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葬儀費用の平均相場はどのくらい?その内訳と費用を安く抑える方法もご紹介

葬儀費用の平均相場はどのくらい?その内訳と費用を安く抑える方法もご紹介
公開日:2024年1月31日

親戚の葬儀への参列や、両親が年を重ねていくにつれて、いつかは家族との別れが訪れることを感じることがあるかと思います。突然、葬儀を執り行うことになった場合、十分な知識がないと悲しみのなかで頭が混乱してしまうかもしれません。

今のうちから葬儀費用の内訳や平均相場などを把握しておくことは、いざという時に役立つでしょう。この記事では、葬儀費用の平均相場から葬儀費用の内訳、費用を抑えるためのポイントをご紹介します。


目次

葬儀費用の平均相場は?

身内を失い、葬儀の手配をしなければならないとき、どのように進めたら良いのか戸惑う人も少なくありません。

特に、初めて葬儀を執り行う場合、どれくらいの費用がかかるのか具体的なイメージが湧かないという人もいるのではないでしょうか。

そんなときのために、あらかじめ葬儀費用の平均相場を知り、心づもりをしておくと良いでしょう。

葬儀費用の平均相場は110.7万円

株式会社鎌倉新書が実施した「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、葬儀費用の総額は平均110.7万円でした。
その内訳は、以下のとおりです。

  • 基本料金:67.8万円
  • 飲食費:20.1万円
  • 返礼品:22.8万円
    合計:110.7万円

基本料金とは、斎場利用料、祭壇、棺、遺影、骨壺、火葬場利用料、搬送費など葬儀一式の費用のことです。
飲食費は、通夜のあとにもてなす通夜ぶるまいや、火葬のあとにもてなす精進落としなど、参列者に提供する飲食にかかる費用です。また返礼品は、参列者への会葬御礼品や香典返しの費用になります。飲食費と返礼品を合わせて飲食接待費とも呼ばれます。

お布施の費用

葬儀では、葬儀一式費用や飲食接待費のほか、寺院や神社、教会への御礼としてお布施も必要になります。

第5回お葬式に関する全国調査(2022年)によると、お布施の平均は22.4万円でした。
ちなみに、お布施の呼び名はそれぞれの宗教により異なります。
仏式では、読経料や戒名料、御車代、御膳料などをお布施として僧侶に渡します。
神式では、お布施にあたるものは祭祀料で、葬儀を執り行った神社や神主へ渡します。
キリスト教式では、お布施にあたるものを献金と呼び、葬儀を執り行った教会や司祭、牧師へ納めます。
葬儀費用の平均相場は?

葬儀の種類によって費用も変わる

近年の葬儀は多様化しており、故人の送り方もさまざまな選択肢が広がっています。
葬儀の種類を大きく分けると、以下の4種類になります。

  • 一般葬
  • 家族葬
  • 一日葬
  • 直葬・火葬式

では、それぞれの葬儀の特徴や、かかる費用について確認していきましょう。

一般葬

一般葬は、家族や親戚、友人、会社関係者など、故人と縁のあった人が参列する規模の大きな葬儀です。

通常、1日目にお通夜を、2日目に葬儀・告別式、火葬を執り行います。参列者の人数が多いため飲食代や返礼品などの費用がふえて、葬儀費用は高くなる傾向があります。

家族葬

家族葬は、家族や親戚、親しい友人など限られた方々が参列する葬儀です。

葬儀の執り行い方は一般葬と同じで、1日目にお通夜を、2日目に葬儀・告別式、火葬を執り行います。一般葬に比べると葬儀の規模が比較的小さいため、葬儀費用を抑えることができます。

一日葬

一日葬では、お通夜を省略し、葬儀・告別式、火葬を1日で執り行います。お通夜にかかる費用がなくなるため、一般葬や家族葬に比べると、費用を大きく抑えることができます。

直葬・火葬式

お通夜や葬儀・告別式を行わず、火葬場でお別れをする形の葬儀が直葬・火葬式です。

参列者は家族やごく親しい友人などに限られ、斎場使用料や精進落としなどの会食費用もないため、費用は大きく抑えられます。また、利用する火葬場が公営か民営かによっても費用が異なります。公営の火葬場を利用する場合には、さらに費用を抑えることができるでしょう。

近年の葬儀費用は減少傾向

「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、2022年に行った葬儀の種類は一般葬が25.9%、家族葬が55.7%、一日葬が6.9%、直葬・火葬式が11.4%という結果が出ています。
これは新型コロナウイルスの影響により、大勢の人が集まる一般葬から、家族や親戚など参列者を最小限にした家族葬を執り行う人が増加したことが大きな要因といわれています。最も規模の大きな一般葬が減少したことにより、葬儀費用もコロナ前と比べて減少したと考えられます。
しかし、新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことを受け、今後は一般葬が再びふえてくるかもしれません。
  1. 出典:株式会社鎌倉新書「「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」
    https://www.kamakura-net.co.jp/newstopics/9302/

葬儀費用は誰が払う?

葬儀費用を誰が払うのかは、法律で定められているわけではありませんが、一般的には喪主が費用を負担することが多いとされています。

ただし葬儀の規模によっては、葬儀費用にはある程度まとまった金額が必要になるため、場合によっては故人が葬儀費用を準備していたり、互助会や葬儀保険に加入していたりするケースもあるでしょう。

以下の質問チャートでチェックすることで、葬儀費用の負担方法を確認できますので、ぜひ活用してみてください。

葬儀費用は誰が払う?

1)故人が準備していた葬儀費用で支払う

故人に希望する葬儀の形式があり、葬儀費用をご自身で準備されている場合があるかもしれません。遺言書やエンディングノートに記載はないか、または家族のなかで故人の希望を聞いている人はいないか確認しましょう。

ただし、葬儀費用を故人の銀行口座にあるお金で支払う場合、故人が亡くなると銀行口座が凍結されるため、お金を引き出すのに一定の手続きが必要になります。その方法については後述します。

2)「互助会」や「葬儀保険」から支払う

故人が生前、互助会や葬儀保険に加入している場合があります。

互助会とは冠婚葬祭互助会のことで、毎月掛金を積み立てることで冠婚葬祭のサービスを受けられる会員制度です。故人が互助会に加入していた場合は、加入団体へ連絡してみましょう。
また葬儀保険とは、葬儀費用や葬儀後の整理に必要な費用のほか、仏壇や墓地の購入などの資金を補うために利用できる保険です。
保険金が直接葬儀社へ支払われる場合もあるので、故人が葬儀保険に加入していた場合は、保険会社へ連絡しましょう。

3)「葬儀扶助制度」を使って支払う

生活保護制度のなかには「葬儀扶助」という制度があります。これは、定められた範囲内で葬儀費用にかかる実費を支給してくれるものです。

2023年10月現在での葬儀扶助の基準額は、大人が212,000円以内、小人(12歳未満)は169,600円以内となっています。
  1. 出典:厚生労働省 生活保護法による保護の基準
    https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82051000&dataType=0
故人が生活保護を受けていた場合は、故人を担当されていた福祉事務所か、市区町村の生活福祉担当窓口に申請しましょう。

4)喪主が負担する

一般的に、喪主は故人の配偶者、もしくは長男や長女が務めるのが慣習となっています。

しかし、誰が喪主を担当するのか決まりはないため、そのほかの血縁関係のある人が務めても問題ありません。

ただ、葬儀費用は喪主が負担するケースが一般的なので、喪主はまとまった金額が必要になります。とはいえ、喪主の家庭状況によっては、葬儀費用の負担が難しくなる場合があるかもしれません。

そんな時、兄弟姉妹など相続人が複数いる場合は、費用を分担するのも1つの方法です。あるいは、「施主」と呼ばれる葬儀の世話役を立てて、代わりに葬儀費用を支払ってもらう方法もあります。

故人に預貯金があれば遺産から支払うこともできる

前述のとおり、葬儀費用は故人の預貯金で支払うことも可能です。

ただし、亡くなった方の銀行口座は凍結されてしまうため、容易にお金を引き出すことができなくなります。故人の預貯金を引き出すには、相続人が遺産分割協議書を作成し、所定の書類を揃えて窓口へ提出する必要があるため、時間と手間がかかってしまいます。

しかし、葬儀費用は葬儀が終わったあと1週間から10日以内に支払うことが多く、遺産分割協議がすぐに成立できなければ葬儀費用を引き出せず、葬儀社への支払いが難しくなってしまいます。
そこで、故人の預貯金の一部をすぐに仮払いできる制度が創設されました。
その制度が、2019年7月1日に創設された「預貯金の仮払い制度(相続預金の払い戻し制度)」です。

預貯金の仮払い制度(相続預金の払い戻し制度)とは

預貯金の仮払い制度(相続預金の払い戻し制度)とは、故人の葬儀費用や残された家族に当面の生活費が必要になる場合、家庭裁判所の判断を受けずに銀行の窓口で預貯金の払い戻しができる制度です。

払い戻しできる金額には、以下のような上限額があります。

  • 相続開始時の預貯金残高×1/3×払い戻しを行う相続人の法定相続分
    ただし、1つの金融機関で払い戻しができる金額は150万円まで

この制度を利用する際は、以下の書類が必要です。
ただし、金融機関により取り扱いが異なる可能性がありますので、事前にご確認ください。

  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
    • 故人と相続人の戸籍謄本は「法定相続情報一覧図」で代用できます。
  • 金融機関所定の申請書
  • 払い戻しをする相続人の印鑑証明書

ただし、預貯金の仮払い制度を利用した相続人は、相続放棄ができなくなります。
また、仮払いを受けた金額は、払い戻しを行った相続人が受け取る遺産の一部を分割したものとみなされるので注意しましょう。
さらに、遺言書があり、預貯金を相続する人が指定されている場合、預貯金の仮払い制度が利用できないことがあるので、遺言書の内容をしっかりと確認しておきましょう。

葬儀費用の負担を抑える6つの方法

葬儀費用の負担を抑える6つの方法

突然身内が亡くなり、喪主として葬儀を執り行うことになったとき、葬儀費用の負担は大きなものです。場合によっては、今後の生活費や将来のための預貯金から支払わなければならないこともあるでしょう。

そんなとき、葬儀費用を抑えられる方法や補助金制度を知っておくことで、経済的な負担軽減に役立ちます。

ここでは、葬儀費用の負担を抑える6つの方法をご紹介します。

1)複数の葬儀社から見積もりを取る

葬儀費用は、葬儀の種類や規模だけでなく、葬儀社により異なります。突然の訃報に慌てて葬儀社を決めてしまうと、思っていたよりも高額な費用となる場合があるかもしれません。

そこで、相見積もりを取って、複数の葬儀社を比較することをおススメします。葬儀社によって提供されるサービスやかかる費用が異なるため、よく内容を確かめ検討しましょう。

複数の葬儀社を比較し、希望のサービスと予算に合った葬儀社を選ぶことで、安心して故人を送り出すことができます。

2)葬儀の規模や参列者数を見直す

葬儀費用は、葬儀の規模やプラン、参列者数により変わってきます。

見積もりを取ったうえで思ったよりも費用が高くなるようであれば、プランや参列者数を見直すことも選択肢の一つです。葬儀の規模を縮小したり、参列者数を絞ったりすることで、葬儀費用を抑えることができます。

3)飲食代や葬祭用品を見直す

通夜ぶるまいや精進落としの飲食代や、棺、祭壇、生花などの葬祭用品は、グレードにより費用が変わってきます。

そのため食事の品数や内容、葬儀用品のグレードを見直すことで、葬儀費用を抑えることができます。

4)参列者の香典を葬儀費用負担分に充当する

葬儀の参列者から受け取る香典は、葬儀費用の一部として利用しても良いでしょう。
「第5回お葬式に関する全国調査(2022年)」によると、受け取る香典の平均額は47.2万円という結果が出ています。
香典で葬儀費用のすべてを支払うことは難しいですが、利用することで負担を軽減できます。

5)国民健康保険や健康保険組合の補助金を受け取る

国民健康保険の加入者が亡くなったとき、申請することで国民健康保険から「葬祭費」として、1人あたり7万円が支給されます。
また、協会けんぽをはじめ勤務先の健康保険組合からは、加入者が亡くなった場合は「埋葬料」として5万円が支給されます。また、扶養家族が亡くなった場合にも「家族埋葬料」として5万円が支給されるので、覚えておくと良いでしょう。
故人が国民健康保険の加入者であれば役所の国民健康保険担当窓口へ、健康保険組合の加入者であれば加入する組合へ連絡しましょう。

6)葬儀費用として支払った金額を相続税の計算で相続財産から控除する

家族が亡くなったとき、故人の債務や相続人が負担した葬祭費用は相続財産から控除することができます。葬儀費用を控除できれば、その分相続税の負担が軽減されます。
相続財産から控除できる葬儀費用は以下のものです。
相続財産から控除できる葬儀費用
ただし、以下のものは控除することができないので注意しましょう。
控除できない葬儀費用
葬儀社から請求された金額は支払う必要がありますが、あとから相続税の申告時に葬儀費用を控除できるので、領収書など葬儀社へ支払った金額がわかるものを保管しておきましょう。

まとめ

葬儀は家族・親族や知人が故人と別れを告げ、冥福を祈る大事な儀式です。金銭的な心配をせず、故人を穏やかに送り出すことが理想です。
そのためにも、葬儀費用の内訳や平均相場、費用を準備する方法を理解しておきましょう。
葬儀費用を抑えるポイントを知っておくことで、手続きをスムーズに行うことができ、補助金制度を活用することができます。
また、話題に出しにくいことかもしれませんが、家族や両親と葬儀費用の捻出方法について、早いうちに話し合っておくことも大事でしょう。
執筆者:前佛 朋子(ぜんぶつ ともこ)
執筆者保有資格:日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定 CFP®認定者、1級ファイナンシャル・プランニング技能士

※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。

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