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【初心者向け】年末調整の書き方は?申告書の記入例・必要書類もわかりやすく解説!

【初心者向け】年末調整の書き方は?申告書の記入例・必要書類もわかりやすく解説!
  • 2022年10月5日
  • 2023年11月14日
年末が近づくと、多くの会社員やパート、アルバイトの方は年末調整を行う時期になります。
年末調整の書類は複雑で、内容をよく理解しないまま書いている方や、1年経つと記入の方法を忘れてしまう、という方も多いでしょう。
そこで今回は、ファイナンシャルプランナーが年末調整で必要な書類の書き方について、記入例を示しながらわかりやすく解説します。
なお、年末調整は紙に手書きするのが一般的ですが、近年、国が年末調整手続きの電子化を推進していることから、システム上での申告を求める企業も増えています。
今後も電子化の流れは進んでいくと予想されますが、紙で提出する場合でも、電子申告する場合でも、書類の内容自体は変わりません。電子申告される方も、今回の記事を参考にして手続きを進めてみてください。

年末調整はどうして必要?

年末調整はどうして必要?
まずは年末調整の概要を見ていきましょう。
年末調整の目的は、所得税を精算することです。所得税とは、給料等の1年間の収入に課税される税金で、所得額に応じて税率が変わります。
企業に勤めている場合、毎月の所得税は給料から天引きされますが、天引きされる所得税額は概算であり正確な金額ではありません。
源泉徴収された概算の所得税額と本来納めるべき税額を一致させるため、年末調整し、精算する必要があるのです。
年末調整で精算した結果、税額が足りない場合は追加で所得税を徴収され、税金を払いすぎている場合は還付されます。
また、年末調整で各種申告書を提出すると、基礎控除や扶養控除等の控除を受けられます。税金を正確に納めるためにも、控除の適用を受けるためにも、年末調整は欠かせない手続きです。

年末調整の対象になるのはどのような人?

年末調整の対象になるのはどのような人?
では、どのような方が年末調整の対象となるのでしょうか。12月に年末調整する場合と、年の途中で年末調整する場合の対象者・非対象者を見ていきます。

12月に年末調整する場合

会社員やパート、アルバイトの方は、基本的に12月に年末調整します。年末調整の対象者と非対象者は以下のとおりです。
【対象者】
  • 会社等に1年を通じて勤務している人
  • 年の途中に就職して年末まで勤務している人(青色事業専従者を含む)
【非対象者】
  • 1年間に支払われる給与が2,000万円を超える人
  • 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

年の途中で年末調整する場合

年の途中に海外支店へ転勤した場合等、年の途中で年末調整が必要なケースもあります。年の途中で年末調整する場合の、対象者と非対象者は以下のとおりです。
【対象者】
  • 海外支店等に転勤したことにより非居住者となった人
  • 死亡によって退職した人
  • 著しい心身の障害のために退職した人(退職したあとに再就職し、給与を受け取る見込みのある人は除く)
  • 12月に支給されるべき給与等の支払いを受けたあとに退職した人
  • いわゆるパートタイマーとして働いている人等が退職した場合で、本年中に支払いを受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払いを受ける見込みのある人は除く)
【非対象者】
  • 年の途中で退職した上記以外の人

年末調整で必要な書類

年末調整で必要な書類
年末調整の書類は4種類あります。書類によって受けられる控除が異なり、控除を受けないものに関しては提出する必要はありません。
以下に各書類と受けられる控除を一覧にしていますので、自分が何を提出しなければならないか、確認しておきましょう。
書類の名称 受けられる控除
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 扶養控除
障害者控除
勤労学生控除
寡婦控除
ひとり親控除
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 基礎控除
配偶者控除
配偶者特別控除
所得金額調整控除
給与所得者の保険料控除申告書 生命保険料控除
地震保険料控除
社会保険料控除
小規模企業共済等掛金控除
住宅借入金等特別控除申告書 住宅借入金等特別控除
ここからは、それぞれの書類の書き方を解説します。例を参考にしながら、実際に書類を作成してみてください。

年末調整の書き方①保険料控除申告書

年末調整の書き方①保険料控除申告書
「給与所得者の保険料控除申告書」は、生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模共済等掛金控除を受けるために提出する書類です。
記入の際は、加入している保険会社等から送られてくる、保険料控除証明書を参考にしてください。
また、保険料控除申告書は、以下の図のように、控除の種類によって書類の記入箇所が異なります。
生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除の順に、記入方法を一つずつ確認していきましょう。
給与所得者の保険料控除申告書
参考:「令和3年度保険料控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_04.pdf)を加工して作成

生命保険料控除

生命保険料控除
参考:「令和3年度保険料控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_04.pdf)を加工して作成
生命保険料控除欄では、一般の生命保険料(新契約・旧契約)、介護保険料、個人年金保険料(新契約・旧契約)から控除額を算出します。保険料控除証明書や契約証を見ながら記入するとスムーズです。
赤枠内に一般の生命保険、青枠内に介護医療保険、緑枠内に個人年金保険の内容を記入します。
記載項目は、保険会社等の名称、保険の種類、保険期間、契約者名、受取人、受取人の続柄、新旧区分、本年中に支払った保険料です。証明書の内容を正確に転記する必要があるため、記入箇所を間違えないようにしましょう。
保険料等を記入したら、保険料の合計額を計算し、一般の生命保険料と個人年金保険料については、計算式Ⅰと計算式Ⅱをあてはめます。
保険料等計算式
出典:国税庁ホームページ
(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_04.pdf)
赤枠の新保険料等の金額の合計額25,000円を計算式Ⅰに、旧保険料等の金額の合計額80,000円を計算式Ⅱにあてはめると以下のようになります。
新保険料等 25,000円×1/2+10,000円=22,500円
旧保険料等 80,000円×1/4+25,000円=45,000円
一般の生命保険、介護医療保険、個人年金保険それぞれの控除額が計算できたら、すべての控除額を合計して黄枠内に生命保険料控除額を算出しましょう。
なお、記入の際使用した保険料控除証明書は申告書裏面に貼付する必要があるので、証明書をなくさないよう注意してください。

地震保険料控除

地震保険料控除
参考:「令和3年度保険料控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_04.pdf)を加工して作成
地震保険料欄では、地震保険料から地震保険料控除額を算出します。
生命保険料控除欄と同様に、地震保険料控除証明書等を参考に記入し、証明書類は申告書裏面に貼付します。
証明書をもとに、赤枠内に保険会社等の名称、保険の種類、保険期間、契約者名、契約者の続柄、地震・旧長期区分、本年中に支払った保険料を記入しましょう。
続いて、赤枠内に記入した保険料を、地震保険料と旧長期障害保険料それぞれで合計し、青枠内に記入します。最後に、青枠内で求めた合計額を緑枠内の計算式にあてはめ、地震保険料控除額を計算してください。
なお、地震保険料控除を適用する場合は、保険等の対象となった家屋等に居住または家財を利用している人が、申告者または生計を一にする親族でなければなりません。

社会保険料控除

社会保険料控除
参考:「令和3年度保険料控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_04.pdf)を加工して作成
国民年金保険料等、申告者が直接支払った社会保険料がある場合、年末調整することで社会保険料の合計が所得から控除されます。ただし、給与から差し引かれた社会保険料は年末調整の対象外なので、注意してください。
社会保険料控除欄には、社会保険の種類、保険料支払先の名称、保険料の負担者、保険料負担者の続柄、本年中に支払った保険料を記入します。社会保険料控除欄では、支払った保険料を単純に合計し、青枠内に記入しましょう。
なお、国民年金の保険料や、国民年金基金の加入者として負担する掛金を記載する場合、その証明書類の添付が必要です。

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除
参考:「令和3年度保険料控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_04.pdf)を加工して作成
小規模企業共済等掛金控除欄では、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金等、以下に該当する、自身が直接支払った小規模企業共済等掛金を記載します。
  • 独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金
  • 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金
  • 確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金
  • 心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金
それぞれの掛金を掛金の証明書等を参考に赤枠内に記入し、その合計額を青枠内に記入しましょう。証明書類は申告書裏面に貼付が必要なため、なくさないよう注意してください。

年末調整の書き方②扶養控除等申告書

年末調整の書き方②扶養控除等申告書
続いて、扶養控除等申告書の書き方を解説します。
扶養控除申告書に記載された情報から、扶養控除等の額(扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除)が算出されます。
  • 扶養控除:申告者と生計を一にする16歳以上で配偶者以外の親族のうち、年間の合計所得金額が48万円(給与所得のみの場合は給与収入103万円)以下等の条件を満たす人がいる場合に受けられる控除
  • 障害者控除:申告者や申告者と生計を一にする配偶者または扶養親族が、所得税法上の障害者にあてはまる場合に受けられる控除
  • 寡婦控除:申告者が寡婦(夫と離婚したあと婚姻せず、扶養親族がいる方で合計所得金額が500万円以下等の基準を満たした方等)である場合に受けられる控除
  • ひとり親控除:申告者が生計を一にする子がいる等条件を満たすひとり親である場合に受けられる控除
  • 勤労学生控除:申告者が特定の学校の学生・生徒であること等の条件を満たす勤労学生である場合に受けられる控除
なお、扶養控除等申告書は、扶養親族や源泉控除対象配偶者等がいない人でも提出しなければならないため、忘れずに提出しましょう。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
参考:「令和4年分扶養控除等(異動)申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_01.pdf)を加工して作成

源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族

源泉控除対象配偶者・控除対象扶養親族
参考:「令和4年分扶養控除等(異動)申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_01.pdf)を加工して作成
まずは、赤枠の源泉控除対象配偶者と、青枠の控除対象扶養親族(16歳以上)の記入方法を見ていきましょう。
記入項目は、氏名、個人番号、生年月日、続柄、特定扶養親族・特定扶養親族の、所得の見積額、住所または居所、異動月日および事由です。
なお、控除対象扶養親族に該当するかどうかは、年末調整する日の現況により判定します。判定日に扶養親族から外れている場合は、扶養親族欄に記入しないよう注意してください。

障害者・寡婦・ひとり親または勤労学生

障害者・寡婦・ひとり親または勤労学生
参考:「令和4年分扶養控除等(異動)申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_01.pdf)を加工して作成
申告者が障害者・寡婦・ひとり親または勤労学生に該当する場合や、同一生計の配偶者や扶養親族が障害者である場合は、赤枠の該当箇所にチェックを入れます。
また、赤枠で障害者または勤労学生にチェックを入れたら、青枠にその事実や該当する人の氏名も記入しましょう。障害者の場合、例にあるように、障害の状態や手帳の種類と交付年月日、障害の等級を記載します。

住民税に関する事項

住民税に関する事項
参考:「令和4年分扶養控除等(異動)申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_01.pdf)を加工して作成
住民税に関する事項は、申告者に16歳未満の扶養親族がいる場合に記入します。
記入項目は、扶養親族の氏名、個人番号、続柄、生年月日、住所または居所、控除対象外国外扶養親族であるかの確認、所得の見積額、異動月日および事由です。
国内に住所がない16歳未満の扶養親族がいる場合は、赤枠の控除対象外国外扶養親族の欄に〇を入れましょう。

年末調整の書き方③基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

年末調整の書き方③基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書は、基礎控除・配偶者控除・配偶者特別控除・所得金額調整控除を受けるために提出が必要な書類です。
  • 基礎控除:申告者の合計所得金額に応じて受けられる控除
  • 配偶者控除:申告者と生計を一にしている、年間の合計所得額が48万円以下等の条件を満たした配偶者がおり、かつ申告者の合計所得金額が1,000万円以下の場合に受けられる控除(最大38万円。配偶者が70歳以上の場合は48万円)
  • 配偶者特別控除:申告者と生計を一にしている、年間の合計所得額が48万円超133万円以下等の条件を満たした配偶者がおり、かつ申告者の合計所得金額が1,000万円以下の場合に受けられる控除(最大38万円)
  • 所得金額調整控除:給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者が、①23歳未満の扶養親族を有する、②申告者ご本人が特別障害者、③申告者の扶養親族や同一生計配偶者が特別障害者、のいずれかを満たす場合に受けられる控除(最大15万円控除)
基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
参考:「令和3年分基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_06.pdf)を加工して作成

給与所得者の基礎控除申告書

「基礎控除申告書」は、合計所得金額が2,500万円以下の給与所得者が、基礎控除の適用を受けるために提出する書類です。
申告すると、合計所得金額が2,400万円以下の場合48万円、2,400万円超2,450万円以下の場合32万円、2,450万円超2,500万円以下の場合16万円の控除を受けられます。
なお、この申告書を記入する前に、給与所得の収入金額と給与所得以外の所得の合計額を調べておく必要があります。源泉徴収票等の所得等がわかる書類を用意しておきましょう。
給与所得者の基礎控除申告書
給与所得者の基礎控除申告書(控除額の計算)
参考:「令和3年分基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_06.pdf)を加工して作成
まず、給与所得の収入金額から給与所得の所得金額を算出し、赤枠内に記入します。2ヵ所以上から給与の支払いを受けている場合は、その合計額を収入金額欄に記入しましょう。
次に、給与所得の収入金額から、下記の給与所得の計算表を使用して、所得金額を計算します。
給与所得者の計算欄
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_07.pdf)
上記の記入例をもとに図中の所得金額「6,973,000円」の計算方法を見ていきましょう。
  • 計算欄の注釈に従い所得金額調整控除の額を計算する(給与の収入金額は897万円)
  • (給与の収入金額-850万円)×10%=(897万円-850万円)×10%=47,000円
  • 給与所得控除後の給与等の金額(10万円を超える場合は10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額-10万円=10万円+0円-10万円=0円
    ※公的年金等に係る雑所得はないものとします
所得金額調整控除=a+b=47,000円
  • 給与の収入金額を計算欄「850万円以上(所得金額調整控除の適用がある場合)」にあてはめる
  • =給与の収入金額-195万円-所得金額調整控除
    =897万円-195万円-47,000円
    =6,973,000円
また、給与所得以外の所得がある場合は、その合計額を所得金額の欄に記載してください。ただし、ここで計算する所得には、源泉分離課税による源泉徴収で納税が完結するものと、確定申告しないことを選択した一定の所得は含まれません。
続いて、給与所得の金額と、給与所得以外の所得の金額を合計し、合計額を控除額の計算欄に適用させ、該当する欄にチェックを入れましょう(青枠部分)。
最後に、チェックした欄に合う区分(A~C)を緑枠内に記入し、控除額の計算欄を参照して、基礎控除の額を記入します(黄枠部分)。
出典:国税庁「《記載例》令和3年分基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_07.pdf)

給与所得者の配偶者控除等申告書

給与所得者の配偶者控除等申告書
参考:「令和3年分基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_06.pdf)を加工して作成
配偶者控除または配偶者特別控除を受ける場合は、配偶者控除等申告書を提出しましょう。ただし、夫婦両方が配偶者控除を受けることはできません。
まず、配偶者氏名、個人番号、生年月日を記入します(赤枠部分)。続いて、配偶者の本年中の合計所得金額の見積額を記入します(青枠部分)。所得金額は、給与所得者の基礎控除欄同様に、給与所得の計算欄を使用して算出しましょう。
最後に、緑枠で判定した区分を控除額の計算欄にあてはめ、配偶者控除額または配偶者特別控除額を算出します(黄枠)。

所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除申告書
参考:「令和3年分基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/pdf/r4bun_06.pdf)を加工して作成
所得金額調整控除申告書では、まず該当する要件(赤枠部分)にチェックを入れます。2項目以上に該当する場合は、どちらか一方の項目にチェックを入れていれば問題ありません。
要件欄で「あなた自身が障害者」以外にチェックを入れた場合、青枠内に扶養親族等の氏名、個人番号、生年月日、続柄、所得金額、住所または居所を記入します。
また、赤枠部分で特別障害者に関する欄にチェックした場合は、緑枠内に特別障害者に該当する事実を記入しましょう。

年末調整の書き方④住宅借入金特別控除申告書

年末調整の書き方④住宅借入金特別控除申告書
個人が住宅ローンを利用して自宅を取得等した場合、住宅借入金等の年末残高に応じて、一定額を税額から直接控除できます。
給与所得者の場合、初年分は確定申告による適用を受ける必要がありますが、2年目以降は年末調整の際に控除の適用を受けられます。ただし、申告者本人の合計所得金額が3,000万円を超えると控除を受けられません。
住宅借入金特別控除申告書
参考:「住宅借入金等特別控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/kyuyosyotokusya.htm#a006)を加工して作成
年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
参考:「住宅借入金等特別控除申告書」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index/kyuyosyotokusya.htm#a006)を加工して作成
申告書では、銀行等が発行する「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」等を参考に各項目を記入します。書類を準備してから申告書を作成しましょう。
まず、赤枠内に管轄税務署名、給与の支払者名称、給与の支払者の所在地、申告者氏名、申告者の住所または居所を記入します。法人番号の欄は給与の支払者が記入するため、申告者が記入する必要はありません。
続いて、銀行が発行する証明書をもとに、新築、購入および増改築に係る住宅借入金等の年末残高や特定増改築等の費用の額等を青枠内に記入します。なお、特定増改築等住宅借入金等特別控除を受ける場合は、緑枠内にも記入が必要です。
最後に、青枠内に記載した金額をもとに、黄枠部分と紫枠部分を記入します。黄枠部分で住宅借入金等の年末残高に控除率をかけ、算出した金額と控除の限度額を比べ、どちらか低い金額を紫枠内に記入してください。
図の例では、青枠内⑤に記載した19,750,000円に控除率1%をかけた197,500円と、控除限度額400,000円を比較し、金額が少ない197,000円を紫枠に記載しています。
控除率や控除限度額は居住を開始した時期によって異なります。2022年1月1日以降に住宅の居住を開始した場合は、控除率が0.7%となるため注意しましょう。
なお、重複適用の特例を受ける場合は、災害によって被害を受けて居住できなくなった住宅と、新規に取得した住宅それぞれで申告書類を用意しなければなりません。
その際、重複適用1枚目の申告書の水色枠内に、重複適用1枚目および2枚目の(特定増改増築等)住宅借入金等特別控除額の合計額を記入してください。

年末調整で注意したい3つのポイント

年末調整で注意したい3つのポイント
ここまで、年末調整で提出する書類の書き方を一つずつ解説してきました。最後に、年末調整する際の注意点を確認しておきましょう。

提出期限は必ず守る

年末調整に関係する書類は、必ず提出期限内に提出してください。
年末調整しなかった場合や、書類の提出が遅れてしまった場合は、企業や個人にペナルティが発生する場合があります。
年末調整は雇用主の義務です。年末調整しなかった場合、雇用主に懲役や罰金といった罰則が科されます。
また、年末調整しなかった場合は個人で確定申告しなければなりません。確定申告にも遅れると、無申告課税や延滞税が科される可能性もあります。
書類の提出期限は企業によって異なりますが、一般的に、11月から12月にかけて定めている企業がほとんどです。提出期限を確認したうえで、余裕をもって書類を準備しましょう。
なお、企業内での提出期限を過ぎても、1月末までは年末調整してもらえる可能性があるため、提出が遅れてしまった場合は、担当部署に問い合わせてみてください。

記入漏れ・申告漏れがないか確認する

申告に誤りがあれば正しく納税できません。申告書には提出者自ら計算しなければならない箇所もあるため、何度か見直して記入漏れ・申告漏れがないか確認しましょう。
提出後にミスが見つかった場合、1月末までであれば訂正を受け付けている企業もあります。ミスが見つかったらすぐに担当の部署へ確認してください。

制度改正点を把握しておく

法改正により、年末調整の内容や申告書の書式が変更になっている場合があります。改正点を知っておかなければ、誤った内容で申告してしまう可能性があるため注意してください。
税務関係書類の押印義務の廃止、住宅ローン控除特例の見直し等、これまでも法改正にともない、年末調整の制度変更がなされています。
近年では年末調整の電子化も推進されており、勤めている企業がシステムを導入した場合は、専用ソフトでの申告への対応も必要です。記入前に、前年からの変更点がないか確認しましょう。

まとめ

年末調整は所得税の精算に必要な手続きであり、年末調整することで、所得税の過不足を防げます。
年末調整で提出する書類には、扶養控除等申告書、基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書があります。
書類は書き方がわかりづらい部分も多いため、記載例を参考に記入するのがおすすめです。
また、必要事項記入後は記入漏れや申告漏れがないかチェックし、提出期限までに担当部署へ提出しましょう。

執筆者:高橋 光世
執筆者保有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士
※記事内の情報は更新時点のものです。最新情報は別途ホームページ等でご確認ください。

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