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住宅ローンの借り換えに最適なタイミングはいつ?借り換えメリットを最大限にするには

住宅ローンの借り換えに最適なタイミングはいつ?借り換えメリットを最大限にするには
2021.8.16
金融機関の店頭に置いてあるチラシや、インターネット広告で住宅ローンの借り換えの案内を見て、ご興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。「自分は借り換えしたほうがいいの?」「損はしないの?」と悩まれている方もいることでしょう。そこで本記事では、住宅ローンの借り換えのタイミングについてお伝えしていきます。

住宅ローンの借り換えで「金利が下がるのを待つ」は不正解?

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(画像提供:MonsterZtudio/stock.adobe.com)
最近の住宅ローンの金利低下の状況を見ると、「さらに金利が下がるのではないか」と期待している人は少なくないでしょう。しかし、金利の変動は金融・経済を日々研究している専門家でも予想することはできません。
「もっと金利が下がるかも……」と金利が下がるのを待っているうちに借り換えのタイミングを逃してしまう可能性があります。

借り換えの効果が期待できる条件

一般的に、返済期間残り10年以上、残高1,000万円以上、借り換え前後の金利差が1%以上あると借り換えの効果が高くなると言われています。

返済期間は長ければ長いほど、残高が多ければ多いほど、金利差が大きければ大きいほど、借り換えによるメリットが大きくなります。ただし、上記の条件に該当せずとも大きなメリットを得られることもあります。

住宅ローン借り換えの6つのタイミング

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(画像提供:beeboys/stock.adobe.com)
これから紹介する6つが大きなメリットを得やすいタイミングだと言えます。

1.条件の良い金融機関が見つかったら

金利が低い、団体信用生命保険の保障内容が今よりも充実しているなど、条件の良い金融機関があり、借り換えシミュレーションをして多くのメリットが得られそうであれば、そのときが借り換えタイミングと言えます。

2.固定金利期間終了時

固定金利選択型のローンを組んでいると、当初の固定金利期間が終わると金利の優遇がなくなる、もしくは縮小されることで、以前より世の中の金利は下がっていたとしても住宅ローンの金利が上がる場合があります。
たとえば、当初1.6%で返済していたローンが、10年が経過した際に金融機関から2.5%に金利が引き上がるなどの通知があり、返済額が増えるケースです。このようなときも、借り換えを検討する一つの良いタイミングです。

3.変動金利の返済額の見直しどき

変動金利のローンは5年ごとに返済額の見直しが行われます。その際に前の5年間よりも金利が上がっていれば返済額が増え、下がっていれば返済額が減ることになり、金融機関から今後の返済額の通知が届きます。
普段はあまり意識していない住宅ローンの内容を確認し、条件が自分に合っているのか、金利を引き下げできないかなど見直しを検討する良いタイミングと言えます。

4.他のローンを組む前

住宅ローンの審査は、その人の年収と住宅ローン、現在借り入れしているその他のローンのバランスを見て行われます。
たとえば、車のローンを組んだ場合、新たな借り入れが難しくなってしまうことがあります。そのため、これから車などをローンで買う予定のある場合は、その前に借り換えを済ませておくと審査に通りやすくなります。

5.減収や転職の前

上記のように収入と借り入れ状況によって審査を行うことになりますが、職場の配置転換や夜勤、残業の有無などで収入が減少する場合には審査に通りにくくなることがあります。
また、転職すると一定期間審査に通らない場合もあるため、転職を考えているのであれば転職前に借り入れすると良いでしょう。反対に、最近転職をした人だと期間をあけて審査を受けるのもひとつの手です。

6.健康状態が良好なとき

住宅ローンを契約する際、原則として団体信用生命保険への加入が必須になります。そのため、健康状態によっては団体信用生命保険に加入できず、借り換えができない場合があります。健康状態が良好なときに借り換えを済ませておくと良いでしょう。
反対に、過去に何か治療を受けていて現在は申し込みができなくても。一定期間空けることで申し込みできるようになることもあります。

借り換え時は固定金利と変動金利どちらにするべき?

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(画像提供:takasu/stock.adobe.com)
借り換え時に多くの人が「固定金利にすべきか、変動金利にすべきか」と悩まれます。これはその人の状況によりますので、ケースバイケースだと言えます。そこで、どのような人が固定金利に向き、また変動金利に向いているのかを解説します。

固定金利が向いている人

金利上昇によって家計が苦しくなることが予想される人、金融資産に余裕がない人は固定金利に向いています。固定金利は、一般的に変動金利よりも金利が高くなっていますが、これは言わば金利上昇に備える保険の保険料が上乗せされているからと考えると良いでしょう。

金利上昇によって家計の悪化、もしくは「ローンを返済しても残高がほとんど減らない」といったリスク対策ができます。また、借り換え後の残りの期間が長い人や残高が多い人は、金利が上昇した場合の影響も大きいために固定金利が向いています。

変動金利が向いている人

変動金利が向いている人は、固定金利が向いている人の正反対です。比較的家計に余裕がある人は金利が上昇した場合にもゆとりを持って返済でき、繰り上げ返済してローンの残高を減らすことができる変動金利が向いています。

また、まとまった金融資産がある人は、金利上昇による返済額増加を抑えることができるため、変動金利のほうが固定金利と比較して総返済額を抑えることができます。単に目先の返済額の多い少ないでなく、金利上昇のリスクに対策できるかどうかという観点から変動金利か固定金利かを選ぶと良いでしょう。

住宅ローン借り換え時の注意点

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(画像提供:АндрейЯланский/stock.adobe.com)
続いては借り換え時における注意点を5つご紹介します。

1.借り換え時には手数料がかかる

借り換えを行う際は、金融機関に支払う手数料や保証料、印紙税や抵当権抹消と設定費用、司法書士への報酬などの費用が発生します。

2.再審査が必要

借り換えを行う際は、再度審査が必要になります。そのときの年収や転職、その他のローンの借り入れ状況などによっては、審査に通らない場合もあります。

3.煩雑な手続きが必要

住宅ローンの契約や審査の手続き、これまでの金融機関への一括繰り上げ返済を申し出、融資実行日とそのときの日割りの利息を確認などの手間が発生します。

4.住宅ローン控除額が減る可能性も

住宅ローンで住宅を取得された方は、住宅ローン控除という税金のメリットを受けることができます。しかし、住宅ローンを借り換えることによって住宅ローン控除のメリットが薄れる場合もあり、借り換え後に10年以上の返済期間が無い場合には控除を受けられないため注意が必要です。

5.返済期間を短くするときには慎重に

借り換え前よりも返済期間が短い場合には、住宅ローン控除が受けられなくなる、控除額が少なくなる可能性があるので注意が必要です。
また、返済期間を短くすると毎月の返済額が多くなるため、家計にゆとりを持てる返済期間にすることが大切です。

借り換えのシミュレーション

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※どちらも元利均等返済。借り換え後の残高には借り換えに必要な諸費用を含めている
では、借り換え前と借り換え後でどの程度の差があるのか、実際にあったモデルケースで比較してみましょう。
上の表のとおり、月々の返済額が1万6,000円以上、返済総額は約430万円も軽減しています。

借り換えの手続きの流れ

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(画像提供:wutzkoh/stock.adobe.com)
続いて、実際に借り換えを行う際の流れをご説明します。まずは借り換えすることにより、どの程度のメリットがあるのかを試算してみます。その際には金利のみでなく金融機関の手数料、保証料を確認した上で、金融機関を選びましょう。
また、司法書士にも抵当権の抹消と設定の手続きの見積もりを取っておきますが、金融機関が司法書士を紹介してくれる場合もあります。
金融機関が決まったら事前審査を受けます。事前審査に通ったら本審査を受けますが、事前審査に通っていても本審査に通らない場合もあります。本審査を無事通過したらここで借り換え前の金融機関に借り換えをする旨を連絡し、一括返済の手続きをします。

このとき、借り換え後の金融機関が借り換え先の金融機関に対抗して、現在借り入れしているローンの条件を変更し、有利な条件にして提案してくることもあります。もし借り換え前の金融機関の条件のほうが有利なようであれば、借り換えをせずに条件のみ変更してもらうのもひとつの選択肢です。

予定通り借り換えを実行する場合には、ローンの申し込み手続きを行い、融資実行日を借り換え前の金融機関と司法書士に連絡します。

融資実行の当日、現在の残高と日割り計算した利息を借り換え先の金融機関に振り込み返済し、その日のうちに司法書士から借り換え前の住宅ローンの抵当権抹消と借り換え後の住宅ローンの抵当権の設定の手続きが行われます。以後は借り換えた住宅ローンを返済していくことになります。

借り換えのベストタイミングを狙おう

ここまでで、借り換え時期に関して検討すべく点について説明してきましたが、金利の動向を見てベストなタイミングを狙うのは至難の業です。しかし、現在返済しているローンの当初の固定金利期間や金利の優遇の終了時期、返済金利が上がるタイミング、住宅ローン控除が終了するタイミング、転職前など、それぞれ適したタイミングがあります。
もし金利が下がり借り換えを行うことでメリットが大きいようなら、できるだけ早期に借り換えをするのが良いケースが多く、気になった今こそ借り換えに最適なタイミングとも言えます。
まずは借り換えた場合にどの程度のメリットがあるのかをシミュレーションし、ここまで解説してきた条件も加味しながらご自身にとってのベストなタイミングを狙っていきましょう。

執筆者:小川洋平

合同会社clientsbenefit 代表

ファイナンシャルプランナー(CFP®)。

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