用するからといって常に指標を上回るとは限りません。高いリターンを目指す分、リスクもコストも高くなります。
インデックス型はリスクやコストは抑えやすいですが、指標の動向に左右されやすく、それを上回ることはあまり期待できません。
投資信託を選ぶときは、「どこの何に」「どのように投資する投資信託なのか」をまず理解するようにしましょう。一般的には、国内より海外、債券より株式、インデックス型よりアクティブ型が「ハイリスク・ハイリターン(元手が大きく減る可能性もあるが、大きく増える可能性もある)」という傾向があります。
できるだけリスクを抑えて投資したいのなら「国内債券のインデックス運用」を選んでもいいでしょう。積極的に利益を狙っていきたいのなら「海外株式」や「アクティブ型」から探し、自分の価値観、投資の目的や目標などに合った組み合わせを選びましょう。
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投資信託の基本を押さえたところで、本記事のメインテーマである「債券」について詳しく解説します。そもそも「債券」とは、国や企業などがお金を借りるために発行する有価証券のことです。国が発行する債券は「国債」、会社が発行する債券は「社債」と呼ばれます。
債券を購入するということは、その発行団体にお金を貸しているのと同義です。債券を保有している間は利子を受け取ることができ、満期が来たら元本が返済されます。
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続いて、株式と債券の違いを知っておきましょう。株式は企業が資金調達のために発行する有価証券です。株式は購入することで、その会社のオーナーとしての権利を得ることができます。
株式も社債も、企業が成長していくための資金集めの手段という意味では同じです。「市場で売買ができる」「投資信託の投資対象になっている」点も共通しています。
では何が違うのでしょうか。社債はいわば「借用書」です。発行した会社からすると、購入した人から「お金を借りている」ことになります。したがって返済する義務が生じ、返済の時期も受け取れる利子の割合(利率)も決まっています。
一方、株式にはそれがありません。株式投資などという言葉もあるとおり「投資」ですから、企業の業績が良く成長している状態なら、オーナーとして配当金や株主優待を受け取れ、値上がりした株式を売却することで利益を得ることができます。
投資家からすると、株式よりも社債のほうが将来の利益を予測しやすくリスクを抑えられます。ただ、高いリターンを狙えるのは株式です。株式は社債と違って得られるリターンが決まっていないため、うまくいけば青天井で大きな利益をあげられる反面、失敗すれば債券よりも利益が少なくなったり損失が出たりする可能性があります。
債券への投資、もしくは債券中心の投資信託への投資を考えている人は、債券と金利の関係も知っておきたいところです。
債券の価格は変動します。その値動きの大きな要因となるのが市場金利です。金利が上がれば債券価格は下がり、金利が下がれば債券価格は上がります。金利と債券価格は、基本的に正反対の動きをします。
景気がどんどんよくなっているときは金利が上がりやすく、債券価格が下がりやすくなります。株式は景気拡大局面で上昇する傾向がありますので、株式と債券も逆の値動きをすることが多いです。
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「債券ファンド」とは、債券を中心に運用される投資信託のことです。債券ファンドの中でも、日本国債を中心に運用するもの、海外の国債を中心とするもの、社債で運用するものなどさまざまなファンドがあります。
債券を自分で買うのと、債券ファンドを買うのとでは、どのような違いがあるのでしょうか。
債券に直接投資する場合は、自分でどこのどんな債券に投資するのかを選び、配分(お金の割り振り方)を考えて、それぞれ購入手続きをすることになります。
債券ファンドへの投資では、ざっくりと「国内債券」など自分に合う方針を掲げている投資信託を1つ選ぶだけで、運用のプロがどんな銘柄をどんな割合で組み合わせるか考えて実行してくれます。
自分で個別銘柄を分析したり配分を考えたりしたい投資の上級者や、すでに投資したい債券が決まっている人は、債券に直接投資したほうが理想の投資を実現しやすいかもしれません。
それとは逆に、自分の投資判断に自信がない初心者や、海外社債など自分の知識が追いつかない分野や入手が難しい債券でプロの手を借りたい人などは債券ファンドが向いているでしょう。
それでは債券ファンド投資のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
- プロに任せられる
- 簡単に分散投資ができる
- 少額でチャレンジできる
- NISAやiDeCoを利用できる
債券ファンド投資のメリットをひとことで言うと、「リスクを抑えた投資」を実現しやすいということです。債券ファンドへの投資は、わずか100円でも可能です。少額でも、複数の債券をプロに任せて購入したのと同じ効果を得られます。
債券への直接投資と違い、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった投資の利益が非課税になる制度も利用できます。
債券ファンドは投資信託なのでプロに運用を任せることから、購入時の手数料、信託報酬(保有中の費用)、信託財産留保額(換金時の費用)などの費用がかかります。投資信託によってその金額には差がありますので、いくらコストがかかるのかチェックして選ぶことが大切です。
メリットで挙げたとおり、債券ファンドはリスクを抑えた投資が可能ではありますが、だからといって元本割れ(投資の結果、開始時よりお金が減る状態)になる可能性がゼロというわけではありません。債券ファンドの中には、株式ファンドのようにハイリスク=ハイリターンなものがあることも覚えておいてください。
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それでは、債券ファンドなどの投資信託を購入したいと思った場合どうすればいいのでしょうか。その手順は次のとおりです。
- ステップ1.投資したい投資信託を選ぶ
- ステップ2.その投資信託を購入できる金融機関を選ぶ
- ステップ3.金融機関の口座を開設する
- ステップ4.開設した口座に投資用のお金を入金する
- ステップ5.投資信託の購入手続きをする
投資信託を購入するには、投資信託を扱っている銀行や証券会社で投資用の口座を持っておく必要があります。金融機関によって、選べる投資信託の種類や数、手数料、受けられるサポートなどが違うのでよく比較して検討しましょう。
購入が完了したら「取引報告書」を受け取り、その後は一定期間ごとに「運用報告書」が送られてきます。それらをチェックしたり金融機関のマイページにログインしたりすれば、投資したファンドの現状を確認することができます。
債券ファンドは、リスクを抑えた投資をしたい人に特に向いています。失敗しにくい投資を実践するには、投資先を分散させるのが有効な手段の1つです。自分のお金の運用先を考えるとき、他の金融商品とあわせて、債券ファンドも候補の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表
AFP、証券外務員一種、秘書検定1級
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- 投資信託は預金ではなく、その基準価額は、組入れ有価証券(株式・債券等)の値動きにより変動しますので、お受取金額が投資元本を下回る場合があります。
- 組入れ有価証券等は、株式指標・金利等を原因とした値動きにより変動します。
- 投資信託の購入時手数料や運用管理費用(信託報酬・管理報酬等)・信託財産留保額等の手数料等はファンド・購入金額等により異なるため、具体的な金額・計算方法を記載することができません。
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